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FLAME LAYOUT

 

CHAPTER 2 薪割りの愉しみ

 

SUMMER,1999

 

6月6日 怒淘の薪拾い、始まる! 森に入って森林浴がてら薪拾い...じゃ済まない「生活のための」薪拾い。いくら小さなストーブだとはいっても膨大な量の薪が必要なのだ。5/24.25にも書いたように森林組合のNさんが自ら場所を案内して頂けるということなので、友人U(山生まれ、山育ち。ログビルダーに弟子入りしたり炭を焼いたりとその道の「セミ」プロ)に助っ人を頼んでユニック付き2tトラック&2tダンプに分乗して3人で出発!林道を自宅から45分ほど走って現場に到着。おおっ!確かに薪の山だ!
チェーンソー(以下=CS)でログを刻んでたUはともかく僕はCS初心者(電気式しか使ったことがない)。Nさんに使い方からメンテナンスまでをレクチャーしてもらう。メンテは実際に使いながら教えてもらえるのですぐに飲み込めたけど、使い方はやはり慣れるしかなさそう。

伐採済み広葉樹の山
チェーンソーのプロ、Nさん
「CS講座」のあとは早速実技(笑)直径1mは大袈裟にしても70cm超の丸太がゴロゴロ。ここにあるのは全て組合が依頼を受けて伐採したものばかりなので僕らが有効利用しないと産業廃棄物として燃やされる運命にある丸太たちなのだ。ゴミとして焼却されるか、家族の心と体を暖めながら愛でるように燃やされるか、同じ燃え尽きるにしても大きな違いなんじゃないかな。なんて木の気持ちになったりして...。
しかしこれを玉切りしてトラックに積込むのはそんな感傷的な気持ちでいられるほど甘くはない。クレーンオペレータの資格を持つ僕が枝に埋もれてる丸太をユニックでゴリゴリズリズリ引っぱり出して、それをNさんが玉切り。人間の腰ぐらいまでの太さのものはUが次々に薪ストーブのサイズである45cm以下に切り揃えてゆく。プロとセミプロの2人の活躍で昼食をはさんで約3時間で2台の2tトラック満載の薪を積込むことができた。

直径70cm超の薪!
Nさんの土地に置かせてもらう
気持ちの良い汗を流した後は沢水を直接ゴクゴクと飲んでひと休み。自宅にはまだ薪小屋が出来てないし、これだけの量を保管する場所もないので、とりあえず自宅から15分ほどのところにあるNさんの山小屋予定地に置かせてもらうことにした。ここなら「仕事が終わってからちょっと薪割り」が可能な距離で有難いのだ。それにしてもNさんの土地は元は桑畑だった平坦地500坪、占有可能な1000坪の雑木林に囲まれた素晴らしい場所だ。こんな所にログハウスを建てられたら毎日がキャンプのようだろうなぁ、なんて憧れてしまった。(僕の会社まで20分以内だし)薪はNさんが知人から引き取ったという少女のブロンズ像(!)の前に山積みしてあるのでこれから暇さえあればここに通うことになりそうだ。
「これだけじゃ、2ヶ月分あるかないかだなぁ...」Nさんのそんな呟きに恐れおののきながらも、何となくわくわくした気持ちになるのは何故だろう。自分の腕一本で家族を暖めなきゃならない!という責任感と俺が家族を守ってるんだ!っていうえも言われぬ喜びなのかなぁ、なんてお父さんらしいこと考えたりして...。

 


 

6月13日 家族で薪拾い 今日は家族でお弁当と水筒を持参して薪拾いに行く。場所は先日も行った標高500mぐらいの山の中にある森林組合の集積場。2tトラックに4人乗り(定員オーバーだけど)して家から40分ほどで到着し、早速子供達に注意事項を伝える。

