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いよいよスノーシューシーズン到来!

 

1月24日 御在所スノーシューハイキング(三重県・御在所岳)

子鬼の居ぬ間に...#1

去年は仕事&家族環境に劇的な変化があって、家族全員で休日にお出かけする機会がグッと減った一年だった。元々決して多くはなかった休日がさらに少なくなったわけだし、40代になってそろそろ責任ある立場になった証拠でもあるからしょうがないんだけど、災い転じて福となる...その代わりに夫婦で過ごす機会が増え、去年は一年で16回の“子鬼の居ぬ間に...”を楽しむことが出来た。
もちろん子育てをまだ完全に卒業したわけではないので全て日帰りだし、さほど遠くへ行けるわけでもないんだけど、子供たちを学校に送り出す8:00から彼らが帰宅する17:00までの9時間でいかに濃密に遊ぶかという命題にチャレンジするのは実に楽しい作業。これは会えない時間がぁ〜愛育てるのさぁ♪じゃないけど、障害があればあるほど&規制されればされるほど燃え上がる恋みたいなものかもしれないと思う(笑)。しかも夫婦だけだと子連れに比べて準備がラク。感覚的には1/10の手間に感じるし、フィールドで気を配る対象がともちゃんだけってのはソロに近い雰囲気すら漂う。ご夫婦で野遊びを楽しんでいらっしゃる諸先輩の遊び方が肩のチカラが抜けてお洒落なのは、こういう理由なんだなぁ...つくづく感じる今日この頃だ。

夫婦で野遊びのお気楽さを覚えてしまうと、もうヤメられない止まらない...かっぱえびせん状態で、今年はMasaが高校受験だし、Azuが中学に入学するし、去年よりもさらに夫婦でお出かけ出来る環境が整うのは間違いなく、毎週は無理にしても月に2回程度はふたりでお出かけしたいものだと思う。

さて、そんなわけで、今日は記念すべき“子鬼の居ぬ間に...2007”の第一弾として御在所岳へハイキングに出かけた。ハイキングといってもふたりなので無理する必要もないわけで、リラックスと美味しいランチタイムが目的。すっげぇ寒い場所でフーフーしながら熱々の鍋を食べたいねってアイデアだけで出発出来るのが“子鬼の居ぬ間に...”の良さなのである。


ロープウェイで標高1180mの山上公園駅へ

カモシカを探しながらの空中散歩にご満悦

子供たちが居なくなってから準備を始め、9時前に家を出る。御在所ロープウェイの山麓駅前に9:30到着。
山麓から見上げる御在所岳にはあまり雪がなく、スノーシューイングなんて出来るんかいな?って不安になりつつロープウェイで標高1180mの山上へと向かう。ゴンドラから眺める中道沿いの山腹にはほとんど雪がなく、これならアイゼンなしで登山できちゃうなって感じるほど。ともちゃんは子供みたいに窓にへばりついてカモシカ探しに余念がないけど、今日は残念ながら野生のカモシカを発見することは出来なかったようだ。


徐々に出来つつある氷瀑前にて

アゼリア前からスノーシューを履いてスタート

ロープウェイ山上駅を降り立った瞬間は、遊歩道にほとんど雪もなく、気温は氷点下3℃とヤケに暖かくて雪山ファッションに身を包みスノーシューを担いでるのが場違いで滑稽なほど(涙)。スノーシューを山上駅で預けてアイゼンだけで行こうか?なんて話しつつも、一応雰囲気だし(笑)ザックにスノーシューを固定したままで山頂に向け遊歩道を歩き始めることにする。
レストランアゼリアを過ぎ、表登山道口を過ぎたあたりから路面が徐々に雪に覆われ始める。遊歩道はしっかり踏み固められていてツボ足で何の問題もなく歩けるんだけど、敢えてスノーシューを履く僕ら。なんたって僕らは恰好だけの“なんちゃって”ですから(笑)。


アカヤシオの疎林帯を進むともちゃん

鎌ヶ岳の美しい姿を左手に眺めつつ堅く締まった雪道を進むと山頂と武平峠への分岐点に到着する。僕らはそのまま武平峠方面へ進み、鳥居から坂を下って長者池へ入る。長者池の谷は尾根道よりもぐっと雪が深く、ツボ足での歩行はちょっと困難な感じ。池の畔に建つ祠にお参りを済ませ、アカヤシオの疎林を抜けて御嶽神社方面へと進む。
クネクネと曲がった枝が特徴的なアカヤシオの樹林帯は、何となくムンクの絵画を思わせる雰囲気。今日は積雪がさほどでもないので楽に抜けられるけど、あと1mも積もると枝が引っ掛かってマトモに歩けなくなるんだろうな。
御在所岳と鎌ヶ岳の中間にある小ピークに建つ御嶽神社は木曽御嶽神社の分社にあたり、御祭神は御嶽山蔵王大権現、大日大聖不動明王。前回10月末に来た時とは全く違う荘厳な雰囲気に思わず柏手を打ってお参りする僕らだ。


