WWW.PAPAPADDLER.COM


FLAME LAYOUT

 

 

 

 

 

 

 

April.2006 part.1

 

 

 

 

  

 


鏡池の立枯れトウヒと戸隠山(*手前が「ムク」)

4月3-5日 戸隠スノーシュートレック(長野・戸隠森林植物園)

正直なところ、もしかして一生戸隠に行けないのではないかという不安もあった。
去年の初夏、“戸隠&白馬大雪渓ダブルトレッキング”で知った戸隠の素晴らしい自然。たまたま入ったイタリアンレストラン「小鳥の森」でオーナーのHatakichiさんと親しく話す機会を得て、戸隠が我が国第一級のスノーシューフィールドであることを知った時のヨロコビ...ロープウェイ廃止によって比良山という手頃なフィールドを失い、新たなスノーフィルドを探していた僕らには何ものにも変えがたいものであった。


姨捨SAからの夜景

その時以来再訪を夢見てた僕らだけど“戸隠の壁”は想像以上に高く、戸隠に行こうとするたびに天候悪化や伯父の死など予想外の出来事が次々と起きて何度もキャンセルを余儀なくされたのだ。
『一生ってのは大袈裟かもしれないけど、今シーズンはもう行けないよね。』そんな話をしながら迎えた4月。運良く家族みんなのスケジュールが空いて、三度目の正直ならぬ4度目の正直で戸隠に向け出発だ。

ダッちゃんの積荷は先週のままなので大した準備は必要なく、19:00にスタート。父と伯父の死を伝える電話が掛かってきた伊勢関JCでは少し緊張したけど、何事もなく通過できてホッ!iPodで先日ともちゃんが買ってきた“ゴダイゴ”の懐かしい音楽を聴いて僕らの中学時代の音楽環境など話しながら名神〜中央道〜長野道と続くスムーズなハイウェイドライブを続ける。

去年は長野ICから長野市内〜ループライン経由で戸隠入りしたけど、今日は上信越道・信濃町ICから黒姫高原経由。途中姨捨SAからの夜景を楽しんだ後、信濃町ICを下りてすぐの場所にある道の駅・信濃町を今夜のP泊地に決めて、ほとんど誰もいない駐車スペースにダッちゃんを停める。気温はプラス0.5度路面はドライだけど、道の駅の周囲は高さ2〜3mの雪の壁がそびえていて雪国に来たんだなぁって実感する。

ダッちゃんのベッドを展開し、FFヒーターをONにすると、そこはミニマムな別荘。20℃前後にエアーコンディションドされた快適な室内で、既に寝息を立ててる家族の寝顔を眺めつつエンゲル冷蔵庫でキンキンに冷やしたSAPPORO「畑が見えるビール」を飲みながらの夜更かし...ダッちゃん旅で一番の幸せな時間である。


道の駅・信濃町にてP泊



道の駅・信濃町から黒姫山と妙高山の眺めが素晴らしい

目が覚めるとフロントスクリーンが明るい。サイドとリアの窓は全て断熱用の内張りで閉ざされていて外の光は入らないので、フロント側でだけ夜明けを知ることが出来るのだ。ベッドサイドの内張りを外すと、僕の目の前に広がるのは黒姫山と妙高山の大パノラマ!思わず息を飲む美しさだ。


黒姫高原をゆく

ダッちゃんのエンジンに火を入れ窓の曇りをデフロストしてる間に暖房の良く効いた道の駅の洗面スペースで身支度を整え、戸隠に向け出発。
黒姫高原を進み標高が増すにつれて道路脇の雪の壁が徐々に高くなり、雪国に向かっていることを実感する。基本的に路面はドライだけど道路を横断する雪解け水の流れが今朝の冷え込みで再氷結した縞模様を渡る度、ダッちゃんのスタッドレスを履いた後輪がジュシュッ!という音を立てて空転する。
道の駅から30分ほどで戸隠奥社前に到着。
緑に埋め尽くされた夏とは全く違う光景に別の場所じゃないかと感じるほどの白一色の世界だ。公衆トイレ前の駐車スペースにダッちゃんを停め、車内でスノーウェアに着替え、ジェットバッグからスノーシューとザックを取り出してスノーシュートレッキングの準備に取り掛かる。

