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FLAME LAYOUT

 

 

 

 

[8/15-16山五十川玉杉・羽黒山][8/17月山・湯殿山][8/18男鹿水族館・白神山地十二湖]
[8/19岩木山・白神山地暗門ノ滝][8/20八幡平・小岩井農場][8/21中尊寺・日光〜8/22辰野枝垂れ栗]

 

 

 

 August.2006 part.3

 

 

 

8月15-22日 東北グランドキャラバン mission.2


風に揺れるニッコウキスゲ

8/17 月山登山&湯殿山

夏休みグランドキャラバン3日目は、出羽三山「月山」登山。昨日の現世=羽黒山に続いて、今日は“黄泉”つまり死へ世界への旅立ちなのである。昨夜のP泊地・姥沢の駐車場で午前6時起床。ダッちゃんの外に出ると寒いほどの気温だけど、空は晴天!実に気持ちの良い朝を迎えることが出来た。


誰も居ない姥沢駐車場で迎えた朝

徒歩でリフト乗り場へ

登山の準備を整えて駐車場から徒歩で月山リフト乗り場へ。8時の運行開始とともに一番でリフトに乗ると、1238mの乗り場から一気に森林限界を越えて標高差約250mを稼いで1505mのリフト上駅へと僕らを運んでくれる。今なお残る雪渓を眺めつつ所要時間約15分のリフトを降りると、そこはたった1500mとは思えない荒涼とした岩ばかりの高山の雰囲気。


リフトで一気に森林限界を超え1505mのリフト上駅へ

所々にある 残雪を眺めつつ登山スタート

姥ケ岳の残雪を目標に、ガレガレながらルートがはっきりした登山道をスタート。
さすがは北緯38°の北国の山、この高度で森林限界を越えているので1500mですでに樹林帯は存在せず、いきなり見通しの良い快適な登山道である。歩き始めてほどなくなく登山道の両側に美しく可憐な高山植物が咲き始め僕らの目を楽しませてくれる。


ガレガレの登山道を姥ケ岳山頂に向け進む

遊歩道と別れ、左に進むと間もなく登山道を分断する形で雪渓が横たわっている部分に到着する。傾斜は15°程度と大したことはないけど、何度も解けたり凍ったりを繰り返し、ほとんど氷と同等の硬さのアイスバーンなので、アイゼンを持たない女性陣は恐れをなして雪渓を迂回する。僕とMasaはルートを示すロープに沿って慎重に直登してクリア。


いきなり雪渓を渡る羽目に

一歩一歩慎重に進むMasa


女性陣は大事をとって雪渓を巻くように迂回ルートを行く

雪渓の後は、かなりしっかりした木道が整備されていて楽に進むことができ、間もなく姥ケ岳(1670m)のピークハントを果たす。リフト乗り場では晴天だったけど、予想通り山の上は雲の中。しかもなだらかな山容とはいえ、やはり独立峰である月山は非常に風が強く、姥ケ岳山頂からの稜線上は体重の軽いAzuは吹き飛ばされそうなほどに吹き荒れている。目指す月山はもちろん、時折、数十m先をゆくMasaやMamaの姿がかき消されることもあるほどの霧に包まれて、心の余裕を失ってしまいそうになるほどの荒れた雰囲気...山岳宗教の世界で“死”の世界を代表する月山らしいのかもしれないなと思う。


雪渓からは良く整備された木道

姥ケ岳(1670m)登頂!

山頂から金姥までの稜線上は暴風域

霧の中に浮かぶのはニセピーク(涙)

強風の洗礼を受けながら小さなピークを過ぎると一旦下りとなる。湯殿山への分岐の鞍部である金姥まで下り、そこから北側、すなわち左側が危険を感じるほどスパッと切れ落ちた稜線上を進む。紫灯森付近は美しく敷かれた石畳で右手には大きな雪渓があり、夏の高い気温のせいで雪面からまるで火山活動でも起きてるほどの水蒸気が立ちのぼり、強風に乗って右から左へ白い旗がはためいているみたいにも見える。


牛首(1694m)の雪渓は湧き上がる水蒸気が雲になる

雲の晴れ間に月山のピークが見えた!

リフト上駅からのショートカットルートが合流する牛首分岐の鞍部は比較的風もなく静かな雰囲気。進行方向2目を移すと、激しく渦巻きながら流れる雲が短い周期で濃くなったり薄くなったりを繰り返している。先行するMasaが僕らを呼ぶ声が響く。『早く!早くおいでよ!鳥海山がきれいに見えてるっ!』でも、僕らが彼の場所まで辿り着いた時には、彼の指差す方向は一面の雲(涙)。

 


ここから山頂までは標高差300mを一気に登る

...基本的には晴天の山形県だけど、月山付近だけは湧き上がった雲が東から西へ猛烈なスピードで流れ、青空を背景に鳥海山の雄大な姿や日本海の眺望が楽しめたと思ったら、深い雲に視界を一瞬にして奪われるという感じで目まぐるしく変わる天候なのだ。


鞍部では風速15m以上の風が右から左へ吹き抜ける

恐怖の大荷物男、月山をゆく

雲の切れ間から鳥海山が見えた!!

