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June.2006 part.3

 

 

 

 

  

 


宮川グリーンの川面をのんびり進む

6月14日 宮川ダブルカヌーデート(田口大橋〜宮リバーパーク15.99km)

子鬼の居ぬ間に...#6

40過ぎてデートもないだろ?ってな気がしなくもないけど(苦笑)、子連れじゃないふたりっきりでのお出掛けなんだからやっぱりデートなのかな?ま、僕らが一緒に暮らし始めてから子持ちになるまでの6年間、ふたりきりで過ごしたわけで、ふたりでお出掛けするのは何も特別なことじゃない。でも...期末試験の直前になると何故か猛烈に読書したくなるあの気持ちと同じく、時間が限られれば限られるほどふたりで過ごしたくなるんだな、コレが(笑)。

そんなわけで“子鬼の居ぬ間に...”も第6弾。
今日はPEUGEOT Pacificが届いたらサイクリング?なんて思ってたけど、残念ながらまだ届かなかったし、他に特に予定がなかったのでショッピング?それともダ・ビンチ・コード?などと言いながら迎えた休日。ところが、先週末に念願のPATHFINDERを手に入れたマジコさん夫妻が、“フーフーズ”で宮川に来られるってことを耳にして、迷うことなく僕らも宮川へ向かうことにする。先月みたいにCAMPER1艇にタンデムのつもりで準備を進めていたところ、マジコさんから今回はnokoさんが初ソロダウンリバーに挑戦するという情報が。
『ワタシも久々にソロで下ってみようかなぁ...。』ともちゃんから届いたそんな携帯メールにほくそ笑む僕なのである。

夕方、OUTBACKに“Magic-o-carrier Ver.3”エクステンションバーをセッティングし、CAMPERとPATHFINDERを平積みで積んでみる。うひゃっ!すげぇはみ出してる!OUTBACKの狭いルーフに並ぶ2艇のカナディアンカヌーはいかにも不安定だ。2艇のカヌーの全幅合計は1830mm。大きな声では言えないけど、全幅1780mmのOUTBACKでははっきり言って道交法違反。ま、ドアミラー幅(1950mm)よりはひっこんでるから許してもらおう。(でも、仮に事故が起きれば当然ながら責任重大なわけで、いつもより念入りにカヌーの両エンドをがんじがらめに縛り付けたけど)


花、OUTBACK、カヌー、田口大橋

上:OUTBACK2艇積みで 田口大橋に到着
下:スタート準備完了!

こんな感じで迎えた朝。子供たちを学校に送り出してから装備の準備を開始して8:45出発。いつもよりスピード控え目に伊勢道を南に向けて走る。

“子鬼の居ぬ間に...またまたダウンリバー!”
“祝・nokoさん初ソロダウンリバー!”
“鮎解禁12時間前の宮川をゆく”
“PATH PATH走る PATH PATH速い♪”

今日のカヌー日記のタイトルをどれにするか迷いつつ(笑)、宮川・田口大橋へ。平日だけに誰もいない河原。ふたりとも水着を着こんでいるので“スッポンポン着替え”を済ませ、カヌーを水辺に運んでマジコさんの到着を待つ。
15分ほどしてマジコさんのサリーちゃんが河原への進入路を下ってくる。今日我が家がダッちゃんじゃなくOUTBACKで来たのは2台揃ってスタックの可能性を視野に入れてのことだけど、ここ田口の進入路は一番幅が広く傾斜も緩いのでFRでもノープロブレムだ。

水際に並ぶnokoさん&ともちゃんの2艇の赤PATH。ソロもタンデムもこなすフラットボトム艇のオールラウンダー2艇を前にこれまで長らく“孤高のソロママパドラー”だったともちゃんは感慨深げ。『主婦仲間に4.5mのカナディアンカヌーをひとりで漕ぐって言おうものなら、サァ〜って引かれちゃうのよね〜。ほとんどヘンタイ扱いされるけど、nokoさんが仲間入りしてくれたら心強いわぁ。』ヘンタイってこたぁないとは思うけど、競技を除けばたぶんニッポンで10人といない特殊技能だろうねぇ(笑)。


