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FLAME LAYOUT

 

 

 

April.2003

 

 


浦内川に沈む夕陽(西表島) 

 

 

4月2-5日 西表島エコツーリズム体験(Part1)

きっかけは、教科書の一枚の写真だった。
蒼い、というよりもグロッシィーな輝きを持つ海。小学生たちはその海の写真に魅了され、その海に暮らす人々やその文化に興味を持った。ある日、担任の先生の計らいで石垣島の学校とIT交流を始めた。間もなく石垣からサトウキビの苗やゴーヤの種が送られ、校庭に植えられたそれらの作物で学校は八重山一色のムードになった。秋の運動会では当然ながら前年の“ソーラン”に代わって沖縄伝統舞踊“エイサー”が踊られたが、寒くなっても小学校の沖縄フィーバーは止むことはなかった。冬を迎え、子供たちの手による三線奏者“南ぬ風人”まーちゃんのコンサートが実現する頃には、サトウキビは校舎の2階の高さにまで成長し、ゴーヤは2回収穫されるまでになっていた。


街の秋祭でエイサーを踊る

運動会前からの半年間、4年生のMaakunはエイサーに燃えていた。駅のホームでオジサンが傘をクラブ代わりにスウィングチェックを行うように、暇さえあればエイサーを踊っていた。家で、学校で、そして河原やスキー場でさえも、彼は鼻唄でエイサーのリズムを奏でながらステップを踏み太鼓を打った。でも、運動会以降、舞台での踊りの中心は6年生。彼はバックでピアニカを奏でていた。当たり前のことと理解はしながらも、彼は人前で踊りたかったに違いない。
そして彼はコンサートの実行委員になった。乱暴で人望のない彼は立候補なのは当然として(笑)、とにかくまーちゃんコンサートの実行委員になった。
中心メンバーの6年生にインスパイアされた彼は、熱心にチケットを売った。放課後、近所を一軒一軒飛び込みセールス。子供たちが我が家でセールストークの練習をしているのを見たこともあるほどの熱心さだった(笑)。

プロのミュージシャン・まーちゃんを子供たちが呼ぼうというのである。先生方、地域の方々の全面協力の甲斐あって1枚¥800のチケット300枚は完売、コンサートは実現した。コンサートが終わっても、彼は沖縄の曲を聴き続けていた。初めてお小遣いで買ったレコード。Papaは♪泳げたいやきくん♪だったけど、Maakunはまーちゃんの5thアルバム「それはみんなの宝物」だった。

そんな彼に、若い頃から上々颱風、THE BOOM、BEGIN...沖縄“テイスト”な音楽が好きで良くコンサートにも足を運んでいたMamaがすぐにインスパイアされ、彼女のPUNTOは沖縄になった。一緒に乗ってたAzuはワケも分らず、島唄を口ずさんだ。そのうち“ナヴィの恋”を観て以来、沖縄民謡の節回しに快感を覚えてたPapa's DiscoのCDチェインジャーからクラプトンやKeikoLeeが追い出され、気付いた時には12連奏のマガジンの6枚までが沖縄音楽になっていた。『オレだって、♪島唄♪がヒットする前からTHE BOOMのコンサートに何度も行って“みっやぁ〜”って叫んでたんだぜ!』家族のなかで、誰がOKINAWAN MUSICを良く知ってるかで口論になることさえあった。
イマドキの子供達がまーちゃんに出演を依頼した方法は、やはりネットだ。彼のホームページには彼の出身地・西表島関連のリンクが多数掲載されている。中でもMaakunの目を惹いたのは、彼の実家が民宿を経営しているという事実だった。「行ってみたいなぁ。」家ではどちらかというと寡黙な彼が遠慮がちにそう呟いた。彼のパソコンの履歴を見ると“@海の家南ぬ風”というサイト名が一日に何回も記録されていた。その頃にはちゃっかりMamaも彼の味方に付いていた。


