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 May.2004 part.5

 

 

 

 


朱雀門をバックに平城宮跡をゆく

5月30日 修学旅行補習サイクリング(奈良・平城宮跡〜斑鳩&金魚を訪ねて)

『あっ、大変!もう4時前よ。平城宮跡資料館の駐車場って5時に閉門なのよ!』
『うぉ〜、急がなきゃ!』
僕らは法隆寺を起点に北へ伸びる奈良自転車道を必死で自転車を漕ぐ。気分はツ−ル・ド・フランスのLance Armstrong!(普段の僕らは“マイヨ=ジョーヌ”と言うより“ジャック=マヨール”なんだけどね...笑)踏切、信号、Azuのお相手...全てを含んでゴールまでの14kmを1時間...つまり平均速度14km/hで走り抜けなければならない。
『ハァハァ...わ、私達は、い、いいから...先に行って!』『それは出来ないよ。』『いいから、早く...』何だか雪山で遭難してる家族みたいな会話だけど(笑)、MamaとAzuを置き去りにした僕とMaakunはギアをハイエストに入れて、さらにペダルを踏む足に力を込める。
サイクルコンピュータは35km/h±2程度を表示。(今回の相棒・PEUGEOT Pacific18、市街地ではこのへんが限界。)『オレ、何でこんなに必死になってんだろ?』我に返って自分自身に苦笑しつつSUZUKI Choinoriのおばちゃんと並び、そして抜き去る...

去年のマジコさんちとの熊野川でも、ジェット船の最終便に乗り遅れる失態を演じてしまった我が家。カヌーが自転車に変わったけど、また同じ失敗を繰り返してしまったのである。
そもそも無計画なのがイケナイ。
途中で時間を忘れて遊び尽しちゃうのがイケナイ。
『たぶん40km未満の距離だし、場所は平坦な奈良盆地。
ま、どんなに余裕をみても4時間もあれば戻って来れる“だろう”な。』
『早めにココに戻って、その後で「奈良国立博物館」にも行ける“だろう”ね。』
『今社会の教科書で習ってるナガレ山古墳にも行けるよ、きっと。』
『で、どこへ行く?』『ま、テキトーに。』
...“たぶん”と“きっと”そして“だろう”ばかりで希望的観測なのがイケナイ(笑)。



平城宮跡資料館をスタート

今日は、奈良・平城宮〜斑鳩の里サイクリング。修学旅行が京都とUSJに決まり、奈良に行かないことが決まった時点で始まった『平安京遷都以前の日本史の舞台をぜひこの目で!』プロジェクト(笑)。小学生の息子に『奈良を見ずに京都に行っても意味ないよなぁ...』と言われた日にゃ、父親は息子に奈良を見せるしかない(笑)。
以来、2002年の若草山〜東大寺トレッキング、今春の飛鳥ポタリングと、クルマやタクシーではなく自分の足で奈良を旅してきた我が家。でもMaakunの京都への修学旅行を水曜日に控え、“無理なく、ほどほどに”が今回の最大最重要テーマである。
家を8時半に出て、平城宮跡資料館にクルマを停め、それぞれの自転車に乗ってスタートしたのが午前9:30。

平城宮跡の草原を蛇行している舗装路を朱塗りが美しい朱雀門へと向う。
ジョギングする人、朝っぱらから昼寝する人、和太鼓の練習をする人...日本初の世界遺産でもあるこの120万平米の草原は、東の奈良公園や若草山とともに奈良市民のオアシスである(羨ましいぞ、奈良市民!)。
朱雀門をくぐり、奈良県庁から伸びる道路を通って西に向うと、間もなく秋篠川沿いを南に伸びる『奈良自転車道』に突き当たる。
建設省「大規模自転車道」構想で最も早い時期に整備され1983年に全線開通した奈良自転車道は全長21.9km(往復43.8km)。橿原神宮へ通じる『大和中央自転車道』、飛鳥・石舞台古墳に至る『飛鳥葛城自転車道』を合わせて70km超の自転車専用道路で、総じて幅員3mを確保し、安全かつ快適にサイクリングを楽しむことができる。