田口大橋をスタートするママパドラ−

一つ目の瀬でゴキゲンな笑顔のともちゃん

スタート準備が整ったところで、僕とマジコさんはゴールへクルマのデポに向かう。
宮リバーパークにサリーちゃんを置いて再び田口に戻ると、ともちゃん&nokoさんのそばに軽トラが1台。地元のおっちゃんである。しばらく話し好きのおっちゃんとの会話を楽しんでたんだけど、このまま話し続けると夕方になってしまいそうだったので、適当なところで切り上げてスタート。2艇のPATHをマジコさんの銀銀グラマンと僕のオリーブCAMPERがサンドイッチするカタチで川を下り始める。


この広々感が宮川の魅力かも。

『私たちが河原にいたら、川に来るオジサンたちがみ〜んな私たちに近づいて来て“川下るんか?”“どこまで行くんや?”“気ぃつけてな。”って声を掛けてくれるのよ。新手のナンパかしら?(笑)』
ワハハハ...おっちゃんたち、“ウェアのマジック”にまんまと騙されてふたりのオバちゃんを若い女の子と間違えたんだろうな(笑)。
『パパたちが戻って来たのを見て“おっ、彼氏が戻ってきたのぉ”だって。私たち独身に見えたのかしら...ランララン♪』(爆笑)


美しい川面をゆく3艇

早瀬に乗って遥か先を突っ走るともちゃん

スタートからしばらくは晴天&微風の素晴らしいコンディション。
鏡のような瀞場と軽快な早瀬が交互に現われて、初ソロのnokoさんも楽しそうだ。付かず離れずの距離を保ちながら、優しく微笑みながらnokoさんを見守るマジコさん...その父親のような眼差しはさすがは女の子の扱いに慣れているお父さんである。


やっぱりOld Townは赤だな(笑)

ダムの放水がないのであくまでも透明な宮川の11:00現在の水位は最低レベルに限りなく近い-1.28m。でも今年の宮川は流れが細くて川床にメリハリがあるぶんザラ瀬が少なく、ライニングダウンの必要は全くない理想的な流れ。“細腕”ママパドラ−には嬉しい状態の宮川である。スタートから20分ほどで下田口の大屈曲を通過し、美しいV字形(ダウンストリームV)を描くストレートな瀬で少し水を被って相賀瀬の分流へ。


下田口の屈曲を進むマダムたち

美しいダウンストリームVに入るnokoさん

ところが、この分流に入った辺りから急に左寄りの向かい風が吹き始め、右岸から合流する2本のストリームの作る複雑な流れと向い風に翻弄されるともちゃんとnokoさん。ここから鯨岩までの1kmの瀞場はアゲインストな風に逆らってただひたすらフォワードストロークでガシガシ漕ぐしかないわけなんだけど、僕やマジコさんにはどうってことがない風も女性陣にはかなりの負担のようだ。
川の流れと同じく、実は風にも本流と側流があって、川の真ん中は最も風のパワーが大きく、岸辺近くは樹木や岩の抵抗で若干マシ...つまり強風時に川の真ん中を漕ぐのは一番漕力を必要とする愚かなコース取りなのだ。そんな理由で、僕とマジコさんは一番厄介な斜めの逆風に対処する術(...というか利用する術)を身体で覚えていて滅多に針路を乱されることはないので岸辺スレスレを漕ぐんだけど、彼女たちのパドリングにはそこまでの微妙なテクニックはなくて、気を許すとあっという間に右岸に吹き寄せられてしまうのを嫌がって、川の真ん中を漕ぐから余計に疲れるのだ。


精神的に自立した女性は素敵だ...マジで。

鯨岩を通過すると正面に中川大橋が姿を現す。相変わらずの逆風に奮闘するnokoさんの頑張りにちょっと感動しながら僕が心配になったのは、この先にある旧中川大橋の橋脚の残骸が形成する瀬。この逆風を漕ぎ切った末にあのテトラだらけの瀬でブローチングor沈したら、カヌー嫌いになるのは必至。そこで、僕は彼女たちをマジコさんに任せて、瀬をスカウティングするために中川大橋へと先回りする。


