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FLAME LAYOUT

How to canoe for beginners Vol.16

   


Chapter 9  カヌー部品の取付け(スキッドプレート)

 

スキッドプレートとは

スキッドプレート(skid plate)とは、読んで字のごとく「滑り板」です。カヌーの両端の舟底(ボトム)に取付けることで、滑りを良くして浅瀬や隠れ岩でボトムを擦ってもカヌーを下りることなく進めるようにする部品です。カヌー屋さんのHPやカタログを見ると『傷みやすいカヌーのエンドを保護し、あなたの大切なカヌーを守ります。』ってな感じで、ボトムの保護が目的みたく書いてあるけど、あくまで川下りで横着するための部品であって(笑)、ボトムの強化&保護は結果でしかないわけです。

スキッドプレートの入手

10年ほど前、Old Town Canoeのスキッドプレートはメーカーオプション扱いでした。つまりウッドガンネルなんかと同じく購入時に取付け済みで入荷するわけで、しかも取付け料込みで¥12000!これは安かったと思います。ところが、現在は部品売りのみの¥15000になっています。アメリカ人が聞いたら「それって悪い冗談でしょ?」って言いそうな価格。ちょっと高すぎるんじゃないの?ってことで、以前はREIで個人輸入すれば船便で時間は掛かるものの$40〜$50($1=¥80の頃なら送料込みで¥4000程度)で買えたのですが、今は危険物ということで航空便はもちろん船便でも海外へのshippingが不可ということになってます。(Cascade OutfittersもNWCも同様の見解)しかも、国内の在庫は超・品薄。2003.5現在、在庫を確認できたのは北海道のビーバーカヌーさんだけでした。

スキッドプレ−トの取付け

そんなわけで現在は高価なスキッドプレートですが、何とかキットを手に入れたとしても、自分で取付けなければなりません。なぜこれが以前はメーカーオプションになってたかと言うと、取付けのための場所が必要なのと、FRP加工の経験がない人には簡単なようで結構難しいからなのです。その上、取扱説明書は英文のみ(15分もあれば翻訳出来るのだから、日本語取説ぐらい付けて下さいよ!>輸入元さん)。

で、今回7年ぶりに2回目の取付け作業を行ったということで、かなりマニアックな内容ではありますが(笑)スキッドプレートの取付方法を紹介してみようと思います。

取付け作業にあたって

直射日光の当たらず、風通しが良い場所が必要です。完全硬化まで丸1日掛かるので、雨に当たらないことも重要。また、作業は気温があまり高いと硬化速度が上がり、作業中に樹脂が硬化して悲惨な結果になるので20℃以下が適当。つまり夏は止めた方が良いでしょう。

部品の確認と準備

箱を開けると、銀色の缶が大小2つづつ、荒目のサンドペーパー2枚、ケブラ−の黄色いフェルト2枚、木のヘラ2本、そして英文の取説が入っています。まずは缶の留め金をマイナスドライバーで外し、缶をすぐに開けられるよう準備します。Photo#1

その他に必要なもの

カヌーを裏返しにして固定出来る台、50mm幅のマスキングテープ2巻、50mm幅の油性用刷毛2本、布ガムテープ、ビニールごみ袋6枚、ゴム手袋、カッターナイフ、マイナスドライバー


Photo#1 キット内容

準備

●カヌーを裏返して、台に載せ固定します。
●デッキから35cmのポイントを計ります。ここがスキッドプレートの上端(ケブラ−布の幅の狭い方)の標準になります。良く岩に激突する人は、もう少し上に取り付ける方が実用的(笑)。ちなみに僕は25cmにしています。
Photo#2
●ステムの中心(キールライン)にケブラ−布を当てます。
●ケブラ−布の両端をマスキングテープで所定の位置に仮留めします。樹脂を染み込ませると、少しフェルトが伸びるので、少し引っぱりつつ手のひらで押さえつつ
形を整えながら仮留めするのがコツです。
●3.75cm〜5cm幅のマスキングテープを使って仮留めしたケブラ−布の外側3mmをマスキングします。
Photo#3


Photo#2 スキッドプレ−ト取付け位置(25cm)

