数年前からの念願だった東北。
毎年のように春先になると、今年こそは!と意気込むものの、いつも「アイランドの誘惑」(我が家の夏は離島に行くことが多い...笑)にハマってしまい、また来年ね!と先送りになっていた。
もちろん、僕は東北を良く知らない。高校生の冬、青春18きっぷで一週間の東北への列車放浪旅に出た経験があるだけだし、その時の記憶と言えば、峠の釜飯が旨かったことと、弘前駅前であまりの寒さで駅泊出来ず思わず飛び込んだにっかつのオールナイトのピンク映画の女優さんの裸体だけ(笑)。でも、僕にとって東北という土地は豊かな自然も魅力のひとつではあるけれど、ただそれだけの場所ではなくて、その自然を背景に綿々と紡がれてきた独特の歴史だとか風土だとかに興味を持たないと面白くない場所だという認識がある。つまり“お子ちゃま”な感覚では平凡な田舎にしか見えない、いわば大人向きの場所であるということ。
あっと息を飲むような誰にも解る絶景とか、明らかに紀伊半島とは違う“異国情緒”とか、要するに写真で簡単に表現できる種類の魅力ではなく、その場所に行って初めて解る空気感?嗅覚とは違う部分で感じる匂い?そんな“通”な感覚がそろそろ最年少のAzuにも少し理解できつつあるのかな?と感じるのである。
そんなわけで、今年は春先からMamaとMasaのプッシュが強烈。4月には“るるぶ東北”を買い込んで、早くもインターネットで情報収集開始。そして我が家の東北キャラバンを決定付けたのが、GWの北山川DRでご一緒させていただいた、あずさんご一家との何気ない会話だ。
『akiさんち、夏は北海道ですか?』
『いえ、出来れば東北に行こうって思ってるんですよ。』
『いいですよ、東北。我が家はもう何度も回ってますけど、魅力が尽きないですね。』
DRの合間のつかの間の会話だったけど、僕が密かに尊敬するカヌーイストのひとりであるあずさんの口から語られる東北の魅力。僕らが田戸へクルマを取りに行っている間、Mamaもあずさんの奥様・とよちゃんに東北について根掘り葉掘り訊ねたようで、紀州からの帰り道の話題は東北だけ!の状態だったのだ。
GWからしばらくして、あずさんの詳細な旅の記録(*パパパドラーのカヌー日記敗れたり!)を拝見して、我が家の東北フィーバーは最高潮。カレンダーに花丸をつけて2ヶ月前の名古屋〜仙台のフェリー予約日に向けカウントダウン(笑)ところが、一年中“予定が未定”、翌日の予定すら決まらない我が家に二ヶ月も先の予定が決まってるわけもなく(僕の仕事、No.2になっちゃったMasaのクラブ、親戚の初盆etc全てが決まらず...涙)、何も出来ないまま予約日を迎えてしまう。やはり今年の実現不可能か!?...その時、Mamaが一言。
『フェリーなんて止めて、走って行きましょうよ。』
おおっ!そうか!その手があったか!まさに目からウロコである。
『あずさんだって東京から南紀まで700km近くを一日で走ってきてるわけでしょ?冬の車山日帰りしちゃうワタシたちだったら休まずに走れば翌朝山形まで行けるんじゃない?』
実際、フェリーをよく調べてみると名古屋20:00出航で仙台到着は翌日の17:00と21時間もかかるわけで往復で2日のロスが生じてしまう。しかも夏休み割増運賃で15万円以上のコスト(予定では今回の旅費総額はコミコミ15万円なので倍になってしまう!)を考えるとダッちゃんで走った方が良さそうだ。
『ワタシも1/3は運転するから...そうしましょうよ!』}
結局、Masaのクラブの試合日程は夏休み直前まで決まらず、僕の休みも一週間前(!)まで決まらず、例によって今回も“行き当たりばっ旅”の日程は8/9-10の木曽駒ケ岳登山翌々日にようやく確定されたのだった(笑)。
春先からやけに仕事が忙しかったし、僕が計画を立てるとカヌーに偏ったものになって家族の評判が芳しくないこともあって、今回の計画は初めて我が家で一番マニアック&歴史と地理に博識なMasaに任せっきりにしてみた。旅行中に訪れる場所や野遊びの下調べは全てMasaの手によるもので、道路状況やアクセスのチェックを少しだけMamaが手伝う感じなのだ。ところが旅行一週間前に彼の計画を覗いてびっくり!彼が挙げた50ヶ所もアクティビティは神社と巨木とトレッキングと登山オンリー!カ、カヌーがないじゃん!
『カヌーは時間とか安全性とか釣り師の状況とかが読めないんだよ。積める荷物に限りがあるし。今回は我慢してね。』と冷静なMasa。おっしゃる通り。ま、どっちが息子かワカランなぁ(笑)
でもカヌーの予定がない以外は中学生の作った計画とは思えないほど素晴らしい内容だったし、任せると決めた以上僕が口出しするのはイケナイことだと思ったので、今回はこの計画に沿って行動することに決める(ちゃんとAzuが喜びそうな観光地も入れて抜かりはないし。)。
こんな感じで迎えた8/15。いよいよ夏休みグランドキャラバン2006のスタート。
一日、目一杯仕事を頑張って、前夜慌てて道具を積み込んだダッちゃんで最寄りのICのそばまで行ったら電光掲示板に渋滞10kmとの情報。そこで近所の行きつけの中華料理店で夕食を済ませながら渋滞解消を待って20:00に最寄りのICから北に向けて出発だ。
渋滞解消を待っただけに東名阪、名古屋市内、名神、中央道と全くスムーズ。駒ヶ根SAで約束通りMamaに運転を代わって、深夜0時頃タイミング良くいつもの(笑)信濃町の道の駅に到着。すぐにベッドを展開し、明日に備えて眠りにつく。外気温23℃。網戸は4枚だけにしないと寒い夜だ。
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