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May.2002

 

5月25-26日 熊野川カヌーマラソン

 

 
滔々と流れる熊野川をゆく「なんちゃって」ゼッケン001

今年も熊野川カヌーマラソンの参加要綱が届いた。去年は2:01:47で7位だった僕とMaakunのTeamMaaki。「今年は2時間切って表彰台だね、パパ!」ところが要綱を読むと、去年まであったカナディアンカヌーの部とかシーカヤックの部などのカテゴリーが廃止され一人艇、二人艇の二つのカテゴリーのみ。「これってタンデムのシーカヤックと勝負しなくちゃなんないわけだな。」「エッ!(絶句)カヌーマラソンの人ってカヌーのこと知らないんだね、パパ」Maakunの言う通り、「両方とも二人乗りだから」って理由でフェラーリと10tダンプがレースするようなもの(...かな)
しかも我が家はともちゃんの入院が5/13からの3週間に決定。彼女の参加は絶望的な状況だ。
どうしようかなぁ...迷った時はコインで決めるのが一番。財布から100円玉を取り出して親指で空高く弾いて右手の甲で受け止める...はずが、誤って落としちゃって、100円玉は道端の自動販売機の下に転がって行く。「あっ!どっちかわかんないよ(涙)」Discoからマグライトを取って自販機の下を覗きこむと...100円玉は表(笑)
そんなわけで今年もカヌーマラソン参加決定!(イケナイ夫でゴメン!)
Maakunに告げると飛び跳ねて大喜び。「入賞できなくてもいいよ。でも2時間は切ろうね!」ところが夕方、熊野川町から電話が入り、3人乗艇の場合はオープン参加で、しかもゼッケンもタイム計測もないとのこと。かなり残念なTeam Maakiなのだ。

Teamみのばし

Teamフーフーズ

Team Drunker

Team Maaki

Designed by やまきたさん

Designed by マジコさん

Designed by NESSYさん

Designed by aki

「ゼッケンがないってことは、ゼッケンと交換のお弁当はどうやってもらうのかな?」Maakunもちょっと心配顔。ま、釈然としない部分はあるけど、ともちゃんの心遣いや参加決定を告げた時のMaakunやAzuの笑顔を見たら今さら参加しないわけにもいかないし...。気持ちを前向きにしてゼッケンがないなら作っちゃえ!タイム計測してくれないなら、自分で計ってオフィシャルに負けないカッコイイ認定証を作っちゃえ!同じくオープンクラスで参加のTeamみのばし・マジコさんやTeamDrunker・NESSYさんを巻き込んでオープン参加組は大盛り上がりで当日を迎える。


「ねぇねぇ、マジコっちに電話した?」家を出るなりAzuがリアシートから身を乗り出して心配げに尋ねる。(おいおい『マジコさん』って言えよ!...笑)「さっきBBS見たら7時ぐらいに家を出るって書いてあったから、どこかで追いつくよ、きっと。」
僕らのDiscoは、まずは熊野川とは反対方向のともちゃんの病院へ。子供達は玄関でお待ちかねのともちゃんと一週間ぶりのご対面。ママにお揃いのゼッケンTシャツを披露して誇らしげだ。「じゃ、ママの分も頑張ってらっしゃい!」見えなくなるまで手を振って見送ってくれるともちゃんと別れたあと、僕らを乗せた白いDiscoは一路、熊野を目指す。
今夜はHotelDiscovery☆☆☆☆(四つ星...笑)泊...つまりクルマでゴロ寝なので後にカシータを牽いていない。


真っ青な熊野灘を見て何を想う?

すっかり観光客モード

しかもアクティブサス付きでまるでスポーツカー並みに飛ばせる(?)新型Discoは国道42号線をいつもの5割増しのスピードで賭け抜け、2時間ほどで熊野市に入る。
「あっ、マジコさんだっ!」道の駅「木の国」の駐車場に見慣れたギンギンリバティ発見!挨拶もそこそこに観光客モードで熊野市の観光名所「鬼ケ城」にご一緒することが決定(いつもカヌーだけでは終わらないボクら...笑)。
いつも通り過ぎるだけの鬼ケ城は、五月晴れの青い空を映した真っ青な熊野灘が印象的。いつもなら千畳敷までしか行かないのだけれど、子供連れだと何故かはりきってどんどん先に行ってしまう。昨年の台風で橋と手摺が流失していたので残念ながら一周することは出来なかったけど、子供達も僕ら大人も大満足の鬼ケ城観光だった。

「海がキレイだったな〜!よりちゃん潜ってアワビ採ってたりして(笑)」そんな話をしながら鬼ケ城の駐車場を出ると、冗談のようによりちゃんデリカが登場!(笑)「今から飯喰いに行くけど、一緒に行く?」「行きま〜す!」鬼ケ城観光を楽しんだ僕らによりちゃんが加わって、3台のカヌーCarはR42を再び南下する。熊野川を渡って新宮市に入ってすぐ「紅梅堂の鈴焼き」を買い占め、「おむすび一郎」で手作りおにぎりを仕入れて熊野川沿いのR168へ。GWよりもさらに水量が少ない、でも澄んだ熊野川。20分ほど走ってスタート地点の熊野川町役場に到着する。
役場前で受付を済ませ(ここでオ−プンクラスもゼッケンがあることが判明!タイムも計ってもらえるとか。へっ!???)