クリックすると新聞が読めます

「確か、結婚する時に『毎年海外旅行に連れていってやる。』とか言ってたわよねぇ。5年前からどこにも行ってないんだけど...」「バ〜カ、毎年九州に帰省してるだろ!立派な海外だよっ!」などと古臭いギャグで応戦しつつ、TVや雑誌で頻繁に目にする西表島の自然に憧れを感じている僕。実はちょっと、いや、かなり、というよりとっても行きたいのであった。...じゃ、行くか!そう宣言した時には、既にMamaの手には“るるぶ石垣宮古西表島久米島”が握られていたのである。「予定では4/2から。7日から新学期だから、5日に帰って来れば問題ないわね。便はANK●●便で泊まりはもちろん、まーちゃんち。」最後の“まーちゃんち”の部分はMama、Maakun、Azuが声を合わせて...な、なんだよ、最初っから決まってんじゃん!(涙)


名古屋から西表へ 4/2

そんなわけで、当日4月2日。大雨の高速を飛ばして名古屋空港に到着。空港近くのパーキングにクルマを預けて搭乗時刻までを空港内の航空宇宙博物館で過ごす。開館直後だけあって、我が家の貸切り状態の中、年配の係員の男性が「君ら、乗ってみるか?」と立ち入り禁止の鎖を外して子供達をヘリに乗せて下さった。パイロットのヘッドセットを着けて操縦桿を握って大喜びの子供達。...まさに早起きは三文の得なのだ。
11:00搭乗開始のアナウンスがあって、僕らは離島専門中型ジェット機・ボーイング737-500スーパードルフィンに乗り込む。11:30予定通りANK便は名古屋空港を離陸、雲の中を急上昇して高度35000ftに到達、一路石垣空港に向けで飛行を続ける。

名古屋空港で特別に...(早起きは三文の得)
ボーイング737-500スーパードルフィン

のんびりする間もなく、14:00機体が失速したようなふんわりした感覚を伴って着陸体勢に。14:20ベルトサインが消えて、僕らはタラップを降りる。Welcome to Ishigaki!
でも、僕らの目的地はここじゃない。見慣れた赤いスーツケースを受け取って慌ただしくTAXI乗り場へ。
「離島桟橋まで!」そう告げると、オキナワンな人相の運転手さんは僕らを離島桟橋まで運んでくれる。
「今日は海が荒れてるから、船酔いするよぉ〜、きっと。」
「西表はナンもないから、自由旅行なんだったら石垣のビーチで遊んでいけば?」
...そんな運転手さんと余計なお喋りをしてる間もなく、10分(初乗り\390)ほどでTAXIは離島桟橋の八重山観光フェリー乗り場に到着。


石垣島〜西表島は世界一速いフェリーで

46ノット(時速85km)で疾走するサザンクロス8号

ここ石垣離島桟橋から西表島へは、島の南部・大原、北部の船浦、上原の3ルートの航路がある。民宿“南ぬ風”のある星立に最寄りの港は上原港なのだが、僕らが今回利用するのは大原航路。...それは、島の東部にある由布島に水牛車で渡りた〜い!というAzuの強い希望を叶えるため(そのためにレンタカーで島を半周55kmすることに...涙)。
桟橋に面した事務所で乗船券を買い求め、僕らはサザンクロス8号に乗りこむ。乗客は10名程度。テレビや衣装ケースなど大荷物を抱えた、一目で「買出し」とわかる地元・西表の住民が半数を占め、観光フェリーとは名ばかりだ。地元の人々に囲まれフェリーに乗った瞬間から離島に行くのだという実感がひしひしと湧いてくる。
14:30出航。TAXIの運ちゃんの言葉とは正反対の凪いだホワイティブルーの海面を滑るように進む。一般フェリーとしては日本有数のスピード(43ノット=80km/h)を誇る八重山観光フェリー。石垣港を出るとさらにスピードを上げて、まるで空を飛ぶが如く...いや、対向船の立てる波を越えるたびホントに空を飛んでいる!その感覚はまさにジェットコースター!当然のことながら我が家の子供達はキャーキャー嬉しそうにはしゃいでる(笑)。
窓から見える竹富島、小浜島、黒島の美しいリーフを楽しむうち40分で西表島・大原港に到着。


西表島に上陸

レンタカ−で島を半周(ヤマネコ注意の看板)

