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May.2006 part.5

 

 

 

 

  5月19-21日 戸隠妙高&信越トレイルをゆく

 

 

5/21 妙高・斑尾信越トレイル

今朝も5:30起床。GWの北山川でKevipaさん&ミエさんに教えてもらった“余裕のある大人の野遊び”の秘策...つまり早寝早起き(笑)を実行したというわけだ。我が家も河原でキャンプをしてた頃は日の出と共に行動開始することを心掛けていて、目が覚めてテントのジッパーを開けると、朝霧の漂う川面にひとり漕ぎ出したMamaがバードウオッチングを楽しむのを目にしたりしたものだけど、Casitaがやって来てからは朝寝が我が家の愉しみになってしまっていた。


朝日に輝く黒姫山

抜けるような青空!

でもこうしてダッちゃんのドアを開け、キリリとした朝の空気を胸いっぱいに吸い込みながら、朝の陽光に赤く染まった残雪の黒姫山を眺めたりすると、やはり“早起きは三文の徳”(“得”じゃないよ...笑)を実感するのだ。

道の駅の清潔なトイレで洗顔&歯磨きを済ませ、ダッちゃんで身支度を整えると信越キャラバン2日目の行動開始。まずは朝の目覚まし散歩を兼ねて、妙高高原のいもり池の周囲を散策することにする。実は朝イチのいもり池お散歩には狙いがあって、早朝のいもり池に行けばもしかしたらホンドリスに会えるかも?って思ったのだ。

いもり池散策(0.699km)


一周約700mいもり池で朝のお散歩

ミズバショウをはじめ、数多くの花が咲き乱れる

ところが、朝6時のいもり池にはバードウォッチャーの皆様が多数歩き回っていて(涙)、ホンドリスはおろか野鳥の姿もほとんどない状態だ。それにしても不思議なのは、何故中高年バードウォオッチャーは十数人ものグループで行動するのか?ということ。そんな大人数じゃ鳥が逃げちゃうし、だいたいその迷彩服の意味ないと思うんだけど(*しかも迷彩パターンが針葉樹林用や砂漠用に見えるのは気のせいか?...笑)

ま、そんなわけで、リスにも野鳥にも会えなかったけど、いもり池の周囲に整備された一周約700mの遊歩道を歩きながら、ミツガシワやミズバショウなど水際に咲く様々な野花(ここには実に51種類の湿地性植物が確認されているらしい)を観察出来たのは楽しかったけども。


ミツガシワ
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妙高山の美しい山容

いもり池と妙高山
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苗名滝(別名・地震滝)

苗名滝プチトレッキング (2.25km)

池に映る妙高山をバックに記念写真を撮った僕らは、再びダッちゃんに乗って苗名滝へと向かう。
事前の計画では、ここから滝まで白樺林の中のトレッキングを楽しむつもりだったけど、昨日妙高高原ビジターセンターのスタッフに冬の記録的な大雪のせいで崩落や倒木多数で危険という情報をもらったので、整備が済んでる新遊歩道のみの“なんちゃって”トレッキングに変更したのだ。いもり池から苗名滝へはクルマで10分ほど。『大型車進入不可』という看板に少しビビるけど、大型バスならともかくダッちゃんでは全く問題ない幅員がある。苗名滝苑前の駐車場にダッちゃんを停め、一応はトレッキングの装備を整え滝に向けてスタート。


とんでもない水量に恐怖すら感じる

堰堤上に新しく整備された遊歩道

まずは超コワイほど増水してる関川を吊り橋で渡り、真新しい砂防ダムの脇にある階段でダムの上へと登る。
ダム上はダム下の用水路のような護岸とはがらりと雰囲気が変わり、自然が豊かでまるで上高地の梓川のような佇まいだ。
遊歩道を10分ほど進むと眼前に苗名滝がその豪快な姿を現す。豪快...これ以外にこの滝を表現する言葉が見当たらない。雪解けのこの時期にはあまりに水量が多く、遠くからでもその水音が地響きのように聞こえることから、この滝の別名は「地震滝」。日本にこれだけの水量がある滝が存在することすら信じられないって感じだ。


何が怖いって、傾いた吊り橋が一番怖い

ニッポンの滝じゃないみたいな迫力

 

