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September.2006 part.4

 

 

 

  9月27日 宮川ダウンリバー(田口大橋〜宮リバーパーク15.5km)

  


雨上がり、笹濁りの宮川をゆく

子鬼の居ぬ間に...#11

登山?カヌー?サイクリング?何も決めないまま朝を迎え、子供達を学校へ送り出してから夫婦で『どこ行く?』状態といういつも通りの我が家である(笑)。昨夜はかなりの雨量があったので、おnewの登山靴を汚したくないともちゃんは登山に猛反対。サイクリングに行きたい場所もいくつかあったけど、我が家のシンボルツリーを揺らす風を見て『風が強いと2台の自転車で会話が出来ないよねぇ〜!』ってことで断念。じゃ、ふたりの距離が変わらないでいっぱい話せるカヌーしかあるまいってことで、気圧配置のチェックに取り掛かる。


田口大橋下流の河原に到着

気圧配置から追い風は確実だし、昨夜の大雨以降の水位の動きがとても自然なのでダムの放水ではない自然増水に違いない...僕らが下した判断は、間もなく始まるヤナ漁を前に、今日は夫婦(めおと)タンデムで宮川をダウンリバー。“子鬼の居ぬ間に...”の第11弾である。

例によって全く準備をしてないので、3日前にシュノーケリングで積んだばかりのOUTBACKのジェットバッグを下ろし、CAMPER1艇仕様のキャリアアタッチメントを取り付けるところから始めて、カヌーに積込む道具を揃えて1時間後の9:30スタートで宮川へ。

途中のコンビニで飲み物などの買い物を済ませ、10:20過ぎ、野原大橋にしようか田口にしようか迷いつつ田口大橋下の河原に到着。

CAMPER1艇でのタンデムなので、漕ぐだけなら粟生頭首工〜度会橋30km程度が適度な距離だけど、今日はカヌー遊び=ワンダリングの延長でのんびり遊ぶだけということでそんなに漕ぐつもりもなく、田口ぐらいからがちょうどいいかも?という考えだ。
川漁師さんの舟を運ぶ道が水際まで続いているので、OUTBACKを水際ギリギリまで進め、最少の手間でカヌーを着水。

但し、RV-INNOの太いベルトを外すとカヌーがルーフのキャリアの上で風に煽られてガタガタ揺れるほどの強風。ルーフからカヌーを下ろす際に下手するとカヌーごと吹き飛ばされる危険性もあるほどなので、慎重に風下側からカヌーを担ぐ必要がある。

予想通り、50cmの水位アップで濁りも笹濁り程度、しかも風速5〜10mの追い風ビュービュー状態と抜群のコンディション。今回もゴールは未定。とにかく気分良く行けるところまで行って、ゴールの後でOUTBACKを取りに戻る際にサイクリングも楽しんでしまおうってことで、CAMPERにフォ−ルディングバイクPEUGEOT Paci-fic18を2台載せてのダウンリバー...初めての試みだけど、Pacificを買った時に入念に確認しただけにセンターヨークをはさんでまるで専用のようにきっちり収まる(PATHだともっとギリギリ)。


キャンプツーリングか!?な大荷物の理由は...

重量は2台で21kgと風の強い日にバウに載せる河原の石ころ一個ぶんだけど、ワンディトリップとは思えないほどのキャンプツーリング並みの大荷物だ。


正面に座ると何だか話しづらいことも
前後に座ると会話が弾む気がする。

上:PEUGEOT Pacificを2台積載
下:50cm水位がアップした宮川は快適そのもの

田口大橋を10:45スタート。
川の上のコンディションは笑っちゃうぐらいに目論み通り!追い風と増水した速い流れに乗って、カヌーはぐんぐん下流へと運ばれていく。ほとんど漕いでないにもかかわらず、防水バッグに固定したGPSの速度は常に8km/h以上を表示していて、瀬では15km/hも記録するほどだ。
カヌーに乗り込んで川面に漕ぎ出してしばらくすると、風がぴたりと止む瞬間がやってくる。両岸の木々は激しく揺れているのにカヌーに乗った僕らは全く風を感じない...これが“追い風に乗った”状態である。仮にこの状態で煙草に火を点けると、煙はまるで室内にいるかのようにゆったりとたなびく。耳に入るのはパドルの水音だけでバウシートで漕ぐともちゃんのつぶやきも聞こえるほどの静寂が僕らを包むのである。

