WWW.PAPAPADDLER.COM


FLAME LAYOUT

 

 

 

 

 

 

June.2005 part.4-2

 

 

 

 

 6月18-19日 戸隠&白馬大雪渓トレッキング

 


戸隠キャンプ場の朝



2日目 白馬大雪渓トレッキング

Mamaが“神話や歴史を育んだ自然を感じる旅”派ならば、僕は“自然そのものに驚きを感じ自然に遊んでもらう旅”派とでも言おうか?(笑)実際に行くまでは、戸隠って神話や歴史に重点を置いた旅になるかなぁって思ってて、ま、奥様孝行するか!ってな感じだったんだけども、実際は紀伊半島に勝らないけど劣らない(笑)素晴らしい自然がそこにあって大満足。
でも、僕の今回の旅の本当の目的は雪渓を踏むこと。昨日も書いたっけ?まず白馬に行って大雪渓を歩いて、2日目の今日、戸隠に入るはずが、長野自動車道から見たアルプスがガスってて急遽戸隠を先にしたほど...要するにツアーリーダー&運転手の特権をフルに生かして、満を辞しての白馬大雪渓なのである(猿倉のパーキングから大雪渓の途中まで登っても往復6〜7kmの“なんちゃって”らしいけど...笑)。


R407を白馬へ。トンネルを抜けると目前に残雪の山並み

白馬村から白馬岳を望む

昨夜は21:30にはベッドイン、じゃなくシュラフイン(笑)したので今朝は5:00にお目覚め。
トゥルルルル...とも聞こえる啄木鳥のタップ音を楽しみながら撤収し、6:00にキャンプ場を出る。
戸隠で訊ねた人が口を揃えて『このデカいクルマでは、あの道はちょっとヤバいんじゃ...』と太鼓判を押してくれた(笑)県道36号から国道405号を抜けて最短距離で白馬へ。実際のところ、田戸への山道に比べればガードレール&ワイヤーもあって全く危険な感じはなく、普段紀伊半島の山中を走ることの多い僕には全然問題なし!それよりも、クルマを走らせながら眺める風景が素晴らしくて...心からヨカッタ!と思える。
7:30白馬駅前に到着。駅前の道路を少し北に向い、道端にあるコンビニで食料を買い込んで、登山口・猿倉へ。


猿倉までの美しい林道(ダッちゃんギリギリ)

オリンピックのジャンプ台を左手に見ながらしばらく進み別荘地を抜けると、道路は急に狭くなって両脇から伸びた木々が緑のトンネルを形作る。透明なはずの空気までが緑色に染まってる感じが不思議だ。
『キッレ〜イ!』我が家の女性陣はダッちゃんの横長のフロントスクリーンに映し出される木々の緑を嬉しそうに見ながら叫ぶ。
『映画観てるみたいね〜!』
確かにダッちゃんのフロントガラスは映画館のスクリーンと縦横比が同じだな(笑)。
“ここを路線バスが通る”という予備知識がなければ、この先どうなってるんだろ?と不安になる道幅だけど、各所に離合ポイントが設けてあって対向車とストレスなくすれ違う事が出来る山道を十数分走ると、目の前に広々とした駐車場が見えて来る...標高1240mに位置する猿倉の駐車場だ。

先客は10台ほどだけど、早朝に出たピークハンターのクルマなのか、駐車場に人影は全くない。木陰にダッちゃんを停め、一応軽登山の装備&服装に着替えて、8:30猿倉荘前から林道をトレッキング開始。

 

 


猿倉の一般車両駐車場。日陰に停めたダッちゃん

 

猿倉荘からしばらくは、落ち葉に被われたシングルトラック。雰囲気の良いブナ林を抜ける道である。この辺りは植物の垂直分布でいう“山地帯”に属し、ブナやミズナラなどが主体のようだ。10分ほど進んだ「中部山岳公園」碑で先ほどの駐車場から伸びる砕石敷きの高規格な林道に合流する。それまでの森が良い感じだっただけに、何だかちょっと残念な気持ちと、これならAzuも歩きやすくていいじゃん!ってな気持ちが頭の中で闘ってる感じ(笑)。でもさすがに広々しているぶん、前方に残雪の白馬連峰のピークが望めてアルペン気分(?)が盛り上がる。


猿倉荘前からトレッキングスタート!