牛首からはいよいよ鍛冶月光坂と呼ばれる本格的な急登が始まる。
山頂方面(...と思われる方向)は登山開始から常に厚い雲に覆われていて全く見えないでいて、GPSの小さな液晶画面に映し出される1/25000地形図にある現在位置を示す三角マークが山頂に向け確実に近づくことだけが喜びだったけど、牛首から5分ほど登った場所で風のいたずらなのか?それとも月山が僕らを励ましているのか?突如雲が切れ、青い空を背に月山の全貌が明らかになる。山頂が見えた!具体的な距離感、スケール感が判ると俄然チカラが湧いてくるもの。1694mの牛首から1933mの鍛冶小屋までの標高差230mを一気に登る。


それにしても花が多い山だ

さっきまでいた鞍部に巨大な雲塊が覆いかぶさる

ただひたすら登るのみの岩場。空の青さが眩しい!

鍛冶小屋...といっても小屋があるわけではなく、現在は稲荷社と小さな祠があるだけの平坦な踊り場だけど、かつて「月光丸」という霊刀を打つ鍛冶場があったことからこの名がついたらしい。
意外な場所にあるお稲荷さんに、場違いな“商売繁昌”をお願いし(笑)、さすがに疲れ果てた様子のAzuを励ましつつ、ここからもう一息頑張ると、登山道は実にあっさりと平坦な場所に出る。ここが月山頂上台地の縁である。


湯殿山と皮松山地、日本海の大パノラマ


鍛冶小屋に到着。お稲荷さんにお参り

↑の10秒後。雲の流れが速い

頂上台地に入ると、さきほどまでの強風はピタリと止んで、穏やかな白い雲が所々に浮かぶ青空をバックに天空の城“ラピュタ”、あるいはメキシコの古代ピラミッドとかチベットのラサを思わせる三角錐のピークがそびえているのが見える。
これこそが月山神社本宮!いよいよやってきたのだ!



山頂台地に到着!月山神社本宮は天空の城“ラピュタ”?
メキシコのピラミッド?特異な景色が広がる(後方は鳥海山)

山頂台地に入ると登山道はフラット。三角錐の月山神社に向けて一直線に延びる道をのんびりと進む。
青空に映えくっきりと見えていた月山神社だけど、近づくにつれみるみるうちに雲行きが怪しくなって、月山頂上小屋の辺りまで来るとうっすらと霧に包まれ、冠木門ではすっかり霧の中。強い風も吹き始めて帽子を飛ばされないように手で押さえる必要が生じるほど...この天候の急変はどうだ!


晴れ渡った空の下しばらく進むと...

山頂に霧が掛かり始め...

誰もが自由に参拝できる昨日の羽黒山とは違い、ここ月山神社本宮は門外でお祓いを受けた人しか立ち入ることが出来ない。頭を垂れてお祓いを受ける僕ら。
濃い霧が流れる静かな境内にドスの効いた声が響く独特の雰囲気...何となく敬虔な気持ちになるものだ。お祓いの後、お守りと人のカタチに切り抜かれた小さな紙を手渡され、その紙で全身をなでて水鉢に浮かべて厄難を落とす儀式を終えた僕らはいよいよ月山神社へと進む。
本殿で参詣を済ませ、守護札授与所でお守りと登頂記念ピンバッヂを手に入れた後、月山神社を出て山頂(三角点)を目指す。


本宮前は霧の中で...

三角点は身の危険を感じる風速20m以上の暴風

ところが神社から山頂への道がメチャ不明瞭。しかも姥ヶ岳で遭遇したのよりもさらに強い風が稜線上の僕らに容赦なく吹き付ける(まっすぐに立っているのがやっとだから20m/sを超えていると思う)。それでなくても不安定な足場、5m程度まで落ちた視界、何故かとんでもない方向を示すGPS(濃い霧で衛星捕捉ギリギリな上に、足元の岩に何らかの磁力があるのか?内蔵コンパスが不調で北がクルクル回っている!)、しかも霧は細かな雨を含み、雨を感じないのに風上側のウェアがぐっしょりと濡れている。


ワハハハ...視界5m。とにかく月山(1980m)登頂!

『ああぁっ!?』そんな状況でAzuが悲鳴を上げる。その場にしゃがみこむ彼女に駆け寄ると、なんと!Azuのトレッキングシューズのソールが両足いっぺんに剥がれてる!いつも登山前に亀裂がないかチェックを怠ったことはないのに、つま先を残し全周の80%がベロ〜ン!と剥がれ、歩行不能の状態だ。とりあえず靴紐で仮に固定して歩けるように修理し、岩の間を抜けると、三角点に到着。月山(1980m)登頂成功!