結婚21年目の夫婦と言えども、面と向かってさぁ、話そうとすると何となく照れくさいけど、こうして彼女の後ろ姿を眺めながら、時々振り返る彼女とだったら話が弾むもの。ま、自然の中ではたいした話はしないけど、、それでも家での何日分にも相当するほどの会話を楽しむ。

 

美しいダウンストリームVの頂点をゆく
左右から打ち寄せるさざ波が美しい!

上:わぁ、大きい!
下:トビが僕らのカヌーをかすめるように飛ぶ

雨上がりの朝ということで濁りのある宮川。実に残念だけど、一昨年の水害で壊滅的な被害を受けた宮川&三瀬谷のふたつのダムが今も相当にひどい状態ではしょうがない。あの水害の前...さらにその10年前は雨上がりでも濁りが出ることは少なく、“怖いぐらいに透明なままの2m増水!”なんてのが普通だった。今から考えれば、それは決して普通じゃなく宮川ならではの素晴らしさ(銚子川は今でもそうだけど)だったんだけど、粟生頭首工から度会橋までずっと川底にカヌーの影を映したままの“空飛ぶカヌー”で3時間ってな幸せなダウンリバーがとても懐かしく思える。もちろん、ともちゃんもその頃から僕と一緒に宮川を下っていて、彼女の川にたいする辛口の考えは、あの宮川を基準にしているのだなぁって今更ながらに思うのである。


典型的な宮川中流部の風景

濁りはあるものの、汚濁した感じはない清潔感のある宮川の水は水位アップもあって滔々と流れる。流れがないように見える瀞場も、実は時速4〜5kmで流れ続けていて、くっきりとしたダウンストリームVとそれに続く波高30cm未満の三角波の立つ瀬や風で波立つ瀞場を交互にやり過ごしているうちにあっという間に鯨岩に到着。大屈曲のエイペックスで若干の向い風を感じた他は終始追い風の快適ダウンリバーである。

中川大橋手前の旧中川橋の残骸の瀬は中央突破でクリア。さすがにこの水量だと下半身ずぶ濡れになっちゃうけど、普通の服(...実際は速乾性に優れた最新のテクニカルウェアなんだけども)の下に3mmのウェットを着込んでいることもあって寒さは全く感じない。中川大橋の橋梁の下で出艇準備を進めてるサンド−ベージュのモダンスタイルのカヌーを視認...やまなかさんだ!右岸にフネを寄せご挨拶した後、さらに下流へとカヌーを進める。


中川大橋手前の瀬でずぶ濡れ

スタートからジャスト1時間で鰻屋「膳」の前に到着。中川大橋手前の瀬で濡れた靴をTEVAに履き替えて、河原を歩いて「膳」の店内へ。

中川大橋手前の瀬でザブンザブンと大波を浴びたせいで、僕のサプレックスナイロンのパンツが股下がグッショリだけど、膳は板張りなのであまり気を遣わなくてもいいのが有難い。ただやはり座布団を使うのは躊躇われるんだけど、ともちゃんのストームゴージュパンツは全く濡れていなくて、とにかく素晴らしい撥水性である。


お楽しみの鰻料理「膳」へ

夫婦だけのささやかな贅沢“月”(上丼)

通気性やストレッチ性にも優れているくせに全然濡れない。今までの代表的な速乾素材サプレックスナイロンがコットンに思えるほどの大きな差で、汗をかいてもサラッとした履き心地は変わらず...これは究極のカナディアンカヌー乗りのパンツなのだ。(しかも、かなりのストレッチ性があって、スタイルも細すぎず太すぎず、彼女の足が長く見えるのも優れた機能性の一つ...笑)
そんなわけで、妻は座布団を使って上座に座り、夫は板の間の下座...我が家の夫婦関係を如実に現す「膳」でのポジション(涙)。

