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 6月16日 スズラントレッキング(長野県・入笠山1955m)

  


入笠山山頂にて富士山をバックに

 

いつか必ず絶対に...以前からともちゃんをはじめ、みんなが熱望していた長野県・入笠山にようやく登ることが出来た。
車山の帰り道、茅野市街から中央道をはさんだ向こう側に見える穏やかな印象の山。南アルプス(赤石山脈)の最北端...フォッサマグナのど真ん中に位置するいわば日本のヘソのそのまたヘソのような山で、我が家から3時間足らずの近さで、中央道・諏訪南ICを下りて15分も走れば簡単に行くことが出来る入笠山。(遠出が増えた最近では諏訪湖まで戻ると家に帰ってきた!ってな感覚を覚える...嗚呼恐ろしや。)普段ならゴンドラやシャトルバスはもちろんクルマで山頂近くまで行けるし、ただ山頂に立つだけなら標高300mあまりの裏山よりも楽チンなお山。そんなお手軽な山にどうしてこれまで行きたくても行かなかったかというと、家族それぞれの諸条件がなかなか合わなかったから。その諸条件とは...

1.眺望の素晴しい山なので、空気の澄んだ雨上がりでないとダメ(僕)
2.入笠山といえばスズランの群生なので、花期でないとダメ(ともちゃん&Azu)
3.秘湯巡りと抱合せでないと行く気がしない(Masa)

そんなわけで、上記3つの条件を満たすのは一年に何度もないけれど、今日はまさにそんな“入笠山トレッキング日和”。数日前からクラブのMasaを残し3人で行く予定にしてたんだけど、昨夜遅くになって好みの温泉を行程に加えるならって条件でクラブの練習をサボることを決意したキャプテンMasa(苦笑)もドタ参加することになり、そんな事情からダッちゃんを使った前泊の一泊一日ではなく4時起床で5時前出発。もちろん日帰りの予定で入笠山へ向かう。


駐車場からシャトルバスに乗って

大阿原湿原に到着

伊勢道〜名神〜中央道と乗り継いで順調に北上、それなりに飛ばしたのと休憩をとる必要がなかったのとで、たった2時間半、7:30富士見パノラマリゾート駐車場に到着だ。普段なら山頂直下までクルマで上がれるけど、今日はスズランの花期ってことでマイカー規制になっていて、パノラマリゾートの駐車場にクルマを停めて、ゴンドラあるいはシャトルバスで山上へ向かうことになる。
僕らはゆっくりと歩くのが目的なので、一気に山頂に向かうのではなくシャトルバスを選択。トレッキングの準備を整えて9:10発のバスに乗車。


木道から野鳥観察

ガイドブックで野花の名前をお勉強

バスは気持ちのいい高原道路をぐんぐん高度を上げて行く。車窓からの八ヶ岳の絶景を楽しんでいるうちに40分ほどで大阿原湿原バス停に到着。ここで降りたのは僕ら家族とオジサン2人組だけ...人気の入笠湿原とは違って静かな湿原トレッキングが楽しめそうだ。
この大阿原湿原は標高1810mに広がる本州最南端の高層湿原で、広さは約12ha。3億年前に形成され湿原から草原へと移行しつつある老年期の湿原らしく、もはや湿原というよりも緑に覆われた草原の雰囲気だ。
バス停のすぐそばに遊歩道の入口があり、針葉樹に囲まれた湿原の外周沿いに作られた一周約2kmの遊歩道が延びている。僕らはその遊歩道に沿って湿原を反時計周りにスタートする。


良く整備された湿原をお散歩

森の中を200mほど進むと、湿原を渡る木道に出る。真っ青に澄んだ雲ひとつない空と山の新緑の対照が息を飲むほどに美しく、カッコウを始め聞き分けることが出来ないほど多くの鳥たちのさえずりが響いている。Azuは首から提げたtascoを覗いて野鳥観察。今年からコンタクトレンズを使うようになった彼女はとにかく“見える”ことが嬉しいようで、木道の脇にひっそりと咲く野花を撮影しながら歩く僕とほぼ同じトレッキングというよりも野鳥観察会のペースで進んでいく。

 


