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May.2005 part.4
 

 

 

 

 5月21-22日 紀伊半島一周キャラバン

 

幽玄の雰囲気漂う日置川をゆく

 

 

5/21 高野山トレッキング

にっしゃんにダウンリバーのお誘いを頂かなかったら、もしかすると実現しなかった計画だったのかもしれない。いや、たぶん実現しなかっただろう。紀伊半島一周キャラバン...何とも魅力的な響き。
にっしゃんがOld Town Camperを手に入れてカヌーイストになった時、最初は宮川で進水式を兼ねて彼とのファーストコンタクトの予定だった。ところが、昨年の大水害で計画は頓挫。そして今年。宮川の復活を待って再度計画を練ったものの、今度は宮川の大渇水で予定は延び延びとなり、鮎釣りの解禁が迫った今月、いよいよ宮川を諦めて熊野川に場所を移して決行することになった。もし、にっしゃんが誰かの誘いを待ってるだけで自ら行動しない“便乗専門”タイプの人ならたぶん僕は宮川以外はお断りしていただろう。カヌーの安全は技術よりも心構えが大切なわけで、判断の出来ない人にはたとえあの易しい熊野川であっても危険すぎるから。でも、彼は青蓮寺湖での進水式、木津川川下り、そしてご夫婦での日置川と、身の丈に合ったフィールドを選んで自ら行動する人である。この人は大丈夫!僕はそう確信して日程の調整に入った。
ところが!見事に我が家とにっしゃん家の日程が合わない!結局、どうにかOKなのは5/22。でも、この日は熊野川カヌーマラソン(涙)。じゃ、古座川は?うわっ、古座川クリーンアップ大作戦の日だよ!...そうなると日置川?いやいや、日置川はにっしゃんがつい最近行かれたばかりだし、我が家は1泊ではちょっとキツイんじゃ...。でも、にっしゃんは日帰りで日置川に行かれたわけだし、うちも和歌山回りならにっしゃんちから+1時間だよなぁ。そんなわけで日置川に決定である。

『和歌山回りで日置川行くぞ〜!』僕が計画を発表すると、『やった〜!』一昨年のゴクラクダウンリバーの好印象が功を奏してだろうか、意外にも家族みんな大喜び。その場で“るるぶ和歌山”を引っ張り出して、あ〜でもないこ〜でもないと観光プランを立て始めるのだ。でも、ここでMamaが悪魔の一言。『ねぇ、高野山って近くよねぇ?』
うっ!『高見峠越えて吉野から高野山に行くでしょ?で、そこでトレッキングして、龍神温泉に入って、日置川に行けば近道だと思うんだけど。』ヲイヲイ近道ってアナタ、距離じゃないだろうよ!ず〜っと高速で行くのと1000m級の峰々を越える山坂道で紀伊山地を縦断するのとじゃ、全然違うだろ...でも、運転しない僕以外の家族の総意でこのプランを採用することになり、5/21(土)早朝5:30、高野山に向け出発なのである(涙)。


中の橋駐車場から奥の院へ

R25名阪国道を針TCまで進んで、そこから吉野へ南下。中央構造線の谷に沿って流れる吉野川沿いに西進して橋本市へ。
ここからは旧高野山道路の急な山坂道を再び南下し、つづら折れの山坂道を上り切った場所に標高800m超に忽然と姿を現す“ニッポンの天空の城・ラピュタ”(笑)こと高野山に到着だ。

大混雑を予想してたけど、拍子抜けするほどに空いてる高野山。奥の院へアプローチするのに最も便利な中の橋パーキングにクルマを停めて、清々しい朝の光を浴びながら奥の院へと歩き始める。
昨年、指定された世界遺産「紀伊半島の霊場とその参詣道」のひとつである高野山。熊野三山や吉野とは違って目にするもの何もかもが真新しく、まるで京都の西本願寺の境内を歩いてるような雰囲気。

参道両側に続く有名どころの会社の社墓を批評しながら進み英霊殿を過ぎ御廟橋を渡ると、いよいよ霊気のようなものを感じる領域に入る。さすがに弘法大師の御廟だ。
駐車場から1.3km、奥の院はちょうど数十人の僧侶が並んで法要の真っ最中。天井からぶら下がった無数の灯篭が屋久島で見た満天の星空を連想させるのは何故だろう。
帰り道は聳え立つ大杉の間に点在する豊臣秀吉、織田信長、石田三成、伊達政宗など歴史上の人物の墓を巡りながら一の橋までの2kmを進む。やんわりと射し込む陽射し、梢に響く啄木鳥のタップ音、時折すれ違う僧侶の列...こんなに楽しめるお墓は他にないだろうな(笑)。

バス道に出てすぐにある麩饅頭屋に入って店先で名物の麩饅頭を食べて一休みした後、苅萱堂を横目に見て森下商店の胡麻豆腐を買って金剛峯寺へ。


英霊殿前にて

春の木漏れ日が眩しい

“麩善”店内で麩饅頭をいただく


いかにも高野山らしい光景

 

