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FLAME LAYOUT

 

 

 

 

 

 

July.2005 part.3

 

 

 

 

 

 

 

 

 


弥山山頂にて

7月16-17日 天河神社&紀伊半島最高峰へ!(弥山〜八剣山登山)

大峯奥駈道 mission.2

いよいよ楽しい計画の当日がやってきた。夏の計画?そう、毎年恒例になった“夏休みキャラバン”も楽しみだけど、その前にもうひとつ楽しみな計画...いつも思いつきで行動することが多い我が家だけど、今回は何ヶ月も前から計画し、宿の手配をし、ネットで情報を集めてきた。先月の戸隠も実はこの計画を練る中で思いついた、いわゆる序章に過ぎないわけで、こちらが正真正銘の“本番”なのである。
その計画とは、紀伊半島最高峰・八剣山登山。Mamaがここ数年憧れ続けた天河神社...修験者の行場でもあり世界遺産登録となった大峯奥駈道を縦走して、その奥宮が鎮座する大峰山脈・弥山(1895m)と八剣山(1914m)に登るコース。


こんなトンネルをくぐってスタート地点へ

僕ひとりなら何てことない(...はずだ)けど、ちびっこAzuを基準に考えると、かなり困難を伴う、高差850m超、健脚さんコースタイム7時間と少々...の中級とされるコースである。技術的にはともかく、体力的にはたぶん3000m超の本格的な山でも太鼓判!のAzuだけど、問題は精神力。果たして彼女がキレることなく歩き続けることができるのか?それだけが少し心配なのである。

今回は我が家とNESSY夫妻だけなので『お友達と一緒だから作戦』は使えないし、たぶん距離が長過ぎて『オマエなんか置いてくゾ!作戦』は“狼少年”化して何度も使えないだろうけど、ま、『ホメ殺し大作戦』、『後で何か買ってあげる作戦』、『可愛いお花だ!作戦』などなどを臨機応変に組み合わせながら、上手く盛り上げて行こうと思う。

要するに勝負は往路の最初2時間ほど。それ以降は多少の達成感も手伝って、僕を追い越すような健脚ぶりを発揮してくれるだろうし。だって、実は我が家で一番根性があって体力があるのはAzuなんだもん(笑)。

そんなわけで、早起きして4:00a.m.に家を出る。R165を西進し、吉野川からR309へ。
ところが天川村に入ってから意外に時間が掛かってしまい、NESSYさんとの約束の6:00に遅れること20分で待合せ場所であるR309行者還トンネル西口手前に到着だ。本来であればトンネルの間近のパーキングスペースが使えるのだが、去年の台風で橋が落下しR309はトンネル手前400mで通行止めなのである。


7:00a.m.スタ−ト

去年の台風で落ちた橋は工事中

クルマで仮眠中のNESSY夫妻を起こし、登山の準備を整えて7:00ちょうどにスタート。まずは工事中の橋の下を越えて登山口へと向かう。国道脇にはホタルブクロの白い花が朝日を浴びて可憐に咲いている。

間もなく正面に行者還トンネルが見えてきて、道路の右側に登山口(7:15)。脇にあるアクリル製のボックスに登山届を提出し、右手の渓流の水音が響く登山道を進む。


行者還トンネルへ

駐車場脇に咲くホタルブクロ

登山届を提出し登山道へ

間もなくテント場。前室に登山靴が2足並んだテントがひと張。歩きやすい道をさらに進むと、水場があり、丸太のトラス構造の橋で渓流を渡ると、そこからは本格的な登山となる(7:20)。ブナ林の尾根をほぼ真っ直ぐに登る。ここから奥駈道合流点までは約1km。でもってスタートの標高が1094mで合流点が1560mってことだから標高差ほぼ500m!...ま、つまり、そういう道なんです(涙)。

木の根に足を取られないように気を付けながら、でも木の根に助けられつつ、何度も休憩しながら登る。ブナ林の間には真っ赤な木肌のヒメシャラ(サルスベリ)が所々に現われ、『あのヒメ シャラまで頑張って休憩しよう!』ってな感じで目標になって助かる。しかも滑らかで硬質なヒメシャラは頬を寄せるとヒンヤリと冷たく、まるで氷枕のような効果を得ることが出来る。

 


渓流を渡るといきなりの急登。ここから奥駈道合流までは
1kmの距離で標高差400mをかせぐほぼ一直線の急登

 


