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May.2006 part.7

 

 

 

 

  

 


鏡のように凪いだ宮川をゆく

5月24日 “夫婦タンデム”宮川初ダウンリバー

子鬼の居ぬ間に...#5

今日は“子鬼の居ぬ間に”シリーズ第...何弾だっけ?(笑)とにかく父と母の顔で子供たちを学校へ送り出した後(『どうして今日はパパまで早起きなの?』と鋭い質問も飛んだけど...笑)、すぐにウェットスーツに着替え、カヌーをOUTBACKに積んで宮川へ。

長年カヌーを楽しんでる我が家。でも、意外なことにともちゃんと最初から最後までふたりでダウンリバーするのは、実は初体験である。しかも、最初はAzuの修学旅行ネタ&ブラジャーネタとかMasaのテストネタなど話したいことだらけなので、2艇で行ってトランシーバーで“無線ごっこ”しようと思ってたけど、それなら1艇の方が話しやすいじゃんってことで...今回は何年ぶりかにCAMPER1艇にタンデムで乗って川下りすることに。
カヌーはやはり自分の意のままに操れるソロ(ひとり乗り)が楽しい...これ世界の常識(笑)。特にソロの楽しさを覚えてしまうと、バウ(前席)の不自由さは屈辱的ですらあって、特に日本一のワガママ主婦(!)であるともちゃんは耐え難いようだ。でも、今日はカヌーイングを楽しむのが主目的じゃなく水入らずでのんびり話したいだけなわけで、カヌーイストとしての誇り(笑)なんてのは忘れることにした次第だ。

ま、タンデムにもいくつかのメリットがあって、例えば喫水が下がってハルの表面積が減少することで風の影響を受けにくいとか、推進力が3倍程度に増すとか(*但し、それなりに漕げるペアの場合)が挙げられるけど、よく “タンデムはソロと比べて楽しみも労力も半分”なんて言われるように、一般的にコマーシャルツアーではタンデムだとそれぞれソロの場合の2倍の距離を取るもの。そんな基準に照らして、“そうよ、ワ・タ・シは15キロのオンナァ♪”なともちゃんの限界15km×2=30kmをメドに河口から逆算すると、今日のスタートは田口大橋あたりが適当。無理すれば粟生頭首工から海までの40kmもいけるとは思うけど、帰りのバスの都合を考えるとバス停にほど近い田口をスタートに、海までの32km程度が長すぎず短すぎずなベストコースだと判断したのだ。


田口大橋をスタート

岩場には美しい花々が咲くCLICK

そんなわけで、9:20田口大橋に到着。1艇でしかも慣れた大人2人だとカヌーを下ろし装備のセッティングを済ますのに何と10分しかかからず(普段3艇で4人だと最低30分は掛かる)、9:30きっかり、田口大橋をスタート。青空&無風の下、9:00現在最低水位+30cmというダウンリバー出来るギリギリの水位ながら久々に透明度の高い宮川漕ぎ出すと、すぐに流れは左岸寄りに集まって川幅が10mほどに狭まる最初の早瀬。0.5級の瀬をナメてたら、いきなりバウのともちゃんにスプラッシュが掛かってズブ濡れでキャーキャー。これもまたタンデムの楽しみである。


瀬と...

瀞場が交互にあらわれる

この瀬から柳原まではまったりと瀞場が続く。両岸の岩場には垂れ下がるように美しい白い花が咲き誇り、僕らの目を楽しませてくれる。『あっ、カワセミ!』 “野性の眼”を持つともちゃんはスタート直後から数百mの間に連続で4羽のカワセミを発見。一昨年の大水害以来、宮川でカワセミに遭遇できなかったともちゃんはゴキゲンである。

今日、生まれて初めて古女房(苦笑)とタンデムを組んでふたりきりでダウンリバーして、今さらながらに感じたことは、カヌーってデートに最適だなぁってこと。喫茶店とかで面と向かって座ると、何となく気恥ずかしいのに、ショットバーのカウンターとかクルマの運転席と助手席に並んで座ると何故かリラックスして話せるのと同じように、カヌーのバウとスターンにそれぞれ座っているとヤケにリラックスして話が弾むのだ。しかも、広い川面に二人きりなので、僕らの会話は誰にも聞こえないわけで、硬軟取り混ぜなんでも話せるシチュエーション。時にはしんみり、時にはゲラゲラとバカ笑いしながら、僕らは川下りを続ける。