平坦な散策路をゆくMasa

それにしても高原らしい涼しく爽やかな風に吹かれながら見通しの良い草原を散策するのはとても気持ちが良く、先にこっちに来て良かったねぇ〜!な気分。
木道をしばらく進むと道はテイ沢の流れにつき当たる。見落としそうな周回路こちらの標識に従って沢を渡る。テイ沢は誤解を恐れずに言えば、「屋久島破れたり!」(ちょっと大げさか?)なコケ苔ワールド!美しい苔に覆われた岩の間を澄んだ流れが涼やかな水音をたてて流れる様は実に素晴らしく、いつまでもここに留まっていたい!と思わせる場所である。

 


美しい苔に覆われ屋久島も顔負け


青い空と緑の湿原

テイ沢を渡る

雰囲気の良い原生林

倒木のついたて


射し込む陽光で美しく輝く森

苔の沢を越えると遊歩道は原生林へと入っていく。陽光が良く届く明るい森はまさに緑色の氾濫。森の中に点在する巨大な倒木はもちろん、立木ですら幹のほとんどが苔に埋め尽くされ、木漏れ日さえもが緑色に染まっているような感じ。そんな中、笹をかき分けてしばらく進むと、スタート地点に戻ることができた。(大阿原湿原トレッキング約2km・40分)


沿道の花や蝶を観察しながらバス道を
通って裏登山道の首切登山口へ

上:首切登山口から入笠山へ
下:絵画のように美しく輝く木々

大阿原湿原を堪能した後は一旦バス停に戻り、沿道の花や蝶を観察しながら舗装されたバス道を辿る。マイカー規制のおかげでクルマが通ることもほとんどないので、舗装路とはいえ気持ちの良いウォーキングを楽しめる。道路の左側に首切清水という物騒な涌き水を左手に見ながら20分ほどで首切登山口に到着。ここからが入笠山の裏登山道、いよいよ山登りなのである。


ほぼ直登になるけど、周囲の豊かな森が僕らを飽きさせない


ユーモラスな枝ぶりがまるで人間のようで、
今にも動きだしそうなブナの老木とともに

上:木漏れ日が眩しい
下:山頂に到着(背景は八ヶ岳)

森に入ってまず気が付くのは湿原との植生の違い。紀伊半島とは2〜3ヶ月ほど遅れた感じの美しい新緑に目を奪われる。山頂までは本格的な登山道を標高差150mあまりを直登するわけなんだけど、姿の良いブナとモミや白樺が混在する森を眩しい木漏れ日に目を細めながらのんびり歩いていると、疲れを忘れることが出来るものだ。


少し遅れて登山道から現れるともちゃん。バックは甲斐駒ヶ岳(右)と富士山(左奥)

森を抜け、急に視界が開けたと思ったら、40分ほどであっけなく入笠山山頂(1955m)に到着だ。えっ?もう?...あまりのあっけなさに少し落胆しながら立ち木の全くない山頂へと向かう。後ろからちょっと疲れた顔で登ってくるともちゃんを気遣って振り返ると、ともちゃんの後ろには...
『見ろよ!オマエの後ろに富士山がっ!』
雨上がりの澄んだ空気のおかげで、山頂に真っ白な雪を頂いた富士山が青い空をバックにそびえているのが見える。感動しながら三角点のある山頂に立ってみると...うわっ!すっげぇ〜!これぞ360°のパノラマ!

 


入笠山(1955m)登頂!

 

まず目に入るのは甲斐駒。左回りに挙げると、その隣にご存知富士山、間近に八ケ岳〜蓼科山〜車山(霧ヶ峰)、白馬連峰、槍が印象的な穂高連峰、乗鞍、御嶽、木曽駒の尖った宝剣の麓の千畳敷カール...雨上がりの澄んだ空気のおかげで、残雪のピークがくっきり見えて、しかもそれらは全て名峰...有名どころ全員集合状態。山頂にある案内板によれば、ここから日本百名山のうち何と24座が見えるということで、早速tascoを手にして山頂から確認してみると...