ブナ樹林帯は明るい森

ヒメシャラ(サルスベリ)のベンチで一服

ブナ林がいつのまにかシャクナゲに変わり、点在する岩には苔が巻いて、木漏れ日を浴びて美しく輝いている。僕らの額の汗も木漏れ日を浴びて美しくはないけど輝いている(笑)。『誰だよ、これを“ハイキングコース”なんて言ったのは!』そんな愚痴をこぼしながらも、みんな楽しそう。


紀伊半島らしい苔とブナの森

 

健脚さんコースタイムは60分、でも僕らは90分掛けて、ヘロヘロになって大峯奥駈道合流点に到着(8:32)。元気なのはMasaとAzuだけで、ふぅはぁ...ため息をついて地べたに座り込む情けない僕ら大人たち。ここからの大峯奥駈道は吉野・金峯山寺から行場の山上ヶ岳を通り熊野へと向かう古の縦走路。神の世の昔、そして今もこの険しい道を行者たちが何かを求めて歩む“祈りの道”なのだ。世界遺産登録されたこともあってとても整備が行き届いた奥駈道の両側はシロヤシオが群生しており花期になればあの清楚な花に埋め尽くされることだろう。大峰山脈の竜骨にあたるここは、標高が高く涼やかな風が吹き抜け、これまでの急峻な森とは全く印象が異なる別天地。登山道脇に設けられた丸太のスツールに腰掛け、水分補給を行いながら小休止。


奥駈道に入ると立枯れが目立ち始める
やはり酸性雨&鹿の食害の影響は大きいようだ

上:やっとのことで大峯奥駈道と合流
下:緩やかなアップダウンが続く快適な尾根道

10分ほど休んで筋肉の疲れが癒えた僕らは、ストラップまでが汗でぐしょ濡れでひんやりしたザックを背負って奥駈道を進む。
『いやぁ〜、いいねぇ、この森!』合流点からの奥駈道はほぼ平らな稜線上なのでアップダウンもほとんどなく、足元もしっかりしていて、美しい森を堪能することができる。トレイルの脇には美しい苔の絨毯。そのグリーンには朽ち果てる寸前のシロヤシオの花弁が無数に散っていて、水玉模様のように見える。森はあくまでも人の手が入っていない感じの原生林の雰囲気。


なんと素晴らしい森!感動で疲れも吹っ飛ぶ瞬間

 


気持ちの良い森にみんな疲れを忘れる

空を見上げると様々な緑がモザイクタイルのように青い空を埋め尽くす。どこか点描画を思わせるけれど、時折枝葉がそよ風に揺れて、それが絵ではなく現実の世界であることに気付かされたりする。ただ、今日はのどかで優しげな雰囲気の森だけれど、所々に大木が半分に折れて倒れていることが物語るように、ここは紀伊半島の屋根の稜線上。悪天候時には強烈な風が吹いて、僕なんか簡単に吹き飛ばされちゃうんだろうなぁ。

間もなく、屋久島の白谷雲水渓を思わせる苔の森(9:13)。
“苔フリーク”なAzuは思わず立ち止まって『カワイィィ〜!』岩を覆う苔に頬を寄せてスリスリ頬擦り(笑)。


屋久島?白谷雲水渓にも負けない苔の森

“苔マニア”なAzuは大喜び

トウヒの倒木のオリの向こうにはゴリラが一匹

聖宝ノ宿趾に到着

放っておくといつまでも苔をナデナデヨシヨシし続けそうだったので、記念撮影を済ませ、倒木が折り重なる区間をしばらく進むと小ピークに到着。「弁天の森」(標高1600m)である(9:23)。名前が付いてるぐらいなので、何かあるに違いないとキョロキョロ探してみるけど、直前の苔の森がスペシャルな雰囲気があっただけに、ごく普通の森、という印象。少しだけ立ち止まった後、さらに稜線上を進む。
間もなく道は稜線の左端ぎりぎりを通り、木立の間からは遥か彼方に青空をバックに弥山のどっしりとした山塊が覗く。ちょっとした鞍部の左に三角に尖った八剣山のピークが見える。とても美しいけど、あそこまで歩くのかぁ...ちょっと身が引き締まる思いだ。


奥駈道からの眺望。ひときわ尖ったピークが八剣山(その右の台地状の山塊が弥山)

 