森下商店のごまどうふはお土産に最適

金剛峯寺山門前のシャクナゲ

ちょっと見頃を過ぎてるけど、とても可憐で美しい山門前のシャクナゲを愛でて、参拝した後は高野山のランドマーク、壇上伽藍へと進む。金堂ではちょうど高野山高校吹奏楽部の生徒が音楽法要をしてる真っ最中。お寺らしからぬ西洋風の音楽が金堂から流れてくるのにはちょっと驚いたけど、これこそが高野山らしさなんだろうなぁとの思いを強くする。音楽法要が終わるのを待って金堂へ。


大伽藍へと向う美しい小径

金堂と根本大塔

国宝が林立しているわけでも目を奪われる素晴らしい色彩に満ちているわけでもないけど、とても居心地の良い空間がそこにある。僧衣を身に着けた音楽法要を終えた少年たちがビデオカメラに向かってピースサインを出しておどけてる姿に苦笑しながら、僕らは金堂を出て市街地の西の外れにある大門へ。途中にある釜飯屋さんで地鶏釜飯のランチを食べ、大門から町石道に入ってちょっとだけ雰囲気を味わって約5.6kmのトレッキング(...というよりも散策だな)はおしまい。
中の橋駐車場へ向かうバスの車内から高野山の町並みを眺めながら、今日の感想を語り合う僕ら。
ともちゃんは『世界遺産の中では一番オーラを感じないわねぇ。』なんて言うけど、観光地っぽく見えるのは、ここが“過去の遺物”“歴史の博物館”ではなく、ダイナミックに変化する“現役”の聖地だから。熊野三山も吉野も今でこそ静かな佇まいを見せているけど、かつては高野山と同じく賑やか過ぎるほど賑やかだったに違いないわけで、逆に弘法大師の世に開かれて以来、21世紀の現代でもこの賑わいが続いてるってのはスゴイ事なんじゃないのかな?僕はそう感じたのだ。

 

大門とAzu


町石(六町)はこんなに大きい

町石道への看板前にて

散策にしてはちょっと長い5.6kmのトレッキングを終え、再びダッちゃんに乗り込んだ僕らは無料化された高野山龍神スカイラインの快適なワインディングのドライブを楽しみつつ1000m級の峠を幾つも越えて熊野古道・中辺路沿いに龍神温泉へと向かう。
幾重にも重なる紀伊山地の山並みはあくまでも深く険しい。でも、初夏の陽光を浴びた今日の山々は穏やかな印象でもある。アイポイントの高いダッちゃんの窓から望む日高川の美しい流れにワーワーキャーキャー歓声を上げつつ(『うわ、あの淵で泳ぎたい!』『あそこの岩には絶対テナガエビがっ!』とかなり具体的...笑)気持ちの良い高原ドライブを楽しんでいると間もなく“日本三大美人の湯”龍神温泉に到着だ。
僕らは日帰り入浴が可能な元湯へ入ることにする。


龍神スカイラインで龍神温泉へ

日高川に張出すテラスのような駐車場にダッちゃんを停めると、高野山からずっと僕らの後を走ってたメルツェデスのキャンピングカー(実はこれがバッジを取り替えて“新型ダッジバン”として販売されている)のご夫婦に声を掛けていただく。今から熊野川カヌーマラソンに向かうのだそうだ。
カナディアンカヌーを3艇積んだダッちゃんから降りてきたのが家族4人なのを見て、かなり驚かれた様子で、Masaに『えっ?君も一人でカヌーに乗れるの?』って訊ねてらしたのが笑ったけど(実はAzuも一人で乗れるんだけど...笑)、Magic-o-carrierのことやダッちゃんへカヌーを積み込む方法などを話す。

お互いに名前も知らないままにカヌーという共通の 趣味で語り合えること...愛好者が少ない遊びならではの楽しみだ。


龍神温泉元湯

元湯前の橋から清流・日高川を望む

ご夫婦と『良い旅を!』と笑顔で別れた後、龍神温泉はさっぱりツルリンになった僕らは、NESSYさんから教えてもらった抜け道を通って今日のキャンプ地である日置川へ。

カーナビが迷いまくって役に立たない中、頼りはナビシートでともちゃんが広げてるNESSYさんのメールのプリントアウト。『NESSYさんの説明って何て的確なんでしょ!?すごいわぁ〜!』とふたりで感心してるうちに無事向平キャンプ場に到着(16:30)。

広いキャンプ場にいるキャンパーは10組ほど。川沿いの一番奥のサイトにダッちゃんを停めて、いつものSPタープを二つ折りにして張ってミニマムなサイトを築く。
キッチンの準備が整い次第、MamaとAzuは夕食の準備。僕とMasaはテーブルやチェアを広げてダイニングのセッティング。

日が落ちてランタンが灯った頃に料理も完成し、久々に外食じゃないキャンプの夕食だ(笑)。家族4人だけで過ごすキャンプの夜。


日置川・向平キャンプ場に到着し夕食の準備

他に何もすることがないぶん、たぶん一ヶ月ぶんぐらい話が弾む夜。そんでもって今年で一番いい夜。
午後9時には予めベッドメイキングされたダッちゃんのシュラフにもぐり込んで眠りについた僕らだった。


ランタンが灯ると同時に夕食開始

夜のキャンプサイトで寛ぐ僕ら。


家族4人のミニマムサイト

 

 

「日置川ダウンリバー」へ進む

 

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