How to canoe for beginners Vol.9
Chapter 6 カヌーツーリング・テクニック #1
パドリングのスキルもレスキューも覚えました。さあ、お待ちかねのツーリングです。どこに行ったらいいの?って思われるでしょうが、初心者は本や雑誌そしてWebページなんかを参考にしちゃいけません。経験者に相談して同行してもらうか、スクールのツアーに参加するのが良いでしょう。そこでツーリングのためのテクニックを盗みながら自分流にアレンジしていくのが早道です。とにかく初めてのツーリングをひとりで敢行しちゃうのは無謀な行為!それだけはやめましょう。
どうやってクルマまで運ぶ?
まずはカヌーを運ばなくちゃいけないですよね。リジッドのカナディアンカヌーの場合クルマで運ぶのが一般的。写真のようにカヌーを裏返しにしてキャリングヨークを肩に載せればカヌーなんてものは軽いんです。僕のカヌーは浮力体とか装着したままでも30kg程度だから、このまま2.30分歩けます。風さえなければ片手でカートに載せたもう1艇を引っぱったり、子供をだっこ出来るくらい(笑)ただし風が強い日は、さすが凧背負ってるようなもんだから飛ばされそうになったり、クルクル回ったりするので注意!
カヌーイストのクルマ選びの条件
フォールディングタイプじゃないカヌーを運搬するにはどうしてもクルマが必要。カヌーを始めるからってクルマを買い替える人はいない(...と思う)けど、果たしてカヌーイストにぴったりのクルマってどんなのだろうってことでちょっと考えてみたいと思います。
1.全長
道路交通法ではクルマの全長を超えて積載可能な長さは、クルマの全長の10%。つまり最大で110%までと言うことですね。(ちなみに全幅はクルマの全幅まで、高さは3.8mまでとなってます)具体的に言うと16ftの一般的な長さのカヌー488cmを載せることが可能なクルマの全長は488cm÷110%=443cm。これは一般的な2000ccクラスのクルマならOKということです。2.ル−フの高さ
意外と忘れてるのがルーフの高さ。一人でカヌーを運ぶのならそれほど問題ないけど二人でしか運べないような重いカヌーの場合、ルーフが高いと大変なことになります。またカヌーをクルマに積んだ状態でタイダウンベルトをかけたりする際にもルーフの高いクルマはひと苦労。なるべくルーフの低いクルマを選びましょう。3.ルーフの長さ
下の「キャリアの取り付けの容易さ」とも重複しますが、キャリアを取り付けた場合の前後キャリアの距離を大きく取れるクルマがカヌーを積むには適しています。一般的に長尺物をルーフに積んだ場合、車速が上がるにつれて積載物が受ける風の抵抗が大きくなり、キャリアの距離が小さいと横ブレが大きくなるわけです。(もちろん程度の問題であまり距離が大きすぎてもしっかり固定できないのですが)具体的に言うと前後キャリアの距離がカヌーの全長の1/3〜1/2程度取れるのが理想的。(16ftのカヌーなら160cm〜240cmぐらい)ただ、これだけとれるクルマって少ないよなあ...。4.キャリアの取り付けの容易さ
最近流行の空力設計の影響で少なくなったレインモール(雨樋)付のクルマ。実はTHULEやTERZO、INNOといった市販のシステムキャリアを取り付ける場合、最もしっかり取り付けできるのはこのタイプなのです。カヌーの場合、特にカナディアンの場合はフネを裏返しに積むので、耐荷重というより空気をはらむことで生じる揚力に気をつけなければなりません。プレスドア車のキャリアフットは屋根に置いて下のみツメをかける構造なのに対し、レインモール取り付けは上下から挟み込む構造なので緩みにくく揚力に対して強いというわけです。もちろんプレスドア車であっても4ドアで前後キャリアの距離を大きく取れるものは全く問題ありませんが、一部クーペなど後部座席のサイドウインドウがフィックスのものは、前後キャリア間の距離を充分に取ることが出来ず(中には延長用部品が用意されているものもありますが、あれは揚力に対してはあまりに無力)結果、車載時のカヌーの横揺れにつながって危険です。5.エアロパーツが付いてないこと
横揺れ防止と万一の際の落下防止のため、キャリアへのタイダウンベルトでの固定以外に前後を強度のあるロープで固定するのは常識なのですが、最近はこのロープをつなぐ場所のないクルマが多い!FRPのエアロパーツ(特にフロントスポイラーやリアルーフスポイラーなど)があるとロープのテンションをあまり強くできないし、かと言ってエアロパーツ自体につなぐわけにもいかいし。で、なるべくなら多少カッコ悪くてもエアロパーツの付いてないクルマを選びましょう。
余談ですが、河原でスタックした時アレってホントに困るんです。ホントに本当に...。そんなわけでカヌーイストのクルマ選び、各タイプ別に一覧表にまとめてみました。カヌー積むのに適さないからと言って、くれぐれも買い替えないように(笑)!
