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August.2003

 

 

8月1-5日 サマーバケーション2003! Part 3


上高地・河童橋から眺める梓川と焼岳

 

8/4 上高地トレッキング

大正池バス停留所→大正池→田代湿原→田代橋→穂高橋→ウェストンレリ−フ→河童橋→小梨平→嘉門次小屋→穂高神社奥宮→明神池→明神橋→上高地ビジターセンター→河童橋→上高地バスターミナル(約10km)

夜8時に就寝すれば日の出前には自然に目が覚めるんだなぁって実感する毎日(笑)。今朝も4時にスッキリ目が覚める。「それはあなた、老化現象よ。」なんてイヤミなことをいう相棒の言葉は無視して、アウトドアキッチンでコーヒーを沸かし、バキュームボトムに充填することから一日が始まる。今日は昨日の乗鞍に続いて、上高地トレッキングを楽しむ予定。服装にかなり迷いながら、梓川に入ることを予測して七分丈のクイックドライパンツを選択し、朝食の準備に取り掛かる。今日の目的地は思いっきり観光地ということで、行動食の準備は必要ないけど、そのかわりしっかり朝食を摂ってエネルギーを補給しておく必要があるのだ。PRIMUSにホットサンドメイカーを架け、次々にホカホカのハム&チーズサンドを生産、出荷するなり寝ぼけ眼の消費者が次々と胃袋に収めてくれる(笑)。レギュラーコーヒーにたっぷりの砂糖を加えホットミルクを注いだ贅沢なカフェオレ(我が家ではスペイン風に“カフェコンレチェ”と呼ぶ)を飲み、歯を磨き髭を剃って、身だしなみを整えて僕らは徒歩で平湯BTヘ。6:30a.m.発の上高地行バスの乗客は定員の半分ほど。安房トンネルを抜け30分ほどで上高地の入り口・大正池バス停に到着する。


大正池でカモと戯れるMaakun

朝の大正池は人もまばら

バス停から坂を下ると、目前に透明な水を湛えた大正池が広がる。岸辺にはマガモが数羽のんびりと餌を食み、湖面にはうっすらと残る乳白色の朝霧と立ち枯れの木々、そして正面には今なお噴煙を上げる焼岳(2456m)の雄大な姿。いきなりの“上高地な”風景に暫し立ち尽くす僕ら。子供たちは可愛いマガモに接近遭遇できて、とても嬉しそうだ。

大正池から望む逆さ富士ならぬ“逆さ焼岳”
田代湿原(上)と快適なトレッキングコース(下)

まだ人も疎らな大正池の風景を楽しんだ後、僕らは森に入りよく整備された散策路を進み田代湿原へ。
川面に目を移すと紀伊半島では決して見ることが出来ない岩魚の姿があちこちで見られる。水草の中に頭を突っ込んで餌を食む無防備な岩魚。手を伸ばせば簡単に手掴みできそうな雰囲気だ。
湿原の奥には褐色の湖底がそのまま透けて美しい田代池。池の向こうには雪渓の白さが目にしみる穂高連峰がそびえたつ。森の中のトレッキングコースを歩いているのは、そのほとんどが写真撮影の人達で、一般の観光客はまだその姿が見えない。


梓川に立つAzusaとその名付け親

田代湿原からしばらく進むと、道は林間コースと梓川コースのふた手に分かれる。Azusaちゃんを擁する僕らは迷わず梓川コースへ(笑)。ほの暗い森の木道をしばらく行くと、彩度の低い木々の間から川面のエメラルドグリーンの鮮やかな色が目に飛び込んでくる。「わぁ〜きっれ〜い!」Azuはその色に吸い寄せられるように真っ白な石が敷き詰められた河原へ降りて行く。「ね、梓の川はキレイでしょ?」鼻高々に叫ぶAzu。


森の暗がりから見る梓川は宝石のよう

...Azuが生まれた1996年、偶然手にした穂苅貞雄氏の写真集『梓川 季節の流れのなかで 』(山と渓谷社)。
この世のものとは思えない美しい写真に魅了された僕。高校時代に愛用していた和弓に「梓」という銘が入っていたこともあり、赤ん坊のくせに指がすらりと長いのが印象的だった我が娘に迷わずこの文字を使ったのだが...今、こうしてその娘と梓川の岸辺に立つのは感慨ひとしおである。

(ちなみに「梓」とは、安曇野西の山地標高1000m付近に自生している白樺の木に似たカバノキ科の広葉樹の俗称。古の奈良平安時代、安曇野から年間数百本切り出された梓の木は、その緻密で粘り強い木質から主に弓を作るのに用いられた。その名を梓弓と呼ばれ、物部氏と蘇我氏の戦にも使われたという。