一旦緩やかに下って、バイケイソウの咲く広場を過ぎると、そこからは少し上りとなる。岩と大木の間の狭い通路を抜けると、その先に見慣れた黄色い看板...。聖宝ノ宿跡である(10:00)。ここで合流点から初めてザックを降ろして20分ほどの休憩。僕らが座った岩の後ろには錫杖が立っていて、いかにも奥駈道らしい雰囲気を醸し出している。ここで子供たちの『腹ヘッタコール』。ザックからおにぎりを取り出してエネルギー補給だ。


聖宝ノ宿趾からは直線距離500mで標高差300mを登る

登山道が蛇行していて少しはマシ。

さて、この聖宝ノ宿跡を過ぎると俗に“聖宝八丁”と呼ばれる急登が始まる(10:25)。
地形図によれば水平距離は約500mで標高差は390m!実に80%近い勾配なのである。ところがスタートから合流までの直線に近い急登とは違って、ここはクネクネとつづら折れでトラバースするコースとなっていて、しんどいながらも息が上がるほどではない。
谷の木立の向こうには大普賢岳をはじめとする大峰山脈北部の特徴的な山並が覗き、シダの間からスクッと立ち上がるバイケイソウの緑がかった花が疲れた僕らの目を楽しませてくれる。


美しい花が疲れを癒してくれる

この木製階段はかなり辛い

暫く進むと真新しい木製階段。砕石の路面は滑りやすく確かに歩き辛いとは言え少なくとも歩幅やペースを強制されることはないけど、階段は決まった歩幅でリズミカルに登ることを強いられるので、疲れた身体には少々辛い。
美しいシダの絨毯を抜けると、初めて少し展望が開ける。踊り場状の小さな平地にはバイケイソウの群生。そしてその向こうにはブルーグレーが美しい台高山地の山並が広がる(11:00)。さっさと先に行ってしまったMama&Masaに取り残された感じで、僕とAzuはふたりでその素晴らしい眺望を楽しみつつ暫しの休憩を取るのだ。


斜面を覆う緑の絨毯が風にそよぐ

 

眺望を楽しんだ後は、またもや木製階段、そして極め付けの鉄製階段(ハシゴに近いかな?)をクリアする。すると、微かな振動音が耳に入る。ん?あれはエンジン音?近づくとそれが4サイクルエンジンの音であることが判別できる。ってことは...山小屋近し!?急にペースアップしてAzuと競争のように最後の上り坂を駆け上がる!おおっ!山小屋が見えた!山頂だぁ〜!小屋の前には想像以上に広い平地があり、設えられた幾つかのベンチには10数人の登山客。一番奥のベンチで満面の笑みを浮かべて手を振るMama...間違いなく普段より美人に見えるのである(笑)。弥山小屋到着!(11:20)


おおっ!弥山小屋が見えて来た!

弥山山頂に到着(11:20a.m.)

ここで後続のNESSY夫妻を待ち、6人揃って200mほど先の弥山山頂へ。
山頂は真っ白な立枯れのトウヒがまるで墓標のように立ち並ぶ惨澹たる状況。
登山客の多くが『キレイねぇ〜!』『雰囲気あるよなぁ〜!』などと口々につぶやきながら写真を撮っていたけど、この風景はここ数十年で形成されたものであって、酸性雨、鹿の食害(人がオオカミを絶滅させたことで異常繁殖した?植林により食料が減った?)などなど、あくまで原因は我々人間が作ったものだ。今はまだシダや苔によって保護されているけど、この先、温暖化等の要因で植生がさらに変わったりしたら、地表がむき出しになって大崩落が起きかねないんじゃないのかな?僕はちょっと心配になるのだ。(この周辺がトウヒの自生する南限であることもあって、確かに元々トウヒにとっては厳しい環境にはあるのだけれども。)


天河神社奥宮に参拝

山頂はトウヒの立枯れがひどい状態だ。


退廃的な美しさも感じるけど、超多雨地帯だけに早く対策を講じないとヤバい

 

山頂に鎮座する天河神社奥宮に御詣りを済ませ、小屋の玄関前のピクニックテーブルをお借りして、お待ちかねのランチタイムの始まりぃ〜である(11:30)。ランチタイムと言っても、聖宝ノ宿跡で用意したおにぎりのほとんどを食べ尽してしまっているので、貴重な水を使って棒ラーメンを作るしかないのだけれど、到着してすぐの火照ったカラダに熱々のラーメンはちょっと...な雰囲気(笑)。でもさすがは標高1900mの山上。日射しはキツイものの「高度が100m上がるごとに気温は0.6℃下がる」の法則に照らせば、ここは20℃以下ってことで、カラダがクールダウンするに従ってラーメンへの欲求は高まるばかり....『やっぱりラーメン食べるから作ってね。』ってことになるのだ。