先週ほとんどの装備をザックに詰め込んであるので、ものの10分で準備完了。先週あたりから自然植物園内にも熊やサルが出没してるという情報も耳に入ってきてるので、熊避けベルやラジオ、そして最後の手段であるマスタードスプレーをいつでも手の届くサイドポケットに準備する。もちろん道具だけではなく、不幸にも熊に遭遇した場合の対処法を家族で再確認。
『熊に出会ったら大声を上げたり“急”のつく行為をしないこと。』
『逃げるものを追う習性があるから絶対に背中を向けて逃げないこと。』
『100m7秒台の俊足だし、木登りも上手だから逃げ切れないこと。』など、僕も昨日付け焼刃で勉強した内容を家族に伝える。(ま、我が家は誰も熊に遭遇した経験がないわけで、出会っちゃったら最後!もうお手上げなんだろうな。)


まずはクマ避けスプレーを準備

ただサルに関しては、サルが体育の授業を見学してることが多いAzuにお任せ。ポケットに小石をいくつか忍ばせていつでも投げつけられるよう臨戦態勢な彼女である(笑)。


奥社の鳥居からスタート

夏とは全く違う光景に戸惑う

9:00奥社の鳥居をスタート。去年の夏とはまるで別の場所のような佇まいを見せる一直線の参道をのんびりと進む。積雪は150cmほどだろうか?数日前に新雪が積もったとのことだけど雪はかなり重めで、参道に限ればツボ足でも問題なく歩ける固さ。でもまだ雪崩の恐れがあって奥社への立入りが禁止されてる今の時期は参拝客の姿は見えず、クロカンスキーでバスカングするオジサンとすれ違った他はひと気は全くない。


随神門に到着

 

野鳥のさえずりに耳を澄ませ、木の枝に留まる野鳥の姿を観察しながら30分ほど進むと参道両脇に立ち並ぶ杉の巨木が現われ、間もなく古びた重厚な建築物が見えてくる。随神門である。茅葺の屋根はいまだ雪を被り、軒先にはつららが無数に垂れ下がっている。先日の黄砂のせいだろうか?つららが黄色っぽいのが印象的だ。
この先は進入禁止となっているので、随神門の向こう側に立ち並ぶ杉並木で記念写真を撮った後、随神門から左へと伸びる森林植物園のクロスカントリーコースへと進む。


なんと!これは杉の樹皮

野鳥の声に耳を澄ます


杉の巨木の並木道をゆく

森林植物園に入ってすぐ、一回目の休憩。ザックを下ろし雪面に座った僕らは、雪玉製造器“パンダマン”を使って雪合戦を楽しむ子供たちを眺めながらのんびり過ごす。Azuに雪玉が命中して少しメソメソしそうになったところで雪合戦を止め、(ブナを器用に登れたのを褒めると、スグに御機嫌が戻ったけど)Azuを促して鏡池を目指して再スタートする。


実は生まれて初めての雪合戦

Masaもついついホンキモード

地形図を見る限りほとんど高低差がない平原。ブナの疎林の間から常に右手に戸隠山の男性的な山容が覗いていて、迷いようがないけれど、一応新兵器を使わないと!ってことで(笑)腰に提げたGARMIN GPSmap60CS-Jを確認しつつ進む。風もなくただひたすら静かな平原に響くのは鳥のさえずり 。そして、『トゥルルルル....』啄木鳥(アカゲラ)が木をつつくタップ音が遠くの森からまるでこだまのように聞こえてくるのみだ。


奥社の参道を外れ植物園へ。
木登りが得意なAzuは枝のベンチでご満悦

上;冬の光景、春の日射し
下;GPSを使って鏡池に向かう

何の前触れもなく、僕らの前を赤い線が横切る。『あっ、アカゲラ!』動態視力たぶん三重県一(笑)のMamaが叫ぶ。『ほら、あそこ、あの枝よ!』Mamaの指差す方向に目を凝らすと、ブナの幹に留まったアカゲラが見える。『もう一羽も見える?きっと夫婦よ!』Mamaが♂だと言い張るアカゲラが僕らの注意を引きつけるようにチョコマカ動き回り、もう一羽は枝の陰でじっと動かない。もしかしたらMamaの推察は正しいかもしれないな、そう感じながらゆっくりとアカゲラの留まってるブナに近づくと、彼らは僕らと一定の距離を保って、森の奥へと少しづつ移動してゆく。
『見たかったのよぉ〜、“生”アカゲラ!もうこれで今日戸隠にやってきた目的は果たしたってな感じだわ。』Mamaは満面の笑みを浮かべて飛び跳ねるように雪原を進む(笑)。