現在も法隆寺大宝蔵殿に当時の梓弓が陳列されている。安曇野では梓川小学校の校門から北門までの梓並木が有名。余談だが、梓は樹皮を傷つけるとサロンパスの臭いがするらしい。虫が付き難いことでも有名?...笑)

「確かに綺麗だけどさぁ、ヤッパ銚子川の方がもっと綺麗だよね。」感動のあまり口をポカンと開けてバカみたいな顔をしてるAzuの気持ちを逆撫でするように、すかさず“いじわる兄さん”Maakunが茶々を入れる。「梓じゃなくって“銚子(ちょうこ)”って名前にすればよかったのに!」おいおい、いかりや長介じゃないんだから“ちょうこ”はないだろ!(怒)。そんなMaakunを無視して『この川みたいに美しく、ちょっとクールで、でもみんなに愛される女性になれよ。』なんて言ったら、はにかみながら小さく頷くAzuでありました(笑)。

ま、そんなわけでAzuちゃんの名前の由来はともかく、僕らは梓川の美しい流れを眺めながら、上流に向けトレッキングを続ける。
森を抜け、田代橋〜穂高橋という小さな2本の橋を渡って梓川の右岸に渡ると、上高地温泉のホテルが立ち並ぶ一角に出る。


ウェストンレリーフ

日本アルプスを世界に紹介した英国人宣教師・ウェストンのレリーフの前を通り、白樺林を散策すること20分ほどで、有名な河童橋が見えてくる。スタートの大正池から約1時間半、3.5kmの地点だ。
橋が出来る前、川幅が狭いここで風呂敷包みを頭の上に載せて列を成して梓川を渡る旅人の姿が河童に見えたことからその名が付いた河童淵。

そこに掛かる橋を河童橋と呼ぶようになったというわけで、決してここに河童が住んでいたというわけではないそうだ(笑)
「おい河童!早くその欄干の前に立て!」河童Maakunを写真に収めると、Azuが僕にすり寄って来て珍しく写真のおねだり。
「ねぇ、パパァ〜、こっちでも撮って!」右側の欄干には“あずさがわ”の文字が。

「は〜い、Azusa、こっち向いて〜笑って〜」なんてやってると、後ろを通る人達から「へぇ〜、君はあずさちゃんっていうのかぁ〜!良いお名前だねぇ〜。」なんて声を掛けてもらってAzuは上機嫌。

河童橋はバスから降りてすぐの場所にあることもあって、土産物屋やレストラン&カフェが立ち並ぶ上高地随一の観光スポット。朝の9:30だというのに、どこからこんなに多くの人が!と田舎者の僕らは少し目眩が...。それでも夏休みの休日にしては人出が少ない方らしく、河童橋の真ん中で立ち止まって記念撮影が出来るなんてのは稀とのことで、これ以上の混雑を想像するだけでどっと疲れが出た僕らは河童橋に面した食堂で休憩を兼ねてメチャメチャ早い昼食を食べることにする。


雪渓の残る穂高連峰(河童橋にて)

ゆったりと1時間近くを河童橋付近で過ごした僕らは、再び河童橋を渡り、梓川右岸の自然探索路を歩いて約3.3km上流の明神池を目指す。

岳沢湿原を抜け岳沢ヒュッテに通じる登山口を過ぎると、森に入ったり沢へ出て橋を渡ったりと変化に富んだアップダウンが続く。
近くを並行して走る治山運搬道路を大型ダンプが砂煙りを上げて行き来するのは興醒めだけど、右側にはかなりの流量と流速を誇る、ほぼ原始の姿を残す梓川が流れ、カヌーイストの心をくすぐる(笑)。岳沢の扇状地から湧き出る透明な沢水や、その沢水を集めた流れの向こうに六百山の景観を楽しみつつ一時間ほど歩くと、左手に多くの観光客で賑わう嘉門次小屋が姿を現す。嘉門次小屋の奥には穂高神社奥。拝観料¥250を払い拝殿の奥に広がる明神池を散策する。ブラウントラウトが群れをなして泳ぐ比較的水深のない浅い池だが、湧水によって形作られた池ということもあって気温零下20℃の真冬でも凍結することはないのだそうだ。


