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7月23日 Kahuna 進水式(福井県・常神半島)

   

フーフで野遊び...#15

GranstreamのOさんから連絡があり、19日に僕のFeathercraft Kahuna“帆立ててシュラシュシュシュ♪”バージョンがCanadaから届いたとのこと。

ご存知のようにFCはアルミフレームと布で出来たスキンを組立てるフォールディングカヤック。水辺に運んでさぁ乗りましょう!ってなわけにはいかないので、Granstreamでは、納品の際にOさん自ら組立てのコツや取扱い上の注意などをレクチャーしていただけることになっている。予め今日7/23にその納品ツーリングを予定していたんだけど、今回は特別に普段の琵琶湖ではなく、若狭湾・常神半島での納品を提案いただいたという次第。
“常神”と聞いて黙っちゃいないのが、我が家の“勇敢マダム”ともちゃん。

『ねぇ、ワタシも一緒に参加していいかをOさんに訊いてみてよ!』

もちろん彼女のフネ・K-Lightはオークションで落札した中古艇なので、Granstreamさんにレクチャーの義務はないんだけど、恐る恐る訊ねてみると...

『本来は有料なんですが、奥様のご理解があったからこそ、Kahunaをご購入いただいたわけですし、是非、K-Lightも含めレクチャーさせて頂きたいと思います。』というお返事。図々しいとは思いつつ、とにかく出しゃばらずに“見てるだけぇ〜♪”という約束で、ともちゃんとふたりで参加することになった。


常神の海!
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常神漁港駐車場に到着

我が家からは比較的近いとは言っても、常神は日本海。Oさんとの待ち合わせ9:30から逆算し、準備の時間を加えて5:45に家を出る。306号線で藤原岳〜関ヶ原〜北陸道というルート、東名阪で一宮経由の名神、北陸道というルートなど、どれで行くかに迷いつつ、ともちゃんのドライブするOUTBACKで東名阪〜新名神〜日野グリーンバイパス〜名神〜北陸道で敦賀を経て常神へ。8:30に常神漁港の駐車場に到着し、いつもなら出艇準備や着替えをするところだけど、今日は組立レクチャーがあるし、朝からピーカンでセミがミンミン状態(涙)...尋常じゃない暑さなのでウェットスーツに着替えるのは後にして、車内で休憩(昨夜は珍しくコウフンして眠れず、夫婦で2時半までアレコレ話して過ごしたので2時間ほどしか眠っていないし。こんなことは小学校の修学旅行以来かも...笑)。

9:30ジャストにOさんが到着。駐車場の地面はすでにヤケドするほどに焼けているので、木陰を探すものの7月の太陽は限りなく真上に近く、適当な木陰は見つからず...結局、遊覧船乗場待合室の建物の小さな日影を使わせていただいて、組立てレクチャー開始である。


Oさんとともに組立作業開始

初めて対面する僕のKahuna。自分で修理を重ねて大切に扱えば、大げさではなく“一生モノ”のフネということで、あと40年...80歳の自分が乗っている姿を想像しながらスキンを広げ、 K-Lightとほぼ同じ手順で組立てていく。

バウ&スターンそれぞれのセクションを組んでスキンに挿入し中央部でテンションを掛けていくってことは取説を読めば誰だって簡単に出来るんだけど、Oさんの語るちょっとした“コツ”“小ネタ”が実に役に立つ。英語マニュアルを片手にK-Lightを3回組立てた時に感じたあやふやだったり難しかったりした部分が全てOさんの口から語られたのには、ちょっとした驚きだった。


徐々に組み上がっていくKahuna

Oさんの手によって進水式の儀礼が執り行われる

しかも7年以上前の中古艇であるK-Lightとは違って、新艇のKahunaは面白いぐらいにスムーズ。カチッ!ポチッ!スコッ!小気味良い音を起てて組み上がっていく。「新品のFCを買うことってのはこういうものなのか!」とヤケに感動。K-Lightを先に手に入れて“予習”したからこそ判るそのスムーズさ&小気味良さは“見てるだけぇ〜♪”のともちゃんにも判るレベルのようで、フレームがパチン!と入って彼女と視線を合わせてニコッ!っと笑いなながらうんうんと頷きながらの組立て作業なのだ。Oさんがひとつ手本を見せてくれて、残りを僕がやるという感じで組立てを進め、レクチャーを交えながら40分ほどで完成。