花束のような小枝を見つけてご満悦のMama

ブナ林の影が美しい

笑みを浮かべてるのはMamaだけではなく、随神門までは今一つノリが悪かったAzuも雪面に散らばる木の実や枯葉を拾い集めて超ゴキゲン。『家に帰ってからこれでリースを作るの!これってリースの材料を売ってるお店で買うと高いのよっ!』僕らの住む地方の森にはない変わったものが多くて、まるで宝探しのようで楽しいみたいだ。

こんな風に家族みんながそれぞれの楽しみ方を探しながら、実に快適な森を進む。GPSの「転換点距離」(目的地までの距離)はあっという間に1000mを切り歩みを進める度にその値が小さくなっていく。『あとどれぐらい?』Azuにこう訊ねられて『う〜ん、もうちょっと...かもな。』なんて会話はもう卒業。『あと827m。2時の方向に進めば14分28秒で到着だ。』なんて超具体的な答えにパパへの信頼感もアップなのである。


半分雪に埋もれた鳥居

休憩!

立派なブナの大木が立ち並ぶ疎林を14分32秒ほど歩くと(笑)天命稲荷の赤い鳥居が見えてくる。
これまで具体的な積雪が何cmかなんて意識しなかったけど、この低い鳥居でリンボーダンスをすると(笑)今なお驚くほどの積雪があることがよ〜く理解できる。4月にしてこの積雪量...次に戸隠を訪れる一ヶ月半後のミズバショウのシーズンまでに、果たしてこの雪が消えるのか?信じられない思いだ。

お稲荷さんを後にして数分歩くと、右手に全く木が生えていない真っ平な雪原が姿を現す。鏡池である。去年の6月、満々と水をたたえていたあの美しい湖が一面氷結しているとは俄に信じられないけれど、ここは紛れもない鏡池。僕らは戸隠山の眺望が素晴しい湖畔の雪原まで進み、ここでザックを下ろしてランチの準備を始めることにする。


鏡池に到着!(背景は戸隠山) CLICKで大きな画像が開きます

 

まずはスノーシューを履いたまま全員でタップダンス。こうして雪面を踏み固めた後、スノーシューを外してザックに固定したスノーショベルを取り外して、スノーブロックを切り出す要領で長方形に溝を掘る。次に溝の外側を20cmほど掘り下げて...雪の掘りごたつテーブルの完成である。コツはとにかくきっちりと真四角に掘ること。適当に掘っても実は使用上の問題はないけど、カタチがいい加減だとどうしても扱いも適当になり、縁が崩れて鍋をひっくり返したりしやすい。カッチリ真四角に掘れば、みんなテーブルを壊さずに大切に使ってくれるんです、やっぱり(笑)。風がある場合は切り出したスノーブロックを積み上げて防風壁を築くのも良いけど、今日はパーフェクトに無風なのでその必要はなし。


雪原にテーブルを掘ってひと休み

今日のランチはフリーズドライのガーリックリゾット

『餅入り雑炊とガーリックリゾットときのこリゾット...あ、それにドライカレーとキノコカレーに五目おこわもあるぞ、どれにする?』日帰りだけど、日帰りじゃなくなる可能性...つまり遭難に備えて全部で30食以上も持ち込んだフリーズドライフードの中からガーリックリゾットを選び(その場で選べる野遊び食って秘かにすっごいゼイタクじゃないかと思う。但し、賞味期限切れ寸前だけど...涙)バックパッカーズテーブルの上にセッティングしたMSRに水とLAGERのフリーズドライを放り込んだ大鍋を架けて3分でランチの出来上がり!


