【フィールドワークから分ること】
家に戻ってから、今回のフィールドワークで気付いたことを本やインターネットで確かめてみました。
早瀬の効果
まず最初に注目したは中川大橋から徐々にきれいになって行くのではなくて、澄んだり濁ったりを繰り返しながらきれいになっていく点です。僕の観察では水をきれいにする早瀬は川が屈曲している部分に出来てることが多く、早瀬は片側または両側が小石や砂利、砂でできた河原になっています。
河原は川の水と混じって上流から流れて来た小石、砂利、砂が堆積したものです。川の流れが屈曲や流れの中の大きな岩などの障害物に当たって方向を変えられて速さが遅くなるとそれまで水中にあった小石などが大きい順番、重い順番に川底に沈みます。まず初めに小石、次に砂利、そして最後に細かな砂が沈んで川底に沈澱します。このことは屈曲している部分にできた扇の形の河原を良く見るとわかるのですが、河原は上流部が小石、中ほどが玉砂利、そして下流部は砂で出来ていることが多いのです。カヌーの人は、よく「河原で寝るなら真ん中、薪を拾うなら下」と言いますが、それはそのことを言っているのだと思います。
河原が発達して川の流れをせき止め始めると、川幅が狭まって早瀬が生まれます。早瀬の上流には水がたまって淵のような流れのない淀みが出来て水圧が高まるので早瀬の両側の河原の地下に水がゆっくりしみ込んで、早瀬の終わりあたりで湧き出すことになります。実はこれが父の言った緩速濾過とそっくり同じ現象なのです。
緩速濾過は昔の浄水方法として用いられた浄水の方法で、一番下が砂、次に砂利、そして小石を敷き詰めた容器に水を流すことで、不純物を取り除き、石に付いた微生物が水中の有機物を分解して水を浄化する方法です。この方法は砂、砂利、小石の間を一日に3mから6mというゆっくりとしたスピードで水を通さないと効果が少ないので、大量に早くきれいな水を作るのには適していません。そこで、今は塩素などの薬品を使った急速濾過が主流になっているそうです。宮川の早瀬の下で湧き出している水がどれほどきれいなのかはちゃんと実験しないとわかりませんが、水温が低いことや泳いでいる途中で間違って飲んでも絶対に腹痛を起こさないことなどから、地中深くをゆっくりとしみこんで緩速濾過の効果が出ていると考えて良いと思います。
人家の影響
内城田大橋に近づくと水が極端に濁るのは、人家が数多くあって生活廃水が流れ込んでいるからだと思います。今回川を下ったのは宮川の中流部で、旧大宮町、旧大台町、度会町を流れていますが、インターネットで調べると、下水道普及率は旧大宮町0%、旧大台町0%、度会町0%と全て0%です。下水道がないということはし尿は浄化槽や汲み取りで処理されていますが、生活廃水の多くがそのまま宮川に流れ込んでいることです。
内城田大橋までの宮川の河原は、砂利が露出しているのですが、ここから急に雑草が生え始めます。これは流れる水に生活排水の養分が多く含まれているということで、水質が悪化している証拠なのだそうです。
支流の効果
このように内城田大橋付近で一旦濁る宮川ですが、すぐ下流で一之瀬川が合流し、またすぐに美しくなります。これは誰が見ても一之瀬川のきれいな水が宮川の水と混じって水質を良くしているのは間違いありません。宮川には旧大内山村から旧大宮町を流れる大内山川をはじめ多くのきれいな支流が流れ込んでいます。他の川に行った後で宮川を見ると、宮川はコンクリートの堤防がとても少ない川だと思いますけど、支流はもっとコンクリートの堤防が少なく、どの川も自然のままできれいな川です。一之瀬川の合流点を観察して宮川がきれいな理由のひとつはこのきれいな支流なのだと思いました。
【宮川がきれいな理由】(自由研究全体の結論)
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源流の大台ケ原の豊かな降水量に恵まれていること
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都会の川に比べて工場や人家が少ないこと。
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穿入蛇行で出来上がった蛇行が数多く早瀬を形作ったこと。また、川の傾斜が緩速濾過にちょうど良い緩やかな斜度だったこと。(穿入蛇行=生育蛇行。かつて平野上を自由蛇行していた河川が浸食基準面の低下によって下刻するようになったため生じる蛇行。四万十川や大井川の中流などのような山地や丘陵地などに発達する。)
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開発の進んでいない森を源流にしたきれいな支流が多くあること。
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きれいな川が多い中央構造線沿いの川であること。
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