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 July.2003

 

7月20日 ふたりで国府浜

 

数kmにわたって弓状に延びる国府浜

「海ってさぁ、子供連れが似合うよね。将来子供が生まれたりしたら、家族でここに遊びに来たいね。」
ここ国府浜のビーチに座ってふたりでそんな会話をしたのは、クルマをネイビーのシャレードからおnewのFIATに買い換えたばかりだったから1988〜9年の頃だ。カーステレオから流れていたのはSASの♪さよならベイビー♪...あれから十数年が経ち、23歳のボクちゃんは立派なオジサンになり、20歳のピチピチ(古っ!)女子大生は怖いものなしのおばちゃんになった。

想像の世界だった子供が生まれてみると、現実は悪夢の連続。「いややぁ〜、まあくんもいくぅ〜、つれてってぇ〜!」泣き叫ぶMaakunにディナーやコンサートがドタキャンになったのは1度や2度ではなく、泣き叫ばずとも突然の怪我、発熱...仕方なしに3歳の彼を連れて出かけたロックコンサート(...じゃなくSPITZだったかな?)では、いきなりオープニングの大音響に失神寸前の彼を抱きかかえてコンサートが終わるまでロビーで座ってたこともあったっけ...。育児雑誌に登場する夢のような子育てライフと現実の大いなる落差に愕然としながら過ごした十数年...夢の中の世界だった子連れでの海水浴はいつしか日常になり、Azuが“ぴあ”でお気に入りのアーティストのコンサートをチェックするまでになる...使い古された言葉だけど、時の経つのは早いのである。


1988!

そして、今日、僕らはフルオープンにしたFIAT PUNTO Cabrioに乗って100km/hオーバーで高速を南に向かっている。リアシートには、いつものウルサイ子供たちの代わりに20歳の時にふたりで買った“BANANA BEAT”印のボディボードが二枚。開け放ったサイドウィンドウから巻き込む初夏の風を受けてパタパタと揺れている。


ルームミラーに映るボディボード

「へぇ、パパたち今日は海に行くの?ズルイなぁ...ま、気をつけてね。」悔しがるわけでもなくあっさりと見送ってくれるMaakunとAzuは今日からサマーキャンプ。トランクにはトートバッグとクーラーバッグだけ。ちょっとだけオシャレして、十数年ぶりにふたりっきりでビーチにお出かけというわけである。(ルームミラーに映る2枚の揺れるボディボード。生放送の“ひらけ!ポンキッキ”で『オ●○★』を連呼した子供がCMの後、何故かくまさんのぬいぐるみに変わってたってな出来事を思い出した僕は、ひとり爆笑してしまう。)
3連休の伊勢志摩はさすがにちょっと渋滞気味。オープンカーで他府県ナンバーの“ニ車線有料駐車場”の車列に加わるのはノーサンキューなので、玉城ICで高速を下りて宮川を渡りサニーロード廻りで南島へ抜け、五ヶ所湾から志摩半島最先端・安乗岬を目指す。

緑のトンネルを走るブルーのバルケッタ(小舟)。1200cc・60psの控えめなエンジン音は、CVTの途切れることのない金属っぽい音以外、鳥の声や川のせせらぎといった“森の音”の邪魔をしないのが嬉しい。『子育て完全卒業したらさ、デカくて重いDiscoなんかじゃなくって、コイツにミニマムなキャンプ道具とALLYを2艇積んで旅したいね。』『PEUGEOT Pacificも2台ね。』『クルマがアルファスパイダ−だったりすると更にいいけど(笑)』軽やかで潔くてさりげない...そんな“大人の”キャンプを夢見る僕らは、リアシートの兄妹喧嘩のないサイレントなドライブを堪能する。

一時間半ほどで、いつもの海の家に到着。
『あれ、今日はふたり?』15年来のおつき合いのおばちゃんのちょっと驚いたような顔。『いつまでも若々しくていいねぇ。』鮮やかなブルーの小型カブリオレでふたりだと、おっちゃん&オバちゃん夫婦も少しは若々しくに見えるのかな?と嬉しい気分。時折薄日が射すものの、少し気温が低いコンディションなので、水着にラッシュガードを重ね着して、海へ!
いつまでも梅雨明けしない夏だけど、今日は夏休み3連休。ビーチはサーファー&ボディボーダーでかなりの人出だ。いつものようにファミリー向け海水浴場とサーフエリアの境目あたりにベースを定め、海に繰り出す。
CATVのサーフィン波予報に反して、15分に一度ぐらい1mほどの波がやって来るぐらいで海はベタ凪ぎ。ランチをはさんで2時間ほど波待ちをしたけど、結局エキサイティングな波は来ず(涙)。

ずっと海に浮かんで波待ちをしてるともちゃんに対し、早々に諦めた僕はビーチに寝転がって薄目を開けて面積の小さな水着の女性をチラチラ(ビーチ偵察に必携のサングラスをクルマに忘れたのはかなりショック!...笑)ポカッ!
で、3時間ほどをビーチで過ごしたあと、海の家でさっぱりシャワーを浴びて、帰途につく。クルマをスタートさせたのと時を同じくして、雲間から太陽が顔を覗かせる。『おっ、天気良くなってきたね。ちょっと遠回りしてパールロードをドライブして帰ろう!』

