春先の2段ベッド&フロントスクリーンの製作に引き続いて、今回のFFヒーター&サブバッテリシステムの架装を静岡のOGUShowさんにお願いすることになった。春先の見積りに走行充電システムやルーフベンチレーション、ソーラーパネルシステムなどを加えた時点で予想はしていたものの、今回戴いた見積り書を見てサッと血の気が引いてしまった。完全なる予算オーバー(涙)。そこでヒジョーにカッコ悪ぃいけども、今回はソーラーパネルシステムをパスすることにして、昨日の契約に至ったというわけである。
ところが、ダッちゃんの“自給自足化”計画(*勿論ガソリンは補給する必要があるけど...)を実現する上で、電力の自給は外せないのは事実。容量ギリギリしか発電しなかったDiscoのオルタネータとは違ってダッちゃんのはかなり余裕があるので走行充電システムからサブバッテリーへの充電も期待出来そうだし、これに60〜80Wクラスのソーラーパネルを装備に加えれば、長期間の旅はもちろん、来るべき東南海地震で長びく避難所暮らしでもミニマムながらそれなりの文明生活が送れるのではないか?と考えたのだ。
そんな時、友人からグッドタイミング(バッドかも?)な情報が!何と、DIYでソーラーパネルを取り付けるコンプリートキットを販売しているショップの情報である。取付金具やビス、タッピング、シーリング剤まで含まれていて、しかも価格は驚くほどにリーズナブル。もちろん先立つものがないだけに、参考までにお話を聞いてみようと電話してみたのが運の尽き(笑)。営業時間外にもかかわらず、熱心にソーラーパネルの良さをレクチャーして下さったショップマスターのおかげで(せいで?)一度は諦めた“自給自足化”計画への気持ちが一気に再燃してしまったのだ。ここで問題になるのが、一度は見積りしてくれたOGUShowさんへの道義的責任。職人であると同時に商人でもある自分がされて嫌なことはきっとOGUShowさんも嫌に違いないわけで、浪花節的と笑われるかもしれないけど、僕はドライに割り切れないタイプなのだ。で、悩んだ末、正直に事の顛末をOGUShow・Oさんにメールする。すると...
『いえいえ、全然問題ないですよ。道具にお金が掛かって遊びに出られないようじゃ、本末転倒でしょ?だから、出来るだけ安く、しかも楽しみながらおクルマを仕上げて、そのぶん浮いたお金でもっと遊びに出かけて下さいよ!ウチは社長のDIYから始まった会社ですし、ご自分でお出来になることは自分でやって頂いて、手に負えない部分をサポートするスタイルですから安心して下さいね。もちろん部品の持ち込みもOKですし。逆に●●さんのご希望に添えなくてゴメンなさいって気持ちですよ〜!今度入庫される時、ソーラーパネルも積んできてくださいね〜。あーだこーだ話しながら、良いアイデアをアドバイス出来るかも知れないですし。あ、もち、その件についてはソロバンは弾きませんから(笑)』
そんなわけでソーラーパネルをルーフに載せることになった。でも研究も試算もせずにただ“エコっぽい”ってだけで特に目的もなく載せるだけではただの自己満足orお金持ちの贅沢でしかないわけで、自分にとってダッちゃんにとって何が必要で何が贅沢なのか?対費用効果は?を良く検証する必要があるのだと思う。(そんでもって、その過程を楽しむのだ!)
さて、それでは太陽電池&バッテリーでFFヒーターがどれぐらい使えるのか?今日はそれを計算してみた。もちろん、電気はシロウトの僕。中学の技術家庭で習った電気の知識をフル活用して(ちなみに技術家庭と美術と体育の成績は10段階の10だったもんね〜!....笑)果たしてこれで正しいのかどうか判らないけど...所詮は中学生レベルの知識なので間違いがあったらごめんなさいってことで。
まずは消費量。Webasto
FFヒーターの風量max.の定格は20W。運転時間はCasitaの経験からすると夕食後の8時から朝まで断続的に使うことになるので8時間と仮定しよう。なお、日照時間は三重県地方の住宅用の平均値で計算してみる。当然ながら鉛蓄電池の満充電係数1.24とシリコン整流ダイオード電圧降下0.7Vも考慮する必要がある。(*太陽電池=SP
バッテリー=Bt 電流=A 電圧=V)
■(20W×8時間/日)÷12V=13.3Ah(日)
■SPの必要A=13.3Ah÷1日当りの平均日照時間3.3h=4.0A
■SPの最大出力動作V=Bt公称V
12V×満充電係数1.24+ダイオードV降下0.7V=15.58V
さて、この電力をまかなうためにはどの程度の太陽電池が必要かを計算してみると...
