【宮川がきれいなわけ】

仮説その3 「降水量が多い」

 

自由研究を書いている今日(8/24)、台風11号が紀伊半島に近づいています。テレビの気象情報で「南東に開けた地形の場所では大雨が降るので注意が必要です。」と言っているのを見て、川の水質にとって一番大切なのは川の流量ではないかと考えました。そこで、それぞれの川の一番源流に近い市町村の年間降雨量を調べてみたのが表5です。

表5
河川名
県名
源流近くの町村名
流域面積
年間降水量
宮 川
三重

宮川村

920km2

3600mm

後志利別川
北海道

今金町

720km2

1451mm

尻別川
北海道

大滝村

1.640km2

1701mm

大野川
大分

熊本県竹田市

1,465km2

1854mm

十勝川
北海道

浦幌町

9,010km2

1139mm

姫 川
新潟

長野県大町市

721km2

1192mm

荒 川
新潟

山形県小国町

1,147km2

2700mm

豊 川
愛知

設楽町

724km2

2192mm

北 川
福井

滋賀県今津町

215km2

1835mm

*全国平均  約1700mm

この表から気付くことは、やはり宮川の雨量が断トツに多いことです。全国平均の雨量(1700mm)と比べて北海道の清流は雨量が少なめで、それ以外の川はやはり雨量が多いということです。(日本海側に注ぐ川は豪雪地帯なので冬の雨量が多いようです。)このこととこれまでの仮説1.〜2.の結果を考えると、それぞれの川の水質がきれいに保たれる理由にはいくつかのタイプがあることが判ってきました。

 

【このページの結論】

1.北海道タイプ(後志利別川、尻別川、十勝川)
雨量は比較的少ないものの、川が汚れる理由となる人口が少なく、その上下水道の普及が進んでいるために川が汚れる原因が少ない。また、年間を通じて水温が低いので生物が少なく水中の微生物の数が少ないためにBODが低い。

2.日本海側タイプ(姫川、荒川、北川)
豪雪地帯に位置し、冬の雨量(積雪量)が多く、雪解け水が冬から初夏にかけて安定して流れる。流域人口は北海道に次いで少なく下水道普及率も全国平均を上回ることから、川が汚れる原因が少ない。雪解け水が入ることから一年の大半は水温が低く生物が少なく水中の微生物の数が少ないためにBODが低い。

3.大都市近郊タイプ(豊川)
雨量が全国平均よりも多いが、流域人口が多く、また雪解け水が入らないので水温は年間を通して高いので川が汚れる条件が揃っているものの、大都市近郊ということで下水道の普及が進んでいて水質が以前に比べて良くなってきている。豊川は去年まで水質ランクに入っていなかったけど、2003年に初めて1位になったことから、それが判る。

4.多雨地域タイプ(宮川)
流域人口も多く、雪解け水が入らないので水温は年間を通して高い。その上、下水道普及率が低いので川が汚れる条件が全て揃っているが、全国平均(1700mm)の2倍以上ある年間降水量が豊かな水量となって水質を悪化させない原因となっている。僕は全国の色々な川に潜っていますが、一番生物が多いのはやっぱり宮川なので、水温が高くて生物が多い(餌になる水中の微生物の数が多い)のにBODが低いのは、雨が多いことが原因だと思います。