右岸の遊歩道をさらに進み滝が近づくにつれ、その迫力はさらに増す。滝壷の下流には吊り橋があって、その先に観滝ポイント「休憩舎」なる東屋が建っている。しかしながら、その吊り橋に少々問題が...何と、踏み板が大きく右に傾いているのだ!たぶん冬の大雪の影響だろうけど、とにかく傾いてる橋ほど怖いものはない。高所恐怖症の僕はもちろん、Masaも両側のワイヤーから手を離せないほどの恐怖感で、恐る恐る橋を渡り切り、休憩舎前からの迫力ある苗名滝の眺めを楽しんだ。


日本の滝100選「苗名滝」(落差55m)

再び恐ろしい吊り橋を渡り右岸に戻った僕らは、このまま帰るのが惜しくなって、崩落で通行禁止になっている笹が峰方面への登山道を少し入って滝壷に向かうけれど、大岩の連続でアプローチが見つからず断念。ただ、滝壷の右岸側は年中滝の水飛沫がミストになって降り注いでいるからだろうか、とにかく瑞々しい苔の宝庫。屋久島の白谷雲水峡を思わせる緑色のビロードが全てを覆い尽くす中、小さな花々がひっそりと咲く光景は実に美しい空間だった。


滝のそばまで入ってみると、そこはコケワールド!

朝露がキラキラ輝く
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迫力満点の苗名の滝まで約1時間のハイキングを楽しみ、苗名滝苑の茶店でソフトクリームを食べ終わった時点でまだ8:30というわけで(笑)、臨時家族会議の結果、今夏にたぶん歩くことになるだろう“信越トレイル”の下見を兼ねて斑尾高原へと向かうことにする。


遊歩道とはいえ、なかなかいい感じ

地響きをたてて流れる

 


 

 

沼の原湿原散策 (2.35km)

妙高高原ICから上越道で一気に斑尾高原へ。斑尾は全長84kmの信越トレイルのスタート(*起点は斑尾山々頂)ということで、まずは情報収集のために斑尾高原ビジターセンター「山の家」(斑尾高原観光協会)に立ち寄る。信越トレイルのルートマップを買ってスタッフの男性と話すと、妙高と同じくここも残雪と崩落&倒木でトレイルはいまだ寸断されているとのこと。情報を元に検討を重ね、比較的雪の少ない沼の原湿原〜赤池を分割して歩くことに決定だ。


ここから信越トレイルに入る

唱歌「ふるさと」の“彼の山”は斑尾山

ビジタ−センタ−「山の家」から希望湖方面、沼の原湿原へと進む。湿原入口に設けられた駐車場にダッちゃんを停め、『今から宮川下りま〜す!』というNESSY親分の電話を聞いて、僕らも湿原トレッキングのスタートだ。信越トレイルの看板を左手に見て、山桜の花びらが舞い散る良く整備されたトレイルを進むと200mほどで湿原西トレイルと赤池ブナ林トレイルの分岐点の木橋に到着。ビジターセンターでの情報では両トレイルとも、まだ深い残雪に覆われて通行が出来ない状態とのことなので、小川沿いに湿原を周遊する遊歩道に進む。


ここもミズバショウが満開
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丸木橋を渡って湿原をゆく

小川の両岸には今が盛りとばかりに咲き誇るミズバショウ。青い空、淡いグリーンに輝くブナの青葉も森、そして遠くに青く霞む斑尾山...思わず♪春がく〜れば思い出すぅ〜♪と鼻唄が出てしまう気持ち良さだ。『パパ、ここではその歌はダメだよ。ここではやっぱり「ふるさと♪」を歌わないと!』そう、どこでそんなこと調べたのか知らないけれど、Masaによればここは唱歌「ふるさと」のふるさと(笑)なのだそうだ。
何を隠そう、この歌を作詞した高野辰之の生地はここ斑尾で、歌詞にある“かの山”は斑尾山なのだそうである。ってことは、ここは“かの川”の源流なわけで、♪う〜さ〜ぎ〜追いし〜かぁの山〜小〜ブ〜ナ〜釣〜りしかぁの川ぁ〜♪思わず唄ってしまう僕である。となりではMamaが♪はぁ〜るの小川は〜さらさらいくよぉ〜♪(「春の小川」)を歌い、Azuも負けじと♪は〜るがき〜たぁ〜は〜るがろ〜たぁ〜♪(「春がきた」)をハミング。「ふるさと」「春の小川」「春が来た」は偶然にも全て高野辰之の作品なわけで、そりゃもう、このロケーションにぴったりなのは当然かつ必然のことなのだ。