左から木曽駒、尖った宝剣、御嶽、乗鞍、槍が印象的な穂高連峰CLICK

左から蓼科山〜間近に八ケ岳、ご存知富士山、甲斐駒CLICK

南アルプス:甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、鳳凰三山、間ノ岳
中アルプス:木曽駒、空木岳
北アルプス:白馬、五竜、鹿島槍、槍、穂高、常念、焼岳、乗鞍、御嶽
八ヶ岳付近:赤岳、蓼科、霧ヶ峰、美ヶ原
奥秩父など:金峰山、瑞牆、甲武信、富士山

ホォ〜、ほとんどが肉眼で見えるではないか!(一部はtascoを使って同定)標高2500mを超える山のほとんどは山頂がまだ雪に覆われていることもあって、逆に雪を頂いてる山を探せば、それが則ち百名山...そんな感じなのだ。


ビノキュラーで眺望を楽しむMasa(背景は中央アルプス)

ビノキュラーで見た富士山と槍ヶ岳

なにしろ、どっちを向いても絶景なので家族でどの方向を向いてランチにするかモメたけど、やっぱり日本一のFujiyamaだろうってことで南斜面に腰を下ろす。
暑くもなく寒くもなく、爽やかなそよ風に吹かれつつ、こんな素晴しい場所でランチタイム出来る幸せ!!SAで買った野沢菜おにぎりを味わった後、僕らは山頂に立ってtascoで景色を楽しむ。


暑くなく寒くなく...爽やかな
そよ風にマジでお昼寝のMasa

上:富士山を眺めながらランチタイム
下:ひときわ良く響く声で鳴くヒガラ

あまりの気持ちよさにMasaは大イビキでお昼寝を始めてしまったけれど、今日の目的はスズランを見ることなので、彼をたたき起こして下山を開始することにする。

傾斜は急だけど足元がしっかりしていた裏登山道と比べて、表登山道は礫がゴロゴロした少し歩きづらい道。終始八ヶ岳の雄大な景色を眺めることが出来る景色の良い道なのでついつい足元への注意がおろそかになりがちだけど、転倒しないように注意しながら進む。

 


空を見上げると...

初夏の陽光を浴びて輝く森!重なり合った葉が美しいアートのようで、そんな木々の間からヒガラの美しい鳴き声が響く。人慣れしているの至近距離まで近づいても全く逃げようとしないヒガラを撮影したり、眼前に広がるフォッサマグナの象徴たる八ヶ岳連峰を男性的な稜線を眺めつつ下ると、間もなく岩場を避けるためにつけられた観光客用の道と合流。この辺りから道の両側に様々な野の花が目立ち始める。それとともにバスツアー客だろうか?登山客とは全く違う身なりのガイドさんに率いられた団体で少々混雑し始めるのが少々残念だ。


山頂でのんびりした後はいよいよ
スズランを求めて下山開始

上:表登山道は八ヶ岳の眺望がスバラシイ
下:広い散策路をゆくMasa

まるでお花畑のような草原(冬はスキーゲレンデになる)でちらほら咲いている野花を楽しみつつ、さらに進むと御所平峠に到着。峠に建つマナスル山荘に入ってひと休みすることに。
ランチは山頂で済ませたので、ここでは入口に手描きの看板のイラストがヤケに目立つソフトクリームを食べたんだけど、これがもうメチャうま!例によってともちゃんの口から『ワタシのこれまでの人生で一番美味しいソフトクリームかも!』ってな発言が飛び出すほど(笑)


木道の左側はまるで桜のようなズミの並木

マナスル山荘を出た後は、よく整備された遊歩道を歩いて女性陣念願のスズラン群生地・入笠湿原へと向かう。
おおっ、あった!...今日現在、まだ四分咲きだけどそこかしこに可憐なスズランが咲いている。入笠湿原のスズランは80万株という膨大な数で、良く見たらまるで芝生のように見える平原全てがスズランだし(笑)。
ただ、このスズランというお花は非常に花弁が小さくてしかも葉っぱより背丈が低いので満開になっても、平原が真っ白になる...ってなことはなさそう。それにしても可憐という言葉がぴったりなロリコン好みのお花である(笑)。