岳沢湿原をゆく

ちょっと休憩

ブラウントラウトが鯉のように群れ泳ぐ

名のある造園家によって緻密に計算し尽された庭園のような印象の明神池を後にして、僕らは明神橋を通って左岸へと渡る。明神橋は、ちょうど架け替え工事と土砂流入防止対策工事が行われていて、全くもって雰囲気は良くないのが少し残念。
明神館を右に折れると、そこからは右岸とは全く違う雰囲気の林道が続く。真っ白な砂と立ち枯れのカラマツっぽい木々が並び、まるで白いペンキで塗りつぶしたような下白沢(実は土石流が森を駆け下った跡らしい)
の特異な景観を越えたあたりで、林道は梓川の河原へと延びている。


梓川と六百山

明神池一ノ池

明神橋と明神岳

僕らはここでディパックを下ろし、しばし休憩を取る。Azuはすぐに岸辺に駆け寄って、川の水に手をひたしニコニコ顔で梓川と戯れている。ここまで来ると、8kmほど歩いた疲れと帰りのバスの混雑状況が気になるのか、Mamaはちょっと川を楽しむ気分じゃなさそうだ。放っておけば、いつまでも川で遊んでいそうなAzuを急かして、僕らは先を急ぐ。


梓川でちょっと水遊び

小梨平のハルニレやハンノキの明るく素敵な樹林帯にあるキャンプ場を抜けると途端に人が増え、河童橋あたりまで来ると、もうお祭り状態で立ち止まることさえ困難なほどになる。こんな場所は早く立ち去りたい僕らは、人の流れに乗って上高地バスターミナルへ。BTはすでに長蛇の列。特に東京方面に向う沢渡行のバス乗り場の列はひっきりなしにバスが到着しているにもかかわらず、ウネウネと蛇行を繰り返しながら数百mにもなっている。並んでいる人たちはみんな疲れ切った表情。僕らの乗る平湯行にも5〜60人ほどが並んでいて、往復切符を買ってなかったらすぐにでもタクシー乗り場に行きたいほどだけど、バスを1台やり過ごすだけで乗り込むことが出来たのはラッキーだったかもしれない。


バスは30分きっかりで平湯BTに到着。さすがに野遊び3連チャンでヘロヘロな子供達はベースキャンプまでの坂道を登るのが辛そうなので、BT隣接の子供達お気に入り・エアコン冷え冷えの“飛騨・北アルプス自然文化センター”で遊ばせ、僕ら夫婦だけが徒歩で戻ることにする。
ベースキャンプに着くなりタ−プの下に干したタオルを取り込んで、お風呂セットをザックに詰めて、カシータの冷蔵庫の製氷機から出した氷を浮かべたアイスコーヒーを一杯飲み干して、休む間もなくDiscoで出発。えっ?どこに行くかって?白骨ですよ、シラホネ温泉!(笑)15:00p.m.から安房トンネルを信州側に抜けて、白骨温泉街散策を楽しもうというワケです。
我ながら遊びに賭ける自らの情熱と貪欲さに少々呆れつつ、文化センターで子供達を拾って白骨温泉へ。沢渡でR158と別れ、クネクネと曲がる細い県道を進む。カーナビがあと500mを告げた瞬間...渋滞(涙)5分、10分、15分...全く流れ始める兆しがない。しかも対向車は1台もやって来ない。次々と先行のクルマがUターンする中、最後まで粘ったけど結局ウンともスンとも動かない...前のクルマのおじさんたちと対策会議を開いた結果...ず〜っと先で事故が起きてるor大型車が脱輪してるに違いないと判断、泣く泣く諦めて、僕らもUターンすることに。


平湯温泉、最古の湯「神ノ湯」

こんな時、頼りになるのが“Mr.記憶マン”ことMaakun。彼には一度読んだ本の内容を一言一句記憶に留める普通じゃない才能があり(道路標識や看板、建物の色...彼の記憶力はちょっとすごい。父親に似て興味のあることだけ、だけど)、当然マップル&るるぶは読破してる彼に聞けば、一番良い対処法が見つかるに違いない。「Maakun、どこか良い温泉ないかな?」間髪入れず車内に響く彼の言葉...「神ノ湯がいいんじゃない?平湯温泉最古のお湯だよ。道路の左右に男女別の脱衣所があるからMamaも安心だしね。」「よし、そこにしよう!」
で、再び安房トンネルを抜けて平湯へ。そこから安房峠方面に少し走ると、山の中に神ノ湯の鄙びた建物が見えてくる。入口のオジサンに入浴料を払い、坂の途中にある男湯へ向う。(女湯は男湯からさらに坂を上った場所)