絶景をバックに快適なランチタイム

 

普段なら決して美味しいと言える類いの食べ物ではないけど、雪面を歩き回ってお腹を空かせ、しかもこの絶景を眺めながらだと美味しいと感じるもの。結局5食分を料理しても足りず、さらに餅入り雑炊を3袋作ることになったほどだった。
(山の悪天候は長くて3日だと言われる...つまりこの時期の山は最悪でもこの3日間を何とか耐えれば、助かる可能性もあるということで、我が家では3食×4人×3日=36食という計算で、スノーフィールドにフリーズドライを20食以上とチョコバーやビスケットをいくらか持ち込むことに決めている。水は周囲に使い切れないほどあるわけで、当然ながらMSR大ボトル2本の燃料、スペアのガスバーナー、ツェルト、ヘッドランプ、エマージェンシーブランケット4枚、そしてUnoにトランプ(笑)も必携である。雪に馴染みのない三重県人、しかもスノーシュー経験がたった5年しかないシロウトはせめて物量作戦で勝負!するしかないのだ。)


な、なんだぁ!雪原を駆け回る白い犬

食べ物をねだるわけでもないのにヤケに人懐っこい

フリーズドライを8食分食べて満足した後は、昨日Mamaが100円ショップで手に入れてきた4杯ぶん100円のドリップ式コーヒーを煎れる。フィルターの切取りのためのミシン目がかなり粗雑なだけで、味は悪くない。こんな風にスノーフィールドでの一家団欒を楽しんでいると、突如僕らのそばを真っ白な犬が猛スピードで駆け抜けてゆく。な、なんなんだぁ!意味もなく雪原を駆け巡った後、犬は僕らのテーブルに近づいてきて、一番優しそうなAzuの脇でお座り。


首輪のネームタグから「ムク」であることが判明

氷結した鏡池の上を歩く

ちょうどマドレーヌを食べてた時だったけど、特に食べ物をねだるわけでもなく、ただそばにいるだけ...おかしな犬である。首輪には熊避けの鈴とアルミのネームタグ。Masaがタグを手に取ると飼い主の名前と携帯番号、そしてこの犬の名前「ムク」と刻印されているらしい。
『そうかぁ、おまえはムクなのかぁ。おい、ムク、お座り!』ムクがお座り...聞き分けが良い。しかも黒目がちの優しそうな可愛い目、僕らを怖がらずに身体を擦り寄せてくる人懐っこい性格、僕らはいっぺんにムクが好きになってしまったのだった。


鏡池全景 CLICK

ムクと戯れる子供達を眺めつつ幸せなランチタイムを過ごした後、僕らは一面の雪原となっている鏡池の湖面に下りて、その上を歩いて渡ってみることにする。雪原には既にクロスカントリースキーのシュプールやTSLスノーシューの足跡が残されていて、なるべくそれらに沿って進む。僕らの前には青い空をバックにした戸隠連峰の険しい山並と真っ白な雪原があるのみ...非常にシンプルで美しい光景が広がっている。こんな素晴らしい風景を独占してスノーシューイング出来る幸せを噛みしめながら、僕らは湖面の中央にあるトウヒの立枯れを経由して対岸まで進みUターン。常にムクが僕らを先導してくれてとても安心である。


ムクが着かず離れず僕らに寄り添う

木の芽はホントに春の香りがする

湖散歩を終えた僕らはそのままみどりケ池へと向かう。ムクが付かず離れずの距離を保ちながら僕らを先導する。ムクは僕らの行き先を知らないはずなのに、GPSで確認すると彼は間違いなくみどりケ池へと向かっている。しかも僕らが立ち止まって“一本入れる”と、ムクは振り返り僕らの元へと戻ってくる。まるで、というか間違いなく彼は僕らのガイドをしてくれている!!
みどりケ池への道のりは直線が最短距離だけど、GPSのTOPO-10地形図によれば林道沿いは傾斜が大きく歩きづらいので森林植物園内の平坦な部分を大きく迂回する方が安全で早いようだ。