予約しておいた「やまねこレンタカー」のハイエースに乗せてもらって事務所へ。西表は電車がないのはもちろんバスの便もほとんどなく、個人旅行者はTAXIを利用するしかない。ところが、そのTAXIも面積では東京23区の約半分、沖縄県では本島に次ぐ大きな島だというのに全島でたった4台しかなく(*やまねこレンタカーのオバちゃんに『ジャンボタクシーも入れると6台あるのよ!』と訂正されてしまった...笑)、ある意味、通勤ラッシュの東京駅よりもTAXIを捕まえるのが難しい状況。で、レンタカーということになったわけだ。
簡単な(アバウトな...笑)手続きを済ませ、「傷だらけだけど気にせんでくださいね。」とオジサンが笑うボコボコに凹んだワゴンRで由布島に向け15:30出発だ。
かなり高規格の快適なワインディングロード。窓を全開にして初夏の芳醇な風を頬に受けながらのドライブ...PUNTOカブリオを持ち込んだら、さぞ気持ちイイだろうなぁ、そんなことを話しながら、初代ワゴンRのプアなエンジンを目一杯回して西表島イーストコーストを北上する。

明らかに本土とは違う木々の緑、青さが段違いに濃い空、のんびり草を食む黒牛、赤々と満開のデイゴ、ピンクのハイビスカス、淡い紫のアサガオ...フロントガラス越しに目に飛びこんでくる色彩がとてもビビッドで圧倒される思いだ。そして他とは全く違う標識...「やまねこ注意」の看板が至る所に立てられているのが西表島らしいところ。♪デイゴォ〜の花が咲きぃ、風を呼び嵐ィが来たァ〜♪みんなで大合唱しながら20分ほど走ると、ほとんど対向車に会わないまま由布島入口に到着する。(15:40)

由 布 島


ケンカが一番強い五郎♂が牽く由布島の水牛車

由布島は西表島東方500mにある周囲2kmの小さな島だ。昔は大勢の人が住む島だったらしいが、大きな台風の被害を受けてからは島を離れ対岸の美原集落に移り住む人が増え、今ではのちに島に戻ったオジィ一家が定住するのみ。現在は観光の島として、島全体が美しい亜熱帯植物園として整備されている。(由布島の詳しい情報はこちら
レンタカー専用のパーキングにクルマを停め、早速水牛車で由布島に渡ることにする。一番小さくて目が可愛い“まりんちゃん♀”が牽く牛車を選ぶ。どうやらコレに乗りたくて西表に来たような感じのAzuは、海を渡る水牛車に大喜び(笑)。

由布島入口のモニュメント
念願の水牛車に乗って由布島に渡る

西表島と由布島を隔てる海(...と言っても歩いて渡れる水深だけど)を吹き抜ける夕方の涼やかな南風(ぱいかじ)が心地良い10分ほどの水牛車の旅。サスもショックもない牛車なので、さすがに乗り心地抜群とは言えないけれど、時速800kmのジェット機でやって来て時速4kmのゆったりのんびりとした牛さんの歩みを楽しむというのも、なかなかオツなものである。

由 布 島 写 真 集
 


水牛のまりんちゃん

♪デイゴの花が咲き〜風を呼び嵐が来た〜♪

ハイビスカスとAzu

リュウキュウイノシシ(カマイ)

八重山そば

由布島は亜熱帯植物の宝庫


さっきまで池で寛いでたので半分濡れて光る五郎ちゃん♂の背中

 

 

星 砂 海 岸
  


長く伸びる僕らの影。時差はないけど日没は約一時間遅い。

由布島で一時間半ほどを過ごし、“はいむるぶし”の小浜島を右手に見ながら県道を再び北に取り、これまたAzuちゃんご所望の(笑)星砂の浜に向かう。(ここでの目的は当然ながら「星の砂拾い」!)“ウ離島”と言う変な名前の岩を過ぎ、県道は大きく西に曲がる。ここからは右手に海!沖合数百mに島を取り囲むように続く防波堤のような外礁とその内側に広がるラグーンの青のコントラストが美しい。

ワゴンRのトリップメーターは30kmを超えるが、星砂の浜はまだまだ遠い。離島=小さな島のイメージが抜け切れなかった僕は、西表島が予想以上に大きな島であることを再認識する。