おおっ!出来たぁ〜!KahunaをはじめとしてFCのフネは何度も見ているのに、自分のフネを目のあたりにした感動はまたひとしおだ。


ペアの“ちんぼうし”で。。。

Kahunaが組み上がった後は、着替えやツーリングの準備に取りかかり、フネに乗る前にまずは漁港脇のビーチにザブンッ!と飛び込んで身体を冷やし、いよいよ進水式。Oさんがいつも行っているというモンゴル式の儀式。空と大地と森と水に酒を捧げ、最後にフネの安全を祷ってバウに酒を振り掛けて終了。いよいよツーリングのスタートだ!


漁港脇のビーチをスタート

カモメを追いかけるともちゃん

バウから漂うお酒の甘い香りは進水式直後の新艇ならでは(笑)。

漁港脇の小さなビーチを出航した僕らは漁港の生け簀の間を縫うように漕ぎ出していく。快晴、ベタ凪、時折水面を吹き抜けるそよ風が実に気持ちいい。スタート前のザブンッ!のおかげで不快な暑さは全くない。

それにしてもこのフネの安定感はどうだ!不安定な水上にいるという感じは全くなくて、あくまでもドッシリと海という座椅子に腰を下ろした感覚。それなのにパドルがキャッチした前方の水を腰の辺りに引き寄せるたびに、カヤックはグイグイと前に進んでいく。


鏡のように凪いだ海をゆく


軽いパドルを得て快調に進むともちゃんのK-Light

そして何より感動的なのが新調したOさんおススメ・AQUABOUNDのカーボンシャフトパドルのスムーズネス。これまで使っていたMalibuTwoのオマケパドルやK-Lightのリバー用パドルよりも400g以上軽いのだから腕から肩への負担が小さいのはもちろんのこと、ブレードの形状が違うからだろうか?シャフトの適度なしなりの影響なのか?とにかくキャッチミスでバランスを崩すことは皆無だし、何より水を捉え、引き手を支点に押し手を“パンチ”した時の水音までもが違う感じ。“優しい”というのかな?スタンダードパドルでこの快適さだったら、10万円を超えるような高級パドルはどんなやねん!?


さてどこにトビが隠れているのでしょう?
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青い空に映える2艇

このパドルの快適さは、隣を進むともちゃんも痛いほどに感じているようで、『いいわぁ〜♪スムーズだわぁ〜♪』といつもよりパドリングのペースが早め(微笑)。大人の男性はともかく、“細腕”(...でもないけど)の女性や子供こそ道具選びに慎重であるべきだなぁと感じるのだ。


洞窟に入ってみる

“青の洞窟”へ

漁港を出た僕らは、ともちゃんの姿をクッキリと映し出すような穏やかな海を左手の岬・栃鼻へと針路をとる。岬とその先に浮かぶ岩の間の狭い水路を抜け、“青の洞窟”へ。中に入ると真っ暗。でも洞窟の奥には外海へと続く出口があり、そこから射し込む夏の強い陽光が洞窟の中の海面をネオンのような蛍光ブルーに光らせているをくっきりとした蛍光ブルーに光らせている。う〜む、スバラシイ!