■最大出力動作 V15.58V×最大出力A 4.0
A=62.32W
つまり60Wでは少し役不足。80W程度のものが必要となるわけだ。ここで量産型で最も効率が良いとされる米国シェルソーラー社製80Wのパネル(SQ80-P)を例にして再計算すると...
■最大出力動作V 16.95V×最大出力A 4.76
A=80.682W
これにより、先に算出した太陽電池の必要電流4.0A以上、最大出力動作電圧15.58V以上の電力を得ることができる。そして、次はバッテリー。
■(1日の消費A量13.3Ah/日×連続無日射保障日数4日)÷(Bt保守率0.8×放電深度50%)=133Ah
つまり、ソーラーパネルからの電力供給が完全に止まる間バッテリーのみで駆動させる場合に必要バッテリー容量は133Ah以上、105Ah1個では容量不足という計算になる。そこで105Ahを2個並列で接続することとする。今回の計算では緊急避難時に20WのFFヒーターを毎日8時間作動させた場合の計算だけども、実際はガレージにて満充電させて週末に1泊するだけという使用頻度になるわけで、210Ah満充電のバッテリーで8時間連続使用する場合、どれだけ電気を使えるかを逆計算してみると...
■210Ah(日)×12V÷8時間=315W
これなら太陽電池の発電がない夜間、FFヒーター20Wを使いつつ、室内灯10Wを点し、パソコン*とTV*を使うことが出来る(*但しACを使うには大容量のインバータが必要だけども)わけだ。実際のところ、ダッちゃんのルーフ(フラットな部分)は幅約1500mm×長さ約4000mmなわけで、シェルソーラー80Wのパネル(SQ80-P)ならmax.9枚、バッテリーはセカンドシート下に限っても6個まで設置可能。そうなると発電量720W、1000Wで8時間使用可能ってなちょっとした住宅用ソーラー発電システムが構築されちゃったりするのだ。(ま、実際のところパネルが7.4kgバッテリー20kgあるので重量増に耐え切れないし、太陽光は無限でも、お財布の中身は有限だし...涙)
そんなわけで、今回はシェルソーラー社製80Wのパネル(SQ80-P。多結晶は安価ながら耐衝撃&耐振動性に劣り車載には向かないらしいらしいので、単結晶にこだわります。)1枚とBritestar105Ahのディープサイクルバッテリー2個を注文することに。これなら、ともちゃんをもう1人乗せたのとぴったり同じ重量増で済むし(笑)...なんて自分に言い訳をしてるうちにソーラーパネル一式が到着!は、早過ぎ!
翌日、出勤途中に仕事場のそばにあるS板金さんの前を通った。ダッちゃんの防錆塗装をしてくれた板金屋さんである。工場の前で作業中の大将と目が合って軽く手を上げて挨拶。
『おはようさん!相変わらずオモロイことやっとる?』
『良くぞ訊いて下さいました(笑)。今度、またダッジを改造しますねん。』
『何ナニ...何アホなことすんの?』
『あのね...』
FFヒーターを取り付けること、それに合わせてサブバッテリーを積むこと、充電のためにソーラーパネルを屋根に載せることなど、今回の改造計画を打ち明ける。あっ!もしかして、ボディへ穴を開けてソーラーの取付することなんかは大将の専門分野じゃん!
『オモロそうやん、取付やったろか?』『エエの?』『エエよ。』
...ってわけで、ひょんなことからソーラーパネルの取付をお願いすることになった。そんなわけで、昨日届いたソーラーパネル&取付金具をS板金さんへ届けて、取り付けてもらう手筈を整えた次第。
『あの〜そう言えばどのぐらい掛かるか聞いてへんですけど...』
『アハハハ、そやったね。2〜3日預かれば大丈夫やと思うよ。』
『いや、期間はナンボ掛かってもエエんですが、費用は...』
『あ、そっちかいな?ナンボなんでも1万円は貰い過ぎやわな。ま、アンタが自分とやったよりは美しゅう仕上げといたるさかいに。』
アリガタヤ、アリガタヤ...DIY精神も大切だけども、クルマ、しかも屋根に穴を開けるのは細心の注意が必要。プロにお任せすべきところ、自分がやった方が良いところ...その見極めが大切なのかな。
そして今日、『2〜3日預からせてもらうからな。』そう言われて、ダッちゃんを預けたのが朝イチ。『お〜い、キャリア取り外さんと取付け出来んやん。』って電話が掛かってきたのが昼休み。『出来たでぇ〜取りに来てんかぁ〜。』が16:00。S板金の大将は大嘘つき(笑)。夕方、仕事を終えてから手伝おうと思ってたのに、あっと言う間の早業でソーラーパネルの取付け完了でびっくり。実質は1時間足らずの作業だったようなのだ。『オレ、銀座のクラブのホステスさんちゃうし、そんなに時給貰われへんがな...笑』と見積りよりも大幅に安い請求額に二度びっくり。
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