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March.2003 part.2

 

 

3月9日 比良山スノーシュ−トレッキング

 

最高の新雪をゆくAzu

「そろそろ行くぞ〜!」「は〜〜い!」
10:00、4人分の雪遊び装備をカーゴルームに満載した我が家のDiscoは今年最後の雪遊びを楽しむべく、比良山に向け出発する。今朝6:30にMamaが起こしてくれたのだけれど、眠れる森の野獣(?)は起き上がることが出来ず、「今日は中止!」の一声を残してあえなく暖かなベッドに撃沈。幸福な二度寝を楽しんだ後、目覚めて青い空を見上げてたらやっぱり雪遊びへの気持ちがが断ち難く、再び出発することになったというわけだ。実は昨夜、先週叶わなかった「指輪物語〜ロード・オブ・ザ・リング」のレイトショウを楽しんだために家族揃って帰宅したのは午前様。そのうえ、映画の興奮が覚めやらず食べ残しのポップコーン&ナチョスを肴に映画談議を楽しんだりしてたものだから、スノーシューの準備に取りかかったのが深夜2時(涙)。

今年マイブームだった岐阜への日帰りスキーとは違って、比良山は120km程度と比較的近く渋滞もないので、快適なドライブ。琵琶湖大橋からは岐阜の山々よりも深い雪を被った比良山の雄大な眺めを楽しみつつ、途中のコンビニでお菓子を買い漁ってても12:30に山麓駐車場に到着。


13:00、豪雪の中を登るのは我が家だけ?

山麓の天候は…吹雪。駐車場で手早く着替えを済ませ、登行シングルリフト乗り場へ。さすがに昼過ぎに吹雪の中を上りに乗るのは僕らだけみたいで、待ち時間ゼロ。下りの乗客の「今頃上って行くなんて、こいつらナニモンじゃ?」ってな視線を浴びつつ、超・長時間15分のリフトに耐えシャカ岳駅へ。そこからはゴンドラが2基しかないピストン輸送方式のロープウェイに7分乗って薪ストーブのある山上駅“比良HUT”に到着。

「あっ!金糞トイレがないっ!」2年前に“トイレ・クライシス”を味わったMaakunが一番最初にチェックしたのはトイレ(笑)。確かに喫茶コーナーの隣にあったトイレが出口近くに移動し、仮設っぽい造りながら清潔感があってイイ感じだ。
しっかりと(?)トイレを済ませ、ザックに固定して運んだスノーシュ−を履いて、13:00八雲湿原に向けスノーシュ−トレッキング開始。

比良HUTの建物を出ると、外は吹雪。そしていきなりの雪の壁が目に飛び込んでくる。一同喜びの「ウァオ!」(笑)昨日からの降雪でこれまで来た中で最高の積雪のようだ。スノーボードを手にしたゲレンデ方面からの帰り客を横目に、僕らはトレッキングコースに歩みを進める。

フカフカ、フワフワ、夢心地
ハイキングコースの案内板が...

コースは積雪が多いために細いトレイルの地面が上がってて木の枝を避けつつ進むのに苦労するので、トレイルを外れ、新雪の中をラッセルしながら進む方が楽だ。フカフカフワフワの綿のような新雪。時に大人は膝まで、子供は股下まで雪に埋まる時もあるのだけど、雪が柔らかく軽いのでそれほど抵抗にはならないのが嬉しい。久しぶりに味わう浮遊感。雪ってのは水と空気で出来てるんだなぁ!そんな、当たり前のことを実感する瞬間だ。
「サイコォ〜!もう、この感覚味わえたら、このまま帰っても満足だよなぁ〜!」
Papaが叫ぶ。トレッキングコースですれ違う人はまばら。ほとんどが軽アイゼンを着けた中高年トレッカーなので、スノーシュ−を履いて“忍法・水蜘蛛”のように軽々と歩く子供達が珍しいらしく、立ち止まって驚嘆の声が上がる。