瀬を前に身を屈めて僕にルートを見せるともちゃん

宮川らしい瀞場

足元のフロストバッグに置いたGPSは刻々とデータを計測し続けていて、時折覗き込むと早瀬で12〜3km/h流れのない瀞場でも8km/h程度のスピードを維持している。ソロで8km/hと言えば、ちょっとマジで漕いでる時のスピード。お喋りを楽しみながらお気楽に漕いでても、やはりダブルエンジンは違うなぁと実感する数字だ。
田口大橋から中川大橋の途中、右岸には僕らが1998〜1999年頃に通いつめた岩山のある河原があり、赤ちゃん同然だったAzuの可愛い姿が思い浮かんでくる。長年にわたって通った宮川だけに、その河原ひとつひとつに僕ら家族の歴史が刻み込まれていて、まるでアルバムのページを1ページづつ捲っているような、そんな懐かしい感覚を覚えるのだ。


川からしか見られない花

水量はまずまず(鯨岩)

鯨岩を横目に見てさらに漕ぎ進むと正面に中川大橋。今回のコースで一番危険な旧中川大橋橋脚の残骸の瀬も今日は素直に流れていて無事クリア。ここからはともちゃんも何度も下って一番馴染んでいるコースだ。
左岸の長原の河原で初めての休憩。フロストバッグから取り出したおにぎりを1個づつ食べて、ひと休みして、またすぐにダウンリバーを続ける。長原の扇状の河原を回り込むと正面に赤い鮠川橋。河原を見上げると赤紫の花が群生し、風に揺れているのが目に入る。野生の野花ではなく、宮川の流れに乗って流れてきた庭の花の種が自生したようだけど、ベージュの河原にけなげに咲く花はとっても美しく可憐なので、僕は再び上陸して写真撮影を楽しむことにする。


長原で初めての休憩

今日の宮川はエメラルドグリーンに澄み渡っている

花の前に座り込んでアングルをアレコレ試していると、そこにどこからともなくアオスジアゲハがやってきて、美しい羽を小さくはばたかせながら花の蜜を吸い始めた。蜜に夢中のアゲハは僕が5cmまでレンズを近づけても逃げる様子は全くなく、久々に納得出来る写真を撮ることができた。

 


河原に自生する花に留まる美しいチョウ(背景は鮠川大橋)

しばらく写真撮影を楽しんでいると、『まだぁ?早く行きましょうよ!』カヌーのバウに座ったまま待ってる僕の“花”(爆笑)の呼び声。スターンシートに腰を下ろし、ともちゃんに液晶モニターでベストショットを見せながら、蝶に最接近できたことを自慢すると...『そりゃ、当たり前よ。アナタって蝶を捕まえるつもり全然ないでしょ?蝶はその気配を感じて逃げないのよね、きっと。ワタシだって“安全パイ”なお爺ちゃんとなら2人っきりでも緊張しないし...。』あ、アンタはその歳でまだ蝶のつもりかいな?心配しなくても、アナタはもう充分に“安全パイ”です。(爆笑)


今日の船長

カワセミの巣の脇に咲くキジムシロCLICK

鮠川大橋をくぐり茶畑前の河原を過ぎた辺りで少しだけ傾斜が大きくなるのかサラサラと快適な流れに変わる。流れにえぐられて土が剥き出しになった右岸の土手にはキジムシロの黄色い花の帯が僕らの目を楽しませてくれる。左岸の水辺にはノイバラの群生。緑の中に咲く白い花はとても印象的で、かなりの流れだけど反転流を利用して岸辺にカヌーを着けて写真撮影。タンデムならこんな芸当も楽々である。
『民さんは野菊のような人だ。』...は小説「野菊の墓」だけど、今日の場合は『ともさんはノイバラのような人だ。』トゲがチクチクするノイバラは、まさにともちゃん(笑)


ノイバラCLICK

トゲのある花同士のツーショット

久具都比売橋、内城田大橋を通過し一之瀬川の美しく豊かな水が合流し、宮川の透明度は劇的にアップする。間もなく左岸に宮リバーパーク。平日だけに誰ひとりいない静かな河原にカヌーを寄せ、ここで2回目の休憩。上陸した瞬間に正午のサイレンが鳴り響いたので、ここでランチタイムとする。

