4月25-27日 古座川“プチ”キャラバン(古座川DR&嶽ノ森山登山)
4/27 嶽ノ森山登山
昨夜は「モータサイクル・ダイアリーズ」の余韻を胸に雨音を聴きながらいつの間にやら眠りに落ちた僕ら。ポツ、ポツ、ポツ...ルーフのカヌーから滴り落ちる水滴の音、そしてリアウィンドウのシェードの隙間から差し込む日の光で目が覚めたのが6:30のことだ。 ん?晴れてる?昨夜はダッちゃんのルーフを叩く強い雨に今日の野遊びは中止かもしれないねぇ、なんて話してただけに川側のシェードを上げて見た雲ひとつない青空は嬉しい誤算である。 昨日買ったパンとコーヒー、冷蔵庫で冷え冷えのヨーグルトetc.の簡単な朝食を済ませて、一枚岩へ“出勤”する。
今日の野遊びは「嶽ノ森山登山」。何度も訪れた古座川だけど、残念ながらこれまではどうしてもカヌーでのダウンリバーばかりになっていたのも事実。古座の素晴らしい自然を川だけしか知らないのは勿体ない!ってことで、今日はMasaが以前から行きたがっていた一枚岩の対岸の聳える岩山に登ることに決めたのだ。
一枚岩のトイレ前にダッちゃんを停め、登山装備を整えて9:00スタート。一枚岩トンネル手前から旧道に少し進んだところが登山口だ。登山口には立派な看板があるので、入口を見誤ることはないけど、山に入って100mほどは肩ほどまである草むらを薮漕ぎすることになってちょっと不安がよぎる。GPSに従って微かな踏み跡を辿ると森への入口に着き、ここから先は不思議なほどくっきりと判りやすい道になる。
嶽ノ森山はたった376mの低山ってことで登山とは呼ぶに値しないかもしれないんだけど、“ミニ桂林”とも称される古座川峡を代表する鋭峰のひとつだけに、その傾斜はかなりのもの。僕らは想像以上の険しさに戸惑いながらトンネルの上を通過する支尾根をひたすら登る。スタートから終始、植林混じりの美しい自然林が続く。雨上がりの南紀の森が発する濃厚な森の匂いと時折見られる花々がそんなキツさを忘れさせてくれる。
支尾根を登り切ると、原色の緑の苔に覆われた岩が重なる沢に出る。犬鳴ノ谷である。澄んだ水たまりには数多くのイモリ(アカハライモリ)が棲んでいて、ちょっと疲れ気味のAzuが『キャ〜!イモリだぁ〜!カワイイィィ〜!』と大喜び。早速ともちゃんが水に入ってイモリを捕獲(笑)、Masaに『弱るから、早く水に戻せよ!』と叱られる場面も。何でもとりあえず捕まえてみたくなる母と、生き物にやたら優しい息子...反対やっちゅうねん!(爆笑)。
苔の渓流はほんの50mほどで、急に空を覆う木々が切れ、スラブ状のナメトコ(滑床)岩が現れる。一枚岩と同じ色合いの赤っぽい一枚岩が浸食され深いV字になった滑り台のような岩で、中心を相当な勢いで水が流れている。何もないと危ないことこの上ない岩だけど、有り難いことにステップ状の窪みが彫られていて油断しない限り危険な感じはない。
主尾根に取り付き、良く手入れされた植林帯を進むとT字路に出る。右は峰ノ山への縦走路で左が嶽ノ森山への登山路だ。尾根道を進み、岩によじ上るとあっけなく嶽ノ森山・上ノ峰山頂に到着。いつも一枚岩から見上げているあのトンガリ山のてっぺんに来たかと思うと感慨深いものがある。青葉の季節なので木々が生い茂っていて360°の大パノラマ!...とまではいかないけれど、足元にエメラルドグリーンの蛇のようにうねる古座川がくっきりと望め、東側、山頂標識の向こうにはまるで矢じりのような下ノ峰が見える。
狭い山頂には先客があって座る場所もなかったので、そのままザックを下ろさずにやせた尾根を下って下ノ峰を目指す。鞍部まではとても滑りやすく急な下り坂(坂というより絶壁)が続くけど、所々に張られたロープや木の根があって安全に下ることが出来る。
上ノ峰から10分ほどで下ノ峰に到着。小さな祠の向こうの岩壁の上に立つと、上ノ峰以上の絶景を楽しむことが出来る。ここで記念撮影を済ませ、再び鞍部に下り鞍部から標識に従って一枚岩へと下る。左手にそびえる下ノ峰の岩壁の迫力もさることながら、明るく雰囲気の良い森を歩く気分は最高!とうふ岩と名付けられた岩を『クスコのインカ積みそっくりだよなぁ!』なんて話しながら(*昨夜の映画に出てきた)快調に下ると、えっ?これで終わり?あっけなく相瀬大橋のたもとに降り立つことが出来た。
相瀬大橋からは古座川に沿って一枚岩に戻り、鹿鳴館でランチ。昨日から狙っていた「鹿コロッケ」2個付きの一枚岩定食をいただく。見た目は普通のコロッケだけど、じゃがいもがメチャうま。場所をテラスに移して一枚岩を眺めながら手作りケーキ&コーヒーでティタイム。一枚岩は折しもセッコク(ラン科)が見ごろを迎えていて、春風に揺れる白や淡いピンク色の花、そして上空を回るトビを眺めながら美味しいケーキをいただいていると本当に幸せな気分だ。
登山のあとは、女性陣の強い希望もあって串本海中公園へ。野遊びの後にこうした観光を加えるのが、中学生の娘を野遊びに連れ出す秘訣なのだ(爆笑)。 海中展望塔から見る串本の海はやはり素晴らしくて、『キャ〜、ハコフグゥ〜!』『クマノミよ〜!』とAzu&ともちゃんの黄色い声。
海の中を覗いた後は海中公園前の磯にくり出して、タイドプールの生き物を捕獲して一時間ほど遊ぶ。放っておくと日暮れまでここで遊んでいそうな女性陣を無理矢理ダッちゃんに乗せて串本を出た僕らは、湯川温泉・きよもんの湯で汗を流し、紀伊長島で地魚の海鮮丼をいただいて、出発から48時間後の21:00に帰宅することが出来た。
たった一度の渋滞もなく、月野瀬のパーキングは2晩とも僕らのダッちゃん一台だけで寂しいぐらい(一枚岩もP泊ゼロ!)だったし、古座川の川面で出会ったのはカヤックの2グループだけ。嶽ノ森山では上ノ峰でおっちゃん3人組に会っただけのほぼ“貸切”状態。しかも串本海中公園の駐車場も昼過ぎで3割ほどしか埋まっていない...GWを全く感じさせない紀伊半島週末“プチ”キャラバンはとても幸せな時間だった。
4/26 古座川ダウンリバー
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