スタートからしばらくは林道を進む

小さなカーブをくり返すと、左手に白馬鑓温泉への登山道入り口。猿倉から大雪渓の下部までは約3km、1時間半ほどのコース...なのだそうだけど...
『わぁ〜!カワイイ!』
『見て見て!イワカガミよっ!珍しいのよ〜!』
『シラネアオイ!サンカヨウ!キヌガサソウ!これってチングルマ?それにしても変な名前ねぇ(爆笑)』


水たまりにオタマジャクシ!

『かわいいぃぃ!』Azuは手ですくって観察

我が家の女性陣は10mごとに(大袈裟ではなく、ホントに!)道端に咲く可憐な野花にいちいち立ち止まってあ〜でもないこ〜でもないとお喋りして全く前に進まない。お花だけではなく、花から花へ舞い飛ぶ蝶(ギフチョウにも遭遇!)水たまりにウジャウジャ泳ぐオタマジャクシにまで反応して、早く大雪渓に行きたい僕とMasaはイライラ。
しばらく進むと前方に小蓮華山から白馬岳の稜線がくっきりと望める。左手に素晴らしい森、右手に雪解け水を集めてゴーッ!と轟音を上げて流れ下る北股入の渓流...緩やかな林道をお喋りしながら進むと長走沢の木橋。コンクリの橋脚に角材が2本渡してあるだけのものだけど、落ちても濡れるだけで危険はなく、体操の平均台のポーズでふざけながら通過(笑)。ヘアピンカーブを登り切ったところで林道終点の御殿場に到着。そこから沢伝いの登山道である。


林道からの景色も素晴らしい(ギフチョウに遭遇!)

可動式の橋で渓流を渡る


いよいよお山が近づいてきた!

 

大きな岩が突き出た歩き辛い登山道はそばを流れる沢の水をかぶって濡れ、ビブラムソ−ルはとても良く滑る。ピョン!って飛んで渡れるような小さな沢を2つ渡る(ひとつは木橋あり)と、登山道にも残雪が現れ始める。『ひゃ〜、冷てぇ!』初めての残雪の塊を嬉しそうに掘る子供達。そこへ下って来たオジサンが『もう少し行けばこんなの目じゃないほど雪があるよ〜!』と教えてくれる。(そういえば、ここまでで出会った下山者はオジサンが初めて!とにかく人が少なくて嬉しい!)


林道の終点からは本格的な山道になる

初めての雪!にはしゃぐ子供達

頭上を覆っていた木々が切れると一気に展望が開ける。おおっ!雪だぁ〜!大雪渓だぁ〜!感動の一瞬だ。
さすがは6月。インターネットで数多く見た8月の写真に比べ、大雪渓はかなり下部まで伸びている。
『だめだ!危ない!やめろ!』
登山道から直接雪面に降りようとするMasaを寸でのところで止める。下部は雪の下を雪解け水が伏流しているため、雪庇やスノーブリッジが形成されていてかなり危険なのだ。
左側の急斜面を足元に気を付けながらトラバースしてしばらく進み、雪面に降り立つ。

 


おおっ、大雪渓の下端に到着だ!

そこから村営白馬尻荘までは夏なら砕石が敷き詰められた急坂なのだそうだけど、今日は中級コース30°ってな感じの雪に覆われた斜面になっている。アイゼンを持たない僕らはここで一苦労。
『きゃ〜、滑るぅ〜!』
『うぎゃ〜!コケちゃった!』
我が家の女性陣の悲鳴が誰もいない大雪渓に響き渡る。
スキーの斜滑降のように斜めにギザギザに登ればいいものを直登しようとするからイケナイんだけど、途中でMamaが立ち往生。『ダメ、もう、ワタシ、進めない!』マジで動けなくなってるへっぴり腰なMama。
ここで優しい旦那様の出動...ってのはなく、指を差してゲラゲラ笑ってるだけ(笑)
『しょうがないなぁ...』そんな両親に呆れ果てたMasaがザックを下ろしてMamaのレスキューに向う。


かなり滑るので慎重に足を運ぶAzu

Mamaが進めなくなったのでMasaがレスキューに向う

谷側に立って手を貸す彼に支えられて何とか急斜面を登り切ったMamaだけど、斜面の上に立ってひと言『何よ、これ?スキー場だったら直滑降できるようなショボい斜度じゃないの!』これにはレスキュー隊Masaも口をあんぐり...泣きそうになってたのはどなたでしたっけ?(笑)
白馬尻小屋(プロトレックの高度計によれば1580m)に到着したのは10:30。猿倉からの3km標高差340mを2時間かけて登った計算になる。小屋の前にザックを下ろし、大雪渓の中央部に立ってみる。
青い空、茶緑色の絶壁、白い雪...色は違うけどUK国旗“ユニオンジャック”を連想してしまう完璧な4分割!(笑)遠近法のお手本のようだ。