休日は多くの人で賑わうここ宮リバー度会パークも平日の今日はパーフェクトに無人。河原にジベタリアンしながらおにぎりを食べた僕らは並んでしばらく昼寝。青い空に浮かぶ白い雲、弧を描くように滑空するトビ、川面からは時折魚が跳ねるポチャン!という音...これほど心からリラックスしたのは久々だよなぁ...ふたりで空を見上げながら語り合う。


宮リバーパークでランチ&休憩&昼寝

三ツ岩も迫力十分

約30分の休憩ののち、僕らは再び水上の人となる。
宮リバーから南伊勢大橋・三ツ岩までは川幅が広いのに水深がほどほどにあって快適な流れを楽しめる区間。三ツ岩の複雑な流れをクリアし、円座の美しい扇状の河原を右手に見ながら瀞場を進むと、葛原の広い河原。ここは我が家の宮川デビューの河原である。中流域では最下流に位置するにもかかわらず、人工物が一切目に入らず、また水質も宮川で一、二を争うほど...宮川を知り尽くした今の僕らにとってもとても魅力的な場所だ。


時速12km/hでサラサラと流れる宮川(宮リバーパーク〜南伊勢大橋間)

『あっ、4羽目発見!』僕らから10mほどの距離にカワセミ。空中でホバリングし、一気に水中に飛び込んで魚を狙う一連の漁の様子を驚くほど無防備な姿で僕らに披露してくれる。
『今度のパパの新艇...CAMPER15だっけ?ソレ、赤がいいって言ってたけど...やっぱりオリーブかグリーンにしてね!』ともちゃんは僕のオリーブ色のCAMPERと赤PATHでは鳥が飛び立つタイミングがかなり違うのだと主張する。
(*僕は色よりもやはり1艇であることが大きいんじゃないかな?と思う。複数艇の賑やかなダウンリバーでは決して見ることができない姿を見られるのも単独行の魅力だ。)


横輪川合流地点は護岸工事中

僕らの至近距離を舞うトビ。僕らを警戒してるのか?

トビの巣?低い姿勢インディアンストロークで近づく

河原のエイペックスには横輪川の合流ポイントがあり、去年まではまるっきり原始のままの佇まいを見せていたけど、今は重機が入って護岸工事中。
近自然工法でやってもらえるのが理想的ではあるけど、残念ながら真っ白なコンクリートブロックが目立つ昔ながらの工事である。せっかくの美人のほっぺに白いサロンパスを貼るのではなく、せめて通気性のある肌色タイプにして欲しいなぁ...ちょっと喩えが変だけど(笑)

工事中の横輪川からの茶色く濁った水が宮川本流に入り、ここからは透明度がガクンと落ちるものの清潔感が損なわれる感じはなく、快適なダウンリバーが続く。伊勢道の橋脚近くで、まるで僕らを牽制するように真上の低空を舞っているトビに出会う。“野生の眼”を持つともちゃんが左岸にトビの巣?らしきもの発見し、ふたりで姿勢を低くし、ブレ−ドを限界まで寝かしたまま水音の出にくいインディアンストロークで近づくと...

 


梢から飛び立つトビ。思わず流し撮り
(22mm広角の×3最望遠側でこの大きさなので至近距離です)

バサバサバサ!シュッシュッシュ!羽根の一枚一枚が空気を切る音まで聞こえるほどの至近距離でトビの♀(だと思う)が飛び立つ。おおっ!すげぇ!間近で見るとさすがは猛禽類!英名・Black Kiteに相応しくカッコいい。
次に僕らの上空に現われたのは、「AH―64D」(通称アパッチ)。陸上自衛隊明野駐屯地に新しく配備された最新鋭の戦闘ヘリだ。いつも左岸の小山の陰で訓練飛行してた対戦車ヘリ「AH―1S」とは明らかに違う幅の狭い姿...こちらも至近距離で見るとやっぱりカッコいい。


シルバーの水管橋下の分流へ入ってみる

度会橋がみえてきた!

