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December.2004

 

 

 

 12月4-5日 上げ膳据え膳忘年会&熊野古道トレック

 

馬越峠・ 檜の美林をゆく

 

鳥羽水族館

今日は、takaboo家と熊野古道・馬越峠をトレッキング。実はこの計画、もう何ヶ月も前から決まっていて(安曇野ツアーよりも前からだったっけ?)、メチャ楽しみにしてた我が家。特に今回はtakaさんの会社の保養所での上げ膳据え膳ってことで、Mamaはもう何日も前からこの話題で持ちきりなのである(笑)
前日までの計画では朝9:00に馬越峠近くの道の駅に集合して尾鷲までをのんびり一日かけて歩くはずだったけど...晴天が10日以上も続いてたというのに、突然やってきた季節外れの台風のせいでどうやらお天気は望めそうもないってことで、昨日急遽、待ち合わせを雨でも遊べる鳥羽水族館に変更。

8:55着の伊勢湾フェリーで到着したtakaboo家と合流。静岡は伊勢湾の遥か彼方で遠〜いイメージがあるけど、このフェリーを使えば我が家とtakaboo家の中間点は、ここ鳥羽ってほど身近になる(実際我が家とtakaboo家の走行距離はほぼ同じ)。


これが一番のお気に入り?

大水槽に見とれる子供達

9:00の開館とともにガラ空きの水族館に入る。
水族館好きの我が家なので、鳥羽水族館は子供が生まれてからだけでももう10回目ぐらいか?でも、川ばかりだった僕らが海でシュノーケリングを始めてから訪れるのは初めて。和具ノ浜を始めとする海でいつも出会っている野生の(?)魚たちを今日は間近でマジマジと見られるとあって、子供達だけではなく僕ら大人も大興奮だ。(やっぱり名前を覚えると水族館は何倍も楽しめるものだなぁと実感)

10時からのアシカショウ(いつ見ても楽しい&素晴らしい!)、11時からのペリカンのお散歩タイム(ペリカンのMomoちゃんと記念撮影したもんね!)など次々と行われるイベントの合間に広い水族館をのんびり回って、ワーワーキャーキャー楽しい時間を過ごす僕らだ。

ペリカンのモモちゃん

お散歩中にハイ、チーズ!

Azuの鼻先にクリオネ

このポーズで何を想う?

館内のビュッフェで早めの昼食をとった後も引き続き水族館見学。
aki 家&takaboo家ご一行様が一番盛り上がったのは、ナント、カエルのコーナー。カエルってあんなに表情豊かだっけ?それまでカメラを向けるのは水槽を覗き込む子供たちだけだったけど、お笑い芸人のようだったり哲学者のようだったり...それぞれ違う人格、じゃなく蛙格を見せるカエルたちにすごく撮影意欲をかき立てられる。う〜ん、もしかしてカエルって好きかも!?


名付けて“大仏ガエル”(笑)

信楽にもこんなのが居たような...

水族館裏側探検(バックヤードツアー)

現在のアクアリウムブームの先駆けで、全国に大規模な水族館が次々と開館する前は“太陽系一”だったか“銀河系一”だったかという枕詞が付いてた鳥羽水族館なので見どころは尽きないのだけれど、13:30からはお待ちかねの“裏側探検”(=バックヤードツアー。先着20名のみが特別に水族館の舞台裏を飼育係の方のレクチャーを受けながら見学できる!)が始まる。
インフォメーションデスク前で今日の案内人である長靴姿の飼育係の方から注意事項の説明を受けた後、いざ裏側へ。裏側って言っても「きっとゲスト用の通路をちょこちょこっと回るだけだろうな。」なんて思ってたら、良い意味で期待を裏切る結果に。まず、いきなり売店の奥の鉄扉を開けて在庫の棚の間をすり抜けて進むあたりで、何か特別なような、ちょっとイケナイことをしてるようなワクワクした気分がわき上がるのだ。