その1 チェーンソーのエンジンがかかっている時はパパに声をかけないこと
その2 斧を使ってる時はパパに近付かないこと
その3 薪に触る時は手袋をすること
その4 つまづいて枝がささったりしてはいけないので走らないこと
その5 川の水は飲まないでわき水を飲むこと

先週、直径50〜70cmのものはかなり運び出したし、今日は子連れということで20cm程度のものを中心にチェーンソーで玉切り。僕がチェーンソーで長さ40cm程度に切ったものをMamaがトラックに積込む。MaakkunとAzuは10cm以下のあまり役に立たない枝ばかり運んでたけど、せっかくやる気になってることだしとやかく言わないことにする(笑)2時間ほどで2tトラックに軽く一杯集まったので、家に帰ることに。
今日はNさんの土地に置かせてもらわず、自宅のガレージの隅に檜の4寸角材を並べてその上に積み上げた。写真手前がPapaが集めた20cm級。奥が子供達の5cm級(笑)なのです。


普段着でレジャー気分

男手ひとりだとこの程度

積み上げたらこんな程度(涙)

 


 

6月16日 薪割りは続く 毎日暇さえあればガレージで薪割り。太いままだとたいして多く見えない薪も割ったら倍増した感じがするので割り甲斐があるってもの。幅5mの薪置き場に積み上げた薪も2m近い高さになった(嬉しい!!)ご覧のとおりここにあるだけでも、まだまだ割らなくちゃいけない太さのものが大半だし、Nさんの土地にはこの何倍もの薪があるし、森の中の集積場にはそのまた何倍も...最終的には幅10m以上の薪小屋を作んなきゃ納まんないな。思わずニンマリ(笑)

 


 

6月17日 薪ストーブの設置 昼すぎには監督さんがやってきて薪ストーブ・ダッチウェスト/スモ−ル・コンベクション・ヒーターFA225の設置。小さく見えて実際は172kgもあるので大変そうだ。煙突の取り付け・調整が終わるとガランとしたリビングだけに、そのマットブラック&ブラスの四角い鋳鉄の箱はひときわ存在感がある。我が家の冬をただ暖かくしてくれるだけでなく、家の象徴でもある薪ストーブ。子供達にとっては「冬」と聞いてまっ先に思い浮かべる「季語」のような、そんな存在になるんだろうな...。

 


 

6月20日 マジックアックスを買った! 今日は家族全員でお買い物。まずは薪ストーブのお店へ。僕の目がギラギラ輝く(笑)。とりあえず今必要な大型かつ厚みのある斧選び。手持ちの斧は切れ味抜群ながら刃の厚みが薄いので太い薪には刺さり込んで抜けなくなってしまう。そこで選んだ「マジックアックス」。重量、驚異の5.5kg、まるでおむすびのような断面の刃の厚みは10cm近い!これを振り回すのはかなりの腕力が必要だけど、一度降り下ろせば40cm超の薪がまっ二つ!試し割りをさせてもらったんだけど、あんまりパッコーン!と簡単に割れるので「試し」であることを忘れて次々に薪割りに励んでしまった。\13000也。

あとはファイア−ツール4点セット(¥12500)も買ったけど、これは「冬前に買えば良かったのに!」とMamaに怒られてしまった。あとは灰取りバケツの勧められたけど輸入品の純正品とはいえ、ただのブリキのバケツに¥12800も出せないよなあ...。
午後からは大型ショッピングセンターへ。安売りコーナーブリキの蓋付き銀バケツ(OBAKETSUと書いてあった...笑 ¥2800)を買い込んで帰宅。僕は早速、クルマのマフラー修理用の耐熱シール剤でつなぎ目をシールしたあと、耐熱ペイントで黒と真鍮色に塗装して灰取りバケツの一丁あがり!フッフッフ、¥12800のよりカッコイイわい、と自己満足(笑)

 


 

 