打たせ湯は66℃
風呂上がりに岩魚の炭焼きを戴く

ここは、昨夜の「平湯の湯」よりも更に秘湯度(?)が高い温泉。入った瞬間、あまりの温度の低さに困っていたら、「今から熱くするからねぇ〜」とか言いながらオジサンがやって来て、いきなり打たせ湯が原泉の温度66℃になっちゃう荒っぽさ(笑)。おかげですぐに快適な温度になって、思わず長風呂になっちゃった僕らだった(またしても女性陣を待たせる結果に...涙)。
風呂上がりには定番の岩魚の塩焼き(どこが定番?)をみんなで食べて大満足!土産物屋で“はんたい卵”を食べて更に満足!昨日のcafeでケーキパフェを食べて一層満足!
幸せな気分のままサイトに戻り、僕らはアウトドアダイニングで家族でUNO大会で盛り上がりつつ、キャンプ最後の夜は更けてゆくのであった。


キャンプ最後の夜はUNO大会

最後の夜は更けてゆく

 (つづく)


 


朝の光が美しいキャンプサイト

8/5 平湯大滝ハイキング

昨夜遅くから降り始めた雨も朝にはすっかりあがり、白樺の木々の間から朝の陽光がくっきりとした筋になって僕らのキャンプサイトを照らし始めている。
そういえば、ここ平湯野営場にやってきて初めて浴びる朝の日射しだ。

いよいよ、今日はキャンプを撤収して家に帰る日。予備に持参した手作りレーズンブレッドを薄切りにしてユニフレ−ムのフォールディングト−スタ−で火にかけ、簡単な朝食の代わりにする。さて、キャンプファニチャーをカシータに収め、帰りの準備を...なんて思ってたら、子供達がどうしても平湯大滝を見たいと言い出す。

ここで無理矢理諦めさせると後に禍根を残すので(笑)キャンプ場脇を流れる渓流の1km上流にある平湯大滝の観光に出発。
平湯大滝と言えば、厳冬期の氷結した姿が有名で、これまで何度か飛騨の寒さの象徴としてTVニュースの中継で見たことがあったけど、実際にホンモノを見るのは初めて。
国道からすぐそばの観光化された滝というイメージで、あまり期待はしてなかったのだが...これが良い意味で期待外れ。なかなかどうして素晴らしいのだ。高さ64mはいつも変わらないけど、昨夜の雨のおかげで公称・幅6mをはるかに超える威風堂々、とても威厳のある姿を見せてくれる。
残念ながら滝壷は遊歩道からは見ることは出来ないけれど、あの豊富な水量を受け止めてなお、撥ね返りの水飛沫が見えないことから推測すると、かなり深く大きな“包容力ある”滝壷に違いない。

大滝を見学したあとは下流の吊り橋を渡ってキャンプ場の裏手の森へ入る。橋を渡った場所に立つ『熊出没注意!』の看板の可愛過ぎるクマちゃんに爆笑しながら僕らはキャンプ場に戻る。今回はそれほど道具を広げていないので20分ほどで撤収を完了。Discoとカシータを3日ぶりに連結し、Chichoの待つ我が家へと向うまでに30分と掛からない。2年8ヶ月で35泊56日を過ごした我が家の“動く別荘”も今回初めて特別な存在ではなく自然体で扱うことができたのかな、と感じる手際の良さだ。

しかも今回はようやくランタンなどの火器の使い方(燃料の補給〜ポンピング〜点火など)やタ−プの設営&撤営などの手順を覚えたMaakunが色々手伝ってくれたもの大きいのかもしれない。

平湯トンネルを抜け、僕らの白い幌馬車は高山市内に向け、R158を走る。標高が下がるにつれ序々に上がる気温。R158は高山市内を通り飛騨清見ICに続く。東海北陸道に上がったところでMaakunが後部座席から何やらカーナビを操作している。荘川ICまであと2kmの地点で、突如カーナビのお姉さんの声が車内に響く...
『2キロ先、荘川インターを左方向です。』
ん?な、なんだ!?カーナビ画面を確認すると、そこには御母衣湖〜白水湖経由、白川郷行きのコースが設定されている。「お、おいマジかよ?」と驚く僕。

「冗談、冗談!」ミラー越しに笑って誤魔化すMaakun。でも、実はそんな彼の目が笑っていなかったのは言うまでもない。

 


 

上高地と平湯の自然 Photo by aki

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オニノヤガラ
キツリフネ
クサボタン
ヤマホタルブクロ
シモツケソウ
クガイソウ
イタドリ
ミヤマニワトコ
ドクベニダケ
タカネハコ
タマガワホトトギス
メタカラコウ
ソバナ
ノリウツギ
ゲンノショウコ
ゲンノショウコ(白)
シシウド

イチョウバイカモ
ヤマブキショウマ
オオバユリ
キツリフネ
イワナ
マガモ

ブラウントラウト
イワツバメ
ヒメシジミ

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