山小屋前でランチタイム(ラーメン)

暫し休憩の後、八剣山へ向け出発(向こうのピーク)

Mamaの実家で買った珍しい液体スープ付きの熊本ラーメン(但し棒ラーメン)にフリーズドライ野菜を加えた超豪華ラーメンを食べ、暫く休憩した僕らは、山小屋のご主人に挨拶をして、八剣山に向けて出発する。(12:40)。


八剣山との鞍部は苔の宝庫。傷めないようにそっと座る

小屋の前からは立枯れのトウヒの間を抜けるガレガレの道。正面に目指す八剣山の美しい稜線がくっきりと見えて、僕らを元気付けてくれる。

進むに従って段々と植物が元気に瑞々しくなり始め、鞍部近くになると登山道の両側が一面の苔になって、見事!の一言。
どんなに腕の良いガーデナーでもここまで美しい庭は作れまい!もし、パソコンの壁紙みたいに自由に自分の天国の風景を選べるとしたら(何という発想!...笑)、僕が選ぶのはこの風景かも!ってな柔らかで優しく瑞々しい空間である。
試しに苔を傷めないようにそっと腰掛けてみると、ムフフフ...宮川の玉砂利、破れたり!な最高の寝心地。あまりの心地よさにMasaはマジで眠ってしまったほどだ。

そんな“極楽浄土”な苔地帯を抜けると、目の前に不粋なネットが張り巡らされている場所に出る。何かと思えば、ここがあの幻の花・オオヤマレンゲの群生地である。ものの本によれば、明治後期まで日本には存在しない花とされたほどの貴重な花だ。

オオヤマレンゲは漢字で書くと“天女花”。
何となくうつむきかげんに恥ずかしそうに咲く感じが、つつましい乙女を思わせるからこの名が付いたらしいのだが、人間界の“つつましい乙女”と同じく絶滅の危機に瀕しているのだそうだ。もちろん、この群生地は天然記念物...それゆえ、鹿の食害から守るためにネットでエリア全体を囲んでいるというわけだ。
『能よけです』(*熊よけです、の間違いか?)と落書きされた鉄製の扉を開けて中に入ると(...というか、登山道が群生地を縦断しているので入らないと先に進めない)、ひと目でオオヤマレンゲの花が見つかる。う〜ん、確かに素敵な花だ!カメラをマクロモードに切り替えて数cmまで寄ってみる。するとどうだ!!ココロがふやけてしまうような良い香りが僕の鼻をくすぐる。


オオヤマレンゲ群生地には鹿の食害を防ぐオリが

基本的に香水が嫌いな僕だけども、この香水なら骨抜きになってヘロヘロフラフラ付いてっちゃうなぁ。そう言えば、若い頃って女性の香りも結構重視してたっけ(最近は香りを感じるほど接近遭遇する機会に恵まれないなぁ...涙)...なんてことをふと思い出す僕。
清潔感があってしかも優しく、でも他とは違う香り。オオヤマレンゲ...確かに姿も良いけど、香りが印象的な花なのだ。


国特別天然記念物・オオヤマレンゲ

液晶ファインダーを覗いて写真を撮っていると、僕と同じように香りに惹かれたのか、ミツバチがどこからともなくやってきて、花弁の中に入って蜜を吸っている。あちこちの花の中でミツバチのブ〜ンという羽音が鳴り響き、うるさいほどだ。
オオヤマレンゲのそばには、紫色の小さな実を付けたサンカヨウが群生し、名も知らぬ花が咲き誇っている。ネットの外は苔とシダだけなのに、中は膝丈以上まで草が生い茂って、まるで別の場所のように思える。ただ、この森にとってどちらが自然な姿なのだろう?それを考えた時、貴重な花を保護するためにネットで覆うという単純かつ大胆な手法が果たして是なのか...少し考えさせられた。


ミツバチが受粉を助ける

サンカヨウの実。甘酸っぱい。

オオヤマレンゲの保護区域を抜けると、すぐに八剣山の山頂に到着する。(13:10)
直前に弥山山頂に登頂していることもあって、紀伊半島最高峰に登頂したというのに、さほど大きな感動はない。ただ、三角点に立った瞬間、自分は今、紀伊半島で一番背が高いのだと思うと、身長コンプレックスがある僕はちょっと嬉しい(煙と○○は、高いところに...笑)。


八剣山登頂!

