そんな僕が高校の時、ファミレスで必死で働いてためたバイト代で初めて買ったクルマはフラッグシップカーにDeTomasoを持つDAIHATSU シャレードだった。もちろん虎の子75万円ではDeTomaso Turboは買えなかったけど、当時DeTomasoに供給されていた3気筒1000ccエンジンを載せたシャレードは何となく僕をイタリアンな気分にさせた。当時は空前の「ハイソカー」ブーム。何がハイソなのかはともかく、白いマークツーやプレリュードに乗ってるだけで確かにモテた(笑)。「どうして中古ででもマークツー買わなかったの?」友達には笑われたけど、僕はこの小さなダイハツが好きで好きでたまらなかった。
そんな時、2つ年下の彼女ができた。彼女は僕と僕のダイハツを気に入ってくれた。ふたりは休日のたび、このクルマでいろんな場所にドライブした。そして卒業。故郷に戻った僕と大学生の彼女はいわゆる遠距離恋愛の関係になった。卒業前にはもう夫婦みたいな暮らしをしてたから、金曜になると単身赴任の旦那みたいに深夜の国道を走って彼女に会いに行く日々が続いた。峠道を含む百数十kmの距離は、グロス60psのダイハツでどんなに急いでも2時間は必要だった。そんな時、学生時代にスペインで乗ったFIAT UNO Turboが思い出された。「あいつなら1時間は短縮できる...かも」...それは本当だった。時効だから白状するけど、UNO Turboは時速180kmでどこまでも巡行できるタフなエンジンを持っていたからダイハツの1/3の時間しか要しなかった!「国道1号線エキスプレス」僕達は冗談半分でUnoをそう呼んでいた。
(つづく)