平原のような平城宮跡は市街地のオアシスのよう

朱雀門に立ち寄る

秋篠川沿いを南北に伸びる奈良自転車道(全長21.9km)

今回の距離は40km程度だし平坦な区間ってことで、急峻な峠越え2回を含む山坂道を30km走った「大宮町サイクリングターミナル」のAコースを完漕した経験もある我が家は大丈夫!そう考えて選択した“お気楽サイクリング”である。
ガイドブックには“秋篠川を渡る涼やかな風を感じて快適サイクリング”などとベタな紹介文があったけど、正直言ってあまり美しい川とは言えない。ま、その点は目をつぶって幅員3m完全舗装のよく整備された自転車道を南下する。しばらく進むと秋篠川の対岸にこんもりとした森が見えてくる。唐招提寺である。


朱雀門前で記念撮影

唐招提寺

門前の“由緒正しい”感じの門前食堂&土産物店に早くも拿捕されてるAzuを無理矢理に引き離し、境内へ(拝観料 大人¥600子供¥300)。
“天平の甍”として有名な金堂は現在解体修理中でその姿を見ることはできないけれど、ガラス越しに修理の様子(現在は完全に解体が済んで、礎石やいわゆる“タタキ”と呼ばれる石灰を混ぜて突き固められた基礎部分)を見ることができる。例によって『金堂が見られないのかぁ〜、残念!』ではなく『やったー、工事終わったら基礎なんてもう一生見られないよね!』と叫ぶMaakun。紛れもないMamaの息子である(笑)。


唐招提寺に着くなり、お土産物屋に捕まる

唐招提寺は金堂解体修理中

工事用の味気ない建物を出ると、門前の喧噪がウソのように涼やかで静かな境内。講堂で国宝仏像の揃い踏みを見て、新宝物殿で1200年前の完全オリジナルの鴟尾(しび=屋根の両端にそびえる...金のシャチホコみたいなの)を10cmまで近づいて見学(つまりそのまま展示されてるのでKissできなくはない。もちろんNo photo & Do not touch !だけど)して感動した僕らは、門前の土産物屋でAzuご希望の馬の埴輪を買わされ(Maakunのオゴリだそうです...笑)、400mほど南の薬師寺へ。


ログハウスみっけ!(宝物蔵)

新緑が眩しい

薬師寺


大講堂から望む金堂と東西の三重ノ塔(パノラマ合成)

元は長岡京にあったんだぜ!平城京遷都(710)の前!遷都の際にこの地に移設されたのだそうだけど、それだけでも感動するってのに、白鳳時代の建物で唯一現存する東塔に合わせて昭和42年から30年以上にも亘って再建された真新しい堂塔も見事!あっちにもこっちにも国宝国宝、また国宝...なかでも薬師三尊像は、もしかしてレプリカ?ってな真新しさ。コレを作った人はきっと解剖学を学んでたんだろうな...ミケランジェロ的なリアルさを感じてしまう。あっ、そりゃそうだ!ここは薬師寺...薬師如来の別名は医王如来、つまりお医者様なんだからねぇ。


玄奘三蔵院伽藍で平山郁夫氏の壁画を観る

国宝のテンコ盛りで大満足なMaakun


“金魚の町”大和郡山

薬師寺白鳳伽藍を出て玄奘三蔵院伽藍で3/28〜6/13の期間に公開されている平山郁夫画伯の大唐西城壁画を見て、興楽門横の喫茶「水煙」でランチ(オムライスめちゃウマ!)した後、秋篠川&自転車道に一旦別れを告げて大和郡山市街へ入る。
大和郡山といえば、有名なのが金魚。全国シェアの40%を占めるとかで、郡山市内に入るなり金魚をモチーフにしたオブジェや金魚が描かれたマンホール、そして街角にベタベタ貼られた『第10回全国金魚すくい選手権大会』のポスター...とにかく金魚だらけなのである。


大和郡山市に入る(シンボルは金魚)

マンホールも金魚!