蛍光ブルーグリーンに光る海面


洞窟を後にする

 

洞窟を出た僕らは、3艇並んで“演歌における日本海観についての考察”など(笑)色々なお喋りを楽しみながら御神島の巨大な島影を左手に眺めつつ断崖絶壁の半島沿いに漕ぎ進む。

名前も知らないまさにピラミッド型の岩を回り込み、半島の北岸へ。常神岬から手前に弧を描くように伸びるOさんおススメのビーチを目指すのだ。


岬の岩礁エリアを回って進む

あのビーチに上陸しましょう!/早くも降りる準備(笑)

あちこちに立ち寄りながらなので1時間ほどかけてビーチに到着。ここでも一旦海にザブンッ!して身体をクールダウンし(いきなり目の前をイカがツーっと通り過ぎ、ともちゃんは『イカ、イカ、イカ!』と叫んでた)、暑さを避けるために日陰を探すけど、残念ながら日陰は落石の危険が大きい崖下にちょこっとあるだけ。そこでOさんが手際よく波打ち際に並んだ3艇のFCと流木を使ってHilleberg Tentsのタープを張り、影を作る。


僕らのシュノーケリングBase(*沖に浮かんでるのはカナヅチ海女)

この小さな日陰が実に快適!タープでフレーミングされた視界。紀州の海とは明らかに色が違う赤系のものが多い玉砂利の浜に波が打ち寄せ、引いて行く時に鳴るシャラシャラという涼やかな音。時折吹き抜けるそよ風が僕らの濡れたラッシュガードから気化熱を奪っていくス〜っとした感じ...図らずも2時間睡眠を思い出してこのまま昼寝したい衝動に駆られる気持ち良さだ。


ビーチに着くなりザブンッ!

小さな日陰が実に快適

OさんがWisperのデッキに固定したフォールディングバケツから何やら取り出している。ん?サザエ?朝、僕がKahunaを組立てている隙に地元の素潜り漁師さんから分けてもらった立派なサザエなのだ。波打ち際に崖下から運んできた丸く平らな石を据え、サザエを石で砕いてサッと波で洗う。それをSIERRA CUPに入れ、醤油を垂らして『はい、どうぞ!』。まさに石器時代と同じ食べ方(笑)なのだ。


サザエを生でいただく

カナヅチ海女“出漁”

サザエといえば内臓の黒い部分が苦いというイメージがあるけど、全然苦くない...どころか甘い!で、Seattle Sportsのフロストバッグから出てきた進水式の日本酒を一杯...正直なところビールやウィスキー派で日本酒は飲まない僕でさえも、クゥ〜キクゥ〜!って口走るほどの美味しさなので、日本酒党のともちゃんは...グビッグビッグビッ、プハァ〜♪『ワタシ、帰りは運転できないから、ヨロシク♪』状態(笑)

Oさんにもう一杯勧めるけど『いえ、潜らなくてはいけませんから。』“...なくてはいけない”ってのが笑えるけど、その言葉に紀伊半島の“カナヅチ海女”の目がキラリ!シュノーケリング装備を身に着けた3人は岬の岩場に向け、バタ足で“出漁”。(ん?今日はカヤックの納品レクチャーじゃなかったっけ?)


波に揉まれながらも海から出ないともちゃん

常神の海!

おおっ!豊かだ!実に豊かな海!熊野灘のようなカラフルな回遊死滅魚の姿は見られないものの、色とりどりの海藻の森の中に魚がウジャウジャ。比較的浅い場所にはメダカサイズのクサフグの赤ちゃんが群れ泳ぎ、アオリイカの赤ちゃんが一丁前に墨を吹きながら逃げていくし、愛玩対象のサザエやI wanna be!も随所に(笑)。


やっと会えたアオウミウシ


常神の海をゆくともちゃん

瑠璃色に輝く海藻/メダカサイズのクサフグの赤ちゃん

『うわぁ〜!キャー!』突如、ともちゃんの叫び。その声に緊急事態発生か?と集まった僕とOさんに満面の笑みを浮かべて掌を見せるともちゃん。

『見て!アオウミウシよ!名前は...忘れちゃったけど、ずっと前から会いたかったのぉ!』

ワハハハ...ウミウシで絶叫するオバハンにOさんも僕も思わず失笑。ま、確かにオパールみたいでキレイだけどさ。


アオウミウシ(3匹目)

