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9月24日 大峯山行2007(大普賢岳1780m)

 
大峯奥駈道 mission.5


 

去年の8月の終わり、僕はMasaとふたり大峯・山上ヶ岳に登った。そしてその帰り道、修験道の中心であり、日本を代表する聖地・吉野と熊野を結ぶ古のトレッキングルートでもある大峯奥駈道を20kmほど歩いたのだ。
今もなお女人結界が存在し、男性のみが踏み込むことを許された場所である大峯。近畿地方に古くからある「十五参り」という15歳で大峯の行場を巡る慣習になぞらえて、数え年で15歳になったMasaとともに訪ねたというわけだ。
山上ヶ岳に登頂する達成感、情緒溢れる奥駈道の雰囲気、そして裏行場でとんでもなく危険な行に肝を冷やしたことなど...思い出は尽きないけれど、僕はすっかり成長した息子と語り合いながら一緒に山を歩くこと自体がとても楽しく、またMasaも普段の生活の中では決して口にしないような考えを僕に語ってくれたりして、素晴らしく充実した山行だったように思う。

そんな大峯からの帰り道、また来年こそはテントを担いで何日も掛けて奥駈道を全部歩こうぜ!そんな約束をしたんだけど、僕の仕事が去年にまして忙しくなったことや、そういえばMasaは受験生だったっけ...ってな諸般の事情で(笑)、今年決行するのはかなり難しくなり、奥駈道踏破の夢は来年以降のお楽しみってことになってしまった。

でも、やはり大峯への思いは捨てがたい!特にMasaは今年マトモに登山をしてないこともあって、かなりストレスが溜まっているみたいだし、9月の2回の三連休が二連続の三連働になりそうだった僕もちょっと気分的に落ち着きをなくしてたこともあって、急遽昨日になって今日だけ休みを取ることにしてMasaを誘って大峯行きが決まったというわけだ。


クルマで雨が小降りになるのを30分待って出発

いきなり大峯っぽい森!

さて、どこを歩く?昨夜はMasaと山地図を開いて大激論。もちろん日帰りワンウェイで大峯奥駈道は無理だし、吉野は秋の金剛蔵王権現像御開帳に合わせて家族で行くだろうし...そこでMasaが提案したのが大普賢岳。大台ヶ原から望むその特徴的な山容が素晴らしく魅力的な山で、主尾根を奥駈道が通っている大峰第3の標高を誇る名峰である。
登山口からの標高差は800m足らずで山頂ピストンなら標準コースタイム7時間、大普賢岳から奥駈道を経て七曜岳〜無双洞をぐるりと縦走しても8時間半と僕とMasaなら何割かは縮められるから余裕で日帰り出来るコースだし、尾根道の登山道脇には数々の魅力的な窟が点在するし...大普賢岳に決定である。


登山口からずっと続くブナの原生林
歩いていると心が浄化されていく感じがする

上:原色のキノコがモスグリーンに映える
下:濃霧に包まれた静かな森をゆく


時が止まったかのような森で動くのはMasaだけ

我が家から大峯までは近いように思えて実際は約150km、クルマで2時間半の距離があるので、スタート時刻7時半から逆算して5時に出発。ザックには日暮れまでに帰還出来なかった場合を想定してツェルトやマットなど岩陰であれば何とか2人で一泊出来る準備を整えたのでかなりの重装備だ。

予定通り7時過ぎに登山口の和佐又ヒュッテ に到着したまでは良かったけど、何と現地は大粒の雨が叩き付けるように降っている。Masaはすぐに計画変更を企んで天候が良さげな曽爾の兜岳鎧岳を調べ始めるけど、残念ながらGPSのマップセット&地形図のコピーは大峯だけ(涙)。奈良の高校の山岳部を含め、続々と到着する登山客も空を見上げて諦めムードで山を下りていく中、僕らはOUTBACKの車内で協議を重ね、30分待って天候が回復しなければ、温泉入って帰ろうという結論に達した。

ところが8時前になって、雨が上がり空気が少し乾いた感じに変化し始めた!慎重なMasaは最後までYesとは言わなかったけど、天候が悪化したらすぐに下山するという条件で8時ジャストに登山開始。キャンプ場を抜けてブナの原生林へと進む。