裏側から見る月山神社はチベットの寺のよう

頂上小屋近くでラーメンのランチタイム

濃霧の中で記念写真を撮った後、すぐに月山神社下の広場に戻り、そこで昼食。半袖では寒い気温なので、今日のメニューはラーメン。PRIMUSに鍋を架け点火すると、明らかにいつもより早くお湯が沸騰する。高地では沸点が低いという事実を実感する瞬間だ。


ソールが剥がれたAzuの靴を応急修理

花に覆われた山頂を後にする


霧に包まれた山頂台地の縁は地の果て...というか
地獄のような荒涼とした光景(左折すると“賽ノ河原”だし)

ラーメンで身体を暖め、靴紐を結索してAzuのソールを本格的に修理した後、すぐに下山開始。往路では、青空と素晴らしい眺望で、まるで天国のような“ほのぼの感”すら漂っていた山頂台地だけど、帰りは“死の山”らしい荒涼とした雰囲気。特に“賽の河原”との分岐点を経て山頂台地の縁まで来ると、まるで霧の中に墜落するような感覚を覚えるほどで、ニッコウキスゲの花畑で青空が覘くまでの間は何となく沈んだ気持ちに包まれる僕らだ。


山頂の喧噪がウソのよう

ポールを上手く使って下るMasa

ザックからポールを出して4本足になった僕らは、足元の浮石に注意しながら鍛冶月光坂を慎重に下り、牛首からは姥ヶ岳のピークを経るルートではなく、約1600mの等高線に沿って緩やかなカールを横断する遊歩道へと進む。


眺望もなく、ただひたすら下るのみ

雲の切れ間に思わず笑みが漏れる


そう言えば月山も「花の百名山」だったけ。とにかく花が美しい

遊歩道はきちんと石畳が整備されていてとても歩きやすく、雪渓と花が美しいルートだ。正面の雪渓からは、真っ白な水蒸気が立ち昇り、風に乗って“霧の月山”の尾根を越えてゆく。その様子がまるで噴煙のようにも見え、実に感動的な光景である。遊歩道は時折雪渓を横断して延びる。


牛首からは姥ケ岳山頂をパスするルートへ

雪渓と花が美しいルートだ


雪渓から湧き上がる水蒸気が噴煙のように僕らを包む

姥ヶ岳手前の雪渓と同じくカチカチに凍った雪面。雪庇や隠れたクレバスに注意しながらポールを上手く使って慎重に雪渓を通過。雪渓の最下部には雪解け水を集めた小さなせせらぎが出来ていて、その水際にしゃがんで正真正銘0℃の青みがかった透明な水で顔を洗う気持ちよさったら!!真夏のダウンリバーで汗だくのウェットで川に飛び込んだ瞬間と同じぐらい気持ちイイのだ。


雪渓の下には水場が多数。当然ながら水温は0℃

木道が途切れ、雪渓を渡る場面も

月山を包む雲の正体はこれだ!

整備が行き届いた歩きやすい登山道

ここまで下ってくると山頂の濃霧がウソのように見通しが良くなり、緩やかな弧を描く緑の台地にクネクネと曲がりながら延びる木道が全て見渡せる。雪渓から流れ出たせせらぎを何度か渡り、両側に咲く花々を楽しみながらしばらく歩くと。再び登山道に合流。小さな尾根を越えると眼下にリフト上駅を確認。急坂を慎重に下り、リフト上駅へ無事ゴールだ。


リフト駅まで続く木道の曲線が美しい

疲れた足をブラブラさせてほぐしながらリフトに乗って10分ほどでリフト下駅へ。ここから歩いてダッちゃんに戻り、僕らは月山を後にしたのだった。


今まさに満開なニッコウキスゲ

リフト乗り場が見えて来た!

月山登山 10.32km 標高差475m  所要時間3:40


月山登山の後は、出羽三山最後のひとつであり、月山=死から蘇り再び生を授かる場所と言われている湯殿山神社へ。ここで衝撃の体験をすることになるんだけれど...ここ湯殿山は今でこそ有名な場所になってるけど、昔は出羽三山は「羽黒山」、「月山」、「葉山」とダミーまで設けてその存在を厳格に隠されていたほど。


湯殿山大鳥居。ここから先は古来より
『言わず語らず』の掟あり。他言するべからず

ここでもやっぱり玉こんにゃく(笑)
ノンカロリ−でヘルシー?

そんな事情から、湯殿山での出来事は古来より『言わず語らず』他言することを禁じる掟があり、ここで語ったり写真を載せること(*ちなみに湯殿山は全山写真撮影禁止)を避けたいと思う(笑)。出羽三山を現世=羽黒山→死の世界=月山→来世=湯殿山とういう順番に、しかも短時間に自分の足で歩いて巡礼した者にしか理解出来ない「“黄泉”返り」を体感できるので、是非ご自分の足で行ってみて下さいということで(笑)。湯殿山の後は、鶴岡市内の「かたくり温泉」でのんびり過ごし、夕日を眺めながら日本海沿いを秋田男鹿半島まで北上。途中の酒田でダッちゃんシアターのDVDプレイヤーとAzuのトレッキングシューズをゲットし、道の駅「てんのう」にてP泊となった。

 

           
月山で見た花々
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Photo by aki&Azu
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