FLAME LAYOUT

 

 

 

 

 
 

 

 

 

 

10月19-21日 “お父さんだけの”熊野川(北山川〜熊野川44.25km)

 


崩落岩がS字カーブを作り出す熊野川らしい渓谷

3日目 田長〜速玉大社(20km)

目覚めは6:00過ぎ。携帯電話の液晶に6:03という数字が浮かび上がっている。

あの山の向こうではそろそろ太陽が昇り始める時刻だけど、熊野川の深い渓谷の底はまだなお暗い。テントのジッパーを開けると、昨夜は見ることが出来なかった熊野川の素晴らしい河原の景色が一幅の絵のように広がり、それとともに肌を刺すような冷気が一気に入ってくる。寒い!たぶん5℃ぐらいだろうか。身支度を済ませた僕はカヌーキャンプの朝の儀式...前室のPRIMUSに鍋を掛けお湯を沸かして4人分のコーヒーをドリップする。
しばらくするとマジコさんがテントを出て、昨日の鍋にご飯と卵を入れて作ってくれた雑炊を輪になって戴く。しばらくすると山の稜線から太陽の光が射し始め、河原は一気に暖かな雰囲気に変わる。


目覚めてすぐテントのジッパーを開ける

並んで朝食を食べる4人のオッサン

僕らのキャンプサイト

お父さんだけの...の場合は、みんな大人なので河原には時間の制約や普段の生活のような慌しい雰囲気は全くない。そろそろ撤収しようとか、何時頃に出発しようとかいう会話なしに、コーヒーをすすりながらただ何とな〜く4人それぞれが自分のペースでテントをたたみ、着替えを済ませ、ダウンリバーの準備を進める。それなのに荷物をカヌーに積み込み終わって周りを見渡すとみんながほぼ同時に出艇準備完了。不思議なほどぴったり。『さて、そろそろ出ましょうか?』スタート時刻は...あれっ?そういえばオレ、腕時計を家に忘れてきたみたいだ...このタイミングで気付くあたりが、お父さんだけの...ツアーの楽しさなのかも(笑)


若干水位が下がったものの澄み切った熊野川

スタート準備完了!

巨岩が川に落ち込む

道の駅・瀞峡街道熊野川前に勢揃いした川舟

9:30、あまりにもシレッと、なし崩し的に(笑)2日目のダウンリバースタート。
空には雲ひとつない快晴&無風!熊野川は相変わらず澄み切って40cmアップの豊かな水量で滔々と流れる。間もなく右手に道の駅・熊野川が見え、河原にはのぼりを立てた和船が5艘並んでいる。このカヌーよりふた回りほど大きな舟は最近始まった「熊野川舟下り」の観光舟だ。のぼりには速玉、八咫烏、田長など熊野にちなんだ文字が墨書きされていて、これで世界遺産でもある参詣道・熊野川を下るツアーである。

和舟を横目に道の駅を過ぎると、熊野川後半部のハイライトである崩落岩のS字カーブに差し掛かる。


清流をゆくマジコさんとTAKEさん


崩落岩に向かって瀬を下る

ここをクリアすると川幅が広がって両岸に巨大な山塊がそびえる熊野川らしい風景の区間に入る。小鹿の河原に差し掛かった頃、後方から先ほどの舟下りの舟がやってくる。艪ではなく船外機を使っているものの、とても風情のある舟下り。船頭さんと挨拶を交わし、手を振る乗客に僕らも手を振って応える。5艇の舟の中にはお公家さんとお姫さまのコスプレに身を包んだ人も同乗していて、何故かお公家さんがおもむろに法螺貝を吹く。ブオオォ〜ブオオォ〜プ〜...熊野川の谷間に響き渡る法螺貝の音!何だか烏帽子のお公家さんが法螺貝を吹くのは似合わない気もしなくはないけど、とにかく素晴らしい音色なのである。
(*後日、このコスプレ舟にアキヒロさんの奥様・いずみちゃんのお母さんが乗っていたことが判明。そうとも知らず手を振り合う義母と婿...まさか40過ぎの婿がカヌーでこんなとこにいるとは思わないもんねぇ...笑)



人工物の全く見えない原始のままの川

水深5mの川底がくっきり見える


ポカポカと暖かな虹色の陽光を浴びて


観光舟下りの川舟が下ってくる

平安コスプレの「速玉」号

どんな方法であれ、川下りは楽しい

立ち上がって前方の瀬をスカウティング


青空に映える“Kumano Green”の森と川

小鹿下流の瀞場で引き返していく舟下りの和舟と別れた僕らは、なおも快適な流速で流れ続ける熊野川ダウンリバーを続け、11:30に昼島に到着。ここで一回目の休憩を取る。