広々とした湿原を木道が縦横無尽に延びている

もちろん、スズランだけではなくてヒメイチゲ、コミヤカタバミ、ウマノアシガタ、ニリンソウ、ズダヤクシュ、ツマトリソウetcの春から初夏にかけての色とりどりの野花が満開!!
午前中に訪れた大阿原湿原よりもウェットで若い感じの入笠湿原は、さすがは観光バスで訪れる人が絶えないだけに湿原内を縦横に走る木道の数も良く整備されている。そんな木道を奥へと進むとズミの樹林の陰に華やかなクリンソウの群生を発見!若葉の陰でひっそりと咲くスズランもいいけど、緑の葉から凛々しく立ち上がり、四方八方全ての方向に向けて派手な赤い花を咲かせるクリンソウの群生もなかなかのもの。実は僕のお気に入りはコチラなのである。


道の際にクリンソウ発見!

満開のズミと記念撮影

一応全部見て行かなくっちゃ!ってことで木道を全て制覇し(この湿原は大阿原湿原に比べるとかなり小規模)、まるで桜のように美しい満開のズミの並木で記念写真を撮った僕らは、スズランがひときわ群生している斜面を一直線に延びる道を歩いてゴンドラ駅方面へと進む。群生の中に入って花の香りを楽しみながらゴロンと昼寝したい衝動に駆られるけれど、立入りはご法度。グリーンのロープの外から眺めるしかない。


ゴンドラ乗り場直前で休憩する兄妹

ゴンドラで下山

高原の雰囲気たっぷりの森を歩くこと10分ほどでゴンドラ駅に到着、約6kmのトレッキングは終了である。比較的空いたゴンドラに乗り込んだ僕らは、山上を後にする。ゴンドラからは八ヶ岳の絶景、そしてゴンドラの真下の斜面を縫うように延びるダウンヒルコースを疾走するマウンテンバイカーを間近に見ながら10分ほどの空中散歩を楽しむのだった。


芝生のように見える散策路の両側の緑は全てスズランの若葉だ!



渋川温泉・保科館露天風呂

ゴンドラにを下りた後、登山客より確実に数が多いマウンテンバイカーの数に驚きながら300mほど歩いて麓に停めたOUTBACKに無事帰還。そこからはMasaのご希望でお向かいの八ヶ岳山麓に位置する奥蓼科高原・渋川温泉へと向かう。『5年前から狙ってたんだ!』はいはい。

源泉掛け流し、加温加水なし、洗い場の蛇口からも温泉が迸る毎分200L噴出の一軒宿...Masa君思わずニッコリの褐色の秘湯は風情があってさすがに良いお湯。露天風呂の前に温泉と同じ色をしたお湯が満たされた25mプールがあるのにはちょっと驚かされた(この色のプールを泳ぐのはちょっと勘弁して欲しい感じ...笑)けれど、お湯から上がる寸前まで僕とMasaのふたりで独占して30分以上ゆっくり出来たのが嬉しかった。しかも女風呂にはちゃんとシャワーがあったみたいでMasaとインプレッションが正反対になりがちな女性陣にも好評で何より。


岩壁が特徴的な内風呂

広々とした露天風呂

迷路のような館内

駒ヶ根名物ソースカツ丼の夕食

温泉の後はAzuのご希望で蓼科のStovehouseに立ち寄る。ここは基本的に薪ストーブ用品のお店だけど、それ以外にも若い女の子好みの洋服やアクセサリー、そして可愛い雑貨もディスプレイされていて、家族全員が飽きない。ついつい僕はログキャリア(薪を運ぶ袋)や耐熱グローブ、デザインに優れたストーブ用ライターなど、Azuは板チョコそっくりの計算機だの文具だの...家族全員があれこれ買い込んで、蓼科を後にした僕らはいつものように駒ヶ根で中央道を一旦下りてソースカツ丼の夕食を食べて20:00に帰宅した次第。

 

入笠山で見かけた花CLICK


ミツバオウレン

タチスボスミレ

クリンソウ(ツボミ)

ニリンソウ

スズラン

クリンソウ(群生)

ニリンソウ

ウマノアシガタ

コミヤカタバミ

ミツバオウレン

ズダヤクシュ

タンポポと蝶


ツマトリソウ

ニリンソウ

クリンソウ

ズミ

ニョイスミレ

Photo by aki with RICOH GR-DIGITAL

 

June.2007 MENU

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