車種 タイプ ルーフの高さ ルーフの長さ キャリアの取付 総合評価 3door ◎ × × △ 4door ◎ ○ ○ ○ ル−フレ−ル付 ◎ ◎ △ ○ ルーフレール無 ◎ ◎ ◎ ◎ 3人乗り ◎ × × × 4人乗り ◎ ○ ○ ○ ショート × ○ ○ △ ロング × ◎ ○ △ ミニバン × ◎ × △ ワンボックス × ◎ ◎ ○ 注意:あくまでカヌーの積みやすさを基準に評価しています。
カヌーをクルマに積んでみよう。
さてそれではクルマにカヌーを積んでみましょう!カヌーの積み方もいろいろあって、それぞれ一長一短あるので予算とカヌースタイルに合った方法を選びましょう。
ガンネルパッド&タイダウンベルト ウレタン製のパッドをガンネルにはめ込んで、クルマの屋根に載せて、ベルトをぐるりと室内に回して固定するというシンプルな方法。アメリカではよく見かけるけど日本では一般的じゃない。
○ 安上がり、高価なキャリアの盗難防止、必要な時のみ使える
× ルーフ・内張にキズがつく、窓が閉まらない、横ズレしやすいメーカー:コールマンなど
システムキャリア&サ−フパッド&タイダウンベルト システムキャリアにガンネルの当たる部分のみサーフパッドを巻いてカヌーを載せてベルトで固定する方法。システムキャリアユーザーならこれが一番オススメ。
○ 意外とズレない、複数艇や幅の違うカヌーもアバウトに積める、安い
× サーフパッドがすぐに傷む、フット(支柱)の真上にはパッドを巻けないメーカー:THULE,TERZO,INNO,Mont-Branc,YAKIMAなど
システムキャリア&ガンネルブラケット&タイダウンベルト カヌー専用の横ズレ防止ガンネル留め具。ベルトを架ける窪みなんかもあってよく考えられている。システムキャリアと組み合わせて使う。一番確実な方法。
○ 全く横ズレしない、ベルトが架けやすい、風切音が小さい
×幅の違うカヌーを積む時はいちいち調整が必要、横から積みずらいメーカー:THULE,INNO,Mont-Branc,YAKIMAなど
システムキャリア&専用ローラー&専用ラチェットベルト カヌーを車載するために考案された専用キャリア。後方からローラーを使って積込むのでクロカン四駆などの屋根の高いクルマもOK。専用ラチェットで確実にしかも手早く固定できる。
○ 最も確実、積込みが簡単で早い
× 超高価!、カヌーを積まない時に取り外しが困難、重いメーカー:INNO,TERZO,QUICK-N-EASY,YAKIMAなど
いずれの方法でもさきほども述べたクルマからのはみ出しに気を付けて、しっかり固定することが必要。具体的には極端にバランス悪いと危険だけど、必ずしも二本のキャリア・バーの中心にカヌーを載せなくてもいいので少し前気味に積めば問題ないでしょう。(図1)ラチェットベルトは弛みが生じることもあるので念には念を入れて!(僕はこれに加えてキャリアとは別にカヌーのヨークとルーフレールを固定してます。つまり5ケ所ってことね。実はカヌー飛ばしたことあるので・・・恥ずかしながら)
図1
写真B
川での移動手段
カヌーツーリングで最も頭を悩ますのがコレ。リバーツーリングの場合川下りが多いからクルマに戻る手段を考えなくちゃならない。(も一度川上がりするってのも辛いし・・・)もちろんクルマ2台で行けば、あらかじめゴール地点に一台置いておけばいいんだけど、一台で行った場合は困るんですよね。
僕はスタート地点に置いておいて、あとでバスやヒッチハイクで戻るようにしてます。ゴールに置くと何があってもそこまでは行かなくちゃならないから精神的にしんどいし、少しでも早くスタートしたいしね(笑)でも、子供と一緒の時は、子供が疲れて眠っちゃうことも考えて必ずゴールに置くようにしてます。
スタート地点にクルマを置く場合、問題になるのが、クルマを取りに戻る間カヌーの管理をどうするか?なんだけど、僕の場合、河原にキャンプしてる人がいたら理由を説明して見ててもらうように頼みます。だれもいない時は最寄りのお店(特にガソリンスタンドなど広いスペースのあるところ)にカヌーを持ち込んで(!)お願いすると意外に快く預かってくれます。キャンパーに頼んだ時はビールやジュースなどのお礼を、GSでは給油を忘れずに!何度か行くと覚えてもらって頼みやすいし、思わぬ川の情報を得られることもあります。そうそう、食料品などの買い出しは川のそばのお店でするよう心掛けてます。アウトドアって地元にお金をあんまり落とさないからせめてもの償いに。それに地元のおばちゃんの話ってすごくタメになるんだな、ホント。
Chapter 6 カヌーツーリング・テクニック
ツーリングをスタートする前に
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