あれは一ヶ月ほど前のこと。
『え〜っと、4月14日に5人で予約をお願いしたいんですが。』
『はい、14日に5名様ですね?高山祭にお越しなんですね?』
『えっ?14日って高山祭なんですかぁ?』
親父が亡くなってみて初めて気づいたのは“親孝行したいときに親はもういない”という事実。少し落ち着いたらそんな“親孝行”をしたいと思って、ばあちゃんを連れて1泊の温泉旅行を企画した。
例によって4月は何かと忙しく今週が唯一休みが取れそうな週末ということだけで、宿に予約電話を入れてみてびっくり!偶然その日が高山祭だと知った我が家というわけだ(笑)。最初から高山祭を楽しみにしていた人に申し訳ないようないい加減さだけども、ばあちゃんを連れて奥飛騨で何して遊ぼう?って頭をひねっていた我が家には思わぬラッキーな出来事である。
|
空町駐車場から散策スタート(9:30)
|
朝早くから大勢の人出で賑わう高山市内
|
そんなわけで、朝6時半に家を出て高山へ。ダッちゃんで行こうかとも思ったけど、祭で大混雑の高山市内の駐車場事情を考えてOUTBACKで出発。ところが久々にOUTBACKに5人乗りしてみて気付くのは子供たちの身体が大人並みになっている事実。狭い狭い!
早朝の東海北陸道を清見まで。そこから高山市内へと入り、市街地東部の空町駐車場に入ったのが9:00.。多少の渋滞や混雑を覚悟していただけにとてもスムーズに高山入り出来たのは幸運だった。
空町でクルマを下りると雨が降るあいにくのお天気。でも予報では回復に向かうということなので、傘をさして市内をぶらぶらとお散歩することにする。
|
先日買いそびれた和蝋燭の燭台を購入
|
飛騨牛ホットドックでおやつタイム
|
まず僕らが向かったのは前回、乗鞍青年の家の帰り道に立ち寄った和ろうそくのお店。このまえは美しい絵柄入りの和ろうそくを買ったんだけど、その時に買い忘れた蝋燭台を買うためである。ナントカ大臣賞を受賞したという鋼鉄製のろうそく台は、まるで地球ゴマのようにどんな角度で掲げてもろうそくが垂直に立つギミックが秀逸で、素晴らしくスムーズな逸品。銅製と鋼鉄製のどちらにするか迷いに迷って、我が家のインテリアにマッチする黒い鋼鉄製を選び、僕らはろうそくのお店を後にする。
|
宮川の川辺で風に揺れる柳
そこからはろうそく店で頂いた高山祭の地図&パンフレットを片手に市内に点在する12基の屋台を見て回ることにする。普段は人混みが苦手な僕らだけど、お祭りはまた別で、賑わう街をスタンプラリー感覚でぶらぶら散歩しながら美しく飾られた伝統的な屋台を見て回るのは実に楽しい。もちろん屋台だけではなく、高山の典型的な“小京都”の古い家並みも素晴らしいし、街角にあるシャレたお店、特に骨董品屋さんなどは買えないけど見て歩くだけでとても豊かな気分になれるものである。
|
飛騨牛のホットドッグやら、高山独特の醤油味の「みだらし」やらをつまみ食いしながら歩いた後、僕らは日枝神社へ。高山祭は春と秋の2回あって、今回の春祭は日枝神社への奉納されるお祭ということで、屋台を見て回るだけではなく神社にちゃんとお詣りしたいと思ったのだ。
|
午後からは天気が回復して屋台が外に出始める
日枝神社は人出の多い陣屋前を宮川沿いに南へと向かった高山市の外れに位置し、お祭りであるのを感じさせないほどひっそりとした雰囲気。広く雰囲気のある石段を上がると、見事な杉の巨木の脇に本殿があり、僕らはここでしきたりに従ってお詣りを済ませる。
日枝神社を後にした僕らは一旦宮川を渡り、天候のせいでまだ通りに出ないで待機中の屋台を幾つか見学し、再び人の多い陣屋前へ。中橋から見る枝垂桜のピンクと柳の若草色のコントラスト、辻に並ぶ極彩色の屋台、楽しそうな観光客...高山の春とお祭りの雰囲気を満喫することが出来る。
|
春祭が奉納される日枝神社に参拝する
(写真は天然記念物・日枝大杉)
|
|
上:雰囲気のある石段を上って...
下:日枝神社にお詣り
|
正午を少し回ったところで、子供たちが空腹を訴え始めたので、豪勢に飛騨牛ステーキでも食べようってことで“歩くるるぶ”のMasaに相談。彼が雰囲気とメニューと値段で(笑)即決したのは、とあるステーキハウス。“歩くGPS”でもある彼の先導でそのステーキハウスへ。
|
中橋からの宮川としだれ桜
ところがステーキハウスへ向かう途中の観光客はあまり来そうもない路地で、僕らの前に「飛騨牛串焼」ののぼりがハタハタ...どうやらすぐ隣のお肉屋さんが経営しているみたいで、何と1本¥200と祭の露店の半額以下!おおっ、1人5本喰っても¥1000じゃん!ってことで、すぐにトラップされた僕らはとりあえず10本注文し、店先で戴くことに。旨い!美味い!某道の駅の¥500よりも柔らかくてジューシーでタレも絶妙で....スッバラシイ!