蔓のベンチでひと休み

ムクは僕らをガイドしてくれているようだ

僕らの20mほど先を歩くムクはその迂回コースを進み、また危険な雪庇や強度に乏しいスノーブリッジはちゃんと避けて僕らを誘導する...実に優秀なガイドなのである。間もなく僕らは万里の長城のように堤防状に盛り上がった尾根に突き当たる。最初は何なのか理解出来なかったけれど、地形図で確認すると、それは自然園を周遊する木道であることがわかる。『サンキュー、ムク!』声を掛けようとすると、もう彼の姿はそこにない。僕らをトレッキングルートに送り届けた後、彼は僕らの元を去って行ったのだった。『Chichoを飼い始めてから、犬はもう要らない!なんて言ってたけど、やっぱり犬は良いよなぁ...。』僕らはムクに犬の魅力を再認識させられた。(但し、ペットの放飼いは戸隠の貴重な生態系を壊す要因にもなりかねないという側面もあって賛否の分かれるところではあると思うけど。)


こういった雪庇も多く、注意が必要

ムクが姿を消した直後、みどりケ池に到着

“木道の長城”をしばらく進むと、クロカンコースを示す青い標識を発見する。どうやらコースは丘を越えて伸びているようだ。その構造からヒルクライムに強いMSRスノーシューの特性を生かして僕らは丘を直登し渓流らしき谷間をゆっくりと下ってみどりケ池に到着する。ここからは綺麗に除雪された木道で奥社入口へ戻るだけの平凡な散策路で、もはやスノーシューを履く必然性はない。僕らのスノーシューイングはこれにて終了。奥社大鳥居前にあるその名も“奥社前食堂”に入って温かいおしるこを食べて疲れを癒す。


ムクの足跡を見つけて何故か嬉しい僕ら

奥社前にゴール。スノーシューを外してダッちゃんへ

食堂で飲み放題の唐辛子茶で身体を暖めつつGPSのデータを見ると、丸一日歩き回った感じがするけど、実際は立ち止まって雪合戦したり野鳥を観察したりしてたので、総歩行距離はたったの5.86km。バカバカしいほどに短い距離にびっくり!トレッキングと呼ぶにはあまりに短距離な“なんちゃってお散歩”だったのである。

ダッちゃんに戻ってとりあえずFFヒーターをONにした車内で着替えを済ませ、これからどうするか家族会議。本当はここで泊まって、明日「小鳥の森」の開店を待ってパスタを食べたい気持ちもあったけれど、Azuは「志村どうぶつえん」というTV番組に登場したカンガルーの“ハッチ”がいる須坂市立動物園にどうしても行きたいようだし、Mamaは秋に訪れた武石村の福寿草群生地がちょうど見頃になってるのが気になってしょうがないみたいなので、戸隠神社中社の奥にある「神告げ温泉」でひと風呂浴びて、戸隠を後にする。
ちょうど夕食時ってことで、あまりお店がない信濃町経由ではなく、レストランが点在するループライン〜長野市内経由で動物園の最寄り道の駅・小布施を目指すけど、沿道にあるのは三重県にもある全国チェーンのお店ばかりで少しがっかりだ。


この店構えを見たら誰だって入るでしょ?(笑)

須坂市の「とら食堂」。最高の料理と温かいもてなし

『こんなことなら信濃町経由で戻った方が良かったんちゃうのん?』
『そんなこと言ったってワタシも知らないんだからしょうがないでしょ!』
ダッちゃんの車内で夫婦喧嘩が始まりそうなヤバい雰囲気が漂い始めた時、そのお店が暗闇の中に突如現れた!『と・ら・食・堂...って書いてあるわね。』『なんか良さげだなぁ。』『どうする?ちょっと怖いけど...』『直感を信じよう!(笑)』
結果は...リーズナブルな値段と美味しい料理、そしてアットホームで温かいもてなし僕らの直感は大当たり!で大満足。幸せ感に包まれた僕らは道の駅に入り、ベッドを展開。ベッドでゴロゴロしつつ途中で買ったハーゲンダッツを食べながら“ダッちゃんシアター”で映画『チャーリーとチョコレート工場』を観る。狭い茶の間で家族が一緒に過ごすとても幸せな夜なのだ。

 

Special Thanks to

 

駐車場スタート9:00……9:36随神門10:12………10:50天命稲荷10:54……11:12鏡池
鏡池13:31……14:33みどりケ池14:52……15:06奥社前食堂15:43……15:50駐車場
 

 




浄光寺

早くも水芭蕉が咲いている

ダッちゃんシアターで映画を観ながら居眠りしたおかげで(子供たちにとっては面白い映画だったみたいだけど、大人は...笑)、夜明けとともに目が覚める。天気予報通り、雨の朝である。Azuご希望の須坂市立動物園は9:00開園ってことで、それまで少し時間があるので、昨夜コンビニで買い求めたローカルなガイドブックをめくって近隣の“雨だからこそ良さげ”な観光スポットを探す。


この雰囲気は雨ならでは。
来て良かった!

