FLAME LAYOUT

 

 

 

 

 
 

 

 

 

 

1月30日 霧氷見物“なんちゃって”登山(奈良県・三峰山1235m)

 


霧氷の八丁平にて

 
子鬼の居ぬ間に...#2

ザックに道具を詰めて完璧な準備を済ませたのは1/8のこと。あれ以来、スノーシュ−雪遊びの機会を虎視眈々と狙っていたんだけど、一度も実現が叶わず3週間(platypusの水も3週間...もう使えないよなぁ...涙)
でも、今日、ようやくチャンスが巡って来た。『子鬼の居ぬ間に...』2008 第2弾は三峰山なのだ。

三峰山といえば霧氷、霧氷といえば三峰山。現在、シーズン真っ盛りってことで毎週末には「霧氷まつり」実施中!奈良から霧氷見学定期バスが運行されているほどの賑わいだ。そんなわけで、人混みが何より嫌いな僕らはこれまで遠慮してたんだけど、平日なら人も少ないだろうと出かけることに決めた次第。


3週間このまんま

あの霧の中に三峰山があるのだ!

赤ちゃん霧氷が現れ始めた

スタートからすでに氷点下。白い息が蒸気機関車のよう!

例によって子供たちを学校に送り出してから、OUTBACKに荷物を積み込み、我が家から1時間足らずってことで着替えも済ませて9:00出発。途中のスーパーでランチの食材を買い出しして奈良県御杖村の青少年旅行村を目指す。旅行村からいつもの休憩小屋までは林道を通るんだけど、完全凍結&落石の嵐。長野でもこんなに滑らへんでぇ!ってなツルツルのアイスバーン随所に人の頭大の落石が道路一面に散らばっていて、その都度クルマを停めて取り除きながら進む。結局、旅行村から30分を要し(歩いた方が早かったかも...)10:45休憩小屋に到着。靴を履き替えスパッツを着けて11:00スタート。


登山道から覗く白い山並み

スタート地点に積雪はないものの直後の階段から完全凍結。腰に提げたPROTREKはすでに氷点下を表示している。今日の僕らは雪山ファッションなので寒くは感じないけど、とにかく滑りまくって、ともちゃんは泣き顔で悪戦苦闘。“どうしてこんなトコロに連れて来たのよ!”彼女の目がそう語っている(涙)。ここで『ワタシ、もう帰る!』なんて言われるとシャレにならないので、お姫さま扱いに終始(苦笑)。


木の幹に付いた無数の“エビの尻尾”
まるで鳥の羽根のようにも見える

上:時折深い霧に包まれる
下:雪が深くなってきた!

『ワタシ、良く考えたら雪山って初めてなのよ!何だか心配になって来た。』そ、そういえばキミはいつも平らな雪原をのんびり散策ってな遊びばかりだったっけ?『標高差はたった400m足らずだし、“なんちゃって”だけどツェルトから食料3日分まで詰め込んでフル装備だし、大丈夫ダイジョーブ!』ここからは、三峰山がいかに楽チンな山か?を矢継ぎ早に説明する僕。

ところが、スタートして10分ほどで登山道が雪に覆われ霧氷が現れ始めると...

『きっれぇ〜い!見て見て!霧氷よ、霧氷!来て良かったわぁ〜!』
キ、キミ、その変わり身の早さ、何とかなんない?


観察して...

喰ってどうする!

素晴らしい枝振りのブナ老木(避難小屋前にて)

避難小屋

雰囲気の良い尾根道を進む

霧氷を眺めたり写真を撮ったりしながら、いつもの半分ほどのペースで登ること1時間で不動滝コースとの合流点に建つ避難小屋に到着。相変わらず小屋の傍らに立つ枝振りの美しいブナの老木が印象的だ。

雪も深くなって来たので、ここでスノーバスケットをセットしたLEKIポールを使用する。15分ほどで三畝峠に到着。ここからはこのコースでも有数の雰囲気の良さを誇る県境の尾根道を進むことになる。急激に雪が深くなったので、ここからはスノーシュ−を使う。登山道両側の積雪は60cmほどだけど、少し外れた吹き溜まりでは軽く1mを超えていて、そのバージンスノーはフローテーションテ−ルをセットしていないMSRデナリクラシックでは少々浮力が足りないと感じるほどの柔らかさだ。


三畝峠からは積雪が60cmを超え、スノーシュ−を履く


霧氷の美しさにため息

スノ−シュ−でバージンスノーを歩く浮遊感!!

『まるで北欧の森みたいねぇ〜!』


三峰山1235m登頂!