今日はふたりっきりなので当然ながら上丼“月”を注文。家族4人でのカヌ−な1日だと1日遊んで出費はいつも¥2000以下(そう、カヌーは15年も続けてると全くお金の掛からない遊びなのだ!)とかなので、「膳」で“月”を4人分頼むとちょっと予算オーバーだけど、今日は2人なのでゼイタクしてもいいのである(笑)。


「膳」の窓からの風景

おおっ、あれはヤマナカさんではないか!

アイスコーヒーまで注文して、「膳」の座敷に座ってのんびり1時間半も寛ぐ。大きな窓から眺める宮川は実に美しく明るく...そんな宮川の右岸寄りを進むやまなかさんのベージュのカヌー...この美しさ、カッコ良さを見ると、カヤックじゃなくカナディアンカヌーを始めてヨカッタ!と心から思える、そんな光景だ。


「膳」の前に咲く彼岸花と河原のカヌー

相変わらず美味しい「膳」の鰻丼と香り高いコーヒーを楽しんだ僕らは、駐車場に咲く彼岸花の赤と川の緑のコントラストを楽しみつつ再び河原のカヌーに戻る。TEVAをウェーディングブーツに履き替えて、カヌーに乗り込み、背中に強い追い風を感じながら本流へ。
立花の右カーブの瀬は今日ぐらいの水量が一番危険なので多少左側にマージンを残しながら岩と岩の間をすり抜ける。ここから次の河原までの淵を風に乗って進みながらのんびり過ごし、ペンキ塗りたての鮠川大橋の赤い橋梁をくぐる。


ペンキ塗りたての鮠川橋の赤が目に沁みる

内城田大橋手前の岩礁地帯を縫うように進む

14年前、センターヨークに固定したチャイルドシートに『バブー』しか喋れないMasaを載せてタンデムして以来、こうして1艇でタンデムを組んでこの川を下るのは数えるほどしかない。まして2人きりとなると120回を数える宮川ダウンリバーの中でたった2回のことである。
かつてはあんなに喧嘩ばかりしていたカヌーイングも、今ではもうパドリングでもめることは一切ない。もちろんビギナー向けの川をのんびり漕いでいるに過ぎないし、カヌーが趣味だなんて言ったら笑われる程度の回数しか漕がない僕らなので、ふたりのカヌーのテクニックが上達したなんてことはないわけで、もしかして僕らは少しは“以心伝心”の領域に踏み込みつつあるのかなぁ、なんてちょっとだけ嬉しかったりする。いつも通りの宮川、でもいつも違う宮川をノンストップ・トーキングで、でもパドリングは淡々と下り続ける僕らなのである。


スカウティングではなく、人間セイル(帆)になってるつもり

久倶都比売橋の手前で今日5羽目のカワセミを間近で観察し、『なんで逃げるのよぉ〜!待ってぇ〜!』なんて彼との(くちばしが黒い♂だった)追いかけっこを楽しみ、野鳥って色が判るのかな?次もオリーブ色のカヌー買ってね!などと話しているうちに僕らのカヌーは内城田大橋へ。


一之瀬川が合流(右側の澄んだ流れが一之瀬)

宮リバーパークにゴール

一之瀬川の合流を過ぎ、緩やかな左カーブを曲がると宮リバー度会パークの広々とした河原が見えてくる。『あっ、タヌキ!』右岸の草むらで明らかにリラックスして昼寝しているタヌキの寝姿に癒されつつ、宮リバーパークの第4駐車場の階段にカヌーを着ける。
時刻はまだ14:00前で、このまま度会橋まで行こうかってなアイデアもあったけど、僕の頭にはひとつの目論見があって、ここをダウンリバーのゴールにすることに。GPSの距離計は15.5kmと前回6月にマジコさん夫妻と同じコースを下った時よりもほぼ500m短いことが、今回のダウンリバーがいかにスムーズでラクチンだったかを物語っている。