いよいよ水族館の舞台裏へ

飼育係の方のレクチャーを真剣に聞く

クマノミ水槽を裏から見たところ

宮川で釣られた黄色いナマズ

コンピュータ制御のオートマティックな水温調整システムの説明を受け、天井に配管剥き出しの通路(これは設備投資をケチるためじゃなく、万一不具合が起きた際、容易に場所を特定できてしかも迅速にリペアするための工夫なのだそうだ。)を通ってまさに“裏側”である各水槽の裏側へと進む。
水槽を上から覗くと、さきほど見たクマノミたちが僕らを飼育係の方と勘違いして一斉に浮かび上がって来る(たぶん餌をもらえると思ったのだろう)のが可愛い。水槽の裏側の通路にはカブトガニの赤ちゃんを始め、各種研究中の魚たちが小さな水槽で飼育されている。宮川で釣られた黄色いナマズ君に驚き、Maakunがカブトガニの交尾について熱弁をふるい(笑)、トドやアシカも乗ることがある貨物用エレベーターで大水槽の上へ。


大水槽はまるで巨大な生簀のよう

お世話になりました!

ここでも様々な“水族館の秘密”を教えてもらったんだけども、その中で一番疑問に思ったのは、巨大な造波機や太陽光に極めて近い色温度のライトなどを駆使して水族館の舞台裏を見えないよう努力しているのに、その一方でこのようなバックヤードツアーを開催しているのか?ということだ。以下がその質問に対する飼育係さんの説明。『水族館の裏側を知ることで水族館、そして魚たちに興味を抱いて欲しいんです。そしてどの魚でも良いからお気に入りを見つけて欲しい。お気に入りが出来たら、きっと大切にしたいって気持ちになりますね?最初は大切に思えるのがたった一種類でも、そのうち実はそれを取り巻く自然は全部大切だって気付いてくれるはず。これが一番の環境教育なんです。』

う〜ん、素晴らしい!僕が子供達にカヌーという手段を使って自然に分け入らせているのとパーフェクトに同じ理念だぁ!(*10年前に僕が書いたPHOTO&ESSEYVol.10の“自然保護”参照のこと)

鳥羽水族館はいわゆる“見せ物”ではない!これだけは間違いない。


 

上げ膳据え膳

さて、そんなわけで30分の予定をかなりオーバーしてバックヤードツアーを終えた僕らは、もう一度アシカショウを見て鳥羽水族館を満喫した僕らは、鳥羽竜(恐竜)の発掘現場方面にクルマを走らせ、最近鳥羽に来ると必ず立ち寄る喫茶店でお茶をして、国府ノ浜の保養所へ。保養所と言っても、さすがは一流企業!まんまホテルである(たぶんこれが屋久島にあればイワサキホテルの次ぐらいに高級だろう...笑)。


上げ膳据え膳に思わず笑みがもれるMamaたち

食事の後は卓球

そしてビリヤード

保養所の前で(翌朝)

16:00過ぎにチェックインを済ませた僕らは、部屋でゆっくりと寛ぎ、美味しい料理を食べ、卓球にビリヤードに興じ、さらに部屋で新酒のワインを飲みながら語り合って...外は暴風が吹き荒れ、雨が窓を激しく叩いてたけど、そんなの全然ノープロブレムな夜...たぶん明日も雨が残って馬越峠トレッキングは無理だろうけど、まっいっか!そんな気持ちになれる幸せな夜だった。

(つづく)


 


大平洋から昇る朝日

馬越峠トレッキング(熊野古道)


実は部屋の窓からの景色なのだ!!

目覚めたのは6:50。昨晩は台風の影響で凄まじい風雨だったし天気予報は朝のうちまで雨が残るということだったので、憂鬱な気分で部屋のカーテンを開けると...目の前に広がる国府浜から今まさに太陽が昇る...えっ!?目を疑うような晴天だ。
これまでtakaboo家と一緒に遊ぶ時は好天ばかりだったけど、今回はさすがに無理かなってことで、昨夜の段階では今日は昨日に引き続いて水族館&博物館巡りでもしようか?ってことになってたんだけど、全然期待してなかった朝からの天候回復に少し戸惑いながら、朝食の席で急遽、熊野古道行きが決定(笑)。

上げ膳据え膳な今回は当然ながらキャンプサイトの撤収作業はナシなので、30分ほどでチェックアウトの準備を進めて9:00に保養所を出発。志摩半島突端に位置する国府浜から熊野灘沿いのリアス式海岸を縫うように走るR260。

海の景色を楽しみながら途中で昼食の買い出しをしたりして海山町の「道の駅・海山」まで2時間のドライブだ。

道の駅にMamaたち&子供達を下ろした後、Papaたちは2台のクルマを列ねてゴールの尾鷲・馬越公園にクルマを回送(カヌーのDRみたいだな...笑)。再びスタートポイントに戻って12:15、熊野古道・馬越峠トレッキングをスタートする。