12:30、1235mの山頂に到着。記念撮影を済ませ、そのまま八丁平へと下る。山頂〜八丁平の森はとても静かで美しく、また、野ウサギ、キツネ、シカなど動物の足跡が縦横無尽に走っていて飽きない。一応ラッセルされた登山ルートはあるけど、僕らスノーシュ−トレッカーはかえって幅の狭いツボ足の踏み痕は歩きづらいので、ルートを外れアニマルトラッキング(動物の足跡追跡&観察)を楽しむ。森を一直線に進む足跡もあれば、円を描く足跡、途中で何かを思い出したのか?躊躇して足踏みしてる痕もあって、動物になった気分を味わえる。


室生火山群は雲に覆われて眺望はない。残念!

三重県側・八丁平へと進む

広々とした八丁平

山頂から八丁平までは、ほんの5分ほどの距離。そこを30分ほど道草しながら進み(苦笑)、八丁平へ。
おおっ、すっげぇ〜!木々の“霧氷度”がこれまでと違う。まるで満開のソメイヨシノ?いや、学生時代に観た円山公園の枝垂れ桜にも勝るとも劣らない雪の芸術!いやはやこんな安近短な場所でこんな素晴らしいモノが見られるとは!ともちゃん、感動で声も出ないのか?ケータイで写真撮りまくり(笑)


三重県側の素晴らしい眺望を楽しむ

 

八丁平の疎らに生えた木々は全て霧氷で真っ白!エビの尻尾もひときわ長く(長いものは30cm以上ある)風下にたなびいて...ん?変だぞ???ここは常に西寄りの季節風が吹いているはずだし、実際、今日も北西の風なんだけど、エビの尻尾は風上...つまり西北西〜西に向かって伸びているものがほとんどだったのだ。

そもそも一年のうちで氷点下になるのは数日ってな温暖な場所に住んでいる僕は、雪や氷の現象について全く知らない。知らないことは調べてみるに限る!ってことで調べてみました。


まさに霧氷の華が満開だ。でも、寒い!

【霧氷】(むひょう)
氷点下の環境で、空気中の過冷却水滴もしくは水蒸気が、樹木その他の地物に衝突して凍結もしくは昇華することでできる、白色〜無色透明の氷層の総称。いわば自然現象としての着氷現象。普通、樹氷・粗氷・樹霜の3つに分類される。

【樹氷】(じゅひょう)
冬山などで、過冷却水滴からなる濃霧が強風によって樹木などの地物に衝突し、その衝撃で凍結・付着した氷層。一般的には、氷層を付着させた樹木そのものを指して樹氷と呼ぶこともある。気温-5℃以下の環境で生じる。粒状構造。風上側へ向かって羽毛状に成長する。この様を俗に「海老の尻尾」などと呼ぶ。気泡を多く含むために不透明で、白色を呈する。

へぇ〜、霧氷は霧が凍結したもので樹氷は雪が積もって凍結したものだと思ってたけど、樹氷は霧氷の一部なのね。過冷却水滴からなる濃霧が衝突するのは風上側だから、エビの尻尾は風上に向かって伸びるというわけだ。


長く伸びる“エビの尻尾”CLICK

赤い新芽が早くも春の兆し

で、今回見たようなエビの尻尾と呼ばれる長く伸びた霧氷が出来る条件ってのは、

1.氷点下であること
2.湿度の高い風が長時間一定方向に吹くこと。
3.霧氷を落とすほどの降雪がないこと。
4.もちろん、風の影響を受けにくい落葉した木が生えてること(笑)

実際、Googleで「霧氷」を検索してみると、そのほとんどが今回の三峰山と尾根続きの高見山のもの。樹氷といえば蔵王の“モンスター”が有名だけど、蔵王の樹氷は霧氷がとんでもなく大きく成長し、その氷層の隙間に着雪、雪同士がくっついて固くしまる。そしてそれにまた氷層が出来る・・・というよサイクルで大きく成長したものなのだそうだ。

つまり、モンスターではない美しい霧氷が見られるのは、あまり寒すぎない紀伊山地ぐらいの気候が適しているようだ。


『美しいぃ〜!』『それほどでも(照)』『あ、いや、君の前の木が..』

そんなわけで、痩せた稜線の縁から三重県側の眺望を楽しんだ後、八丁平の霧氷の華満開を楽しみつつ、三畝峠方面へと進む。
登山道を外れると、誰も踏み込んでいないフカフカの雪面の感触が心地よい。三峰山の登山者は登山靴&アイゼンで登山道をひたすら歩くだけの人が多いようで、今日もスノーシュ−を履いてるのは僕らだけ。比良山の八雲湿原にも似た雰囲気の広々とした八丁平を自由自在に歩き回るヨロコビは何物にも代え難く、重いスノーシュ−を担いで登ってきたからこその楽しみだ。


