3月27-29日 早春の信州キャラバン(長野県)
3/29 小菅神社“登山”&ザゼンソウ
今朝は7:00に起床。車内の保温とプライバシーのために窓全部に貼った銀マットシェードのせいでダッちゃんの車内は暗がりのままだけど、60/40パーカを羽織ってダッちゃんの外に出てみると、眼前に信濃平の広々とした絶景が広がって圧倒される。昨夜到着した時は日没後で漆黒の闇に包まれていたこともあって気づかなかったけれど、ゆったりとした千曲川の流れの向こうに雪を頂いた木島平を望む素晴しいロケーションだったことに気付いて、しばし呆然...この驚きこそが“動く別荘”の旅の醍醐味のひとつである。
今日はMasaの希望で、道の駅とは千曲川をはさんで反対側にある小菅神社へ向かうことにする。ここは戸隠神社、飯綱神社とともに北信濃三大修験場とされる歴史ある神社である。信州の田舎らしい何となく懐かしい雰囲気の集落を通り抜け、まずは仁王門でクルマを停めて記念写真を撮る。神社に仁王様...このことに違和感を覚えることが明治以降のエセ文明開化に毒されている証拠で、この神仏習合(神仏混淆 しんぶつこんこう)を理解して初めて日本文化を知ることに繋がるのである...なんちゃって。
里の細い坂道をさらに進んで、鋼板張りのくすんだ赤い屋根の古民家が立ち並ぶ里社近くの広場にダッちゃんを停める。昨夜車内のiBookで検索したMasaによれば戸隠神社奥社程度の道のりだということなので、手提げカバンやウェストバッグ持参、Azuの60/40パーカのバックポケットにガイドマップを入れただけ(こういう場合、A4ノートパソコンがすっぽり入る60/40は便利)の“観光客モード”で小菅神社奥社への“散策”を開始する。
まずは鳥居をくぐり雰囲気のある石段を上がって里社に参拝。墓地の間を通って奥社の参道に戻る途中、道端にさりげな〜く福寿草の黄色い花を発見!ちょっと得した気分だ。
福寿草を眺めながらしばらく歩くと参道に入る。奥社への参道は苔むした豪放な石段が古木の杉並木を抜けて一直線に延びていて、降り積もった杉の葉がまるでココア色の深い絨毯のように足に優しい。“朝飯前の”奥社への散策にしては歩いても歩いても奥社は現れず、『戸隠の奥社程度の道だから...。』というMasaの言葉に反して、杉並木を過ぎた辺りからの参道は本格的登山の様相を呈する。
間もなく2003年にここでオジサンが熊に襲われましたってな看板は現れ少しビビる僕ら。マスタードスプレーも熊鈴もダッちゃんに残してきてしまったので、みんなで歌を歌いながら進む。♪あるぅ日、森のなっか、熊さんに出会ぁった♪ヲイヲイ...(苦笑)
30分ほど歩くと正面に尾根が見えてきて、明るい空が覗く。おおっ、いよいよ奥社の稜線か!と思って近づくとそれは空ではなく残雪(涙)。しかも参道がその残雪に埋もれてしまっていて残雪のトラバースを余儀無くされるのだ。滑落に細心の注意を払いつつ(何でお散歩で“滑落”やねん!)、無事渡りきると、谷間から信濃平を一望できるビューポイントに到着。ここで滔々と流れる千曲川の向こうに飯綱山と黒姫山を従えてそびえる斑尾山の絶景を眺めつつ、ここで初めての休憩。
しばしの休憩の後、彩色された顔が妙にリアルな蝦蟇(ガマ)石を眺めながら進むと、いよいよ山腹に修験道の行場らしいゴツゴツとした岩山が姿を現す。(どこかで見た光景だなぁって思ったら、玉置神社の枕状溶岩の岩山にそっくり。)ボルダリングしたそうなMasaをたしなめてさらに進むと、何と最後には鎖場(なんちゃってだけど)まで現れて...結局スタートから1時間、標高差400m超、歩行距離3.5kmの“登山”になってしまった。
でも、さすがに岩窟に飲み込まれるかのように建つ奥社の社殿は荘厳で、これを見るだけでも苦労して登った甲斐があるというもの(“朝飯前”にはちょっとキツかったけどね)。こんな山奥にこれだけの建築物を建てた古の人々の信仰心に感嘆し、敬意を払いながら奥社の回廊を進み参詣者の記帳を済ませた僕らは、社の右手の岩山から湧き出る泉で喉を潤して下山を開始する。
