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11月26日 森が神様(青山高原ブナ原生林)

   


針葉樹林の木漏れ日

 
フーフで野遊び...#27

我が家の子供たちは塾に行っていない。その代わり、ともちゃんが小さい頃から文字通りの家庭教師をしているのだ。家庭教師と言っても付きっきりでビシビシ教えるのではなく、対面キッチンで料理を作ったり洗い物をしながらダイニングテーブルで勉強しているAzuの様子を時々覗き込んだりするだけ。家事がひと区切り付くと隣に座って問題を出してあげたり、解らない部分をアドバイスしたり...その様子は、まさに赤ん坊の頃の絵本の読み聞かせの延長って感じだ。
そんな肩の力の抜けた家庭教師だけど子供たちの信頼は絶大で、ここのところAzuは『ともが居ないと成績が下がっちゃう!』とか言って定期試験前はともちゃんを独占して、楽しそうに試験勉強をやっている毎日だ。
今日から期末試験のAzu。午前中の試験を終えて昼過ぎに帰宅するAzuから家庭教師の予約を受けているそうだ。家で勉強しなくても授業を聞いてるだけで出来るし!なんて豪語してたMasaとは違って、Azuはコツコツと勉強する努力家。前回の中間試験ぐらいからそんな彼女の努力が実を結んで,もう少しでMasa並みの結果を残せるかも!?って位置まで来たようで、『Azuは今、もうちょっとで花が開きそうって感じなの。だから今日は昼までに帰ってAzuの相手をしてあげたいの。』と、ともちゃん。


フーフで影絵遊び(足長〜い!)


おバカなポーズ

そこで今日のフーフで野遊びは午前中だけの軽めの野遊びにしようってことで、青山高原でお散歩。山頂小屋駐車場をスタートに低緯度(北緯34。)低標高(600m)ではとても珍しいブナ原生林(県天然記念物)を抜けて病気平癒の神として古より多くの信仰を集めてきた奥山愛宕神社へ参拝する3kmの山歩きだ。ほとんどがスギやヒノキの人工林である布引山地にあって、原生林の存在自体が貴重である上に、本州中部ブナ地帯の下限である標高1000mより遥かに低い地点に原生するこのブナ林は、希有な存在なのだそうだ。

紅葉も盛りを過ぎ、ブラウンに染まるフカフカフワフワのトレイルに落ちる金色の木漏れ日...稜線を越えほの暗い針葉樹林から明るく温かなブナ林へ。ブナ林に差し掛かると空気の色、気温までが一変する感じだ。森はほとんどが直径30〜50cm、樹高20〜30mのもの。それでも樹齢150〜200年クラスのブナの木を中心にハリギリ、ミズナラ、クヌギなど薪ストーバー垂涎の木々(笑)が立ち並ぶ。
『やっぱり、ココ、いいわねぇ。何だか落ち着くのよねぇ。』
広がるブナ林に目を輝かせながら、ともちゃんが呟く。そりゃそうだろ、かつて山の民だったアナタのダンナが幼年期を過ごした場所から数kmしか離れてないんだもん(笑)


トレイルに落ちる金色の木漏れ日

太陽に向かって

森に響く野鳥のさえずり。すかさずザックからフィールドスコープを取り出して,声の主を探す。
『う〜む、森の中でのバードウォッチングは難しいわぁ。』
鳥の姿は捉えられないけれど、ともちゃんはブナ林の美しい木々を観ているだけで満足げだ。

スタートから30分ほどで奥山愛宕神社に到着。朱色が美しい拝殿に上ってお参りを済ませ、参道を折り返す。途中、木漏れ日が暖かな小さな平坦地でザックを下ろし、PRIMUSで煎れたコーヒーと小さなナッツの入ったお菓子で暫しのコーヒーブレイク


奥山愛宕神社


コーヒーブレイク

かつては病気平癒の願いを込めて多くの参拝者が行き交ったであろう参道も、今はもう誰もいない。そんな静かなブナの森で過ごすリラックスタイム、全く気遣いの要らないふたりで過ごしていると時間を忘れてしまいそうだ。
『オレ、神様の存在を信じているよ。信じてはいるけどさ、奥山愛宕神社が病気平癒に霊験あらたかだってのは、もしかしたら火之迦具土神さんの仕事じゃないのかもしれないね。この、歩いているだけで気分が落ち着いてくる森自体が病気を癒す力があるのかもしれないなぁって...。』神社に立ち並ぶ数々の灯籠や鳥居、寄進者の幟の多くが他府県の信者のものだということだけでも、ここがただの氏神さまでないことは充分に判るけれど、この森に入ってこの森で過ごすだけで、自然の一部でもある僕らの身体に何か目に見えない変化が現れるのではないか...そんな風に思うのだ。


ブナの原生林にて

吐く息が白い

美味しいコーヒー(モンカフェだけど...笑)を味わった僕らは、ブナ林から針葉樹林へと戻る。ツツジのトンネルをくぐって山頂小屋に帰り、青山高原ウィンドファーム(風力発電施設)の風車を眺めつつ自宅へと急ぐ。今のところは20数基だけど、2015年には60基の巨大な風車が立ち並び、国内最大の風力発電所になるらしい。95000kW、66000世帯分の電力...我が町の世帯数の半分以上の電気を賄う風力発電所。
この希有なブナの森とともに、ちょっとだけ誇りにしてもいいのかも。


 

November.2008 MENU

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