 

感動はないとは言ったけれど、山頂からの眺望は素晴らしくて、北に目をやれば間近の弥山はもちろん、その向こうに大小の普賢岳から山上ケ岳へと連なる大峰山脈が、そして南に釈迦ケ岳などが一望できる。空を見上げれば星の数ほど...は大袈裟にしても、“我が家から見える”星の数だけのトンボが空を埋め尽している。早速、Azuはその辺で枝を拾ってきて、トンボを留まらせて遊び始める。トンボが慣れたところで枝を指に換えると、面白いように指に留まるのだ。『うひゃひゃ、くすぐった〜い!』Azu大喜び(笑)。


ト〜ト〜ト〜ンボ来い♪
いつものように止り木を掲げてトンボを呼ぶAzu

上:山頂では空を埋め尽すほどのトンボ
下:そっと顔に近づけて観察する

山頂から望む大峰山脈(クリックで拡大)

登山道を折り返して弥山へと戻る

山頂で30分ほどを過ごした僕らは、もと来た道を折り返して、再び弥山に戻る。
小屋の前のベンチに腰掛けてひと休みしていると、美しい蝶がバイケイソウの細かな花の周りを3〜4匹の群れで舞っている。淡いブルーに朱色に白を一滴垂らしたようなピンクの羽...アサギマダラである。特にこの朱色は中間色の色合いがとても美しく、どこかで見たことあるなぁ...って考えたら、遥か昔、独身だったMamaが成人式で着た振り袖の色でした(笑)

さて、そんなわけで、山頂で遊び過ぎて時間もあまりないので、14:30下山開始。
我が家の“下りの女王”と“下りの王女”を先頭に、急なつづら折れの登山道をぐんぐんと下る。
往路では不安げだったけど、下りはもう道を間違えることもないという安心感からか、全く後ろを振り返らずにハイペースなのが可笑しい。


弥山ではアサギマダラが乱舞する

14:30下山開始。緑の絨毯区間をゆくMasa&Mama

木製階段を下り切ったところで、登山道の下の方から何やら歌のような声が微かに響いてくる。
な、ナニゴト!?耳を澄ますと歌ではなく、掛け声のようだ。僕らがボーイスカウトの時も良く声を合わせて♪キャンプまであと10マイルぅ〜♪なんて歌いながら歩いた記憶があって、実際疲労を忘れるのには効果絶大なんだけども、そんなのかなぁ...なんて思ってたら、突如目の前に白装束の山伏が!!
奥駈道なんだから修験者が歩いてても不思議ではないんだけども、実際に数十人が「ザンゲ!ザンゲ!」「ロッコンショウジョ」と大きな法螺貝を腰に下げた先頭の人の掛け声に合わせ、続く人達が大声を上げるのを聞くと迫力抜群。思わず道を譲ってしまう。皆、とても礼儀正しくて、しかもよく見ると、靴は登山靴。ザックはほとんどがミレーやグレゴリ−などの登山用(笑)『あの法螺貝は10万円以上の品物だよなぁ〜。』とMasa。何でお前はそんなモノの値段知ってるわけ?実は前回の“奥駈道mission.1”で吉野を訪れた時、彼は法螺貝がどうしても欲しくて修験者の装束のお店で値段を訊ねたらしい(*でも高価過ぎて買えなかった)...やっぱり変な中学生だよ、オマエ(笑)


下りの鉄階段は結構スリリング

トウヒの新芽がクリスマスツリーの飾りのよう

弥山山頂では目の覚めるような青空だったけれど、この時間になると空を雲が覆い始める。でも雰囲気的に下界は晴れてそうな明るさ。急坂を終えて聖宝ノ宿跡に着いた頃、自分よりも下で雷鳴が轟くのを聞く。♪カ〜ミナ〜リ〜さ〜ま〜を下に聞くぅ〜。八剣山わぁ、近〜畿イチの山ぁ〜♪(笑)...かなり字余りの唄を口ずさみつつ、僕らは聖宝ノ宿跡〜弁天の森(15:40)を経て、合流点へ(16:10)。


いきなり下界から雷鳴が轟き、霧が斜面を駆け上がってくる

 

自分の体力にあまり自信がなくて極限まで軽量化したスカスカのMountainSmith ZONEの僕や、水を使い果たしてただ“一応背負ってるだけ”の子供達はともかく、それなりの装備を満載してかなりの重量があるザックを背負ってるNESSYさん&ルリちゃんは、ちょっと辛そうなので、ここで暫く休憩。ところが、そんな僕らを追い立てるように間もなく空から雨が落ちて来る...よし、出発だ!(16:30)