スタートしてしばらくすると尾鷲檜の美林の中にいかにも熊野古道らしい石畳が見えて来る。初めて訪れた時はこの石畳が少しだけ苔が残っていて独特の風情があったけれど、今日は昨夜の豪雨野直後と言うこともあって石畳の上を雨水が渓流のように流れていて、まさに“熊野古川”状態。でも、よく見ると石畳のそれぞれの石が大きな水たまりになることなく上手く水を流すように敷設されているので、トレッキングブーツが濡れることはまずない。先人の知恵と技術に感嘆する瞬間だ。


クルマで2時間ほどで馬越峠入口に到着


熊野古道らしい光のシャワー

久々の熊野古道にゴキゲンMama

12月だというのに気温は24℃オーバー

お喋りを楽しみながらゆっくりとしたペースで歩く大人たちとは対照的に、子供達はかなりのハイペース。 “水を得た魚”ならぬ“友を得た子供”たちはいつもの不平不満はどこへやら(笑)...子供たちにとって山歩きの必需品は他ならぬ“友達”なんだよな、きっと(笑)。


前夜の雨で石畳の上を川が流れて渓流のようだ。

紀州のお殿様が乗る駕篭に合わせて一間半(2.7m)と昔の山道としては高規格な美しい石畳をザーザーと轟音を立てて流れる渓流沿いに進むと夜泣き地蔵の祠が見えて来る。
地蔵尊の先には渓流を渡るポイントがあって、今日の増水でこの石橋が渡れるかどうかがこのコースでの唯一の心配材料だったけれども、さすがは日本一の多雨地帯にあって長年道路としての機能を果たしてきた熊野古道だけあって、全く問題なかった。

この辺で先を行く『熊野古道大遠足』の中高年ご一行様に追い付く。小さなせせらぎを越えるのにかなり躊躇していて渋滞が生じているので、僕らは流れの中に足を踏み入れて抜き去ることに。
『山歩きは初めてっぽい人が多かったね。』
僕がそう言うとtakaboo夫妻が大きく頷く。
『どうしてそんなことが判るの?』
Mamaは少し不思議そう。
『靴だよ、靴。揃いも揃って新品だっただろ?きっと今日のために新調した人ばかりなんだよ。』
『ナ〜ルホド!』(笑)

馬越一里塚を過ぎ、少し階段のような石畳を頑張って登り切ると、林道が古道を横切る。ここからは石畳は途切れて普通の山道の風情だ。薄い石を綺麗に積んだ畑の痕跡を左手に見ながら平坦な土道を進むと、間もなく13:00ちょうどに馬越峠に到着する。
一旦は尾鷲湾から尾鷲市街地を一望出来る馬越峠でランチタイムにしようとベンチに腰を下ろしたものの、台風一過の強風(それまでの海山町側では山懐に抱かれてほとんど感じなかった)が吹き荒れて、ゆっくり座ってられる状態ではなく、食事を断念。


馬越峠に到着

(下)木漏れ日の中のPapaたち

10分ほどの休憩の後、13:10、さらにそのまま尾鷲側の古道を下り始めることにする。休憩小屋の脇から天狗倉山(てんぐらやま)へ通じる道を横目に尾鷲側へと進むと、石畳の石が海山側よりも小さくゴツゴツした感じになり、明らかに施工した石工が海山側とは違うと判る。
変わるのは石畳だけではなく、古道を取り囲む森が手入れの行き届いた檜林から広葉樹林帯へと劇的な変化を遂げるのだ。北斜面の海山町側も凛とした雰囲気が良いけども、歩いてて楽しいのはポカポカと暖かい陽射しを浴びて明るい雰囲気の尾鷲側...石畳には色とりどりの落ち葉が載って気持ちが明るくなる感じなのだ。

尾鷲側の夜泣き地蔵こと桜地蔵の辺りまで進むと、石畳の石の配列にちょっとした工夫が見られる。いわゆる“洗い越し”と呼ばれる石畳の手法で山側の湧水や雨水を谷側の渓流へとスムーズに流す小規模な排水溝である。
17世紀前半に徳川頼宣によって石畳の整備がなされたと伝えられる熊野古道(道自体は平安時代に「伊勢路」として既に存在が記録されている!)。多雨地帯のここ熊野で実に400年もの年月に耐えてきたのは、こうした石工たちの高い技術と創意工夫の賜物と言えるだろう。