残雪とリュウキンカのコントラストが美しい

上:リュウキンカの群生
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下:残雪に踏み入って火照った身体をクールダウン

まるで天の川みたく帯状に咲くミズバショウを楽しみながら小川沿いにしばらく進み、小さな木橋を渡ると、そこからは湿原の中央を貫くように延びる木道である。『何だか尾瀬みたいねぇ〜!』とAzu。あの〜、君って尾瀬に行ったことあったけ?(笑)でも、本当に尾瀬のような感じの木道を進むとリュウキンカの群生地に着く。


小川の対岸にはミズバショウ

何という花だろう?濃い紫色が新緑に映える
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木道脇に設けられたベンチで一休みしながら春の陽光を浴びてまさに黄金色に輝く花を楽しんだ後、その先にある残雪の斜面へと向かう。足を踏み入れると、想像以上に堅い雪面に驚く。雪庇や雪の下に隠れた水たまりや川に注意しながら残雪を歩くと、散策で汗ばんだ身体が一気にクールダウンされてとても気持ち良い。雪面にはブナの実が散らばっていてAzuが思わず採取モードに入りそうになったけど、後ほど木の実拾いの時間を設けることを約束して、残雪の北斜面を後にする。


う〜さ〜ぎ〜追いし〜彼の山〜小ブナ釣〜りし彼の川ぁ〜♪思わず唄ってしまう

帰り道は小川沿いの遊歩道から、まだ花期ではないカキツバタの湿原を通って湿原西トレイルと赤池ブナ林トレイルの分岐点の木橋に戻る。ミズバショウにリュウキンカなど、昨日と同じような花が咲いてるわけなんだけど、霧に覆われて霊気さえ感じるほどの戸隠とは違い、ここ沼の原湿原は青空であることもあってあっけらかんとした明るい高原散歩を楽しむことが出来た。


子供達が母親を信用していない何よりの証拠(笑)

尾瀬みたいだな。尾瀬に行ったことないけど

湿原西トレイルとの分岐点から赤池ブナ林トレイル方面へ進むと、次なる目的地・赤池までは1kmほどととても近いんだけども、ビジターセンターのスタッフの言いつけを守り、再びダッちゃんに乗って車道で遠回りして赤池へと向かう。


 

 


ブナの森は子供達にとって遊びの宝庫みたいだ

赤池周辺で信越トレイルを辿る (3.56km)

ちょうど昼時ってことで、タングラムスキ−サ−カス方面へ向かう途中のジャズ喫茶でランチを済ませた僕らが赤池に到着したのは午後0:30。予想外に立派な駐車場にクルマを停め、赤池ブナ林トレイルへと入る。トレイルに入って200mほどでトレイルは早くも残雪の中へ。残雪と地面の境目には無数のフキノトウが可愛い頭を覗かせていて、これらのフキノトウを踏まずに歩くのが難しいほどの数である。


非常に良く整備されたトレイル

赤池ブナ林トレイルへ入る

残雪に足を取られるMasa

今冬の豪雪を物語る木々


袴湿原トレイルへ進む

雪のない部分のトレイルは砕石を敷き詰めてあってルートミスする可能性は全くないけど、残雪上はその痕跡がないし、その上今春ここに分け入るのは僕らが初めてなんじゃないのか?って思えるほどに全く人の足跡がない“バージン残雪”なので、時折GPSを確認しつつ木製の土留めの杭を探しながら進む。
袴湿原方面への分岐までは美しいブナ林。サラサラと流れる渓流の両脇には五分咲き程度のミズバショウが小規模に群生していて良い感じだけど、分岐からの針葉樹林帯は大雪の結果だろうか、トレイルを塞ぐ倒木も多く、ほとんどの木が谷の方向へ大きく傾いていて平衡感覚が狂ってしまう。ここでもブナの力強さと、針葉樹の雪に対する弱さを再確認した。


ああっ!ブナの実のじゅうたんだぁ!