登りは終始曇り空だった小菅山だけど、僕らが下山を開始した途端に薄日が射し始め、残雪ではサングラスがないとまぶしいほど。ただ、杉並木まで下りてくると天候の回復〜気温の上昇に合わせるように杉から大量のスギ花粉が放散され、森の中はまるで黄色い霧に包まれたかのようにモヤがかかって視界不良...花粉症の我が家には最悪のコンディションとなってしまうのだ。
『ハックション!コンチクショウ!』『フェックション!もう!』『ズズズズ...』4人が一度にくしゃみと洟をかむ音が静かな森に響き渡り、もはや森の熊さん♪を歌わなくても充分に熊よけになりそうな騒がしいトレッキングとなった。
参道の途中から左に折れると、桂清水という美しい湧水池に至る。この周辺の洟、じゃなく花が見事で、この時期はもう群生地と呼んで差し支えないほどに福寿草が満開!穏やかな春の陽光にポカポカといい気分を味わいながら、咲き誇る野の花を楽しむことが出来た。但し花粉がスゴイので“洟をかみながら花を見る”だったけど...涙)
小菅の里に咲く花CLICK
Photo by aki with RICOH Caplio 500G wide
小菅神社の登山(笑)の後は、飯山駅前にクルマを停めて駅前のお好み焼き屋さんで美味しいお好み焼きを食べ、Azuの希望で飯山“寺巡り遊歩道”のスタンプラリーのスタート。スタンプマニアなAzu垂涎の企画で、観光協会で台紙を入手し(¥200)、飯山市街にある22の寺を巡ってスタンプを集めるオリエンテーリング。10個スタンプを集めると、達成記念品“極楽浄土ハッピーパスポート”進呈(笑)というものなんだけど、これがもう企画倒れの欠陥スタンプラリー。もちろんまだ観光客が少ない時期だからかもしれないけど、一つ目の寺を訪れたらいきなり葬儀の真っ最中で観光客モードで境内に入るのが躊躇われたり、そうじゃないお寺でもスタンプの置いてある場所が非常に判り辛く、寺によってスタンプが門前にあったりなかったり...本堂ではなくご住職のご自宅でピンポンしないと押せない寺がほとんどだったりして、ちょっとがっかり。Azuを説得して“極楽浄土ハッピーパスポート”を諦めさせて途中リタイアなのである。
少し時間が出来たので、そのまま諏訪に向かって諏訪大社上社へ。 見事な巨木群を楽しんで参拝を済ませた後はともちゃんのiMacでbookmarkしてるサイト「信州花便り」で8分咲という情報を得た有賀峠(ありがとうげ)のザゼンソウ(座禅草)を見に行く。写真でしか見たことがないザゼンソウ...一度はこの眼で見てみたいというともちゃんの希望を叶えるためである。
去年の武石村の福寿草と同じく、木道が設けられ地元の方々によって大切に保護された湿原へと進む。雰囲気の良い森。きっと多くの人々の愛情が注がれているんだろうな...歩いているだけでそんなことを感じる素晴しい湿原の森である。 しばらく進むと、湿原にサトイモのような色をした丸いものがコロコロと転がっているのが見える。これがゼゼンソウである。
湿原の落ち葉に埋もれるように咲く、可憐...とは言いがたいジミだけどユーモラスでちょっとヘンテコな愛すべき花。よく見るとミズバショウと同じ形をしている(実際、同じ種類の花だ)くせに、真っ白なミズバショウとは違って、何だか美しいのかそうでないのかビミョーな色合いだけにとても損をしているマニア向けの花...そんなザゼンソウを見て、僕らはこの花に“マサミチソウ”という別名を与えました(笑)。
親バカかもしれないけど、イイものは持ってるし、結構珍しい存在だとは思うんだけど、どうも不器用と言うか何と言うか...今でこそこうして大切に保護してザゼンソウが咲く村であることを誇りに思ってる地元の人だけど、昔は色が悪くて悪臭が漂う“臭い花”として棒で突いて倒してたらしい(笑)。まさに“マサミチソウ”なのである。
ザゼンソウを楽しんだ僕らは伊北ICから中央道に入った後、一旦飯田で下りてMasaが薦めるままに天竜峡の水簾洞温泉で汗を流し、21:00に帰宅したのだった。
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