ウッヒョ〜!
滑落すんなよ〜!
深雪に足を取られるMama


「ほ〜ら、どこでも行けちゃうのよん!」
「バ、バカ、そっちは川だ!」


登坂にはMSRが一番らしい

「いいの履いてるねぇ、お嬢ちゃん!」そんな声が掛かるたび、わざわざ新雪に飛び込んで飛び跳ねて見せるAzu。目立ちたがり屋の彼女は得意満面なのだ(笑)前回は雪が嬉しすぎて転げ回り“歩く雪だるま”化していたMaakunも、今回はちょっと大人。「おい、そこは川の上だから気を付けろ!クレバスみたいに落ちちゃうぞ!」Azuに注意を促す場面もあったりして頼もしい限りだ。
夏なら15分ほどで歩ける八雲湿原までの道のりを30分近くかけて楽しんだ僕らは、ヒュッテ前を左に折れて金糞峠方面に向かう。ここからは道行く人がさらに疎らになって雪も深く、スノーシュ−ならではのトレッキングが楽しめる。ところがそこから15分ほど歩いたところで降りしきる雪がさらにひどくなり、さらに少々疲れが出たのか子供達の言葉数が少なくなったので、ザックを下ろして休憩を取ることにする。

しかし休憩といっても吹きすさぶ強風と頬を打つ雪の中では座ってることもままならないわけで、これ以上進むのは“楽しくない”と判断。とりあえずティータイムを楽しむ場所作り...最小限の大きさの雪洞を掘ることにする。なるべく風の当たらない場所で、しかも吹き溜まりになっている斜面を探し、入口部分を家族みんなで踏み固め、スノーシャベルを使って掘り進む。


雪洞完成!で、でも...

雪洞の中でティータイム

ミニマムな大きさのはずが、掘り進むうちにどんどんエスカレートして“雪下の宮殿”を目指してしまうのは、いつものこと(笑)。通りかかったスキー場スタッフのおじさんに「おっ!でかい雪洞やのぅ。今夜の寝ぐら作ってんのか?」などと冷やかされながら家族総出の穴掘りが続く。「ねぇ、今度山屋さんに行ったら、家族の人数ぶんシャベルを買いましょうよ!」Mamaもノリノリ(笑)

前回の乗鞍では積雪が1.5mほどしかなくて、充分な深さの穴を掘ることは出来なかったけど、今回はいくら掘っても地面が見えることはない。子供達が掘り出した雪のブロックでテーブルを作ったりしながら雪上ままごとをやってる間に20分ほどで幅2m奥行3m天井高さ1m...4帖半程度の雪洞が完成。ここで夜を過ごすわけではなく、ちょっとティータイムするだけには充分すぎる広さの雪洞。

「パパってすごいわねぇ、あっという間にこんなに大きなお家を作っちゃうんだもん!」Azuをはじめ家族みんなの尊敬の眼にパパは良い気分!(笑)
風向きが変わってすでに雪に埋まりつつあるザックを掘り起こし、ストーブを取り出してみると...何を間違えたのか夏仕様のPRIMUSカートリッジを携行してきたお馬鹿な僕。(雪山ではやっぱりMSRでしょ!)暖かさを重視して入口を小さく取ったので、換気が不十分になる可能性を考えて外でバーナーを使うのだが...スノーシューを敷いても低い気温で気化が緩慢になり、すぐに根性ナシな弱々しい炎になってしまうPRIMUS。何とか沸いたお湯にティーバッグを入れ、多めの砂糖とミルクを加え甘いミルクティを作ってマグに注ぐ。雪面に置くと見る見るうちに周りの雪が解けて沈んでゆくマグカップに驚きながら楽しむアールグレイ。「あったかいよねぇ!」雪洞の中はホッと気が緩むような暖かさ。家族で身体を寄せあって戴くイチゴ味ポポロン(笑)やチョコレートはナニモノにも代え難いウマさなのである。雪洞の中でふと見上げると、天井に “天使の輪”のような青く光るリング状の線...ん?なんかキレイだけど...ま、まさか!
家族を雪洞に残して外に出てみると...


