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[Part.1 Osaka-Yakushima] [Part.2 Shirataniunsuikyo] [Part.3Inaka Beach&Miyanoura river]

 

 

August.2004 part.4

 

 

 

8月3-9日 屋久島&九州ツアー 

 

 


通潤橋の縁に立って手を振る非・高所恐怖症な人たち

 

5日目 高千穂の神々に触れる

長期の休暇はリタイヤまで望めない僕らの大急ぎの屋久島訪問もいよいよ終わり、屋久島を離れる朝を迎えた。魅力的な遊び場目白押しで、あと一日あればなぁ!次の予定をキャンセルして、時間の許す限りここに居たいってのが本音の僕らである。でもあと一日いればさらに後一日、一週間いればさらにあと一週間...天候が目まぐるしく変わり、同じ場所でも訪れるたびにその印象が激変する屋久島なのでキリがないのである。


「まんまる」のお風呂から見る朝日

いよいよ猫ちゃんたちともお別れ

『屋久島は一日居ればその良さに気付くけど、最低一週間、最高一生過ごさないと本当の良さは解らない。』つまりは屋久島を遊びつくすには永住するしかないってことなのである(そ、それは、ちょっと無理...笑)。

まんまるの猫ちゃんたちを一匹一匹抱いてお別れを告げ、日の出食堂で予約してある登山客用のおにぎり弁当を引き取って、ekワゴンで安房港へ。
昨夕満タンにしたけど、その後紀元杉を往復したのでダッシュボードに¥1000札を入れてレンタカーを港のパーキングに乗り捨て(レンタカー屋さんは『キー付けたまま適当に停めておいてください。後で引き取りに行きますから。』ってことだった。島に自動車泥棒は存在しないようだ。)7:00発のトッピーで鹿児島へ。

9:30鹿児島FT到着。パーキングに停めたDisco(駐車料金は¥4600)に荷物を積み込んで九州道を北へ。桜島SAでサツマイモソフトクリームを食べた後は前回訪れた時にはまだ開通してなかった高速道路を一気に走って熊本入りだ。松橋ICからR218沿いに点在する二俣二橋や霊台橋など江戸時代の石造アーチ橋群に立ち寄りながら通潤橋を目指す。


桜島SAでサツマイモソフトクリームを食べる

二股二橋(1830架設28m+27mL字型双子橋)

通潤橋...実はこの日本最大の水道橋は僕にとって、とても思い入れのある橋である。あれは30年近く前のこと、詳しくは忘れちゃったけど、当時の学研の科学だか学習だか?それとも社会の副読本だったか?とにかく、そんな類の本にこの橋が詳しく紹介されていたのだ。写真とマンガで見る通潤橋は、雄々しく美しく気高く...幼い僕の心を強く捉えたのだ。いつかは行って見たい、ではなく今すぐ行きたい!確か、その日に本屋に出かけて国鉄の時刻表を立ち読みした記憶がある。


一応歩いて渡ってみた

霊台橋(1847架設89.6m/国重文)

(でも小学生の僕にとって熊本は宇宙と同じぐらいに遠かった)それから30年。ずっと記憶の片隅に通潤橋はあり続けたんだけど、この通潤橋と肥後の石橋群が紹介された去年のBE-PALを目にして、小学生の時の気持ちが甦った。それで、今回の旅が実現することになったのである。つまり屋久島はオマケ(笑)。今回の旅の大本命は通潤橋なのだ!

13:20通潤橋に到着。
隣接の道の駅にクルマを停め、合鴨農法の美しい水田の間を歩いて通潤橋へと向かう。さて、実際に目にした通潤橋。たいていこういうのって写真のマジックで橋本体はともかく周囲の開発が進んで雰囲気台無し『へっ?な、何、このロケーション!』ってな場合が多いもんだけど、ここは広々とした水田と青々とした山々...江戸時代から変わらぬ感じの風景が残っていてスバラシイ!そして間近に見る橋も威風堂々、想像以上の美しさである。
(観光名所の実際はショボいぜ!ランキング...1位「シンガポールのマーライオン」2位「高知のはりまや橋」3位「金閣寺」...笑)
なんて言うのかな?小学生の時にTVでしか見た憧れの女優さんに対面した気持ちとでも言おうか?