まるで歩幅に合わせたかのような
木の根道がとても歩きやすい

上:静寂の世界にMasaの足音だけが響く
下:指弾ノ窟で手を合わせるMasa

森に入る前は水たまりだらけの酷い悪路だったけれど、一旦森に入ると登山道は少しお湿りがある程度。しかも、森は深い霧に包まれて、メチャメチャ素晴らしい雰囲気!5分ほど歩いた場所でMasaがデレデレした笑顔でつぶやく。
『ウハハハ...最高!もう、ここで引き返してもオレ、悔しくないぐらいに大峯満喫だよっ!』
へっ?まだ5分だぜ?でも、僕も同じ気持ちで、今すぐ雨が降ってきても大丈夫(笑)。


かつての行場の名残りを発見(胎内くぐり)

真新しい鎖場を進む

朝日窟に到着

セルフタイマーで父と息子のツーショット


これぞ大峯という感じの植生


霧に隠されて全貌は明らかではないけど、
かなり高度がある岩壁。Masaが登りたそう...

上:この辺りから登山道がさらに険しくなる
下:僕らの前にそびえる絶壁...笙ノ窟だ

そんな風に開き直ると、お天気も味方してくれるものだ。時折パラパラと雨が落ちてくるものの、登山断念を決意するほどの雨にはならず、ゴアテックスのレインウェア&finetrackのパンツで武装した僕らは全然平気。しかもいくつもの鉄はしごや鎖場をクリアして弾窟、朝日窟、笙ノ窟、鷲窟など、いかにもMasaが好きそうな窟が次々と現れると、もうさっきの約束なんかすっかり忘れて、大普賢岳への登山道をどんどん進んでゆく。


笙ノ窟で初めての休憩をとる

10世紀頃も『涙の雨のふらぬ日ぞなき』だったみたい。

鷲ノ窟で再び手を合わせるMasa。
父よりも信心深い息子

上:延々とこのような岩壁が続く
下:えっ、これに登るの!?


日本岳のコル...ようやく笙ノ窟尾根に合流する


生い茂るクマザサが山頂が近いことを告げる

日本岳(文殊岳)1505m

ここからは鉄ハシゴと鎖の連続。
雨で滑りやすいので細心の注意を払う

上:クマザサにしがみついて登る
下:岩を登り切って恐怖の笑顔


恐怖の笑いを浮かべるMasaの先にある道の怖さを理解していただけるだろうか?
(木の根に落ち葉が載った30cmほどの道幅。下は数十m?の垂直の崖)


本当にヤバい場所はこうして頼りなげな橋が
架かっている。もちろんメッシュなので怖い

上:石の鼻という名のピーク。眺望が良い...そうだ
下:Masaの後方のルートは超キケンです


小普賢岳を経ていよいよ大普賢岳のピークへ!


墨絵のような光景が続き、色彩感覚が変になる

岩に張り付いて最後の登攀

 


あっけなく、山頂に到着。

あまりの幻想的な雰囲気にしばしば立ち止まって写真を撮ったり、まるで母親の胎内にいるような感覚を覚える居心地の良い窟で1時間近く過ごしたりと、息が乱れない程度のペースでのんびり登ったけど、3時間ジャスト、11:00にあっさりと1780mの大普賢岳に登頂成功!誰もいない、クワイエットってこのことだよね、な山頂でPRIMUSに鍋を架けて温かいラーメンの昼食。後で吉野から到着したガイジンさんと片言の日本語で奥駈道の魅力を語り合いながら1時間近くを過ごす。


大普賢岳山頂1779.9m

山頂にザックを下ろし...Masaは本で山の勉強

Masaが昼食のラーメンを作ってくれる

大雨が降り始めたので慌てて下山開始

ところが、コーヒーをドリップして飲み終えた頃、一瞬霧が濃くなったと思ったら、突然ブババババ!と雨が降り始める。ヤバい!下りよう!僕らは慌てて荷物をまとめ、LEKIを使って安全を確保しながら下山を開始する。


もしかしたら弥山や山上ヶ岳よりも険しいのかもしれない

そこからは、ずっと“尾鷲降り”ならぬ“大峯降り”の大雨。そういえばここは年間雨量日本一4000mmオーバーを誇る大台ヶ原のすぐお隣の山だったのね(涙)。一瞬にして登山道は川...いや、滝に変わり、鉄製のはしごや橋はメチャ滑りやすいので慎重に、でもちょっと急いで下山する。


滑落多し 注意!

