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5月21日 ブッポウソウ登山(愛知県・鳳来寺山)

 

 


緑のトンネル抜けてゆく〜♪

 
フーフで野遊び...#8

昨日日記にパパの一人立ちの話を書いたら、ともちゃんに『ワタシもアナタとの水曜日の野遊びが決してイヤってワケじゃないのよ!』なんて言われてしまった。もしや高価なFeathrcraft Kahunaを買わせないための予防線か?(冗談冗談)自分で資金を調達して家計に大きなダメージを与えないならOK?いややっぱりダメか?ビミョーな感触だ(苦笑)

そんなわけで、今日はほぼ一ヶ月ぶりの“フーフで野遊び”。『ワタシも...イヤってワケじゃないのよ!』ってことは、僕の行きたい場所に行けるのかと思いきや...カヌーはダメ、海もダメ、ハードな山登りもダメ...ダメダメ尽くし(涙)で、アナタはどこに行きたいわけ?と問うと、待ってましたとばかりに笑顔で答えるともちゃん。

『鳳来寺山!愛知県の。なんちゃって山歩きは手早く済ませてぇ、門前で五平餅を食べるの。で、書道で使う硯が名産でしょ?小筆用の小さくてカワイイ硯を買ってぇ、そんでもって豊川稲荷に寄って、あのいなり寿司を買って帰るのよ!』

あ、あのぉ、それってもはや野遊びって呼べないんじゃないでしょうか...。

しかも今日はAzuの中間テスト初日。いつも通りMasaのお弁当を作って子供たちを送り出す8:00以後しか出発できないのに、果たして200km近く離れた鳳来寺山に辿り着くことが出来るのだろうか...相当に不安。
でも、子供たちの協力もあって予定より早く7:50に家を出る。東名阪〜伊勢湾岸〜東名と高速を乗り継いで東へ。通勤ラッシュの時間帯にもかかわらず、交通量が多いものの割とスムーズに豊川ICに到着し、ここからは南信州・飯田へと続く国道を北上...何とか10:00に鳳来寺門前の駐車場に到着することが出来た。

青い空にゴツゴツした岩場が映える鳳来寺山を見上げながら、トレッキングシューズに履き替えて10:15にトレッキングスタート。


表参道をゆく

朱色が美しい仁王門へ

僕らが目指す鳳来寺山(685m)はブッポウソウ(コノハズク)で有名で、山全体が国の天然記念物に指定されている山である。ガイドブックによれば奥三河火山群の最南端にあたる鳳来寺山は、約2,000万年前の複数回の火山活動によって噴出した流紋岩漿(要するにマグマ)によって出来た松脂岩や石英安山岩の山塊がその後の地殻変動と風化侵食によって、今の険しい岩山へと変化したらしい。例によって険しい岩山が大好きな(笑)役行者の目に留まり、以後、現代に至るまでこの地方における古代山岳修験道のメッカとして人々の信仰を集め続けてきたのだ。


鳳来寺山登山口にて

 

天然記念物のナギの古木を見た後、僕らは鳳来寺の表参道を歩く。舗装されたいかにも参道って感じの道の両側には土産物屋や旅館が立ち並ぶ。但し平日の午前中ってことでほとんどのお店が閉まっている。

帰りのショッピングの予習をしながら参道を進み、鳳来寺山自然科学博物館前の絵地図でルートを確認した後、山門までまっすぐに延びる道を進み10分ほどで鳳来寺山登山口に着く。登山口からは渓流の音を楽しみながら森林浴気分でさらに5分ほど緩い石段を登り、仁王門へ。朱色の仁王門はまさに真言宗の山寺っぽい雰囲気で、両側に構えるアンティークな色合いで眼光だけが妙に鋭い仁王像が『ここからは行場なんだぜ!』って語っているかのように思えて身が引き締まる思いだ。


杉木立の中の端正な石段を上る

朱塗りの仁王門(徳川家光寄進)が見えてきた

仁王門から鳳来寺本道までは1425段あると言われる石階段が続く。真っ直ぐに天へと伸びる立派な杉木立に続く乱積みの石段は実に趣きのある風景。『いいねぇ〜ココ!』『そうよねぇ〜雰囲気あるわよねえ〜!』古寺大好きヘンテコ夫婦はご満悦(笑)

1425段ってことで相当覚悟していた石段だけど、作られた時期が新しいのか?それとも保存状態がいいのか?とにかく歩きやすい。石段の両側にはかつての栄華を彷彿とさせる無数のお堂の跡地があり、その中でもベージュ色に変わった漆喰と白木の柱がちょっと日本っぽくない不動明王を祀るお堂が特に印象的だ。