上:苔むした参道をゆく
下:国重文・薬師堂

Masaの『なんだか雰囲気ありそうじゃない?』のひと言で決まった行き先は、市内随一の古刹・浄光寺。ガイドブックの写真を見て雨が似合うだろうなって直感した通り、朝一番の浄光寺は苔と乱積みの石段がとても良い雰囲気。暗い色調の階段に早くも咲くミズバショウが印象的だ。石段を上がって重文の薬師堂に参拝した後、ウォータータンクに名水を少しだけいただいて次はいよいよカンガルーの“ハッチ”がいる須坂市立動物園。



某TVで有名になったカンガルーの“ハッチ”

はいポーズ!

去年から長野三昧の我が家。特に北信を訪れる度にAzuが“会いたい!”コールの嵐だったけど、なかなか行く機会がなくて...ようやく対面が実現した次第。雨の平日、そして開園直後ってことで、動物園の入園者は僕ら4人だけ。ハッチも暇を持て余してた様子で、僕らに愛想を振りまいてくれてAzuも大喜びだ。


武石村福寿草群生地

次に昨秋のりんご狩りキャラバンで発見したとっておきの場所...春になったら絶対行こう!と決めていた武石村の福寿草群生地だ。広い駐車場にダッちゃんを停め、レインウェアに身を包んでとても良く整備された木道を周回する。今日は雨模様なので福寿草の花弁は閉じてしまってるだろうなぁって、あまり期待せずに行ったんだけども、行ってみると一部の花が恥ずかしそうに開いてて“可憐”という言葉がぴったり。この福寿草って花は満開だとそんなに可愛くないわけで、かえってこの半開きが結構いい感じなのだ。もちろんここも僕らの貸切状態で、雨に濡れる可憐な花を静かに堪能することができた。


やっと辿り着いた武石村

群生地は立派な木道が整備されている

今日一番の美人

雨でも良い感じ


鹿教湯温泉・文殊堂

福寿草を楽しんだ後は武石村から松本へ抜ける途中にある鹿教湯温泉へ。無料の町営駐車場にクルマを停め、“お風呂セット”のトートバッグを手に、室生寺の門前にとてもよく似た鄙びたイイ感じの温泉街を散歩、町営の文殊の湯へと向かう。温泉を楽しむ前にまずは雨に煙る古刹・文殊堂をプチトレッキング。


屋根付きの橋はマディソン郡の橋みたい?(笑)

苔むした茅葺き屋根が良い雰囲気

山深い渓谷に架かる屋根付きの橋を幾つか渡っての散策はとても気持ち良く、また苔むした茅葺き屋根のお堂はとってもジャパネスクな雰囲気を漂わせ、実に味わい深い場所であった。ほぼ貸切りの文殊の湯で雨で冷えた身体をあたためた僕らは、三才山トンネルを抜けて松本へ、松本市内で松本城を見た後、松本ICから中央道へ入った僕らを待っていたのは、中央道の沿道に続く桜!桜前線に逆行するカタチで南下すると、松本では蕾だった桜が高速を進むにつれて少しづつほころび、満開になっていく...その様子は、まるで早回しフィルムを見ているかのようで、実に感動的なのだった。

冬の終わりの長野から春真っ盛りの紀伊半島へ...たった4時間のドライブは季節のタイムトリップでもあったのだ。


戸隠で拾った素材で作ったリース『森からのプレゼント』by AzuCLICK

 

April.2006 MENU

 

 

アンケートにお答えください!

 

_  _  _

 

Copyright 1998-2006 Akihikom.All right reserved

paddler@mac.com