通潤橋(1854架設75.6m/国重文)

その女優さんが後光が射すほどに美しかったのにも似て、僕は深く感動を覚えたのだった。
通潤橋を実際に渡ってその緻密な構造に感動しその高さに肝を冷やした後、僕らは隣町・蘇陽町の服掛松キャンプ場に向かう。


通潤橋は水道橋のため手摺も柵もない。

公園内の水道までがアーチ橋(笑)

服掛松キャンプ場にて雷雨の中で設営

ところが、キャンプ場が近づくにつれ空模様が怪しくなり、キャンプ場のゲートをくぐった瞬間にピカッ!ガラガラドッシ〜ン!な雷&ワイパーをHiにしても視界が確保できない夕立(涙)。とりあえずチェックインを済ませてサイトに入ったもののクルマの外には出られない状態。でも、今回の旅行はヤケにツイてる僕らはそこで暗い気分になることもなく、『ま、しゃぁないな。』とiPodで♪ロコローションなんかを聴きながら楽しく過ごす。30分ほどして一瞬空が明るくなり雨が小降りになったタイミングを逃さず4人で協力して10分ジャストで(!)テントとタープを設営(海山の半分以下のメチャ狭いサイトに面食らったけど、美しい芝生サイトだったおかげで雨中の設営でのグチャグチャにならずに済んだ。)ところがタープの下にガダバウトを広げた瞬間にまたドドドドと雨が降り始め濃霧に包まれ始める。

この豪雨ではキャンプ場にいてもしょうがないってことで、ちょっと早めに県境を越えて高千穂へ向かうことにする。

 


天岩戸神社に向う車窓より

子供の頃から父親に高千穂の神々の話を聞かされて育った彼女、でもこれまで訪れる機会に恵まれなくて『いつかは高千穂』ってな存在だったそうだ。そう、高千穂はともちゃんにとって僕の通潤橋のような憬れの場所なのである。


天岩戸神社

川霧が流れる幽玄の世界

まずは天岩戸神社に参拝。辺りを包む乳白色の霧がとても神々しい雰囲気を醸し出す。伊勢神宮内宮と同じ天照大神を祀る拝殿(拝殿の向こうには川をはさんで天照大神がお隠れになったという天岩戸と呼ばれる洞窟が存在する。ちなみに伊勢にも同じものがある)に参拝を済ませ、さらに奥へと進むと天安河原への遊歩道が設けられている。天岩戸は禁足地で立ち入ることは出来ないけれど、八百万の神々が集い神議ををされたという天安河原は自由に入れるので、僕らは遊歩道を進む。屋久島とは違う種類の苔に覆われた深い渓谷を15分、眼前に天安河原がその姿を現す。言葉を失う僕ら。不信心な僕でさえ “霊気”のようなものを感じる場所。生まれて初めての体験である。(祠にはカメラを向けてはいけない...瞬間的にそう感じた)この感覚は文章にするのは難しいけど、何か僕らの力が及ばない存在のようなものを感じたのは確かだ。


天安河原

(*ちなみに旅を終えてMamaが一番印象的だったのは、屋久島よりもここらしい。ただ、これは渓谷が霧に包まれていたこと、そして観光客がほとんどいない時間帯だったからこそ感じられたのだと思うけど。)


天岩戸をこじ開けた手力雄命像

“何か”を感じて鳥肌が立つ世界

天岩戸温泉で汗を流し、高千穂市街で夕食を済ませた僕らは20:00から執り行われる「高千穂の夜神楽」(国指定重要無形民俗文化財)を見学するため高千穂神社へと向かう。


天岩戸温泉は地元民がほとんど

いよいよ高千穂の夜神楽へ(高千穂神社内)

本来ならば33番の題目を一昼夜かけて演じるんだけど、全部観るのは無理なので、観光客用に「手力雄の舞」「鈿女の舞」「戸取の舞」「御神躰の舞」の4番だけをピックアップして演じていただける。「夜」の「神楽」と聞いて子供たちが寝てしまわないか心配したけれど、心配無用。神々しさと抱腹絶倒がクロスオーバーで最高に楽しめたのだった。