平日の宮リバーパークは人影がない


カヌーからPEUGEOTを降ろして組立てる

川べりに並ぶYin&Yan(陰陽)Pacific18

誰ひとり居ない河原にカヌーを引き上げ、センターヨークの前後に積んである2台のPEUGEOT Pacificを下ろし、スプラッシュガードを兼ねた輪行袋から取り出して、ともちゃんに方法を説明しながら組立てる。駐車場にあるトイレでウェットを着替えた後、それぞれの自転車を担いで階段を上がり、自転車で田口大橋までの宮川アップリバーのスタートだ。


のんびりサイクリングの開始

自然豊かな右岸を上流へ疾走する

川面を吹き抜ける強い追い風も川から少し離れた道路では緩い向かい風。この風が逆に汗ばんだ身体にはとても気持ちいいほどだ。左岸のバス道は交通量も多く、また結構なアップダウンがあるので、僕らは内城田大橋を渡って右岸を進む。平日の昼間、この道は通行するクルマが1台もなく、また森の日陰になって実に涼やかで爽やか。何となくフィトンチッドの香りが漂って森林浴気分を味わいながらの気持ちの良いサイクリングだ。


彼岸花が怖いほど赤く咲き乱れる田舎道をゆく

宮川右岸の森の道は田間の峠を抜けた辺り、立花の集落の手前から宮川のすぐ傍を川に並行して走る。右手に宮川、左手に美しく刈り込まれた茶畑。茶畑に霜が下りるのを防ぐグレーのファンが川上から吹く風を受けてクルクルと回っている。茶畑を過ぎると集落が近づき、田畑の畝には真っ赤な彼岸花が咲き誇る。そんな中を少しだけ西に傾いた太陽の作る長い影をたなびかせるように2台のPEUGEOTが走る。


さっきまで浮かんでた宮川を眺めつつのサイクリング

田口大橋にゴール!!
 

麻加江の集落からは初めての峠らしい峠。左岸を宮川沿いに進むと6kmほどある部分を峠を越えることで半分以下に短縮できるだけに、多少の急坂は我慢しなくてはいけない。宮リバ−パークをスタ−トして20分、田口大橋〜中川大橋間のショートカットもあって自転車の走行距離は13.23kmで田口大橋下の河原に到着である。
2台の自転車を折畳んでOUTBACKのカーゴルームに積込んだ後、宮リバ−に戻りカヌーと道具を載せて帰宅の途に付く僕らだ。
宮川を出たのは16:00ちょうど。カーゴルームにはいつもの「日帰り温泉セット」が載っているので、温泉もいいかなぁとも思ったけど、やっぱり前回、5月24日に今日と同じように夫婦(めおと)カヌーで宮川を下った時の宿題...玉城ICそばのケーキ屋『NID DA BEILLE』で静かにお茶することにする。注文はもちろんケーキセット!カヌーの後は甘いものがメチャ美味しくて、カヌーの上でとはまた違った話が弾んで楽しい時間を過ごす。


OUTBACKに自転車を積み込んで宮リバーへ

大人のカヌーはケーキ屋に立ち寄る余裕も大切

ここから我が家まではOUTBACKエキスプレス(笑)で30分少々と、ともちゃんが友達とランチにやってくるようなご近所だけど、『ママぁ〜、ワタシの話も聞いてよぉ〜!』なんてウザい子供たちの声が響かない時間は貴重なのである。
“カヌーもいいけどケーキもね!”...大人のカヌーはこんな余裕も大切だなぁって感じた1日。

17:30、何事もなかったかのように帰宅し、子供達の帰りを待つイケナイ両親な僕ら。
当然ながら「膳」の鰻も「NID DA BEILLE」のケーキセットも子供たちにはナイショ(笑)である。

 

 

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