観光舟下りの舟も立ち寄ることがあるのだろうか?昼島の下流側には以前はなかった立派な鉄製の階段が設けられていて、誰もが簡単に昼島に登頂できるようになっている。30分ほどの休憩の間、お父さんたちの楽しい会話は続くけど(そういえば、4人ともが中学3年と1年のお父さんだった!)、稀に見る秋晴れのせいで陸地の気温が急上昇したために起きる海からの風が、低気圧へ吹き込む風を打ち負かし、もはや名物と言ってもいい向かい風が徐々に強まってくる。


瀬でのマジコさんは満面の笑み

この岩が仰向けに横たわる女性に見えるってことは...

限りなく透明に近いグリーン

滔々とした流れに乗る4艇


有機的な感じの岩肌を見ながら昼島の入り江に入る

『ついに始まりましたねぇ。』僕らは苦笑しながら向かい風に立ち向かう。相賀あたりまで来ると川幅が広いせいもあって向かい風で全く前に進んでいないようにも思えるけど、実際はかなりの流速(たぶん8km/hほど)があるおかげで、GPS読みで5km/hを下回ることはない。ただ向かい風はちょっと油断するとカヌーを真横にされてしまうので、無風や追い風の時のようにのんびりしてられないことと、風音がうるさくて会話が楽しめないのが少し残念だ。


昼島下流の砂州に上陸しひと休み

これぞ熊野川!な風景

向かい風と格闘しながらも、間もなく正面に衝立のようにそびえる千穂ヶ峯が見え始め、13:00過ぎに今回のコース最後の河原である北檜杖に到着。急峻な峯が海からの風を遮ってくれるのか、ここの河原は風もなく陽だまりに干した布団のような暖かさなので、ここで積荷を解いてランチタイムとする。ここのところ、山で麺類なランチばかりだったので、今回はアルファ米を炊いて岳食(“がくしょく”と読む)の結構本格的なカレーライス。(昨日もアルファ米を炊いてカツ丼)青い空に映える千穂ヶ峯を眺めながらの結構美味しいカレー...至福の時だ(安上がりな幸せだなぁ)。


向い風をモノともせず進む

北檜杖の河原からゴールの速玉大社前まではほんの数km。僕らは熊野川を慈しむようにゆっくりと漕いで、15:00前に無事ゴール。スタートからここまで44.25km、8時間10分の川旅であった。

隊列を組むわけでもルートをスカウティングするわけでもなく、リーダーもレスキュー要員もない極めて平等なダウンリバー。それぞれが思い思いに下っているだけでホイッスルも合図もな〜んもなし。もちろんお互いを信用しているけどルート選びもレスキューも自分で。でも、ちゃんとグループになってる不思議な感じは、きっと感覚としては、みんなソロの心づもりなんだろうな。
ま、一緒に楽しんでいるくせに誰かがドタキャンorドタ参加しても全然問題ないというか、誰も他人に依存してない雰囲気が大人のダウンリバーっぽくていい感じ。団体野遊びはこうありたいものだっていう見本のようなキャンプツーリングでした。


北檜杖の河原でランチ

長い航跡を残し進む3艇のカヌー

速玉大社前にゴール

御船祭のスロープで荷揚げ

カヌーを河原に上げた後、僕らは昨日デポしたアキヒロさんのランカスターで三和大橋に戻り、TAKEさんのDEFENDERと僕のOUTBACKを速玉さんに回送、先週15日に行われた御船祭りのための進入路を使って水際まで入ってカヌー&装備の積み込みと着替えと済ませ、16:50に熊野川を後にする。途中、紀伊長島でいつもの小料理屋さんで夕食を食べ、21:00に我が家に戻ることが出来た。

ログハウスの前にOUTBACKを停め、カーナビのトリップメータを見ると、距離442.5km/走行時間8時間10分の表示。どこかで見たことある数字だよなぁとGPSをONにしたら...ワハハハ...距離はダウンリバーのちょうど10倍、走行時間は漕行時間と分まで同じ!!あまりにもすごい偶然に、“ただいま”も言わず、『見て見てぇ〜!』と思わずともちゃんを呼びに走る僕だった(笑)


千穂ヶ峰を見上げながら流れる

 

1日目 下瀞・田戸〜田長(25km)へ
 

 

October.2007 MENU

アンケートにお答えください!

 

_  _  _