|
格安¥200&バカウマの飛騨牛串焼き発見!
|
路地にひっそりとある高山ラーメンの「なかつぼ」へ
|
そんなわけで、串焼に大満足でもはや高いステーキハウスに行く気が失せてしまったこともあって、ステーキハウスの隣にひっそりとある高山ラーメンのお店へ(安上がり!)。地元の人以外は入らないぜってな鄙びた雰囲気の店構えだけど店内は満席で、しかも出前の注文がひっきりなしで狭い厨房の3人の店員さんは忙しそうに動き回って、大繁盛の様子。
『あたり...かも。』『ウヒヒヒ...御意!』
|
こじんまりとした店内のカウンターでラーメンを待つ
|
中華そば(並)
|
隣り合ってカウンターに座ったMasaとふたりでほくそ笑む(笑)。そんでもってすぐに出された高山ラーメン。典型的な細いちぢれ麺であっさりとした、でもコクのあるシンプルな味。
『あたり...だな。』『ウヒヒヒ...御意!』
そんな感じで高山ラーメンでお腹を満たし、再び牛串焼のお店でもう一本づつバカ旨を味わった僕ら(笑)。お一人様¥8000の飛騨牛ステーキを覚悟してただけに、5人でステーキ一人分以下の予算と何とも安上がりで大満足の昼食となった。
|
人ごみをかき分けて屋台が進む
|
再び三ノ町に戻った僕らは、古い町並みの土産物店や骨董品店を回ってウィンドウショッピングを楽しみ、空町駐車場近くの町家をリニューアルしたお洒落なカフェでお茶を楽しみ、15:00過ぎに駐車場に戻った。高山に到着してから15:00までの6時間、12基ある屋台を全て見ることが出来て大満足なのである。(ただ気軽な観光だとは言えMasaの万歩計によれば26000歩ほど歩いたので、結構疲れたけど)。
|
土日の高山祭にもかかわらず間近で屋台を見学することが出来た
高山祭の後は、先月乗鞍青年の家の帰り道に発見して、是非立ち寄りたかったスポット「七夕岩」へ。(前回Masaはどうしても車窓から見つけたここに立ち寄りたくて、乗鞍から戻った後にネットで詳細を調べ上げたほど)Masaの調査によれば、この七夕岩は乗鞍を源流とする大八賀川の両岸に立つ男岩と女岩の2つの大岩からなり、毎年8月6日(古くは7月6日)に、男岩と女岩の両岩に大注連縄を張り渡し、飾り提灯や、その年男の子の生れた家では藁(わら)の馬を、女の子の生れた家では糸巻きを吊し、牽牛織女(けんぎゅうおりひめ)の2星をまつり、五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈る。国道を横断して注連縄を張るという常識外れの祭のため、危険とされて一時中断したこともあったが、当局との折衝の末、近年復活した...そんな歴史ある岩なのだそうだ(良く調べたね、偉い偉い!)。
|
Masaの強い希望で乗鞍雪遊び合宿の
帰り道に見つけたスポット「七夕岩」へ
|
|
上:何とも言えない厳かな雰囲気が漂う
下:雄岩の上に立つ。ハンパじゃない高度感に足が竦む
|
それにしても男岩は目測で高さ15mほどあり、そこから同じく目測で100m近く離れた女岩に注連縄が渡されるとは!一度見てみたいものだ(ちなみに国道の安全のため、今は七夕祭から1ヶ月で外されるのだそうだ。)。七夕岩の前に立つ看板に遊歩道の表記を見つけたので、急遽男岩のてっぺんまで登ってみることにする。距離は大したことはないのだが、とにかく足元が危なっかしく、すごい高度感!Masaは僕らを待たせてさらにその上の頂上を目指して小走りで走り去り、無事登頂を果たして戻ってきた...アンタも好きねぇ(笑)
|
福地温泉「元湯・孫九郎」の客室にて
|
囲炉裏で寛ぐMasa
|
客室の窓からの眺め。残雪の白さが眩しい
|
七夕岩を見た後は平湯トンネルを抜けて16:00には福地温泉にチェックイン。温泉といえば誰よりも詳しい(ウルサイ?)Masaに場所の選定を任せたところ、彼が選んだのがここ「元湯・孫九郎」なのである。
源泉、掛け流し、加水加温なしでにごり湯...まさにMasa好みのお宿である。当然ながらすぐに浴衣に着替えて温泉へ。ここの温泉唯一の濁り湯の露天風呂に入って極楽ゴクラク...。温泉フェチのMasaはこの露天風呂で一時間以上を過ごす。
|
福地温泉で唯一の濁り湯が満たされた露天風呂で一時間以上寛ぐ
そんでもって築140年という歴史ある古民家の囲炉裏端(熊とカモシカの毛皮が敷いてあった!)で山の幸、川の幸がテンコ盛りの夕食を頂き、その後にも、Masaはまたまた露天風呂で一時間半...すっかりオヤジです(爆笑)とにもかくにも福地温泉「元湯・孫九郎」はこじんまりとした良いお宿。宮崎駿監督の定宿でもあるようでMasaの温泉選択眼に感謝!なのである。
|
こじんまりした家族風呂も良い感じ
(30分交代制 無料)
|
|
上:家族風呂の入口
下:囲炉裏端にて(カモシカとクマの毛皮)
|
五平餅にゴキゲンなともちゃん
|
孫九郎玄関前にて
|