5月5日
今シーズンのまとめ いよいよ朝晩の冷え込みもなくなり、薪ストーブの火を落とす時がやってきた。10月18日の焚き始め以来、6ヶ月半我が家を暖め続けてくれた薪ストーブに感謝!である。薪ストーブを焚き始める前は、薪の確保のこと、暖房性能のこと、そして安全性のことなど不安がいっぱいあって、本格的な冬を迎えるまでは正直なところ恐々火を入れていたのも事実。ワンシーズンを薪ストーブとともに過ごしてみて、そんな我が家の薪ストーブ生活の総括をしてみたいと思う。
<薪の確保>
1シーズンにどれだけの薪を消費するか?それさえも全くの手探りだったので、この1年間は質はともかく、とにかく大量に集めることに専念した。(もちろん、針葉樹や建築端材にまで手を出すと何十トン単位の量に達して置き場所の確保が難しいのでとりあえず広葉樹に限定したのだが)あらためて薪ストーブ日記を読み返してみると、この一年間で薪に関することに費やした時間は薪割りを除いてのべ10日間。薪の総量は概算で22tを集めた(うち3tは購入)ことになる。薪の消費量は約6tなので一年間で毎月一回の薪集めすれば一年分の薪を確保できる計算になる。つまり、樹種を広葉樹に限っても今後の薪の確保は万全だと言えるし、もし万が一供給が断たれてチップ工場で全量購入したとしても、年間6万円の出費で確保が可能。(薪ストーブの素晴らしさを考えれば、薪を全て購入してでも安い気がする。)もちろん、薪割りについても初年度だからということを差し引いても趣味と言えるほどに楽しい作業だった。一日一時間程度の薪割りは下手なジムに通うより身体に良いし、達成感があっていつまで続けても飽きない。この達成感こそが薪ストーブの魅力の一つなのかも知れない。ただし薪割りの楽しさはやはり魔法の斧「マジックアックス」との出会いがあったことに尽きる。MAOCJ=マジックアックス・オ−ナ−ズ・クラブ・ジャパンなんてのがあったら今すぐにでも入会したいほど(笑)
シーズン終了時(5/5)の在庫(山の在庫5tを除く)
<薪の消費量>
薪ストーブ日記を元に概算で月別使用量を下記のようにまとめてみた。10月に使用した薪は全て重量を計測してあったのでそれを基本に計算したのだが、概算ではあるがかなり正確な数字になっていると思う。この数字はあくまで当地における今年のデータなので気温が異なる他の地方では全く参考にならないし、またストーブの大きさ、暖房面積や断熱性能の違いによってかなりの差が出ると思われる。
月
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薪の消費量(kg)
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燃焼日数(日)
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一日当たりの平均消費量(kg)
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10月
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260
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11
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23.6
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11月
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410
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17
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24.2
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12月
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720
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23
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31.3
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1月
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1055
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27
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39.1
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2月
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1281
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28
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45.8
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3月
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1079
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24
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44.9
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4月