手力雄の舞

鈿女の舞

戸取の舞

御神体の舞

ちょうど一時間楽しんだ後、夜の高千穂神社を少し散策したあと、県境を越えてキャンプ場へ戻る。キャンプ場に戻ってしばらくすると、当地在住の大学時代の同級生“Jose Rodrigues Shinji”ことT(まんま“ガイジン”の風貌を持つので、良く合コンで留学生ホセを演じていた...笑)が子連れで訪ねて来てくれた。相変わらずズルイぐらいに男前のTと可愛い子供たち。10数年ぶりの対面を果たすことができて本当に良い夜だ。

雨上がりで深い霧に包まれた服掛松キャンプ場。その涼やかで幻想的な雰囲気の中、僕らがぐっすりと快眠することが出来たのは言うまでもない。


深い霧に包まれてキャンプサイトの夜は更ける

 


 

 


高千穂峡を漕ぎ上がるMama&Maakunと真名井の滝

 

6日目 高千穂峡とブルーベリー狩り

キャンプサイトってのは驚くほど早く撤収できるもんだなぁ...というのが正直な感想。僕の周りには、黄門ちゃま、takabooさん、Kevipaさん&ミエさん...長期移動型キャンプの達人が揃ってるけど、そんな方々の朝と同じく6:00に起床して7:00にはキャンプ場をチェックアウトできてしまった(!)。ソロ用の小さなテントならともかくファミリーテントは設営&撤収に時間が掛かるからってことでトレーラーを購入するに至った僕だけど、子供たちが積極的に手伝ってくれるようになった今、正直なところトレーラーよりも早いほどだ。(そんなわけで今Casitaを手放そうと真剣に思ってます...笑)


上流から川霧が流れ下ってきた

阿蘇溶岩の侵食で形成されたV字谷

『早くからお出掛けなんですねぇ〜!』キャンプ場の管理人さんに目を丸くされつつ、昨日に続いて僕らは高千穂を目指す。何でこんなに早朝から行動するかというと、朝霧に煙る高千穂峡でボートに乗るためである。
この高千穂峡、実は6/14のLOGBOOKにも書いたけど、夢で見た“逆”Deja vu(=既に・見た【仏】)な場所。荘厳な雰囲気を味わうためにはボートの順番待ちだけは避けたい...ってことで、一番乗りでボート乗場へ。二人の若いスタッフの準備が終わるのを待って僕とAzu、MamaとMaakun、2艇のボートに分乗して高千穂峡に漕ぎ出す。僕はボートを漕ぐのは実は京都・宝ヶ池でのふたりっきりでの初デート以来のこと(苦笑)。普段からカヌーに乗ってることもあって、それほど難しく考えずに乗り込んだMamaだけど、実は彼女はオールを手にするのは初めてだったりするので、右へ左へ、下手なゴルファーのような動きに笑ってしまう。


Azuも漕いでみる

真名井の滝(落差17m)

国指定天然記念物。天然じゃないけど。

一応は国指定天然記念物の高千穂峡。でも実際にはそのなかで一番の観光名所、しかも完全な人工滝でもある“俗っぽさ満点”なはずの真名井の滝だけど、人影のない早朝はやっぱり素晴らしい雰囲気である。
コツを掴んでまあまあまっすぐにすすみはじめたMama&Maakun艇と並んで流れを遡って最上流まで漕ぎ進めると、高い絶壁の割れ目のような五ヶ瀬川の上流から川霧が流れ下ってきた...あまりにも出来すぎの光景にちょっと苦笑してしまう僕だ(笑)。
制限時間30分のところを15分ほど時間オーバーして(ゴメンなさい!)ボートを降りた僕らは、町営の淡水魚水族館など周辺を散策し、くしふる神社へ。

ガイドブックにもそれほど詳しく書かれているわけでもないちょっとマイナーな神社を起点に“神話史跡コース”と銘打った散歩道が整備されていて、くしふる神社、高天原、四皇子峰と一時間ほどショートトレッキングすることが出来る。さてさて、くしふる神社の「くしふる」ってどんな字でしょう?答えは→こんな字。意味はというと「九重」という意味。