時に空に飛び立つような、時に海に飛び込むような高低差のあるパールロードのワインディング。フロントスクリーン越しに見える空や海はPUNTOの小さなボンネットのスカイブルーと溶け合って見える。陽射しが戻りアスファルトから立ちのぼる陽炎。カーステレオのローカルFMが流すリバイバルヒット中のSAS♪勝手にシンドバッド♪...夏はもうそこまで...そう感じた瞬間、道路脇の森では蝉の大合唱が始まった。


どうも波がショボい

今日はもうおしまい

 


 


広大な公園のベンチで読書を楽しむ

7月12日 ライブラリーポタリング(Papa's“なんちゃって” MTB 出初め式)
先月のAzu&Mamaの自転車購入で♪家計のピン〜チ♪な我が家。こりゃ、身売りするしかないな...ってことで、ここ1年間に使わなかったアウトドア道具を30点ほどこれまで敬遠していたオークションに出品する羽目に(涙)。全てが開始価格で売れたら、なんとかAzu&Mama、2台の自転車代金とイコールになるように考えて出品したつもり...ところが!ほとんどが落札されたばかりか、驚きの高価落札の連続。おかげさまで最近手にしたことのないほどの大金を得て、Papaの新車も買えるんじゃないの?という事態に。でも、冷静になって考えてみれば、別に自転車の趣味があるわけでもないし、パーツのグレードなんてちんぷんかんぷん。高価なMTBは不要。しかもバーガンディメタリックのTREKは今も僕のベストワン!...でもAzuのMTBを買った時に隣に並んでたアレは気になる存在...お揃いの色違いで父娘でサイクリングなんかしたら嬉しいだろうなぁ、などとアイフルのCM(チワワとお揃いのタキシードを着て娘の結婚式に出席する父親のお話です)のような想像が膨らんで、これまで大切に乗ってきたTREKがあるにもかかわらず...自転車屋さんに出向いて一言。『娘のとおソロの下さい。色は...黄色!』(またまたやってしまいました、恐怖の衝動買い...涙)
なぜ黄色かって?話せば長くなるんだけど...

...あれは小学校4年生の時。親父が突然『おい、自転車買ってやるぞ!』とクーパー仕様のN360に乗せて駅前の自転車屋に連れていってくれた。その頃乗っていたのは、幼稚園の時から乗ってるブルーの20インチ。そろそろハンドルに膝がぶつかるようになっていたのだ(!)。
そんなに台数はなかったけど、当時はクルマより自転車の方が台数が多かった時代。お店には様々な自転車がところ狭しと並んでいた。その時、僕の目を釘付けにしたのは壁に掛けられた1台のランドナー(当時は“サイクリング車”と呼ばれていた)。細身のタイヤ、シルバーのクランク...そしてオレンジ掛かった黄色のフレーム、ドロップハンドルには若干明るめの黄色のテープ。


我が家のエントランス駐輪場

『ボク、これ気に入ったのか?』尋ねる自転車屋のおじさん。張り子の虎のように、うんうんうんうんと連続頷きの僕。『これはな、サイズが小さくて売れへんのや。ボクにはちょっと大きめやけど、乗れんことないで。』振り返って親父の目を見る僕。軽く頷く親父...やったぁ!
と、ところが『大事に乗るから...』そんな言葉が喉元まで出て来た、その時...『そうそう、もっと安うできるのんがあったわ。』おじさんが店の奥から1台のランドナーを出して来る。『どや?ボク、このババ色?中古やけどな。』“上品な茶色”とか“シックな栗色”ではなく、おじさんは確かに“ババ色”と言った。


これを見て“ババ色自転車事件”を思い出した

『半額にしとくわ、このババ色。』2回も言わんでいい!心の中でそう叫びながら、再び親父を見ると...親父は微笑みながらうんうんと2回も頷いていた。
僕はケロヨン人形のように何度も首を傾げて、せめてもの拒絶の意を表したつもりだったけど、少年の前に立ちはだかる大人たちの“価格の正義”の前には、小学生の遠慮がちな抵抗はあまりにも無力。結局そのババ色、すなわち“う●こ色”自転車は僕のものになり、案の定、翌日友達に『なんでその色なん?』とバカにされ、“ババ色号”なる素敵なニックネームを頂戴することになる。
以来“黄色い自転車”それは僕の永遠の憧れであり続けたのだけど、1995年に初めてMTBを買った時は黄色がなんだか子供っぽく思えてバーガンディメタリックを選んだりして、僕の意識の中で“自転車=黄色”という憧れにも似た概念は消失しかけていたのだった。

ところが、そんな折オークションで見かけた黄色の“なんちゃって”MTB。そんな子供の頃の記憶が甦った僕は、『娘のとおソロの下さい。色は...黄色!』(笑)
30代後半になって、ようやく他人の目を気にすることなく自分の好きなものを選べる“素直なココロ”に目覚めた僕なのかもしれないな。