薪小屋完成!これで2tトラック一杯の薪

8月16日 薪小屋#1を作った! 先日山からトラックに一杯の薪を運んで来たのだが、既存の薪置き場は高さ2mにもなってこれ以上積むのは危険。そこで新たに薪小屋を作ることに決めて早速作業に取りかかった。今回はログハウスの敷地内、ガレージの脇に設けるということでログハウスとデザインや色調をコ−ディネイトしたい。そこでまたまたログハウスの余剰材のSPF材を使用した。幅4400mm、高さ1200mm。本体はガードラック白木色、屋根はダークグリーンとログハウスと同じ色に塗装して完成!薪はまだ玉切りしただけの状態で細かく割ると容積が増えるので早くガレージに屋根をかけて薪置き場を増設しなければ...。

 


 

8月18日 マジックアックスの威力を見よ! 薪小屋が完成すると、またまた薪割りしたくなっちゃうのです(笑)義務だと考えると辛いけど、僕にとっては薪割りはレジャー。傍らに置いたビールを飲みながら汗だくになって全身運動する爽快感ったら他では絶対味わえない。その上「パァ〜ン!」という快音を残し、薪がまっぷたつに割れて数メートルもぶっ飛んでいくのを見てるとストレスなんてどこかへ行っちゃう(あんまりストレスないんじゃないのってな声も...笑)特にマジックアックスを手に入れてからはますます気持ち良く割れてついつい薪割りにハマってしまう。あんまり長時間だと腰に良くないんだろうけど、ようやくこの超重いアックスの振り下ろし方もコツが分かってきて、それほど疲労を感じなくなってきたし...。

ただ見てるだけでも気持ちがいいらしくて、Maakunも薪割りの音が聞こえるとどこからともなく戻ってきて「うぉー!」とか「すんげ〜!」とか絶叫しながらニコニコ顔で見てるのだった。今日など、「ちょっとやってみたい。」というので試しにマジックアックスを持たせたけど、重すぎて持ち上げるのがやっと。お手伝いは飛び散った薪を集めて薪小屋に積み上げるぐらいだけれど手伝おうという気持ちが嬉しいのだ。


こちらはかなり乾燥してる。

1日1時間、2日で2tトラック一杯分の薪割り完了。

ここにきて、実際に火をつけたこともない「ペーパー薪スト−ブオーナー」(?)の僕にとって俄然心配になってきたのが薪の消費量。いったいどのくらい必要なんだろ?上に写真のある新設の薪小屋(高さ1.2m幅4.5m)と既存のぶん(高さ2.2m幅5m)の薪(クヌギ、ナラ、カシ等広葉樹のみ)を確保してあるんだけど、最低気温が氷点下にはならないこの場所で我が家の燃焼時間(午後4時から午後11時の7時間)で果たして1ヶ月もつのかのかそれとも2ヶ月なのか見当もつかないのです。知りたいなあ....。誰かご存知ないですか?まだ夏だというのに冬の心配してるのも変かな?

 


 

8月20日 ガレ−ジに屋根を! 昨日の夕方の雨で薪小屋の欠陥発見(笑)激しい雨では雨漏りするのだ。パイン材にペンキが塗ってあるだけでコーキングもなにもしてないんだから当然なんだけど。カラーベストかアスファルトシングル等の屋根材を張らないと駄目かなあ...。仕事帰りにたまたま前を通りかかった瓦屋さんで尋ねてみたところ「おうっ、自分でやるんかいな?わしは自分で何でもやる人好っきや。」と初対面の瓦屋の大将がご機嫌。アスファルトシングル20枚と防水紙、釘に接着用のコールタール?を「余りやさかい持って行き!」と気前よくクルマに積んでくれた。「ええんですか?」「ええよ、ええよ。材料余ったらもう一度持っておいで。」家に帰って包装を開けたらなんとダークグリーン!早速、瓦屋の親方に教えてもらったとおりに施工してみたところ、まるでプロの仕事(自画自賛)アスファルトシングルの施工って思いの他簡単なのに驚いた。
物置きも兼ねてガレージに屋根をかけることに決定!薪小屋#1と合わせて奥行き14mの薪置き場が誕生することになった。薪は次々集まっているので早く出来ないかなあ...。