【語源その壱】「くじゅう」は「くしふる」が訛ったものらしいのだ。「くし」とは、珍しくも尊く有り難いもの、「奇しき因縁」の「奇し」。「ふる」とは古代朝鮮語で「山脈」のこと。「くしふる」の「る」が次第に消え、「くしふ」。それが「くじふ」「くじゅう」と変化したという説。

【語源その弐】「くしふる」とはくすぶる→くしふる(つまりは噴煙が上がる)からきたものといわれる説。


くし觸神社。くしふるとはくすぶる(噴煙)の意味

高天原〜四皇子峰を巡るショ−トトレッキング

詳しく調べると邪馬台国がどこにあったか?ってな話にまで行き着くので割愛するけど、阿蘇山の周囲に「九重」と「久住」の両方が存在し、その隣には「玖珠」があったりして、久住山とくじゅう連山が別物で、しかも高千穂の「くしふる」が九重って意味だったり...もうワケワカらなくなてしまうけど、要するに全てのポイントから見える共通のお山...阿蘇山がポイントなのかな、と推察するのだ(但し、高千穂はあくまでダミーであってホントは福岡県田川郡の英彦山がくしふるだいう説も...)。ま、とにかくそんな神話の舞台をのんびりと散策(蚊が多くて参ったけど)し、天の真名井、国見ヶ丘を見学して、今日の高千穂観光は終わりとなった次第。(詳しくはこちらが一番面白い)


天真名井

国見ノ丘から望む阿蘇外輪山

Maakunは必ず看板前で足をとめ、全てを暗記する

日本書紀に天孫降臨の神山とされる二上峯を望む

高千穂を後にした僕らは、ここから一路北九州の実家を目指す...はずが、蘇陽町に入ると「ブルーベリー狩」という紫色の幟がヒラヒラ(笑)。農耕民族のくせに狩猟採取系な僕らは「〇〇狩り」という言葉に全くもって弱いんである。案の定、ヒラヒラ幟に拿捕されてブルーベリー農園へ。食べ放題¥500(子供は本来¥200だけど無料にしてくれた!)で甘酸っぱいブルーベリーをたらふく食べて、お土産に1.5kg摘んで、大満足な我が家。


甘い!イチゴ狩と違っていくらでも食べられる

オレ、幸せ!母もシアワセ!

 


蘇陽町といえばブルーベリー狩(笑)

ブルーベリーで一時間を費やした後は、矢部町の石橋群を眺めながら九州道・御船IC〜鳥栖JCT〜小倉東ICとノンストップで走って15:00実家に到着。我が家の夏の旅は終わりを告げたのだった。

当初は南九州をキャラバンして回るだけの予定だった今回の旅。道路地図を見てて指宿港からの線を辿ったらその先に屋久島があった(笑)ことから、いつのまにやら屋久島にまで行くことになってしまったわけだけど、天候にも恵まれてかなり密度の濃い旅だったとは思う。今度訪れる時は今回みたくド根性でせっせと動き回るのではなく、ゆったりまったりと過ごしたいな、と感じたもの確かだ。
屋久島、高千穂...たった一週間では味わい尽くせない素晴らしい場所なのだから、ね。

(おわり)

 


 


阪九フェリーは二等客室独り占め!

明石海峡大橋をくぐると、いよいよ大阪だ。

その後...
びしょ濡れのテントやタープを干しつつ実家でゆったり寛いだ僕が、ともちゃんと子供たちを置いて新門司港から阪九フェリー「ニューあかし」に乗り込んだのが20:30。ソロだし二等ザコ寝でいいやっ!って思ったら、それが大正解。乗客が少ないおかげで、二等客室(20人部屋)貸切状態なのだ。
『フッフッフ...特等より占有面積広いぜ!』とか言いながら意味もなく前回りや後回りして広さを満喫する僕(笑)。

 

 

4日目 「屋久島の海と川を遊ぶ」に戻る

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