こうして僕の“なんちゃって”MTB・SPECIALIZED HARDROCK AI FSが届いた今週末、予定では今月初めての外遊び『大白“河童”神社夏祭とブランニュ−ビ−チで波と戯れるキャンプinn海山の旅』のはずだったけど、金曜午後になってMamaが発熱ダウン!さすがに39℃近いとキャンプに行ってる場合じゃないので、家で大人しく過ごす週末ということになる。


貸切状態の公園を横切る

でも、やっぱりずっと家にいるとムラムラ悶々がつのる僕と子供達。昼前になって、それぞれのMTBに乗って3人で隣町の図書館に出かけることなる。当然ながらMamaは家でお留守番。前回の紫陽花サイクリングでドリフトしまくって、『こんなタイヤ、もうイヤッ!』ってことで、すぐに26×1.50のセミスリック...というよりママチャリタイヤから26×1.75の少しだけファットなオフロード系タイヤに交換しちゃった(“おフランスのママチャリ”PEUGEOT COM-70Fはまるで'70初頭のMTB創成期のようなバイクに大変身!...笑)彼女を置いていくのは少し可哀相だけど、こればかりはしょうがない。
規模は小さいけど司書さんの趣味が我が家にぴったりなのか、探してる本が必ず見つかる隣町の図書館までは約9km。

車道をほとんど通らずに安全に走ることができる田んぼ道や集落の中の迷路を抜けて僕らは平均時速20km程でゆっくりと進む(今回、MaakunとPapaのMTBにサイクルコンピュ−タを驕ったので、車速、距離、平均時速、などなどが一目で判る!)。ギアチェンジの概念がイマイチ解ってないAzuにはちょっと辛いペースかもしれないけど、それでも彼女も顔を真っ赤にして必死でついて来る。
標高差50mほどの緩い上り坂だけど、何度か休憩を取りつつ、30分ほどで図書館に到着。ほんの数日前に借りたのに、もう全部読んじゃった本5册づつをディパックから出して返却した子供達は、さっそく次に借りる本の物色に入る。

「5册しか借りられないからさ、Mamaのカード借りてきちゃった。」借りる5+5=10册を山のように積み上げて、まだなお現場で別の本を読みふけるMaakun。そんなに借りてデイパックに入るんかいな??「借りられないぶんはここで読んじゃうからさ。」おいおい。
とにかくこの小さな図書館の選書の趣味の良さ、そして落ち着ける雰囲気は県立や市立にはない希有な存在である。
『担ぐのではない、着るのだ』(だったっけ?)で有名なブランドのディパックも真四角に膨らんで見る影もない。10kg以上にもなった真四角なディパックを背負った親子は、再びMTBに乗って近くのコンビニへ。おにぎりを4個づつ買って図書館隣接の公園に戻った僕らは、MTBを停め広大な芝生の真ん中に設けられた円型のベンチに座ってランチタイム。誰ひとりいない僕らだけの公園。手付かずの大自然も良いけど、こんな人の手で完璧に整備された芝生の美しさもたまにはイイもんだ。


本の重さで変形してるグレゴリ−

安上がりだけど潔い昼食を済ませた後、僕らはディパックから本を取り出し木陰の読書タイム。今日の空はどんよりとした曇り空、でも真っ白な本の活字を追うとかなり眩しい。一時間ほど本を読んで、少々目が疲れたので、Maakunは誰もいない公園の中にある舗装されたフラットな小道を使ってMTBの最高速度チャレンジ。


最高速度40.8km/h...まだまだだな(笑)

公園内の噴水の前で

緩やかなカーブを描き400mほど続く道を全力疾走するロケットボーイ。3年前に買った22インチ(フレームサイズ11.5インチ)はさすがに窮屈そうだ。何度も何度も疾走を繰り返し、彼のサイクルコンピュータのMAXスピードレコードは40.8km/h。負けたらどうしよ?と思いながら余裕を装いつつ実は真剣に走る“ロケットおじさん”のMAXは...44.4km/h。TREKで64km/hを叩き出したあの脚力は何処へ...それにしても、もうちょっとで負けるところでした(涙)。
公園で2時間ほどを過ごした僕らは、超重いディパックを背負い帰途につく。点在する古墳群に立ち寄りながら、下り坂の楽々サイクリング。今にも雨が降り出しそうな空だったけど、雨に遭うこともなく往復約18kmの“ちょっとだけよ”サイクリング&黄色いMTBの出初め式(?)は結構楽しかったのでした。

 


Papaがお揃いのMTBを買ったのでAzuはゴキゲン!

 

文中&写真にて公園内の芝生上を走行しております。車止めや禁止事項を列記した看板に自転車に関する表記が見当たらなかったこと、そして本日は貸切り状態だったのは事実ですが、ベンチまでの最短距離を慎重に走行したとはいえ、芝生の養生や公園内の安全上決して推奨できることではありませんのでご注意下さい。

 

 

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