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505
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18
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28.0
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5月
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18
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2
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9.0
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合計
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5328
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150
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35.52
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*上記以外に着火のための焚きつけ 平均5kg×150日=750kgが必要。
<暖房性能>
全く未知数だったのが、暖房性能だ。カタログにある8800kcalという数字は一般的な石油ファンヒーターの3台分ということで大体の予想はついたのだが、家自体が薪ストーブ導入と同時に新築、しかもログハウスという特殊な建築法ということもあって、比較対象に乏しく焚き始めるまではどうなることか非常に不安だった。
ところが実際に焚き始めると、その性能の高さは驚異でさえあった。実際、今シーズンの灯油購入はゼロ、エアコン使用もなしで我が家の暖房の全てを薪ストーブが担う結果になった。具体的に言えば、トイレや脱衣所も含めた家中どの部屋においても空気を汚すことなく、まんべんなく常に20℃以上を維持できた。また心配の一つであった1階と2階の温度差は、垂直に伸びた煙突が2階を貫通しているため2階においても充分な暖房性能を発揮。また吹き抜けがない我が家の構造が幸いして1階を暖めた暖気が2階に上昇して2階のみが暑くなるといった弊害もほとんど問題にならなかった。加えてこれは事前に予想できなかった効果なのだが、薪ストーブを導入する前は各部屋を個別に暖房するため部屋のドアを閉じることが多かったが、一台の暖房器具で家中を暖めることにより各部屋のドアが常に開け放たれて(ただしログハウスがバリアフリ−を意識した造りになっていて段差や敷居が全くなく、また床や壁が全て同素材のため家全体がひとつの大きな部屋のような感じだということに拠るのかもしれないが。)家族が自室に引き蘢ることが全くなくなって会話が増えたのは確かだ。
<安全性>
導入前に最も心配していたのがこの安全性である。我が家には2人の子供がいて7歳と5歳ということで乳児のような危険性はないのだが、それでも部屋で暴れていて誤ってストーブに触れて火傷をしないか非常に心配をしていた。我が家のダッチウエストFA225は複合式ストーブで側面と天板以外は全て2重構造になっていて、ちょっと触れたぐらいでは火傷の危険は少ない。結果から言えば、火傷をしたのは言葉の通じない猫がヒゲを焦がしたのみ(笑)。我が家は自宅ということで常に火を入れていたためFA225の大きなガラス窓の炎が揺らめき、視覚的に熱いことを否応無しに実感できたからか、子供達が薪ストーブの近くで暴れることはなかった。
また、もうひとつの安全性の不安、それは火災への不安だった。田舎育ちで家の中で火を焚くことへの抵抗感は小さかったが、それでも田舎の家は我が家に比べて絶対的に広く、また囲炉裏や土間にある竈、そしてこたつの横に置かれた火鉢などはずっと昔から使われてきた信頼性がある。ところが薪ストーブは全く経験のない新しい道具だけに不安は大きかったのだ。
しかしワンシーズン通して使ってみて、その安全性に対しかなり高いレベルで信頼を置けるようになった。薪ストーブはその外観から「ローテクの鉄の塊」という印象を持ちがちだが、その実、非常に単純な造りながらハイテク部品を満載した石油ファンヒーター以上に現代的な暖房器具である。また電気部品を使用していないだけに「ブラックボックス」的な部分は皆無で重大な事故につながる故障は起きにくい構造になっている。しかも最も事故が多いと思われる煙突部分においても日頃のメンテナンスさえ怠らなければ煙道火災も起こしようがない。(煙突の主なメンテナンスである煙突掃除は、コンバスタ付で状態の良い薪を燃焼しているならば一時間もあれば簡単にできるし、また薪ストーブ本体の分解に至っては15分程度の時間しか必要無いのだ!)そのため燃焼のコツさえつかめば、外出時や就寝時も火を落とす必要もなく起床時や帰宅時の冷え込みとは無縁でいられるというわけだ。「薪ストーブにクラックが入らない限り火事にはならないな。」今ではこう思っている。
<その他>
もうひとつの心配事、それは排煙による近所への迷惑がないか、どうかだった。住宅がかなり立て込んだ住宅地内にある我が家のような場所で薪ストーブを使用することはあまり例がない。その上、ストーブの設置場所の関係で煙突の先端から冬の季節風の風下にある隣家までの距離は4m。もし排煙があまりにひどい場合は薪ストーブの使用を控えなくてはならないとの覚悟があった。
ところが実際に焚き始めると白煙が出るのは着火時のみ、通常の燃焼では無色透明の排煙というより排気といった感じであった。実際、隣家の方もうちの薪ストーブは滅多に焚かれてないと思っていたらしく、毎日24時間焚いていると言う話を聞いて驚かれたという逸話も(笑)。また豪雨や強風といった悪天候時においても排煙の逆流や水漏れなども全くなく、全長は短いものの屈曲のないストレートな形状の煙突はその効果を大いに発揮した。
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