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11月28日 「限定1名様」湖上パスタランチ!(三重県・青蓮寺湖)

 


青蓮寺湖畔に佇むOUTBACK

思い立ったらすぐにスタート出来るのがソロカヌー最大の美点。思いがけず休みとなった今日、起きた時に見上げた鉛色の空に外遊びする気が失せていた。でもそういえば青蓮寺湖の紅葉を見ていないことに気付き、10時半過ぎに急遽カヌーに出かけることにする。子供達は今日から期末テストで、ともちゃんは午後から彼らの家庭教師をする約束があるので、今日の僕はソロ活動だ。
ソロ活動の準備はものの10分で完了し、11時前に家を出る。青蓮寺湖到着は11:40。驚くほどの低水位の湖面にカヌーを下ろし、上流を目指す。紅葉は真っ盛りをかなり過ぎた感じで彩度が少し低い落ち着いた色合い。


盛りを過ぎ渋い色合い。
まさに“42歳の”紅葉の中を静かに進む

上:それにしてもこの低水位はどうだ!
下:ダム湖に沈んだ「不動橋」が姿を現している

僕のカヌーのすぐそばを鴨が寄り添うように進む。僕がさりげなくサイドスリップさせて彼らとの距離を詰めると、彼らもさりげなく僕から離れ、一定距離を保つ。ワハハハ、知らん顔して結構オレのこと意識してるやん。20分ほどで橋をくぐり、不動滝付近に到達。ところが普段ならカヌーで滝の流れ込みまで近付けるのに滝の姿はなく、そればかりか見なれない石橋が見えてくる。ん??欄干に「不動橋」の文字...なんと低水位のせいで普段は水没しているかつての橋が姿を現しているのだ。


湖面に浮かんだままでランチの調理を開始

水位の低さは想像以上で、これまで必ず堰堤まで漕ぎ上がれたのに、今日は羅漢岩のカーブで渓流に変わってパドリングはジ・エンド。しょうがないので、それ以上の遡上を諦め、カヌーの上でランチ。今日のメニューはパスタ(スパゲッティ・カルボナーラ)で、カヌーのボトムにバックパッカーズテーブルを広げてPRIMUSでお湯を沸かし、5分で茹で上がるタイプのスパゲッティ“PRONT”と塩ひとつまみ、そして吹きこぼれ防止のためにバターを少々放り込む。最近は小さな鍋用という短いパスタがあって便利。ラーメンだとソロの時は鍋から直接ズルズルと食べるけど、パスタはちょっと洒落た気分になるので(なぜ?)、ちゃんと別の食器に盛り付けパセリとパルメザンチ−ズを振り、フォークとスプーンでいただくのが僕なりのこだわり。美味しそうだけどソースはレトルトのもの。でもパセリをサッと振るだけでワンランクアップした感じに仕上がるのが嬉しい。


スパゲッティ・カルボナーラ

この景色を眺めながらの贅沢なランチ

気温はたぶん10℃以下。でも全く風がないのでさほど寒さはない。左岸の信じられないような絶壁の上でニホンザルの子供が物珍しそうにこちらを見ている。誰も見ていないので子ザルに話し掛けてみる。
『おっちゃんはな、ここでメシ食ってるだけでな、ジブンを食べたりせーへんから、お父ちゃんやお母ちゃん呼んでこんでもエエんやよ。』
僕はDr.ドリトルではないので残念ながらおサルと話は出来ないけれど、普通の話言葉で話し掛けることで敵意とか悪意がないことはすぐに伝わるもの(青荷温泉のマタギの爺さんも同じことを言ってた。不意に熊に会った時は凛と背筋を伸ばし、息子に語りかけるような調子の津軽弁で“諭す”のだそうだ。)。子ザルは少し小首を傾げ、枝を渡って森へと戻って行った。日本語で話し掛けられたスペイン人みたいな表情が可笑しい(笑)。


静かな湖面に浮かんだカヌーに寝転がって「宇宙船とカヌー」を読んで寛ぐ

ケトルでコ−ヒ−を落とし、最近お気に入りの「ぶどう糖チョコ」をかじりながら読書タイム。野遊びで読書?よく変だと言われるけど、特に今日のような湖のワンダリング、しかもソロの時は誰にも邪魔されない至福の読書タイムを楽しむことが出来る。ボトムにマットを敷いてシートを背もたれにして「宇宙船とカヌー(The starship and the canoe)」を開く。前に読んだのはいつだったっけ?(たぶん数年前)栞はP180「山歩き」に挟まってて、読み始めて数ページでそこまでに綴られていた内容の記憶が甦る。文章に没頭している間、僕のカヌーは見えないほど微弱な流れや微かな風に流され、回される。時にはカヌーのバウが左岸の岩壁にぶつかって“ガガッ!”という派手な音を起て、僕は“トーチ湾のフィヨルド”から“伊賀のダム湖”に一気に引き戻される。この時空を越えて“ワープ”する感じがとても楽しい。


コーヒーのお湯が沸いている

カヌーに寄り添うように進む鴨たち

気が付けば1時間半が経過している。空が今にも泣き出しそうになっていることに気付き、OUTBACKを停めた岸辺に向かう。水位は低い、水質もイマイチ...でも、全く風がなく鏡のように凪いだ湖面にパドルを挿し入れてカヌーを操るのは実に楽しい。左手の親指を数度ひねるだけで、また右手の小指にちょんと力を込めるだけで、5m近いカヌーを音もなく自在にコントロールすることが出来る気持ち良さ。この感覚を味わったばかりに20年近くもカヌーが止められずにいるのだ。

カーブを曲がり、鈍感なオシドリの夫妻がカヌーに驚いて盛大な水音を起てて飛び去ると、間もなくOUTBACKが見えてくる。先ほどの鴨たちがお出迎え。グワッ!とひと鳴きして水面に浮かんだままで羽根を数回羽ばたかせるけど、もう敵ではないことが解っているのか、パドルが届きそうな距離まで近づいても逃げる素振りはない。
カヌーをOUTBACKに積み込む。防水バッグを先に積むのを忘れていたことに気付いて苦笑しながらアクロバティックな体勢でリアゲートをくぐるようにパドルを積み、青蓮寺湖を後にする。


青蓮寺湖の静かな湖面


 


「日本の秋、ニッポンのアウトバック」
そんなキャッチコピーが似合いそう

上:積田神社に立ち寄る
下:参道に敷き詰められたイチョウの落ち葉

帰り道、去年見事な紅葉を見ることが出来た積田神社に立ち寄る。

今年も見事な黄色と赤の氾濫...良いものを見ることができたわい、と爺さんみたいな独り言を呟きながら写真を撮るけど、黄色のじゅうたんのまん中に立っておどけたポーズを取るいつものモデルさんがいないと、ワニのマークがないラコステのポロシャツみたいで写真が写真にならない感じ(笑)。仕方なく写真を数枚撮影し、僕は変なモデルさんとその子供達が待つ自宅に向けてOUTBACKを走らせるのだった。


赤と黄色の共演

はらはらと舞い落ちる落ち葉がカヌーに積もる


落ち葉を踏み締めて静かな参道を歩く



 

November.2007 MENU

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