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10月17日 そや 京都、行こか。(京都寺巡りポタリング・きぬかけの道)

 

子鬼の居ぬ間に...#18
 


迷路のような妙心寺の境内を駆け抜ける

今日は久々の晴天の休日。文化祭の子供達を見送ってから、いつものように『さて、今日は何する?』(笑)さすがに山登りやトレッキングはもう勘弁!だし、今週末イヤというほどカヌーを漕ぐ予定にしているのでカヌーもNG...そこでともちゃんが昨日から開催中の特別展覧会 狩野永徳展にでも行かない?とグッドなアイデア。

『そうだ 京都、いこう。』ではなく、『そや、京都、いこか。』...なんだかJRのキャンペーンのキャッチコピーみたいな言葉を呟きながら、9:00過ぎに家を出る。


荷物は2台の自転車とデイパックだけ

ガラ空きの金閣寺駐車場でPEUGEOTを組み立てる

通勤ラッシュも終わったR1はとてもスムーズで11:00前に金閣寺に到着。へ?京都国立博物館は東山七条じゃなかったっけ?(笑)
今日はOUTBACKのカーゴルームにPEUGEOT Pacificを積んできたので、狩野さんの作品を観る前に、金閣寺から嵐山へと延びる「きぬかけの道」を自転車でぶらぶらとポタリングして道沿いのお寺を回ってみようということに計画変更なのだ。


衣笠山の山裾を延びるきぬかけの道

龍安寺に到着

そんなわけで西大路沿いにある金閣寺のパーキング(この辺で一番安い)にOUTBACKを停め、Pacificを組み立てて、西大路の反対側にあるサイクリングターミナルに立ち寄ってサイクリングマップを入手(学生時代に配達のバイトをした地域なので、一方通行がどれかまで頭に入ってて地図は不要なんだけど...笑)。そこから金閣寺を素通りして、きぬかけの道沿いにまずは龍安寺へ。


石庭に佇むともちゃん

水戸光圀公寄進の蹲踞「吾唯知足」とある


鏡容池の回遊式庭園を散策

恥ずかしながら近くに4年間も暮らしてたのに、初めて入る龍安寺(苦笑)。有名な石庭を始め、見どころいっぱいの竜安寺を堪能する。それにしても平日の龍安寺は半分ほど(半分以上?)が外国人観光客で、僕が聞き分けられただけでも英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、中国語...7ヶ国語があちこちで聞こえてくる“ここはどこ?ワタシは誰?”な状況。大学で堅苦しい授業なんか受けてないで、ここに来れば、スペイン語会話の練習になったんだな...今さらながらに気付く。


全ての寺院に自転車専用駐車スペースが設けられている

”御室の桜”で高名な仁和寺へ

本坊(御殿)を拝観

回廊を伝ってへ宸殿を望む

次に向かったのは仁和寺。
実はここも一週間に一度は前を通っていたにもかかわらず、中に入るのは初めて(苦笑)で、広々とした参道や素晴らしい庭園に深く感動!いやはや、灯台元暗し...MKボウルでボウリングなんかしてるヒマがあったら、ここ仁和寺に来てこの素晴らしい庭を一日眺めたりしてたら、もっと教養ある立派なジェントルマンになれたのかな...と深く反省する。


北庭全景(パノラマ)CLICK


廊下に座って暫し素晴らしい北庭を楽しむ

 

青空に映える五重塔
(国重文)

白書院から白砂が敷き詰められた南庭を望む
柔らかな朱色が美しい中門にて

ふたつの世界遺産を拝観した後、御室駅前で偶然通り掛かったちょっと洒落た小さなカフェ「OX」でランチ。ここのランチプレートは笑っちゃうぐらいにヘルシーな和食メニュー。でも美味しかった!だいたい、子供が生まれてからというもの、通りがかりのカフェに気紛れで入るなんてことはあまりなくなっていて、それだけで何だか嬉しい僕らである。


国宝・金堂へ

仁和寺から自転車で御室駅へ下る

左手に小さなカフェ発見

純和風のランチプレートが美味しい


妙心寺境内は自転車通行可

さて、次はともちゃんちの菩提寺の本山でもある妙心寺へ。
このお寺の裏手の通りは良く通ったけど、ここも中に入るのは初めて(4年間京都で何やってたんだっ!)。北門から境内に入ると、目的の退蔵院まで250mという看板が。


妙心寺北門

まずは退蔵院へ


有名な瓢鮎図に映るともちゃん&青空

な、なに?250m?そう、妙心寺は東京ドーム7個分、実に10000坪という広さがあって、何と境内は自転車走行可能(!)。まずは退蔵院に行って瓢鮎図(レプリカ)を拝観する。瓢鮎図はその名の通り、瓢箪で鮎を捕らえようとする人の姿が描かれているのだけど、川の魚は鮎ではなくナマズ。『鯰食うべからず』という家訓のあるともちゃんちの菩提寺にナマズの絵ってのが何とも興味深く、その素晴らしい庭とともに飽くことなく眺め続けた僕らだった。そして、ついに法堂の天井画「雲龍図」(八方睨みの龍・狩野探幽作)にも対面!!天井の龍から何かが降って来ているような特別な空気に包まれて鳥肌がたつ感じを覚える。


迷路のような境内を自転車で走る

渡り廊下をくぐる


頭上注意!