大雪渓に到着

ハンディなトライポッドにカメラをセットして全員揃って記念撮影をした後、まだ、シーズンに向けて建築中の白馬尻小屋前に座ってランチタイム。身体を動かしたぶんだけ食事がウマイ!...これ野遊びの法則(笑)。
ガツガツムシャムシャ、あんなに重かった食料はあっという間に底をつき、非常食として準備したクッキーやチョコまで完食!雪渓に埋めて冷やしたペットボトルも良い具合に冷えて完飲!これでもう遭難は許されないぞ!ってことで(笑)。

ま、水に関しては、どこにでも雪解け水の渓流が流れていて、川に口をつけてゴクゴクやればいいわけで(*日本国内ではまだ、ジアルディア=鞭毛虫の存在は報告されていないけれど、お腹の弱い人はヤメた方がいいかも知れません。)、水が豊富ってのは辺境の地に居ながらも妙な安心感に包まれるのだ。

PRIMUSでお湯を沸かしてコーヒーを落とす。
最初の十数ccを挽いた豆に垂らし、じっくりと蒸らしていると辺りにコーヒーの芳醇な香りが漂う。もう一度お湯を注ぐと豆がフワッと音を立てて泡がドーム状に膨らむ。気持ちが穏やかになる瞬間だ。
大雪渓を渡る涼やかな風に吹かれつつ、この広い空間を独占しながら楽しむコーヒー...もしかするとこの瞬間、ニッポンで一番旨いコーヒーを味わってるのはオレたちかも?そんな錯覚を覚えるほどだ。


小屋から標高差120m地点まで登って下界を見下ろす

白馬尻小屋にザックを置きさらに登るMasaとスキーヤー

そんな穏やかな雰囲気の中、Masaは大雪渓の上ばかり見て、僕に何か言いたそう。『Masa様、何かご希望でも?』僕がふざけて訊ねると、彼は大雪渓を登ってみたいのだと言う。“なんちゃって”トレッキングにしては容量が大きすぎる僕のマウンテンスミスZONE。実は寒さに備えて真冬用のハードシェルジャケットが4着入ってて、アイゼンさえあればお花畑ぐらいまでなら何とかなるとは思う。だけど、当然ながらアイゼンはないし、Mama&Azuのことを考えるとここまでにしておくのが身のため...ま、そんなわけで装備のことは内緒にして(笑)、小屋から見える大雪渓の中ほどまでならってことで、標高1700mまで限定ということにしてMasaとふたり大雪渓を登る。
夏期にここを登る際に気を付けないといけないのは、クレバスと上部から高速で弾丸のように転がってくる落石。

でも今日は雪量も豊富で登山者の足跡を辿って行けば危険はなさそうだ。Masaは若いぶん足取りが軽やかだけど僕の足は鉄下駄を履いてるように重く、すぐに彼との差が開くのが悔しい。途中、スキーヤーと2人ほどすれ違いつつ、時折プロトレックで高度を確認しながら大雪渓が緩やかに左にカーブを始める1700m地点へ。

 


『このまま上まで行こうよ!』アイゼンがあればね。(中央の豆つぶがMasa)

 

ここまで来ると、またさらに気温が下がり、吹き下ろす風も強まる。
『もうこの辺で終わりにしようぜ!』
『え!もうちょっと行こうよ!』
父子でモメつつ、なんとか彼を説得して下山することに。
『なぁ、ここで走っちゃマズいかな?』
『コケて怪我したら誰が運ぶんだよ!』
『ヒャッホ〜こりゃ気持ちイイわぁ〜!』
走り出す僕...そう、走り出したのは父親で、それを苦笑しながら見守るのは息子(笑)。でも踵を雪面に突き刺しながら全速力で駆け下りると気分は最高!!


帰りは“つぼ足スキー”を楽しむAzu

大雪渓下端は雪庇があって少々危険

小屋の前に戻ると、MamaとAzuの姿がない!へ?
雪面を見るとAzuの字で『いいかげんにしなさい さきにいきます』の文字。待ちくたびれた女性陣は怒り心頭に達して先に下山を開始した模様(涙)
すぐに荷物をまとめて白馬尻小屋を後にする僕ら。村営白馬尻荘前の急斜面で女性陣に追いつく。
斜面の縁に立つと、眼下にふたりの女性がボーゲンで滑っているのが見える。『うわっはっはっはぁ〜!』『楽し〜!』何と、MamaとAzuは足を八の字にして登山靴で“つぼ足スキー”してる!固い雪の表面が融けてそれほど滑りやすくなってるってことなんだけど、往路ではいかに滑らずに登ろうかに苦心してた人たちとは別人のように楽しそうだ。


渓流の水を飲みながらの下山

花、蝶、景色...話題は豊富なのだ!