ブナ林が美しい尾根道

残雪の中を歩き続け、Azuとの約束通り“木の実拾い”の時間を15分ほどとって残雪の上で休憩した後、一旦車道に出て、いよいよ信越トレイルのメインルートへと入る。『ほぉ〜!』思わずため息の出る美しい森。尾根を縫うように延びる信越トレイルは明るく、清潔で、優しさを感じる森である。高温多湿な紀伊半島の場合、手入れをしない限り照葉樹の森はすぐに藪へと変わる。虫、蜘蛛の巣、ウルシ...紀伊半島では森を歩くことを“藪漕ぎ”と呼ぶように、決して快適ではないものである。ところが、ここ信越の森はまるでオブジェのように特徴的なブナの大木が疎らに立ち並び、地面はまるでベージュの絨毯を敷き詰めたような落ち葉に覆われ、本当に快適な場所である。


ブナの芽

ブナの芽吹き

実際、今回も休憩の時に地面に敷くThe Butonを持参してきてるけど、そんなものは全く必要なく、落ち葉の地面はそんなに高級なソファよりも快適な座り心地なのだ。このままずっと歩いていたい気持ちだったけど、そろそろ帰る時間になってしまったので、沼の原湿原へと延びる信越トレイルと別れを告げた僕らは、赤池方面への下り道を進む。


ブナの古木の間を抜けて進む

思わず地べたに座りたくなる森

良く整備されたトレイルが続く

杉を揺さぶって杉花粉をまき散らして遊ぶMasa


残雪を踏み締めて進む(たぶんここはアバランチパス=雪崩のコース上)

途端にブナ林は針葉樹の森へと変わり、残雪がトレイルを覆う。赤池までの中間点で立ち木が全て横倒しになっている斜面をトラバースする区間に入る。どうやらここはアバランチパス(=雪崩のコース上)。春先にここを大規模な雪崩が流れ下った痕跡のようである。さっきまで僕らが歩いていた尾根までは距離も短く、しかもこの時期ならば全く危険はないと解っていても何となくイヤな場所なので早足で通過し、再び明るいブナ林を抜けて赤池の湖畔へと戻って、今回のトレッキングは全て終了。


無惨に折れた針葉樹の間を抜ける

沼の原方面は深い雪なので赤池へと下りる

残雪でトレイルが隠れてる以外道迷いの可能性は低い

針葉樹が全て傾いていて平衡感覚が狂う

GPSを確認すると、散歩のようなプチトレッキングばかりとはいえ、5ヶ所連続で歩いたこともあって2日間の積算距離は14.5km。休憩や木の実拾いなどの停止時間も含めた総経過時間は17時間11分...他の誰よりも長く森を楽しんだ僕らである(苦笑)。
ザックとトレッキングシューズをジェットバッグに積込み、ダッちゃんの車内で着替えを済ませた後、僕らは温泉オタク・Masaの勧める長嶺温泉へ。


Masa情報で選んだ長嶺温泉。当然ながら掛け流し

地元老人の憩いの場でもあって、駐車場にまでカラオケの歌声が響いてきた時は少し躊躇したけど(笑)、帰り道に掛け流しの温泉はここしかないってことで思い切って入ってみると、意外や意外、浴室は実に静かでしかも空いてて良い感じ(露天風呂の45℃近い湯温には参ったけど...涙)
北信訛が新鮮な地元のオジイさんたちの楽しい会話を楽しみつつさっぱりすっきりした僕らは、上信越道~長野道〜中央道と一路自宅を目指すのだった。

今回は5月下旬とはいえ、信越はまだ残雪が残りフキノトウが芽吹き始めたばかりの早春ということで、思い通りにトレッキングを楽しむことが出来なかったけれど、春の息吹を感じる花々をたくさん見ることができたし、これから夏の本格的なトレッキングシーズンに向けて下見をすることもできて良かったなぁと思う。

歴史と神話、花、風景、温泉、食べ物、木の実拾い...家族それぞれの楽しみを全て叶えてくれる信越の旅...実に実り多い2泊2日だったように思う。

 


明るいうちに帰宅の途に。プチトレッキングばかりだったけど、結局この2日間で14.5km歩いた。

 

 
斑尾で見た花々
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Photo by aki with OLYMPUS E-300

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