寒さのあまり泣き顔のAzu

「わ、わ、わ、全員退避ィィ〜!天井が落ちるぞぉ〜!」何と、フワフワの新雪だというのにあまりに天井を薄くし過ぎたために、天井部分に亀裂が生じているのだ!
パニック状態で這い出す子供達とMama。全員避難が完了したところでMaakunが拳大の雪玉を中心に投げつけると、いきなり無音で天井部分が半分ほど崩落。もう少しで家族全員生き埋めになるところでした。


天井が半分ほど崩落した雪洞。生き埋めになるところだった(涙)

 

「やっぱりパパはカヌー以外はだめねぇ。」Azuの言葉に意気消沈なパパ(涙)。
天井を失った雪洞は、もはや家族を寒さから守ってくれない。まずはショートスパッツ&Maakunのお下がりスノーブーツ(6年目なのでシンサレート内張りがヘタって薄々)で膝上まで埋まる新雪を歩き回ったAzuが寒さを訴え始める。どうやら靴の中に入った雪が解け、足の指が痺れ始めた模様。シモヤケor凍傷になる前に素早くソックスを替えさせる(Papaの大荷物の正体は子供達の着替えとお菓子。特にソックスと手袋は2セットづつ。寒さ対策と疲れを癒す食料だけで40リットルのザックは満タン...笑)けど、内張りの濡れはそのままなので、安全策をとって早めに帰ることに決定。往路をそのまま戻ることになるが、すでにさらに積もった新雪で3時間前の足跡はキレイにかき消されている。再び足の指が痺れ始め弱音を吐くAzuを励ましつつ、新雪でリセットされ誰の足跡も見えない湿原を進む。


寒さでヘロヘロの女性陣
恐怖の大荷物男!
確かに居眠りは危険ですな。

patagoniaのザックのベルトが肩から外れてても、それに気付かないほど疲労した泣きっ面のAzu。「あの峠の向こうがゴールだよ!」何度も何度も騙しながら(ウソだと判るたびに『パパの嘘つき!』と非難されながら..)、40分ほどかけて山上駅に到着。
ところが到着した途端、急に元気を取り戻すのが、子供のワケがワカラナイところ。先ほどまでの泣きっ面がウソのように元気イッパイ夢いっぱい。彼女に笑顔が戻りホッとするPapaであった。
一昨年の殺人的な大混雑がウソのように殆ど人影のない比良HUTからロープウェイとリフトを乗り継いで山麓駅へ。16:30無事、Discoの待つ駐車場に到着した僕らだった。


この12年モノのウェアを着るのも今日が最後??

「ご満足頂けましたか?」Mamaが冗談っぽく僕に尋ねる。
遊園地の大きな観覧車を横目に見ながら湖に向け走る僕らのDisco。まるで“十戒”の有名なシーンのように琵琶湖をふたつに分け伸びる琵琶湖大橋。雪混じりの季節風で大きく波立つ夕暮れ迫る湖面。正面には端正な姿を見せる近江富士。
「それじゃ、まるで“パパ・サービス”の1日みたいな言い方だな。」「だって、ホントにそうなんだもん。」「Maakun、Azu、君らもそうか?」「・・・・」
Discoが南東に向かっていることを示す車載コンパスの“SE”の文字。そのグリーンの文字が光るルームミラーを少し下にずらすと、そこにはセンターアームレストを枕に折り重なるように眠る子供達の寝顔が写し出されていた。

「もう、スキーウェアをクリーニングに出してもいいでしょ?」Mamaがイタズラっぽく笑った。
「もう、タイヤをノーマルに戻してもいいでしょ?」僕も笑いながら、そう尋ねた。
「もう、雪遊びはいいよ。カヌーがしたいよ。」眠っているはずのMaakunが答えた。


無事ゴール!

 

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