これに素早く反応するのがAzu。実は彼女、無類の金魚フリーク。幼稚園の時から飼ってるメダカ(すでに5世代目)や金魚・土佐之助(去年の10月から飼育中。呼ぶと嬉しそうに近づいてくる)の主席飼育係でもあるAzu、実はお寺や仏像はあんまりというか全然興味なくて、今日は金魚を見に付いて来たようなものだ。

少々疲れ気味だったAzuも、この金魚だらけの市内に入った途端元気を取り戻し、とても雰囲気のある旧い商店街を快調に飛ばす。

秀吉の実弟・秀長が築いた城下町の名残りが色濃い旧市街は細い路地が入り組んですぐに迷子になってしまうけど、概ね碁盤の目状になっているので、気分次第で適当に角を曲がって進むのが正解。
飛騨高山的な街並を楽しみつつ走っていると、ふと曲がった路地の向こうに金魚のモビールがいくつも飾られたお店を発見!店先に自転車を放り出して、わぁ〜ともぎゃ〜ともワカンない絶叫を残して店内に飛び込むAzu。ナンだろ?と覗いてみると、そこは全国でここだけ、金魚グッズ専門店「こちくや」であった(探したわけじゃないのに、何たる偶然!)。


街の至る所に金魚をモチーフにしたオブジェが

大和郡山旧市街の美しい街並(金魚が群れ泳ぐ溝)

『ワタシを呼んでたのよね!』とAzu。
はいはい(笑)。

バーゲンのワゴンに群がるオババと同じで正気を失ったAzuが選んだのは、金魚のお手玉。一個¥630の豪華版だけど、彼女の嬉しそうな表情に『お手玉は一個じゃ遊べないだろ。3個買っちゃえ!』とついつい甘やかしてしまうPapaでした。

「こちくや」で絶叫大興奮した後は金魚の養殖池の間を抜けて「郡山金魚資料館」へ。
今度はココでMama大興奮!金魚の養殖場が母体で、古今東西の珍しい金魚ホンモノはもちろん、金魚に関する古書や錦絵なんかも展示されている。金魚の出荷も様子も見学出来て、入場無料ってのがウソのような内容であった。


偶然金魚グッズのショップを発見!

金魚フリークのAzuは正気を失う(笑)

金魚資料館は当然外せない。

スゴイ数の金魚水槽

大和郡山市内をクネクネ走り回ること2時間。サイクリングというよりポタリングになっちゃうのはいつものことだけど、資料館からは何てことない用水路に金魚が泳いでる田園地帯(地元の親子連れや小学生、老夫婦までが“金魚捕り”を楽しんでた)を抜けて富雄川沿いの慈光院で自転車道に合流、斑鳩を目指す。
ここからは少し急な長い坂。三重塔が美しい法起寺、法輪寺を横目に見てイイ感じの里山を上ると、突然法隆寺の東大門の真ん前に出てびっくり。修学旅行生にジロジロ見られながら聖徳会館の狭い路地を抜け、現代の正門(昔もかな?)である南大門前に自転車を停める。

法隆寺


大講堂から望む金堂と五重塔。ここに写ってる建物は全て国宝!!(パノラマ合成)

拝観料 大人¥1000子供¥500を払って中門から廻廊が取り囲む西院伽藍へ入ると、そこはもう飛鳥時代!詳しくは書かないけれど、やっぱりさすが法隆寺...なのである。
大講堂から眺める金堂と五重塔、そしてそれを取り囲むような廻廊と中門...
『見ろよ、ここから見えるの全部が飛鳥時代や奈良時代の完全オリジナルバージョンだぜ!しかもみ〜んな国宝〜ナショナルトレジャーだぁ。』
これまた国宝の講堂の前に立って青空を背に凛と建つ華奢でしかも威風堂々とした堂塔群を眺める。