本堂からは本格的な登山道となる

城郭を思わせる堅牢な石積み/朝の陽光が眩しい鳳来寺本堂

不動明王のお堂を過ぎた辺りから、石段の精度が格段にアップして両側にはまるで城郭を思わせる石垣が聳える。どうやらこの石段の設計は昔の日本人、しかも足袋か草履に合わせられているようで、“バカの大足”をトレッキングシューズに包んでる僕にはいささか踏面が小さすぎて危ないったらありゃしない。足を踏み外さないように注意しながら石段を登り切ると、そこが鳳来寺本堂。正面の休憩用東屋からの眺望を楽しんだ後、本堂にお参りを済ませ、本堂の左から東海自然歩道の看板を横目に奥の院〜山頂へと向かう。

ここからは正真正銘の登山道。但し観光地の登山道らしく、手摺付きの鉄製階段や丸太を組み合わせて丁寧に作られた橋など安全のための整備は万全で、とても登りやすい...泣きが入るほどの急傾斜であることを除けば(涙)


迸る岩清水

奥の院に到着

正面に勝岳不動明王の祠が見えると右手に垂直に切り立った立派な岩壁が聳える。岩壁の上部からは幾筋もの水が滴り落ち、“水から上がった河童”状態の僕らの気分を一気にリフレッシュしてくれる。さらに少し進むと開祖・利修仙人が御本尊を刻んだと言われる「六本杉」の看板。元は7本で残りが6本あるはずだが、それらしい巨木は2本しか見当たらないのがご愛嬌(笑)。


岩場のてっぺんに立つともちゃん

 

さらに20分ほど岩だらけの登山道を進み、空が近い稜線に取り付くと、僕らの前に淡いオレンジと白壁が印象的な建物が姿を現す...奥の院である。標高621mの稜線上に建つだけに、建物は相当に傷んでいて、屋根は今にも崩れ落ちそう...冬の積雪がかなりのものであることは想像に難くない。ガイドブックによれば奥の院の裏手の岩場からの眺望が素晴らしいとのことなので、疲れた身体を岩場へと引っ張り上げる。


奥の院の裏手の岩場からの眺望

岩の縁に腰掛けるとこの高度感!

おおっ!ホンマや!素晴らしい!

奥三河の美しい山並みが一望である。ともちゃんの“腹ヘッタアラーム”が鳴り始めたので、ここで初めてザックを下ろして暫しの休憩。夫婦で眺めを楽しみながらおにぎりを一個づつ食べる。


鞍馬寺のような美しい木の根道

森の妖精・ギンリョウソウCLICK


鳳来寺山山頂に到着

奥の院からは快適な尾根道の散歩。京都・鞍馬寺と見紛う木の根道を10分ほどで鳳来寺山頂上に到着する。

山頂には先客(比較的若い男女のグループ!)があったし、周囲を鬱蒼とした木々に囲まれて眺望がほぼないので、記念写真だけ撮ってすぐに退散。勝岳不動明王の祠ですれ違ったおじいちゃんから得た情報に従って、そのまま瑠璃山へと向かう。鳳来寺山山頂からほんの5分、一旦鞍部に下りて鉄階段を上った場所に聳える岩塊が瑠璃山(696m)...鳳来寺山最高峰だ。登山道から瑠璃山へはちょっとしたロッククライミングになるけど、何とか夫婦揃って登頂成功!ここは鳳来寺山山頂とは違ってほぼ360°の素晴らしい眺望を楽しむことが出来る。


瑠璃山の岩峰に登頂

ゴジラの背びれのような尾根道

再び鳳来寺山山頂に戻った僕らはGPSで方角を確認して東尾根へのルートを進む。砂利の浮いたスリッピーな斜面を転倒に注意しながら下る。但し危険なポイントには必ずと言って良いほど木の根が這っているし、良く見ると岩にステップ状の窪みが掘られていて危険はない。鳳来寺山の山塊を下り切ると、そこからは多少のアップダウンはあるものの非常に快適な尾根道が続く。頬を撫でる春風がとても涼やかで気持いい。


不思議な根っこに登る。

天狗岩の東屋で休憩/天狗岩の眺望

15分ほど歩くとこれまたレトロな東屋が見えてくる。東屋の奥側から上ってみると、ここが天狗岩とのこと。東屋の南側はスッパリと切れ落ちている断崖絶壁。大峯奥駈道や妙義山ほどの高度はないけれど、“落ちたら痛さを感じて即死”な高さ(たぶん5〜60m)で余計に怖い。東屋で2回目の休憩を取り、ここでおにぎりをもう一個(笑)

野鳥たちのさえずりに耳を澄ましていると、いきなり“ブッポウ!”という声がして僕らは顔を見合わせる。

『今の...だよね?』『うん、だよね、きっと。』
『でもブッポウソウって夜に鳴くんだろ?』
『そうよねぇ...あ、わかった!ブッポウソウの寝言なんじゃない?』
『...』

僕は前にTVで聞いたのと同じ...絶対にブッポウソウの声だと思ってるけど...どうなんでしょ?