今回のDRはともちゃんが先頭になることが多かった。

クルマの回送の際に中川大橋上からチェックした感じでは、ポーテージの必要がありそうに見えたけれど、左岸のテトラからスカウティングする限り、瀬の入口にあるテトラを上手く右に避け、その後すぐに左に軽くサイドスリップさせれば水中のテトラにボトムをヒットさせることなく通過出来そう。もちろんガツン!を覚悟なら水面に突き出た左右のテトラの間ならどこを通ってもブロ−チングの恐れはない...と言うか、体重が僕らより圧倒的に軽い女性のソロなら水中のテトラの上をヒットさせずにパスできるから下手に瀬の途中でターンして真横を向くより安全かも?ってことで、後続の3艇が到着する前に理想のラインとただひたすら真直ぐに突っ込むラインで2回下ってみることに。


透明な水面を滑るフーフーズ

旧中川大橋の瀬に入る

結果、僕の体重でも水中のテトラにコツン!とヒットするだけであることが判明したので、テトラに立って最初に瀬に入るともちゃんに真直ぐに進むようゼスチャーで伝える。『うひゃぁ〜!』手前の水面スレスレのテトラが気になったのか?それともMasaの口癖“一番大きなVの頂点を目指せ!”を思い出したのか?若干バウを浮かせて右の突き出たテトラのすぐ左側をすり抜ける。


うひゃぁ〜!(ともちゃん)

マジコさんはともちゃんより若干左寄り。大事をとって瀬の途中で2回カヌーを15cm程度サイドスリップさせ水中のテトラを避ける念の入れよう...さすがである。
nokoさんはマジコさんのライン取りをそのまま辿ったようにスムーズなラインでクリア。ソロは確かに初めてかもしれないけど、普段からマジコさんのバウや娘さんたちのスターンで漕いでるだけに、全く不安要素のない感じ...結局、誰ひとりバウを振られることすらない完璧なパドリングだ。


あひゃぁ〜!(マジコさん)CLICK

どひゃぁ〜!(nokoさん)CLICK


nokoさんのそばには、いつもマジコさんが笑顔で寄り添う

今回のコース唯一のちょこっと危険な瀬を抜けた僕らは中川大橋を通過し、「膳」の河原へ進む。今では宮川ダウンリバーな人々に知れ渡った感のある「膳」だけど、建築中の大工さんにわざわざ何が出来るのかを訊ねに行ったのは、何を隠そうこの僕(笑)。最初ここに鰻屋が出来ると聞いた時は、川からはとてもよく目立つけど県道からは全く見えないこの場所で商売が成り立つのかどうか正直なところ疑問に感じたけど、今も週末は空席待ちが出るほどに商売繁盛中。何たって美味しいのが一番の理由。


予定より一時間遅れで「膳」の河原に到着

着替えを済ませ、いざ入店!

ウフフフフ...

ウヒヒヒヒ...

河原でリバーピープルな格好から普通の服(...でもないか?)に着替えた僕らは、「膳」に入り鰻丼を注文。いつもなら並丼にあたる“花”を注文するところだけど、今日は夫婦だけなので迷わず“月”(上丼)を注文し、大きな窓から自分たちが下ってきた宮川を眺めつつ美味しい鰻丼を味わう。お勘定の際、マジコさんが思わず倍の金額を支払いそうになる一幕もあって(いつも5人分だもんねぇ〜)、大笑いしながら、河原に戻る。



午後からは赤PATHにそれぞれタンデム

バウでお喋りを楽しむマダムたち

ここまで向かい風に苦しめられたことなんてキレイさっぱり忘れた僕らは、再び川へ漕ぎ出す。とりあえず4艇に分乗し「膳」のすぐ下流、立花の河原まで進み、ここでCAMPERとグラマンを河原に残し、2艇の赤PATHタンデムで午後の部スタートだ。夫婦カヌーに無理は禁物...疲れた時は休む。そんでもって投げ出したい時は迷わず投げ出す...コレが大人のカヌーというものである(笑)


カワセミだらけ!