大雪渓からは触れるだけで崩落しそうな雪庇を避けて登山道へ。ここからは急に気温が上がって初夏の雰囲気。長袖シャツを脱いで渓流沿いの岩道を進む。喉が渇いたら何度も渡る渓流に降り立って、本流ではなく岸辺の岩間からしみ出す水を手で掬いとって喉を潤す事が出来るのが嬉しい。
『う〜ん、雪解けの味がするわね!』とAzu。
『え、オマエってこれまでに雪解け水飲んだことあるのか?』
『う〜ん...初めて。でも雪はスノ−シュ−の時、こっそり何度も食べたわよ。おいしいのよ〜!その時の雪とおんなじ味だもん!』
し、知らなかった!雪を拾い喰いしてたなんて!!(笑)


“なんちゃって”だけどちょっと冒険気分?

中部山岳公園記念碑

御殿場からは、未舗装の林道へ。普通の道路の場合、往路に比べて復路ってのは新しい発見も少なくて色褪せて見えることが多い(バス旅行でも帰りは寝ちゃうでしょ?)。でも、たとえ林道であっても山の道ってのは普通の道とはちょっと違って、往路とは全く違う景色を楽しむことが出来るものだ。しかも今回も「花の季節」。往路では発見出来なかった珍しい花々が次々に現れ、全く退屈することはない。往路では疲れで目が三角になってしまう場面も多々あったAzuも、さすが“下りの女王”の名に恥じぬ機嫌の良さ。まるで子鹿のような軽い足取りでスイスイ進んでゆく。
間もなく「中部山岳公園」碑。ここから再度森の中に入り10分ほどで猿倉荘に到着。大雪渓トレッキングはあっけなく終了である。


猿倉の看板に描かれているのはイワカガミ ?コマクサ?

駐車場前ヘアピンのカーブミラーにて

駐車場のダッちゃんに戻ってザックを下ろしたのが13:00。
車内で着替えを済ませ次第、僕らは帰路につく。白馬からは国道148号を大町方面へ南下。来冬の予習と称して、国道の両側に次々と現れるスキー場の看板を確認しつつ、青木湖、木崎湖の景色を楽しみながら安曇野へ。
高瀬川沿いの快適な北アルプスパノラマライン(県道306号)を進み、万水川を渡り(万水川を渡った時は、その豊かな水量を見てカヌーを積んで来なかったことをマジで後悔した。帰宅が遅くなることを覚悟すれば、それからダウンリバーするに充分な時間でもあったし!)長野道〜中央道〜名神...SAで野沢菜おやきを買った以外はノンストップで走り続け、我が家に最寄りのICは17:00に通過...通過??
距離計は530マイル(850km)を指してるというのに、家に帰らずそのまま通り過ぎて、Mamaのシュノーケリングマスク&Masaの卓球ラケットのサイドテープを買うためにショッピングセンターへ...(笑)
そのままショッピングセンターで2時間以上お買い物を楽しみ帰宅。こうして戸隠&白馬大雪渓トレッキング・キャラバンは終わりを告げたのだった。

 

ダッちゃんのこと
850kmをほとんど疲れなく走破できたのは、大袈裟ではなくDiscoの半分しか疲れないダッちゃん様サマ!しかも無給油でこれだけ走れちゃうのには驚くやら笑っちゃうやら...(笑)(*実際は残り40リッター(!)で、今にもガス欠します!ってな給油を促すサインがしつこく出るので給油したけど、結果的に計算上は無給油で大丈夫だった。139リッタータンク恐るべし!ちなみに全行程の平均燃費は5.95km/Litter)

 

 


 
白馬大雪渓への登山道で見かけた花々

(クリックすると拡大します)

オオバミゾホオズキ
ニリンソウ
サンカヨウ
フキノトウ
ショウジョウバカマ
シラネアオイ
イワカガミ
キヌガサソウ
トチノキ

ミヤマツボスミレ
イチリンソウ

ギンリョウソウ
ホウチャクソウ

Photo by aki 2005.All right reserved

 

岩場にひっそりと咲くイワカガミ

 

 
1日目 戸隠トレッキングへ戻る

June.2005 MENU
 

 

アンケートにお答えください!

 

_  _  _

 

Copyright 1998-2005 Akihikom.All right reserved

paddler@mac.com