木漏れ日がブラウン色の地面に落ちる

天狗岩からさらに稜線歩きを続けると10分ほど歩くと巫女石・高座石と書かれた看板を通過。ケルンがあるのみで、残念ながら他にそれらしい石を見つけられなかったのでそのまま通過。少し南に曲がる尾根に沿って下ると登山道はT字路になる。右が本道、左に鷹打場の看板。看板に従って鷹打場へと向かう。

鷹打場は分岐からほんの数分。尾根道の延長線上に大きな富士山型の岩が現れる。尾根が突き出た感じの場所で木々がなくなり視界が一気に広がる。名称から鷹匠が立って鷹狩りをしていたのだろうか?僕らは鷹匠の気分で岩のてっぺんに立ち、素晴らしい眺望を楽しんだ。


登山道脇に露出したガラス質の黒く輝く岩

鷹打岩の素晴らしい眺め

鷹打場からの眺めを楽しむ中年夫婦

鷹打場から折り返して先ほどの分岐まで戻り、本ルートを下る。途中、巨木が立ち並ぶ場所でセミのように巨木を抱っこして(抱っこされてたかな?)木の体温を感じてみる。僕は鈍感なので木の気を感じることは出来ないけど、ともちゃんは結構“違いが解るオンナ”みたいで色々な木を触ってご満悦だ。

東照宮の境内を通って、鳳来寺山パークウェイの駐車場から本堂へと延びる裏参道に合流、鳳来寺本堂へと進む。朝とは違って多くの観光客で賑わう本堂に一礼して通過し、表参道の石段を下る。いきなりここで僕がズルッ!と転倒...寸前(笑)どうも足の大きさが合わないのだ。


木漏れ日が登山道に美しい模様を落とす

岩を包み込むように伸びる木の根

鏡岩の少し下辺りから表参道を外れて鳳来寺山ハイキングロードへと入る。別名馬の背岩コースのこのルートはあまり人が入らないのか、少々荒れているけれど、15分ほどで稜線に出ると、見通しの良い歩きやすいルートに変わる。ただし馬の背と言うだけに非常に幅が狭く、足運びに慎重さが求められる。まさに馬の背!な岩の回廊(ツツジが美しかった!)を渡り切ると立派な東屋が建つ展望台に到着する。ここからは、僕らがこれまで歩いてきた鳳来寺山全ての稜線が一望出来る。今回のルートで鳳来寺山が一番キレイに見えたのはココからだ。


巨木の“体温”を感じる

東照宮境内

表参道の石段を下る

馬の背

馬の背で少し休憩した僕らはさらに鳳来寺山ハイキングロードで下山を続ける。稜線から離れたハイキングロードは東斜面をトラバース気味に下る。ここがなかなかの難所で、急斜面であることに加えて延々とガレ場が続き、気が抜けない。どこかに似てるよなぁって考えていて思い出した!妙義山のタルワキ沢だ!

ホント、足の捻挫注意なルートを下り再び表参道に合流。合流点は仁王門のすぐ上辺りだ。ここからはのんびりと参道を下る。


鳳来寺山全ての稜線が一望CLICK

朝の約束通り、硯の清林堂に立ち寄ってともちゃんの細筆用の硯を選ぶ。小ぶりのツルンとしたフォルムのものが気に入った彼女にそれをプレゼントし、駐車場へと戻る。OUTBACKにザックだけ載せてそのまま隣にあるお店で五平餅をいただき、鳳来寺山を後にする。

もちろん東名に乗る前に豊川稲荷門前の「門前そば 山彦」に立ち寄って“いなほ稲荷寿司”を5パック買い込み、高速道をちょっとだけ飛ばし、1時間ほどで自宅に戻った僕らだった。


仁王門

硯屋さんにて小筆用の硯を購入

ヒゲ親父のことが大好きな蝶

五平餅

『硯も買えたし、いなり寿司や五平餅も食べたし、ブッポウソウ...じゃなくブッポウも聞けたし。イイ一日だったわねぇ。』

そ、そりゃアナタは楽しかったでしょうよ。でも高低差470m距離7.3kmの“なんちゃって”トレッキングだったけど、意外に楽しめたってのが僕の正直な感想。でも一番嬉しかったのは僕のこと『おっちゃん、好き好き好きぃ〜!』って付きまとってくれた↑手乗りチョウチョウ...だったかな(笑)

 

 

 

May.2008 MENU

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