水上でブログを更新するともちゃん

立花からの宮川は中流部のハイライトとも言える快適な区間。漕ぎ進むほどに透明度は増し、両岸の自然も格段に濃くなっていく。『チィ〜!』甲高い声を残して僕らから一定の距離を保って飛び去るカワセミの残像があたかも蛍光ブルーの線のように僕らの目に焼き付く。

ここまで下ると宮川の川幅も増して2艇が並んで進むことが出来るので、バウの奥様たちはお喋りに夢中。素晴らしい風景の中、夫婦タンデム2艇でのんびり談笑しながら漕ぎ進むのは最高にリラックス出来る時間である。
タンデムになった途端、皮肉にも中川大橋まで吹き続けた向かい風が追い風に変わり、僕らのダウンリバーを後押し。バウではともちゃんが自分のブログをリアルタイムで更新してたりするし、僕が写真撮影をし始めるとともちゃんはフネの挙動で後ろを振り返ることなくそれを察知出来るらしく、上手くコントロールしてくれる。
『なぁ、やっぱりタンデムも良いもんだな。』僕は思わず彼女につぶやく。
『でしょ?今頃気づいたの?(笑)』


西に傾いた太陽を背に早瀬を下るマジコ夫妻

僕ら家族がカヌーを始めた頃、タンデムで漕ぐことは夫婦喧嘩&兄妹喧嘩の勃発を意味した。ソロで漕げるのは僕ひとりで、Masaやともちゃんは川の流れも読めなければパドルの動かし方も今一つ解らなかったからだ。いつもパパに叱られたり馬鹿にされたりする中で、負けず嫌いの彼らはひとりで漕げることを目指したわけなんだけど、ひとたびソロの自由を経験すると、もう誰かのバウに座って指示を受けるなんて屈辱は味わいたくなくなるもの...こうして我が家のカヌーの数は増えていった(涙)。


ライニングダウンもひとりでやってみる

バッシャン!ゲートボール場前の瀬をゆく

それに拍車を掛けたのが、かのBill Mason師の“SONG OF THE PADDLE”をはじめとするビデオの数々。師のビデオを観て『16ftのカナディアンカヌーをソロで操るのがスタンダードである』僕らはそう信じてしまったのである。
でも、実際カヌーには通常2つのシートが取付けられているわけで、やはりタンデムが普通の乗り方(笑)。こうしてソロで漕げるふたりでタンデムを経験すると、そんな当たり前のコトを実感する。


一之瀬川合流点の早瀬

上:カヌーってタンデムで漕ぐものだと実感する
下:ともちゃんに任せてゴロ寝

いくつもの早瀬と瀞場を越え、田間の河原を曲がると、久具都比売橋の向こうに見慣れた内城田大橋のオレンジ色の橋梁が目に入り、ゴールの宮リバーパークはもう間もなく。 「膳」の河原からスタートした後半は、まるで1kmにも満たない距離に感じるほどだ。
週末は公園で遊ぶ多くの家族連れや河原でBBQを楽しむ若者で賑わう宮リバーパークも、平日の今日は人影もまばら。最も河原が狭い第2駐車場前にゴール。奥様2人を河原に残し、僕とマジコさんはスタートに置いたOUTBACKと立花の河原に置き去りにした2艇のカヌーを取りに上流へ。


これだけはやはり旦那の仕事です

あ〜楽しかったって表情ですな

30分ほどで再び宮リバーに戻った僕らは、ダウンリバーの装備と赤PATHを積込んで、そそくさと記念写真を撮り、お喋りを楽しむ間もなくすぐにそれぞれの自宅に向け出発。

『この後、一緒にお茶したり夕ご飯を食べたりしながらのんびり過ごせたらいいんだけどねぇ。』
『フフフ...それはあと2〜3年してからのお楽しみってことにしましょ!』
『そうかぁ、あと3年もすれば泊まりでお出かけできるんだよな。』
『そうよ、鰻丼だって少し待つぐらいが美味しいでしょ?』

人生を鰻丼に喩えるのはどうかとも思うけど(笑)、パーフェクトにフリーな時間を持てるのも、もう間もなくなわけで、今は“子鬼の居ぬ間に...”な境遇を存分に楽しみたいと思う。実はこのシンデレラのような時間的制約があるからこそ大切に思えるのかもしれないし...ね。


おソロの赤いPATHとおソロの赤い防水ポーチ

一路、子供達の待つ家へ

 


中学生の息子&娘を放置して日暮れまで遊ぶ悪いオジサン&オバサン(笑)

 

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