Photo#3  仮留めして3mm離してマスキング

●マスキングが済んだら、布を留めているテープを切ってケブラ−布を外します。そしてケブラ−布に残ったテープを慎重に剥がします。Photo#4
●幅の広いマスキングテープで 既にカヌーにマスキングした部分に沿って更にマスキングします。
●ある程度マスキングができたら、ハルやガンネルをゴミ袋で覆います。 樹脂がカヌーの他の部分に飛び散って汚れるのを防ぐためです。樹脂が垂れるので床にゴミ袋を敷きます。

●付属の荒目のサンドペーパーで、マスキングテープで囲われた内側をしっかりとサンディングします。(これは表面に傷を付けて後ほど塗る樹脂の定着を高める目的です)新艇の場合は、これがなかなか勇気が必要ですが、思い切ってガシガシ擦りましょう。
●綺麗な乾いた布で、サンディングした部分の粉を払います。もし、まだ光沢が残っているようなら更にこすります。Photo#5


Photo#4 ケブラ−布を外した状態

Photo#5 カバーで覆い光沢がなくなるまでサンディング

取付けの前に確認

●まず、直射日光が当たらない場所を用意します。
●同梱の樹脂は、気温が華氏70度(21℃)の場合20分で硬化します。
●ゴム手袋を必ず着用します。

取付け

●まず、小さいB缶(硬化剤)を全部A缶(樹脂)に注ぎ、付属の木へらでよくかき混ぜます。
●刷毛を使ってサンドペーパーでサンディングした部分に混ぜ合わせた樹脂をたっぷりと塗ります。
●所定の位置にケブラ−布を当てます。Photo#6
●ケブラ−布に樹脂が浸透するように手のひらでしっかりと叩きながら 馴染ませます。
●布の中心から端に向けて優しく押さえながら布の下に残った空気を抜きます。

●ケブラ−布が完全にひたひたに濡れるまで刷毛で樹脂を載せるように塗ります。全体に行き渡ったら、垂れに注意しながら、スキッドプレート全体の厚みを増すつもりで残りの樹脂を置くように塗ります。
●マスキングテープに垂れた樹脂を刷毛で掬いながら、キールライン中心に盛っていきます。ケブラ−布とマスキングテープの境目に“切れ”があると、そこから水や砂が侵入して剥がれる恐れがあるので、コーキングの要領で仕上げます。

(以上をバウとスターン2回に分けて行います。最初から2缶とも混ぜ合わせてしまうと、作業が硬化速度に追い付かず、缶の中で硬化が始まってしまうというトンでもない結果になる恐れがあります。ちなみに材料のバラ売りはないので、ひとつづつ確実にこなしましょう。)


Photo#6

●樹脂を塗り終え(30分ほどで垂れが収まったら)たら、マスキングやカバーを外します。このタイミングがなかなか難しくて、早過ぎると樹脂が垂れるし、遅いとカリカリに硬化してしまって上手く外れなくなる...。指で押さえてみて透明デスクマットぐらいの硬さになったら切れ味の悪いカッターナイフで押さえながら外すと上手くいきます。
●マスキングを外して1時間ぐらいしたら、指で強く押して凸凹を矯正すると仕上がりがより平滑になります。Photo#7
●完全硬化まで24時間置きます。
●スキッドプレートの表面を更に平滑にするには、完全硬化後、中目のサンドペーパーで仕上げると良いでしょう。でも、使っているうちに段々と凸凹が取れ、平滑になってきますが。


Photo#7

●最後にサンドペーパーの仕上げで出た埃を丁寧に払って完成です。

仕上げ

今回、スキッドプレートの取付けのついでに、カヌーのクリーンアップを行いました。

●10年以上もの間に付着したバーコード状の黒い水垢は洗剤では取れませんが、ボートショップなどで売ってる“Simple Green”を使ってみました。付属のスプレーでハルにまんべんなく吹きかけ、乾いた雑巾でやや強めに擦ると、買った当時のOld Town レッドが甦り、驚くほど美しくなります。今回は原液を使ったので、濡れ雑巾で“Simple Green”を良く拭き取り、303プロテクタントで仕上げます。Photo#8


Photo#8

(おわり)


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