Azuお気に入りの場所

一気に下って弁天の森でひと休み

ここからは一気に下る。徒歩なのに耳がツ〜ン!と鳴るペースで進むと、GPSの高度値が早回しのように小さくなる。『パパ、ちょっとトイレに行きたくなってきたんだけど...』Azuがつぶやく。カヌーの時のように、誰もいない河原ならどうってことがない“お花摘み”も、時折登山者は通るここではちょっと恥ずかしいみたいで、さらにペースを上げて跳ぶように下山するAzu...モチベ−ションが高い時のAzuは誰よりもパワフル!もう、僕には付いて行けないスピードである。
合流点から40分で水場に到着。
渓流に直接顔を浸けてゴクゴクと喉を潤す。(普段から川の水を飲み慣れてる我が家はお腹をこわすことはまずないけど、慣れてない人は生水は避けた方が無難です。)生ぬるい飲み物ばかりで辟易していた僕らには何よりも嬉しい冷え冷えの水!これで元気を取り戻した僕らは、登山口〜駐車場へと一気に下る。...17:30ゴール!


折れた巨木にキノコのデコレーション

丸太吊り橋下の渓流で喉を潤す


世界遺産の聖なる森

 

スタートから10時間半!何とも過酷な“ハイキング”(苦笑)。少し遅れてNESSY夫妻も無事ゴール。確かにかなり疲れたけれど、目標だった紀伊半島最高ポイントを踏むことができたし、幻の花・オオヤマレンゲをこの目で見ることが出来たし、何と言っても怪我もメソメソもなく(笑)、こうして完歩出来たことで、充実感いっぱいの僕らだ。


登山客は対象外。先には元気に先頭をゆくAzuの姿が

はぁふぅ...ため息ばかりついて座り込んでるヘロヘロボロボロの大人たちと、筋肉痛も疲労感もなくゴールに着いてもそこら中を歩き回ってまだまだ余裕たっぷりの子供たち...保護者はどっちだ!?情けない限り(涙)。
帰り支度を整え、小坪谷〜布引谷の魅力的な渓流にヨダレを垂らさんばかりに目を奪われながら、僕らのOUTBACKは川迫川渓谷沿いの素晴らしく危険な道を下って、今日の宿・洞川温泉へと向う。
洞川温泉では信じられない!あり得ない!出来事が起きてそりゃもう大変だったけど(詳しくはココ)、ま、とにかく結果的には、メチャ幸せな気持ちで秘湯・洞川の湯を堪能し、一日の疲れを癒すことができた。
汗を流してさっぱり!した僕らは美味しい夕食を食べて、昼間の疲れもあってすぐに眠りに落ちたのだった...

...ってなことはなくて(笑)、ビールも夕食も後回しにして『さぁ、出発よ!』というMamaの掛け声で例大祭で賑わう天河神社へ。
(風呂上がりに『プハァ!うま〜い!』絶叫しながらビールを飲むNESSYさんとMama。天河神社までクルマを運転する僕だけビールはお預け!...君らもう少し遠慮して不味そうに飲むように!)

さすがにお祭りってことで大勢の人で賑わっていたので、天河神社独特の“何かありそうな”雰囲気を味わうことはできなかったけど、境内の“神石”に手をかざすとホントに手のひらに熱気を感じた(触ると冷たいのに)のには、ちょっと驚きだった(この石は隕石なのだそうだ)。
天河神社初体験を済ませた僕らは、宿へ。
宿に戻ると、旅館大豊のショー・コスギ(*ケインのパパ)そっくりのご主人がニコニコ顔でお出迎え。


洞川温泉で汗を流し、例大祭中の天河神社にお詣り

さぁ〜、夕食!↑のトラブル直後、この季節に鍋かよっ!なんてガッカリしたのが正直なところだけど、この時間になるともう半袖では寒いほどに気温が下がる天川村。大皿に一杯の食べ切れないほどの鴨肉がウマいウマい!もう最高!なのだ。
夕食が終わった僕らは部屋に戻って、さぁ、宴会...ところが、もう僕は体力の限界。『なにっ!もうダメなの?情けない。』そんなMamaの罵倒の声を子守唄に僕の意識は薄れてゆくのだった...。

2日目 天川村観光へ進む

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