ホント、ここで足を滑らせたらヤバい

ようやく雨宿りが出来る窟群に到着し
フードを脱いで晴々とした気分(鷲ノ窟)

上:霧が流れ一瞬姿を現した小普賢岳のピーク
下:バケツをひっくり返したような雨に笑うしかない

でも何故か僕らはふたりとも笑顔。喩えるなら、幼稚園の頃に長靴でわざと水たまりを選んでジャブジャブ歩いた時の楽しさっていうのかな?ザックカバーを持参しなかったので、ザックの中身を中に仕込んだカヌー用の防水バッグに移し替える必要はあるものの、優秀なゴアのレインウェアとどれだけ雨を受けても全く濡れないストームゴージュパンツ、そしてこれまたゴアブーティ入りのzamberlan(父子とも同じ格好)だと雨が快適で楽しい!!

一時間足らずで今回のコースで最大規模の窟・笙ノ窟に到着し、窟の奥の天井から滴る湧き水を鍋に溜めて再びコーヒーをドリップし、美しいブナの森に降りしきる雨を眺めつつ素敵な雨宿り。


笙ノ窟で雨宿り。窟の中から雨に煙るブナの森を楽しむMasa

小降りになった間をついて下山開始
不覚にも若いMasaに遅れをとる

上:少し身体が冷えたのでコーヒーを煎れる
下:ブランデーを少し落としたコーヒーで身体を暖める


ヒメシャラの赤さが目に眩しい

1時間近く待っても雨は止む気配すらないので、僕らは再びレインウェアを着込んで下山を続ける。相変わらず霧深い森...まるで森の妖精でも出てきそうな、カップルだったら愛が深まりそうな森を野郎2人で楽しく下る。暑くなく寒くなく快適なウォーキングをさらに一時間半、僕らは一度の転倒もなく無事に登山口の和佐又ヒュッテ に帰還。


ブナの小便(笑)

Finetrackは染みひとつない

植生が変わる


さらに霧が濃くなりMasaの姿が滲む

汚れたストームゴージュパンツを雑巾で拭いて(拭くだけでキレイになって、しかも雨の中で乾く!)ヒュッテのご主人に駐車料金を支払い、温泉へと向かう。

今日の温泉はここ数年来Masaの念願だった入之波温泉・山鳩館。ここは、これまで何度か大台ヶ原の帰り道に立ち寄ったものの水曜定休で入れなかった温泉なんだけど、今日はちゃんとあの有名なカルシウムで原型をとどめないほどになった浴槽に入ることが出来た。


森が明るくなったと思ったら...

林道に合流し...

和佐又山ヒュッテにゴール

入之波(しおのは)温泉・山鳩湯

カルシウムで原形をとどめない浴槽

露天風呂から渓谷美を楽しむ


お風呂の後は、ナビシートのMasaとアレコレ話しながら高見峠を経て自宅へ。途中、水屋神社に立ち寄って御神木の大楠を見上げたり、Masaイチ押しのハンバーグ屋さんで夕食を食べたりして19:30に帰宅したという次第だ。


水屋神社に立ち寄る

巨木マニアのMasaは樹齢千年の大楠に感激

今回の大峯山行で感じたこと...それはMasaが僕を体力的にはもちろんアウトドアズマンとしての能力的にも超える日はもう間もなくだな、ということ。社会的な彼は中学生ってことでまだまだ子供だけど、こと野遊びのフィールドでの彼はもう一人前で、逆に僕よりも慎重な判断をするほどだ。
カヌー以外の野遊びでは、親父である僕と彼の経験&知識の差はほとんどなく、逆に歴史や自然科学の分野で最近では色々と教えられることが多くなりつつあるのが悔しいようで実は嬉しい。今日、山頂で会ったガイジンさんをひと目見た彼。
『macpac背負ってたからニュージーランド人かオージーだね。』
僕よりもアウトドア雑誌を隅から隅まで読んでる彼はそんなオタク的な知識も豊富(笑)。僕なんかmacpacすら知らないのになぁ...。

 


 

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