8月3-9日 屋久島&九州ツアー
種子島から昇る太陽(「まんまる」中庭より望む) 前夜、早めに眠りについたせいなのか、それともワクワク感のせいなのか、5:00には目が覚める。部屋のカーテンを開けると眼前に広がる太平洋。水平線のようにも見えるのはのっぺりと低い種子島の島影。今まさに日の出を迎えようとする瞬間だ。オーシャンビューとかオーシャンフロントとかのレベルじゃなく、窓一面が海と空。素晴らしい光景である。 今日は屋久島でもメインイベントとも言える「白谷雲水峡トレッキング」の日。屋久島といえば縄文杉を連想するほどメジャーな縄文杉をあえて外して、リピーターに評判の高い白谷雲水峡でのトレッキングを選んだ僕らだ。 最後まで縄文杉に拘ってたMaakunだったけど、某サイトで縄文杉への山道で中高年ハイカーが列をなしてることを知ると意外にあっさりと諦めてくれた。そんなわけで我が家のトレッキングは白谷雲水峡に決定した次第。 ガイドブックや地図で見る限り、“ハイキング以上トレッキング未満”な感じの白谷雲水峡。地形図やGPSも用意したし家族だけで山に入ってもノープロブレムだとは思うけど、去年の西表島でガイドツアーの素晴らしさに感激した僕らは、今回もガイドをお願いすることにする。道案内ではなく真の意味での「ガイド」。僕らはクライマーではないので、目的は山を踏破することではなく、山を味わうこと。ただ“雲水峡を歩いて太鼓岩まで行きました”ではなく、雲水峡で何を見て何を感じたのかが重要なのである。 数あるガイド会社の中で僕ら(...というかMaakun)が選んだのは“グリーンマウンテン屋久島(GMY)”代表のアラタさん。屋久島・宮之浦中学出身のバリバリのヤクシマン(笑)で、しかも登山経験も豊富、しかも“樹木医”でもあるということで、子供の頃から遊んだ野山川を熟知した彼のウンチクたっぷりのガイディングが期待できそうだ。(平成10年白谷雲水峡地区で、樹齢3000年以上と推定される巨大屋久杉を発見し「東竜杉」と命名した方でもある。あ、それとメールアドレスがkappaなのにもちょっとシンパシー感じます...笑) 8:00、宿まで来てくださったアラタさんのクルマに乗り込んで、白谷雲水峡へ。 『へ、こんなに人が多いの?ちょっとがっかり。』 『地球にはね、動物と植物と菌類の仲間がいるんだよね。植物は動物がいなくても困らないけど、菌類がいないと困っちゃう。葉っぱが落ちるでしょ?菌類がそれを分解して養分に変えてくれるわけ。それがないと落ち葉で埋まっちゃうわな。』実際に地面を杖で掘って説明してくれる。菌類から苔の話、杉の話へとレクチャーは続き、僕ら大人に対しては屋久島の森の歴史を自然科学&経済の両面から詳しく説明。さすが樹木医、ちょっと違うんだな。 さつき吊橋で合流する楠川林道は少し急な上り坂。本格的な木の根道になる。この林道は江戸時代に男たちが山で伐採&製材した平木(屋根を葺く木製の瓦。樹脂の多い屋久島の杉平木は腐りにくく3倍長持ちするため、普通の平木の3倍以上の価格で売れたそうである。米がさほどとれない屋久島では、この平木が米に代わる年貢で、通貨代わりにも使われたとか。)を女性や元服前(12歳未満)の男子が担いで運んだ道なのだそうだ。(島津藩の奉行も歩いたことから別名・奉行歩道とも呼ばれる)くぐり杉(11:18)〜白谷小屋(11:25)を過ぎ、標高850mに立つ七本杉の見事な姿に感動したたあたり(11:30)から、俗に「もののけ姫の森」と呼ばれる森に入る。
映画「もののけ姫」のシーンとダブる 映画「もののけ姫」製作前に宮崎監督を始めとするスタジオジブリの面々がここを訪れてロケハンを繰り返したからことから最近では、通称「もののけ姫の森」とも呼ばれるそうだけど、アニメーションのセル画ではこの美しさは決して表現できはしないと思う。確かにあの映画の風景は、まさにこの森なのは確かである。映画のシーンから白谷雲水峡の場所を特定できてしまうほどに酷似しているのも確か。でも、実際にここに立った僕は、この森を「もののけ姫の森」と呼ぶのは少し抵抗を感じるのだ。 ここを訪れる人の多くは「もののけ姫」という名前に惹かれてやって来ているのかもしれないけど、映画が公開されてまだたかだか数年。それに対し、この森は何千年、いや何万年という長きにわたってここにある。(但し、今の姿は明治維新以降の無計画な伐採の成れの果てだそうだけど。)このネーミングはどうもなぁ...僕はそう感じるのである。確かに、僕も映画「もののけ姫」を観て、そのリアルな背景に感嘆したひとりである。でも、僕はここに来て『“もののけ姫”そっくりだぁ〜!』ではない感覚を覚えた。言葉にするのは難しいけれど、得も言われぬ懐かしさとでも言うのかな?そう...懐かしい感じなのである。
切り株から見上げた空 “物の怪”なんかじゃなく、懐かしさ。初めて訪れるのに「懐かしさ」?その謎は、今回お世話になったガイドの“樹木医”アラタ氏の言葉で即座に解けた。『ここの森は標高600〜1000mですから、ちょうど大阪あたりの植生になりますね。つまり、仮に大阪が人の手が入らずに原生林が残ってたとすると、こんな風になってるということです。』DNAレベルの遠い記憶ではなく、僕が子供の頃にこの眼で見てたから懐かしかったのかぁ!納得なのである。 輝く苔の絨毯と赤く浮き出すヒメシャラの大木を楽しみながらさらに進むと、間もなく辻峠に達する(12:15)。ここは宮之浦川と安房川の分水嶺。標高970m。400mもの標高差があったなんて思えないほどにあっけなく到着だ。正午を少しまわっているので、そろそろ昼食にすることにする。沢沿いに少し下ると巨大な岩が倒れ、岩屋を形作っている場所に着く。ここがランチポイントだ(12:25)。
『今日のご飯は何かな?』『なんだろう???』 岩屋前での昼食を楽しんだ後は、辻峠にザックを置いて(14:07)さらに上を目指す。正規のルートではなくショートカットして進んだので、まるで藪漕ぎ(笑)。立ち木に掴まらないと登れない道なき道を行くこと20分、目の前がスッと明るくなったと思ったら、いきなり眼前に広がる絶景!太鼓岩に到着だ。標高1080mの太鼓岩からは安房川流域に広がる小杉谷が一望。目線と同じ高さをかなりのスピードで雲が流れ、ポツリポツリと真っ白に枯れた大きな杉が点在する。絶景である。高所恐怖症の僕だけど、大台ケ原の大蛇ぐらや伊勢山上の蟻の戸渡りに比べると怖くはなかった。
太鼓岩に到着(標高1050m)
白谷雲水峡の生き物と苔の風景
屋久島の夜遊びと言えば...
旅人の宿まんまる8:10………9:10白谷広場9:15……雲水歩道……9:40さつき吊橋……楠川歩道…… まんまる20:05………21:00うみがめ館(ウミガメ放流見学)21:50………23:00まんまる(泊)
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