伊勢道をくぐると一気に広がる川幅。ここからの宮川は屈曲のほとんどない下流域の姿に変わる。リバーガイドブックなどでは宮リバーパークをゴールにするモデルコースを紹介している場合が多いけど、実は宮リバーパークからの大河・宮川は両岸の道路までが遠くてほとんど人工物がないし、岸辺への進入路が限られることもあって人影は全くないなど、なかなかイイのである(但し向かい風が吹かなければ...笑)。

夫婦の会話を楽しみながら漕ぎ続け、シルバーとブルーの水管橋をくぐって左カーブをとると、正面に度会橋が見えてくる。
14:00、スタートから25km下流の度会橋上流・川端堤に到着。宮リバーから初めての休憩を取るべく左岸の舟溜まりに上陸する。

ちょうどその時、目の前の渋滞中の度会橋に注蓮指行きのバスの姿!
この時点では全く疲労もなく、このまま一気に7.4km下流の海まで漕ごうか!なんて盛り上がってたし、Azu&Masaの帰宅までまだ3時間以上あったし、ともちゃんを河口に連れて行ってシーバスのジャンプを見せたりカモメに餌をあげたりさせてあげたかったな、と少し残念な気もしなくはなかったけど、一時間に1本のバスを逃してなるものか!ってことで慌てて着替えを済ませすぐそばのバス停へ向かう僕らだ。


川端堤の舟溜りで休憩

スタートから24.45kmのここでゴール、バス停へ

彼女は未体験の長距離に満足げ

完全に貸切状態のバスに乗り込み、エアコンの効いた快適な車内で寛いでいると、牧戸で1人の青年が乗り込んでくる。防水バッグを手にしていることから僕らと同じカヌーイストorカヤッカーと一目で判る井出達だ。断片的に聞こえてくる運転士さんと彼の会話を聞いていると、どうやら彼はバスが田口までしか行かないのを知らずに七保〜牧戸を下って途方に暮れているようだ。運転士さんは彼に田口大橋から歩くしかないという事実を伝えているようだけど、田口から七保までは道なりで約8km。ダウンリバー後に2時間歩くのはちょっと可哀想なので、僕らから声を掛けてファルトの青年を七保まで送ってあげることにする。『下調べもしないで川下っちゃうなんてチャレンジャーよねぇ〜。』ともちゃんは笑うけど、ソロなんてのはそんなもん。オレだって若い頃にソロで下る時はあんまり深く考えてなくて、よく軽トラ狙い専門でヒッチハイクしたものだし...僕は青年特有のイイカゲンさを好ましく感じるのだ。


エアコンの効いたバスでスタートポイントへ

乗客はカヌーイスト2人&カヤッカー1人

青年を七保大橋のたもとまで送り届け(彼は財布を出してお金を払おうとしたけど、またいつか僕や他のパドラーが困ってたら助けてね、ということで...笑)、宮川沿いに度会橋まで戻りCAMPERをピックアップした僕らは再び宮川沿いにR42へと戻って伊勢道で自宅へ(帰宅は17:00ちょうど)。

河口まで下らなかったのには理由があって、実は途中のオシャレなケーキ屋でゆっくりとティータイムを持つつもりだったんだけど、あの青年に会ったせいでその計画はキャンセル。『憎っくき若者め!』ともちゃんはそう言って笑うけど、ま、人に優しくできて良かったんじゃないかな。
帰宅してさっさと水着を着替えたともちゃんは、すぐに母親の顔に戻り、カヌーを下ろす間もなく明日から修学旅行に行くAzuを連れてヘアカットに出発。

生まれて初めての夫婦タンデムダウンリバー。驚くほど楽チンで、楽しくて...今度は粟生頭首工から河口までの「宮川40kmコース」を漕ぎたいなぁって真剣に思えるほどだった。

ま、子鬼の居ぬ間に...ではちょっと無理かもしれないけどね(笑)

 

  
宮川で見た花々
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Photo by aki with RICOH Caplio 400G wide


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Special Thanks to
 

Downriver Deta 2006.4.16

START

田口大橋

漕行時間

3時間57分

GOAL

度会橋(川端堤)

停止時間

1時間00分

水位

-1.10m(対渇水時+30cm)

平均速度

6.2km/h

高低差

24.0 m

最高速度

15.1km/h(田間)

平均斜度

0.98‰

気温

最高29.9℃/最低16.6℃

距離

24.45km

風速

平均3.1m/ 瞬間最大西5.3m

 

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