目まぐるしく変わるお天気。濃霧でホワイトアウト寸前

ひとしきり、まるで水の上を歩くような浮遊感を味わった僕らは、雪原をスノーシュ−で踏み固め、スノーショベルで平らに均してランチサイトを作る。霧氷の木々に囲まれた僕らだけの場所...大人のオママゴトみたいでこれまた楽しい。


深雪に分け入りランチタイム

メニューは寄せ鍋&うどん

本物のエビの尻尾

今日のランチも定番の海鮮寄せ鍋&鍋焼きうどん。MSRに火を入れチタンコッフェルに雪を放り込み、手早く調理。あっという間に鍋&うどんを完食した後のスープにコンビニおにぎり4個を放り込んでアツアツの雑炊を楽しむ(ご飯と具と海苔がコンパクトにまとまってるおにぎりは雑炊の素に最高。)。ランチの後は、予め家でバキュームボトルに充填してきたホットコーヒーを飲みながら冷え冷えでパリパリ鳴るエンゼルパイでティタイム。間近に霧氷の木々を眺めながら氷点下6℃のランチ&ティタイム...どんな高級レストランよりも素晴らしいロケーション!


ランチサイト

霧氷のトンネル抜けてゆっく〜♪


縦横無尽に森を歩き回る

ともちゃんは寄せ鍋の本物のエビの尻尾を雪の“エビの尻尾”に刺して写真を撮ってご満悦(笑)。居心地が良すぎて、フレンチのコースでも食べたんかいな?ってほどの時間を過ごした僕らは14:30に八丁平のランチポイントを後にする。八丁平から三畝峠、避難小屋へ。

小屋でひと休み。往路は登山客で満員だった小屋もこの時刻になると全く人影はなく、薄暗い小屋の中で「ブドウ糖チョコ」をかじりながらホットコーヒーで一服。


避難小屋に到着

MSRデナリクラシック

“なんちゃって”でも雪山には欠かせない軽アイゼン

静かな避難小屋

ここでスノーシュ−を軽アイゼンに履き替える。
『あの〜、ワタシ、アイゼンって初めてなのですが...。』
えっ、そうだっけ!?そんなわけで、ともちゃんの足元に膝まづき、まるで奴隷のようにアイゼンを付けてあげる。
『フフフフ...女王サマとお呼び!』
バカモノ!もう、オレ手伝ってあげない!『じょ、冗談よぉ〜!』


エビの尻尾ではなく「白鳥の羽根」と命名

巨大な霜柱(20cm近い)

最初は慣れないアイゼンにおっかなビックリ...次第にアイゼンの快適さに目覚めると小走りでカモシカさんに変身するともちゃん。ヲイヲイ、走っちゃダメだって!

『ワタシ、雪山って好きかもぉ〜!アイゼンって最高ぉ〜!』
そう言えば、8年前に初めてスノーシュ−を履いた時も同じこと叫んで走ってたなぁ(苦笑)
ズルッ!ドテッ!わははは...それみろっ!カッコ悪ぅ〜(爆笑)


自然の作り出した芸術だと思う。


あっ!イイもの、みっけ!

タコみたいな木の実

そんなこんなでブナの小屋から30分(驚!)でゴール(15:30)。清潔で立派な小屋で着替えを済ませ、スノ−ブ−ツとアイゼンの泥を落としてOUTBACKに荷物を積み込んで帰り支度完了。ふとともちゃんを見ると...
『ねぇ、ダウンセーターってすっごく着心地が良いわねぇ。何だか着てないみたなのに暖かいんだもん。バレンタインのお返しにコレ買ってぇ〜ん。』
お、お、オレの一張羅を奪ったな!
『パタじゃなくていいから。ね、ね、ね。』
あ、あのねぇ...


ゴールが近づくにつれて雪の量も減って
土の地面が見え始めた

上:OUTBACKが見えて来た!
下:旦那のダウンセーターでヌクヌク&スヤスヤ

落石だらけの林道を慎重に抜け、御杖村・姫石の湯を過ぎると、そこは三重県津市。左手に嫋やか(たおやか)な稜線を描く大洞山の雄岳、雌岳を望みながら快適ドライブ。
『楽しかったねぇ〜!今日は来て良かっただろ?』僕の問いかけに、ともちゃんは感動のあまり言葉にならない...のではなくぐっすり眠ってる。
ダウンセーター...あとで返してね(笑)


ようやく霧が晴れ、三峰山の全容を見ることができた!(白い部分は雪ではなく全て霧氷)
 

 


 

 

January.2008 MENU

アンケートにお答えください!

 

_  _  _