星砂の浜への道すがら、偶然にオリジナルシーサー工房&ショップ“うめ工房”の小さな看板を発見。工房に立ち寄ってHPでチェックしたカヌーシーサーとChichoに似た猫の置物を購入する。(営業時間外でお酒飲んで寛いでいらしたのに申し訳なかったです。>うめさん)西表でショッピングはここ!って決めてただけに、すごくラッキー!うちのChichoそっくりの“のりたま”ちゃんにも会えたし。
そんなこんなで星砂の浜に到着したのは18:20。緯度が大きく違う西表の日没は約一時間遅い(国内なので時差はないけど...)とは言え、太陽は西の空に大きく傾き、僕らの影は星砂に長く伸びている。


カヌーシーサー(喫煙バージョン)

夕陽を浴びて星の砂採取の開始だ!

実はここの砂はほとんどが星の砂

砂浜に手のひらを押し付けると星の砂だけがくっつく

Azu はビーチコーミングで貝殻集め

「クルマ返さなくてはいけないし南ぬ風に迷惑がかかるから、おひさまがあの雲にかかったらタイムアップだぞ〜!」子供達にそう言い聞かせ、自宅から持参したガラスの小瓶を手に、思い思いに砂を拾う。良く見ると砂は全て星の砂。ただ、その中でも完全な形をしているものはごく僅かで、ほとんどはトゲトゲが折れて丸くなってしまっている。そこで、由布島のオジィに教えてもらったように、開いた手のひらを砂に押し付けてみると...おおっ!星の砂だけが手にくっつく!


星砂海岸の夕暮れ

飽きることなく、砂を集めているうちにますます太陽は地平線に近づき、僕らの影はどんどん東に伸びてゆく。自分の影が何十メートルにも伸びたところで「タイ〜ムアァァップ!」の声を合図に星砂拾いを終え、僕らが再び凸凹ワゴンRで夕陽を追い掛けるように西を目指す。
5分ほどクルマを走らせると浦内橋のたもと左に見事に咲き誇る真っ赤なデイゴの樹。そして浦内湾のマングローブに沈みゆく真っ赤な夕陽...息を呑むような美しさ!僕らは時間のないことを忘れ、浦内橋の真ん中にクルマを停めて夕陽の赤い光が完全にマングローブの向こうに消えるまで無言で魅入っていたのだった。

 


浦内川のマングローブに沈みゆく太陽

 

「さっ、行こうか。」あまりの美しさに茫然となっていた僕らは、ヘナヘナと力が抜けた状態のままクルマをスタートさせる。19:00西表で最も西表らしい街並が残る星立集落にある民宿“南ぬ風”に到着。荷物を下ろして、隣の祖内集落にある“やまねこレンタカー”営業所を兼ねたスーパーに凸凹ワゴンRを返却。そこからデイゴの花びらが一面に散らかった歩道を南ぬ風に向け歩き始める。


今夜のメインディッシュはガザミ!!

群青色の光に包まれた夏のような空気、遠くで鳴くリュウキュウキンバトの鳴き声、サラウンドのように迫り来る虫の声の合唱、木々を揺らすのはリュウキュウオオコウモリだろうか?...
「ここら辺りってイリオモテヤマネコの目撃頻度が結構高い場所らしいよ。」周りをキョロキョロ見回しながら歩く挙動不審な家族4名。(残念ながらというか、当然ながらというか会えなかったけどね...笑)

15分ほど夕暮れの散歩を楽しんで、僕らは再び南ぬ風に到着。あらためて、まーちゃんのご家族にご挨拶をして、すぐに夕食を戴くことにする。海人をしている弟さんたちがその日に採ってきた「さっきまで生きてた」海の幸を食材にして、島で有名な弁当屋さんをしている母ちゃんの手料理は、でーじ、まーさん!(メチャウマ!)

「お待たせねぇ〜!」ORION生ビールのジョッキが半分になった頃、絶妙のタイミングで現れた特別メニューのガサミ(マングローブで捕れるカニ)!「今日は大きいのが捕れなかったから2匹ね!」母ちゃんが小さいと言うガサミは、小さいと言っても僕らの捕るズガニの倍以上の大きさだ。ズガニと同様に濃密な味で、タラバと同じように肉厚でプリプリな身だくさんな脚...あ〜満足満足、さぁ、帰ろっ!そんな気分になるほどの旨いカニでありました。

 



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