山頂と武平峠の分岐点にて

長者池へと下る

御嶽神社にお参りした後、僕らは参道を外れて御嶽平の縁に広がる森の中へと入り、雪の深い場所を選びながらフカフカ感を楽しみつつアカヤシオの疎林を縫うようにデタラメに進む。うっすらと雲に覆われているものの視界は良好で、ポケットの地形図通りの地形が続き、しかも左肩に着けたGPSも12チャンネルのうちの8個の衛星を確実に捕捉している状態。


再び雪原に出ると鎌ケ岳の鋭峰が美しい

液晶画面に描画される精密な地形図は、数日前に買った新しいバージョン(Ver.7。なんとDVDでの提供であることを知らずに買って、CDしか使えない我が家のWINDOWSマシンのためにDVDドライブを買い足す羽目に!...涙)のJapan TOPO-10Mで、現在ポイントの誤差はたぶん1〜2mしかないわけで、安心して森の中をワンダリングすることができる。ひたすらピークを目指す山登りも楽しいけれど、こうして自然を観察しながら特にあてもなく“ウォークアバウト(walkabout)”する方が僕ららしいなと思う。

斜面をトラバース気味に進むと、突然樹林を抜けて広場に出る。正面に『大自然、自然のままに美しく』と彫刻された鈴鹿国定公園記念碑が現れる。記念碑の横をすり抜け、山頂へと進む道から分水嶺を越えて左へ...つまり滋賀県側へと下ってみる。


御嶽神社にお詣りした後は遊歩道を外れて山へ

突如として鈴鹿国定公園記念碑に到着

積雪が数十cmの三重県側とは違って、滋賀県側は1m以上。吹き溜まりでは数mは積もっていそうな場所もあり、また踏み入る人がいないのかフカフカのヴァージンスノーな斜面が続いている。雪崩が起きそうな急斜面を避け、しばらく下っていくと斜度が緩い立ち木の疎らな広場のような場所が現れたので、ここでランチタイムを取ることにする。

ザックを下ろして雪を踏み固めた後、ともちゃんのザックに挿してある2本のスノーショベルで雪面を掘り進む。さほど風もなく体感温度は気温(ザックにつり下げたプロトレックによればマイナス5℃)とほぼ一致しているので、雪洞を掘る必要はなく、2人用のダイニングテーブル&ベンチを掘るだけ。

 


分水嶺を越えて滋賀県側へ下り、平らな場所でランチ。
雪山でマトモに使えるのは何と言ってもMSRだけ!

ものの5分で僕らだけのL字型ダイニングが掘り上がり、すぐにMSRウィスパーライトに火を入れ、雪を詰めた鍋を架けて、まずは水を作る。夏山の稜線上は水の確保がとても大変で、水が一番の貴重品だけど、雪山は見渡す限りの水、水、水...燃料の続く限り熱々のお湯の恩恵に預かることが出来るのが素晴らしい!

♪ゆき〜がとけて、おゆ〜になって、おなべになりますぅ♪
...キャンディーズの古い歌を口ずさみながら(笑)湯気が上がり始めた鍋に予め用意した具材を放り込むだけで寄せ鍋の調理は終了。後は、身体が冷えきる前に鍋が煮えるのを願いながら待つだけだ。


雪原を掘って2人用のダイニングテーブルを作る

雪山の良いところは水場を探さなくていいこと

雪のテーブルに無造作に放置したせいで、コンビニおにぎりがカチコチに凍ってしまったので後で鍋に入れて雑炊にすることにして、冷え冷えのキットカットのストロベリー味をかじりながら待つこと5分、MSRは勇気が湧くようなゴーッ!という燃焼音とともに、すぐに熱々の鍋を僕らに提供してくれる。Lサイズの白ガスが予備としてもう一本あるので、MSRの火を落とさずに盛大に湯気を上げ続ける鍋を囲んで(煮詰まるので時折雪を加えながら)氷点下で食べる鍋物の美味しさといったら、そりゃぁもう!同じ料理でも、薪ストーブで22℃にコンディションドされた室内で食べる時の100倍美味しいお鍋である。