ガレージ完成予想図

屋根葺完了!ついでに薪割りもね。

 


 

8月27日 趣味は薪集めです。 一昨日から親知らずが痛み出した。頭が今にも爆発しそうなほどの痛みで一睡も出来ず、当然食事ものどを通らない。その上歯科は休診日ときてるから運が悪い。とりあえず仕事は行くんだけど、家に帰って来たらベッドに直行。ひたすらヒイヒイ言って我慢してるのだ。
そんな昨日の夜、森林組合のNさんから電話が。「今日、新しく伐採した木が入ったんだよ。クヌギとコナラだけど取りにおいで!」その瞬間、親知らずの痛みはきれいさっぱり無くなった。さすがに家族は呆れてものも言えないみたい(笑)今日は仕事が終わるのを待って、トラックに乗り換えた僕はチェーンソーとともに山へ。日暮れが早くなって山で作業できたのは、ほんの20分だけど、いかにも薪割りしやすそうな素直な薪が少しだけ手に入った。まだこの10倍近くあるので早めに取りに行って乾いて堅くなる前に割ってしまわなくっちゃ!

 


 

8月31日 初めて丸太を買った。春からため込んだ薪が結構な量になった。昨日は、先日薪をお願いしておいたチップ工場(パルプの原料)から電話。「クヌギを3mに玉切りしておいたから取りにいらっしゃい!」我が家にはありがたいことに薪コネクション(笑)とも言うべきコネがいろんな方面にできつつあり、たぶんそういう「善意の薪」でこれからも充分にやっていけるとは思うのだけれど、万一、今すぐ必要!ってな状況に陥った際には、やっぱりお金を出して買える所も確保しておく必要があると思ったわけだ。お出かけの際は、いつもキョロキョロ薪探しをしてしまう(わき見運転は危ない!)僕の目に止まったこのチップ工場。赤松などの輸入材の奥にクヌギやナラ、樫といった丸太を発見した僕は、いきなりアポなしで飛び込んで行って、僕と同い年の社長に事情を説明し、今回分けてもらえることになったという次第。

仕事を終えた僕はMaakunを連れて、いそいそ出かける。砂や砂利を買う時と同じようにトラックごと重量計に乗って空荷のトラックの重さを計った後は、原木置き場へ。見渡す限りの広葉樹の丸太の山、山、山。たぶん、3000坪以上もある広大な貯木場には樹種別に丸太が積み上げられている。「こういう貯木場があと3つあるんだよ!」若社長は胸を張る。Maakunはその量に呆然としてひとこと。「ここのPAPAは薪集めしなくていいだろうね...」
重機での積込みはほんの数分。「所詮は木だもん、満載したって1トンないだろ。」なんてバカにしてたけど荷台に8分目で1.44トン!(重量計測定値)さすがクヌギは重い。長さ3mが15本、一本あたり平均100kgってこと。工場の事務所で父子ともに昔懐かしいびんラムネをご馳走になりながら若社長と雑談したけれど、これだけ木を毎日見てると、薪ストーブなんて焚く気にはなれないらしい(笑)Maakunの言うように薪ストーブの楽しみの半分以上は薪集めなのであって、何万トンも所有する彼にはそれがないんだもんな...。


これでトラック8分目

今日は帰宅後この丸太を下ろして(こいつはダンプなのでガラガラっと一発で下ろせるのだ)玉切り。自宅なので電動チェーンソーしか使えなくてなかなか大変な作業だったけれど、なんとか1mに切り揃えることができた。明日からはこれを40cm程度に小切りして、チビチビと割って楽しむことにしよう。

 


 

 

 

 
   
 

 


 

 

 

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