法堂拝観時刻まで大方丈で待つ

明智風呂

境内はとてつもなく広い

御土居沿いにさりげな〜く立つ巨木

妙心寺を後にした僕らは、一応受験生Masaのために北野天満宮に参拝。お正月には太宰府天満宮にもお参りするので、きっと合格間違いなし(笑)。
で、金閣寺前で学生時代に良く食べたバイカルのイチゴショートケーキを買って、ハンドルバーにぶら下げて走る(笑)。

『何やってんだろうねぇ、オレたち。』
信号待ちで並んでる時、僕がともちゃんに語りかける。
『えっ?ああ、ポルシェに乗った40代の話でしょ?』


北野天満宮へ

Masaの合格祈願を済ませてニッコリ

20数年前、大学生だった僕はまさに身を粉にしてバイトで買ったダイハツ・シャレードで高雄パークウェイをドライブしながら、ともちゃんとふたりで自分達の20年後を想像してアレコレ語り合った。

40代の自分...きっと僕は白髪かハゲになって、ともちゃんはシワだらけになってしまっているだろうけど、それでも僕はポルシェとかが似合うオッサンで、オバハンになったともちゃんをタルガトップのポルシェのナビシートに乗せて走っているだろう...かなり希望的観測ではあったけど、遠い目でそんな未来の自分達を想像したものだった。

学生時代に良く食べた懐かしいバイカルのケーキを子供たちのお土産に買う

今から考えればホント笑っちゃうような想像だけど、僕らが小学生の時に想像した21世紀はリニアモーターの新幹線が街を走り、空飛ぶ自家用車で、エナメルっぽい光沢のある宇宙服のような服と何故かフルフェイスのヘルメットをかぶっている...というものだったから、22歳の時に想像したポルシェに乗る(今風に言えば)“チョイワル”オヤジな自分は決して荒唐無稽な想像ではなかったはずだ。
そして、ポルシェ以外にもっと現実的な想像もいくつかあったけど、ふたりで一日¥500の食費で暮らしていた僕らにとって、20年後の自分たちはやはり少しお金にも余裕があるに違いない...具体的にはメーターを見つめてドキドキすることなくタクシーに乗れることとか、ホテルの洒落たバーで緊張せずにお酒が飲めることとか(笑)、ほんの些細なことだけど、22歳と19歳のふたりにはそんな些細なことが大人の証しに思えたのだった。


土塀の光と影のコントラストが美しい

さて、20年後の僕たち。
幸い、相手を代えることなく今もあの時のまま、ふたりで過ごすことが出来ているけれど、ポルシェには縁がない(ただ同じ水平対向6発には乗ってるけど...笑)し、正直なところ今でもタクシーに乗ることは特別なことで、バスや電車がどうしても使えない時に限られるし、乗ったら乗ったで視線は料金メーターに釘付け(笑)。ホテルのバーはおろか、カフェに入る時にもちょっと緊張...要するに20年前と何ひとつ変わっていない。
よく考えてみると、人間の感覚なんてそう変われるものではなくて、逆に今から20年後の僕たち...62歳と59歳になっても同じだったりするのかもなぁなんて思う。

ちょっと悲しいような、でもちょっと安心なような。
ただ僕らを取り巻く環境は大きく変わっているんだろうな...。

久しぶりにやってきた京都。細かな部分はアレコレ変化しているけど、町並みそのものは20年前そのままの京都。路地を曲がる髪がフサフサな自分とお肌ツルリンなともちゃんがふと現れそうな京都。
ルーフを開けたポルシェのドライバーズシートで白髪を風にそよがせているはずだった20年前に想像した42歳の自分は今、ポルシェではなく、プジョーの“サドル”に跨がって、学生のミニバイクに煽られながら京都の街をヒィヒィ喘ぎながら走っている...我ながら『オレ、何しとんねん。』なのである


夕暮れの影が長く伸びる

御土居沿いに走りゴール!

北野天満宮からは北に向かってまずは授業をサボった...じゃなく自主休講になった時に良く行った今宮神社へ。ここの名物・あぶり餅(焼餅)を食べようと思ったんだけど、何と参道両側にある2店とも休業日(涙)。ホントはここから学生時代の懐かしい界隈に入りたいところだったんだけど、残念ながら午後4時になってしまいタイムアップ。この続きは“そや、京都、いこか。”第2弾で楽しむことにして、京都を後にする僕らだった。ん?何か忘れてない?...あっ、国立博物館に行くの忘れた!!
ま、同じ狩野派の大天井画が見られたから、いいよな(苦笑)

そんなわけで、4時半に京都を出た僕らは、名神と国1をちょっとばかりぶっ飛ばして6時ちょうどに帰宅することが出来た。(走行距離13.23km)

ポルシェではなくプジョーに乗って...20年前にはまさか20年後の自分たちが自転車に乗って京都の街を走り、ガードレールに夫婦で並んで座って一本のペットボトルを回し飲みすることになろうとは想像すらしなかったけれど、こんな未来も悪くない...もしかしたらポルシェで河原町通りを流しているより幸せ...というよりも豊かな未来なのかもしれないな、とマジで感じた一日だった。

 

 

October.2007 MENU

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