僕に興味津々のキュウセン

3mほど潜って岩の下に入るとそこは美味しそうな魚の世界(笑)。うひひひひ...水中でスケベ笑いしてたら、真上を“カナヅチ海女”がフォッフォッフォ♪とバルタン星人笑いで通過していく(笑)というシアワセな状況だ。

『ねぇ、隠岐の海と同じだと思わない?』
波間に浮かぶともちゃんの言葉。ホントに隠岐そっくりな海に時間を忘れて泳ぎ回る僕らだった。


“カナヅチ海女”がフォッフォッフォ♪と
バルタン星人笑いで通過していく

Victorinox(ハサミが出たままなので釣師の落とし物?)
海からBaseを望む

泳ぎ回った後は再びタープの下に戻って、ひと休み。再び石でカチ割りしたサザエを食べながら、先月の某アウトドア誌の記事にもなった鹿児島〜台湾エクスペディションの土産話やら、シーカヤックのナビゲーションと月の関係やら、とても興味深い話を聞かせてもらった。(月の話の時、2時間睡眠と旨いお酒の影響で、ともちゃんはスヤスヤ...笑)


黄金色に輝く海へと漕ぎ出す

太陽が西の空に傾き、御神島と半島を隔てる海が黄金色に輝き始めたので、そろそろ帰る時刻。ビーチに広げた積荷をカヤックの中に収め、もう一度海に入って太陽で火照った身体を冷やして、帰路に着く。御神島をバックに漕ぎ進むOさんのWisperとともちゃんのK-Light、2艇のシルエットがため息が出るほどカッコいい。う〜ん、やっぱりFeathercraft買って良かったなぁ...シロウトの僕にはフネの性能とか味は理解できないけど、とにかく美しいってだけでも買う価値があると思う。


御神島と2艇のFeathercraftのシルエット

栃鼻を目指して漕ぐ

栃鼻を回り込んで常神の湾内に入ると、夕凪の海はまるで鏡のように凪いでいる。30分ほどでスタートポイントのビーチに到着し、湧水でイクイップメントを水洗いした僕らはOさん、そして僕らの姿を見つけて駐車場にやってきてくれた素潜り漁師さん、ビーチ前のお寺の住職さんに別れを告げて17:30過ぎに常神を出発、帰宅の途につく。


栃鼻を回り込む

『ねぇ、今日のOさんのシュノーケリング道具、見た?すご〜くカッコ良くて高そうで使いやすそうだったと思わない?なんだか昔、シリウススポーツで売ってたマスクみたいで...いいなぁ、アレ』
あのですね、今日はKahunaの納品なわけでして、アナタは何を見てるんですか、もう。
『あの、ナントカっていうタープ、アレいいわよ、買いましょうよ。』
また道具かよ(苦笑)。とりあえずこれからはPENTA持っていこうかな。


狭い水路を慎重に進む

僕らを見守るトビ/常神漁港に入る

『あ、それとOさん、誰かに似てるなぁって思ってずっと考えてたんだけど...今ね、誰だか判ったの。』
『誰だ?BE-PALでホーボーさんが“現代の不動明王”って書いてたけど...(笑)』
『あのね、笑わないでね。それがね、Masaなのよ。しゃべり方とか、月について1時間語れるところとか、眼光とかがMasaの20年後って感じなの。母親の直感だから間違いないわ。』
『わははは...確かに(笑)。でもOさんも高校時代は漕艇部でボート三昧だったらしいぜ。上半身の筋肉の付き方なんかは、確かにMasaと同じ感じだよなぁ。』


全ての荷物を積み込んで常神を後にする

茅葺きの舟小屋

帰りの車内、夫婦の話題は尽きない。まさに黄金色に輝く常神の海を目を細めて横目で眺めながら、僕らと2艇のFeathercraftを載せたOUTBACKはボクサー6の軽快なエンジン音を響かせてワインディングを走り抜ける。

三方五湖のお店でお土産の「オバマハンバーグ」(鯛味と鯖味)を買い込み、子供たちの待つ自宅に到着したのは21:30を少し回っていた。


常神半島に沈む夕日を眺めるClick on image to enlarge

 

 

July.2008 MENU

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