←五重塔と疲れ気味の3人

↑廻廊を歩く

『確かココは7世紀の初めに建ったんだよねぇ。1500年かぁ〜!木って長持ちするんだね!屋久杉って樹齢はどれぐらい?』とMaakun。
『樹齢1000年以上を屋久杉って呼ぶんだよ。屋久島じゃ1000年未満は“小杉”って呼んで雑魚扱い。さっき近くで見たけど、ここの柱は光合成こそしてないけどまだ生きてるんだよ。屋久杉並みだぜ、すげぇよなぁ〜!』
『昔は早婚だから一世代を20年とするとさ、1500年って言えば75代目ってことだろ?昔は子だくさんだから例えば一世代が5人子供をもうけたとして...なぁ、5の75乗って何人だ?とんでもない数なのは確かだよなぁ...。』
『・・・』


法隆寺の土塀沿いに走る自転車道

想像も出来ない時間の長さを自分達なりに理解しようと努めるけど、はっきり理解出来ないまま、法隆寺の門外に出た僕ら。南大門前の喫茶店でレモンスカッシュとティソーダで喉を潤し、ふと時計を見た瞬間、冒頭のシーンへと繋がるわけなんだけど(笑)、休憩ナシで14kmを1時間と3分で走破し、17:03、平城宮跡資料館のパ−キングに飛び込みDiscoの後ろ姿を確認。
『門閉めてまうぞ、何トロトロしとんじゃ、ボケ!』世界に冠たる観光地にある駐車場のおっちゃんのものとは思えぬ暴言にも“閉門時間に間に合わなかった自分が悪いんだから”とひたすらお詫びしつつ、とにかくDiscoを駐車場の外に出す僕。(*駐車場のおっちゃんの名誉のために付け加えるならば、『朱雀門の駐車場は時間言われへんからな。今度はあっちに停め。』と口は悪いが意外に親切なおっちゃんであった...)


↑法輪寺前を右へ

←自転車道の脇に何気なく三重塔が見える不思議


何時の間にか雲が晴れくっきりと影が

ゴールに向って急ぐ

とにかく平城宮跡資料館の駐車場はクローズなので、Maakunに朱雀門のパーキングに廻るように指示を出して、僕はDiscoで平城宮跡をぐるりと回る。折しも家路を急ぐ観光客のクルマが一番動く時間帯ということで、自転車で3分の距離をクルマで1時間(涙)。これまで経験したことのない大渋滞にうんざりしつつ朱雀門に18:00到着。お待ちかねのMama&子供達の自転車をヒッチホウルに積んで、帰宅の途についたのだった。


36.8km、7時間半のサイクリングは17:00ゴール!(朱雀門にて)

PapaはDiscoで初めてのETC利用でちょっと嬉しい高速道路ドライブ。
『お気楽サイクリングが聞いて呆れるわね...』ぽつりと一言口を開いた後、助手席のMamaは疲れ果てて無言。
リアシートの子供達は郡山IC前で爆睡...3日後の修学旅行は大丈夫か!?

でも、金魚で大盛り上がりのアンタや仏像前から離れなかったアンタが悪いんだぜ!好天にも恵まれて(恵まれすぎで熱射病になりそう)走行距離36.8km、走行&見学時間7時間30分、拝観料\7550(笑)と、かなりハードなサイクリングはこうして終わりを告げた。

*PEUGEOTに取付けたサイクルコンピュータによれば、走行距離36.8km、走行時間2時間50分、平均時速13km/h...ってことは、4時間40分も歩いてたってことか!これはサイクリングとは言えないかもなぁ...

 

平城宮跡資料館9:30………9:40朱雀門10:00………10:20唐招提寺10:57………11:06薬師寺
薬師寺
11:30……………11:35玄奘三蔵院伽藍11:45……………11:50『水煙』(昼食)
『水煙』(昼食)
12:20………12:41金魚グッズ「こちくや」12:54………13:07郡山金魚資料館
郡山金魚資料館
13:50………………14:34法隆寺15:58………………17:03平城宮跡資料館
 

 

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