桜地蔵から小さな滝を過ぎると、海山町側と同じく石畳を水が洗う“熊野古川”となる。滑らないように注意を払いながら樹林帯を抜けると、そこは馬越公園だ。時計の針は13:30、まだまだ強風は収まらないけれど、峠に比べると少しはましな感じなので、ここの立派な東屋でランチタイム。


冬の陽光が石畳に長い影を作る

この東屋は展望台を兼ねていて眼下に広がる市街地を眺めながら食べるラーメンは最高なのです(笑)。
あまりにも快適なので、ついつい長居をしてしまい(海山からここまで歩いたのと同じだけ滞在してしまった!...笑)、結局『熊野古道大遠足』の中高年ご一行様に追い付かれることに。まさに“ウサギとカメ”を絵に描いた状況に苦笑しながら一時間以上寛いで、さぁ張切って再出発...ってゴールまではほんの5分でした(笑)。


展望台一番乗りのMaakun

takaboo家と日本一の煙突

馬越公園からも“熊野古川”

尾鷲からクルマでスタートポイントへ
 

14:35、行者堂のゴールに到着。
トイレ横のパーキングに停めたtakabooミストラルのサードシートを起こして8人全員が乗り込んで(子供は3人で大人2人に換算するから4+(4×0.66)=6.64なので定員オーバーじゃないんです。でも来年になるとShioriちゃんとMaakunが大人になるから乗れないんだよなぁ...)、スタートポイントの海山・ 鷲下バス停に戻る。


今日の行程(道の駅・海山〜行者堂 3290m)

ここでトレッキングシューズをジャングルモックに履き替えて、そのままR42を北上し勢和多気ICへ。
本来ならば我が家はここから伊勢道を北へ向うのだけど、今日はカヌーとは違って帰宅してから後片づけの必要もないし、それより何より何だか別れがたくてtakaboo家を見送りたい気分...そんなわけで僕らも鳥羽へ(笑)。

行楽客帰りのクルマとは反対方向なこともあってクルマの姿も疎ら(ホントに本当に疎ら)な伊勢道下り車線をスムーズに走って、鳥羽フェリーターミナルに到着したのは17時ジャスト。takaboo家が予約してる17:40発の伊良湖行き最終便には非常にナイスなタイミングだ。
少しだけ時間があるのでターミナル内のうどん屋で軽く夕食をとっていると『17:40発、伊良湖行きフェリーの乗船開始です。』のアナウンスがターミナル内に響く。いよいよお別れ。
赤いテールランプを点滅させながらミストラルがフェリーに吸い込まれていくのを見届けた後、僕らはターミナルの送迎デッキで伊勢湾フェリーの出港を見送ることにする。


伊勢湾フェリーに乗り込むtakabooミストラル

少し感傷的になる船の別れ

肉眼では確認できないけども、フェリーの後部デッキには手を振る大2小2の4人の人影。
車輌甲板のドアが閉じられ、太いロープが外されると、ディーゼル独特のエンジン音が大きくなり、フェリーはゆっくりと岸壁を離れていく。
『ダメだ、オレ、ヤバいよ。』そう言えばいつも見送られる立場ばかりだった僕は妙に感傷的な気分になってしまうのだ。岸壁を離れてすぐ、フェリーは取舵を取ってみるみるうちに姿が見えなくなる。やっぱりフネの別れはイカンなぁ...ちょっと心を揺さぶられた僕は照れ隠しにイカンイカンと2度ほど呟いて送迎デッキを後にした。

前回の安曇野ツアーもかなりのモノだったけれど、 今回も天候に翻弄されたにも関わらず、負けず劣らず素晴らしく中身の濃い2日間。普段から“予定は未定でオッケーオッケー!”なtakaboo家と我が家には珍しく早くから予約を入れてた上に台風まで来ちゃったにも関わらずこんなに楽しめたのは、無理しない&臨機応変な計画変更が秘訣だったりしたのかな?兎にも角にも、素敵な保養所を予約してくれて、我が家の思いつき行動におつき合い下さったtakaboo家の皆様に感謝するばかりの2日間なのだった。
また来週会おうねぇ〜!

 

馬越公園展望台からの尾鷲市街

  

 

 

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