氷点下の雪山で食べる寄せ鍋の味は格別

鍋の具材とうどんを瞬く間に完食した後は、おにぎりをブチ込んでの雑炊で最後の一滴まで食べ尽くし(誰も見てないのでペロペロ...笑)、鍋をケトルに架け替えてレギュラーコーヒーを煎れる。雪山に漂う豊潤な香り...普段はミルクを入れる僕もこの場ではブラックで楽しみたい!そんな気分にさせられる旨いコーヒーなのである。

『ここでツェルト張って一晩過ごそうか?AzuとMasaは心配するだろうなぁ〜!』
『ダメよ、夕方H師匠とMasaのギターを買いに行くことになってるんだから。』
経験と技術がないぶん、食料3日分、スリーピングマットにゴアのシュラフカバーまで持ち込んでビヴァークいつでも可能!な僕らは半分冗談、半分本気の軽口を叩きながら、平日の人が少ない雪山、しかも他のアイゼンだけの登山客が踏み込めない場所に入って(僕らスノーシューな人の特権!)ふたりきりの時間をまったり過ごし、帰る準備に取り掛かる。(ちなみにもしここに泊ってたら、とんでもないことになりました。翌日は15mを超す強風でロープウェイは運行中止...汗)


ともちゃんの手前のでっぱりが分水嶺

動物の足跡を発見しアニマルトラッキングを楽しむ

雪洞の中に籠らない雪山でのランチタイムは食べ終わった後の後片づけをいかに手早く済ませられるかが勝負。のんびりしているとすぐに身体を寒さが襲って手足の先っぽが痛くなるし、仮に吹雪がやってくるとあっという間に道具が雪に埋もれて行方不明になってしまうので、食べ終わったらすぐにザックに道具を詰めることが肝要だ。
そんなわけで道具を片付けている途中、ともちゃんが『あっ!』と小さな声を上げ、口に一本指を当てながらそおっと振り返る。『今、私の後ろを何かが通ったの。』えっ?ナニナニ?

雪原に残る動物の足跡(左からリス、ウサギ、イタチ、右の大型のものはカモシカか?)CLICK

すぐにザックを担いで、抜き足差し足で森の中を進むと...ありました!往路の僕らのスノーシューの足跡の上をウサギの足跡が横切ってるのだ。さすがは“野性の目と耳を持つ女”!(笑)
『ねぇ、あっちに続いてるわよ。足跡を辿ってみましょうよ。』僕らはウサギの足跡を辿って、さらに滋賀県側へと手付かずの雪面を下ってゆく。
広くなだらかに傾斜した雪原はどこをどう歩かなくてはいけないってわけではないので、アニマルトラッキング(動物の足跡観察)を楽しみながらぶらぶらとお散歩を楽しむ。


動物たちの足跡しかないヴァージンスノーの感触を
楽しみつつ1150mの等高線上を右回りで進む

上:時にはこうして転倒することも(笑)
下:帰りは遊歩道でロープウェイ駅へ戻る

ともちゃんは次々に新しいウサギの足跡を追いかけて真新しい糞を発見して大喜びだった(ウサギの行動半径は思いのほか狭くてびっくり)し、僕は5本の指が愛らしいイタチを追いかけてみる。ただの足跡だけど、その足跡の主が立ち止まったり、時にはつまずいてずっ転けたような痕跡も残ってて、姿は見えないのにまるでそこに動物たちが居るかのように思えるのがとても楽しい。イタチ、ウサギ、リス、そしてちょっと古くて独特の蹄の形までは残っていなかったけど、カモシカちゃうのん?ってな大型の動物の足跡もあって、御在所岳西側の動物の豊かさとアニマルトラッキングの楽しさを再発見した僕らだった。


家から一時間以内でスノーシューを楽しめるフィールドがあるシアワセ

山頂付近で1時間ほど歩き回った後、子供たちの帰宅する時刻も迫ってきたので、僕らは往路を辿ってロープウェイ山上駅へと向かう。レストランアゼリア手前でスノーシューを外し、当然ながら待ち時間なしのロープウェイで山麓に下りて、帰宅の途につく。途中、湯の山街道沿いにある老舗の和菓子屋さんで、亡き父の大好きだった麩饅頭を買い込み、OUTBACK車内で食べながら家へ。16:00前には到着し、子供たちを何事もなかったような顔で迎えたんだけど...
『で、今日はどこへ行ってたの?きそふくしま?御在所?』
『え、何のこと?今日は家でじっとしてたけど...。』
『うそつけぇ!鼻の頭が日焼けしてるよ。(笑)』
Masaには全てお見通しのようである(笑)。

 

 

 

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