バナナちゃんのお散歩をさせてもらうAzu


河原に到着した左からDisco(aki)、ギンギンリバティ(マジコ)、デリカ(よりさ)、チェロキー(やまきた)

クルマを河原へのスロープの脇に停め、初めてお会いする“Team みのばし”のやまきたさん夫妻、Yukaさん夫妻も加わって広い河原で少し遅いランチタイム。Azuはマジコ家のはるひよかれん3姉妹に遊んでもらって大喜び。Maakunは...同年代の男の子がいなくてツマラなそうだけど、川に来たらお約束(笑)ウェットスーツに着替えて川に誰よりも早く飛び込んで行く。しかも、GWにアキヒロさんちのKoukunと川べりに一緒に掘った穴(温泉、なのだそうだ)が残っていて、大喜び。


食べ放題、飲み放題にご機嫌!
「ねえ、ペットボトル持って帰ろっか?」
「内緒ナイショ」

aki「携帯がビールで泡だらけですよ〜」
マジコ「さすが防水携帯ですな」
Maakun「防ビール携帯じゃん!」

17時になっていよいよ前夜祭・歓迎レセプションが始まる。役場の広い会議室には実行委員会の皆さんが準備して下さったお料理、そしてビールサーバーが並ぶ。飲むぞぉ〜!喰うぞぉ〜!そう独り言を言った瞬間、NESSYさんとEichiさん&愛息Tomoki君(2)が登場だ。「それでは乾杯を...」司会の女性がそう告げた瞬間、誰もジュースに手を伸ばさずビールサーバー前に長蛇の列(笑)。心のこもった料理を戴きながらの歓談が終わり、日が暮れて東の空に美しい丸い月が昇りはじめる頃、ツッチーさんご夫妻が登場。これで役者が揃った!みんなで揃って熊野川温泉・さつきへ。ひと風呂浴びた後は、いよいよ河原に下りて焚き火の始まりだ。


焚き火を囲むNESSY、マジコ、よりさ

今夜は去年薪探しに苦労した経験から(ストレートな流れだからか、それともキャンプする人が多いからなのか、ホントに流木がない!)我が家の薪ストーブ用薪3束を持ち込んだのでドッカリと腰を据えて焚き火を囲める。しかもやまきたさんからも薪の差し入れがあって、贅沢にもガンガン炎を上げてのキャンプファイアみたく大きな焚き火だ。途中からTeam TSUGEのTSUGEさんとIDOさんが加わり(Noni Jerryありがとう!)次にKIKUOさん&Aquaさん、そして今回最も遠く(カリフォルニア州)からエントリーのJoelさん、何故か大阪工業大カヌー部の連中の乱入もあって(河原でイッキはやめようね。それと今度は女性部員も同伴するように!せっかく奥様達が寝てるんだからさっ!...笑)なんとも賑やかな焚き火となった。旨いお酒、珍しい料理、そして楽しい会話...楽しい夜はあっという間に過ぎて行くのだった。お話の内容は...やっぱりヒ・ミ・ツ(笑)


右からKIKUOさん、Aquaさん、ジョエルさん、僕

チームおさゲーず&おさゲーずJr.


「ケッ!女となんか遊べるかよっ!」
専用ベッドを掘ってふて寝のMaakun 


 

 
青空のもと何百ものカヌー&カヤックが...スタートポイントにて

5/26 カヌーマラソン当日 お〜さぶぅ〜ブルブルッ!何故か寒さで目覚める僕。Hotel Discoveryのフロントスクリーン越しに見えるのは雲ひとつない青空。ん?なんでクルマで3人も寝てて結露してないの?ふと見上げるとダブルサンルーフが全開。酔っぱらって閉めるのを忘れた模様(涙)しまった!と思っても後の祭り。カーゴルームの子供達は鼻をグシュグシュいわせてる(また、ともちゃんに叱られるなぁ・・・)。


Team Maaki with Azu (^^)

時刻はまだ6:00 a.m.。でもすでに周りの人たちは川下りの準備を開始しているので、僕も着替えを済ませて朝食の準備。起こしても起こしても、蓑虫のようにシュラフにもぐり込む子供達を無理矢理カーゴルームから引きずりだして、クロワッサンとカフェオレ、そしてアメリカンチェリーだけの簡単な朝食を済ませる。
午前7時すぎ、準備を終えたお父さん&旦那さんたちはクルマを列ねてゴール地点に向かう。R168から見る熊野川はダムの放水のせいで水位が50cm程度上昇している。ゴール地点近くの熊野速玉大社の境内にはスタート地点行きの豪華観光バスが待機中。バスに乗り込んだところで、「今日の無事を願ってお参りしようか?」とNESSYさん。もう一度バスを下りてみんなでお参り。「ケガなく無事に下れますように。」「向かい風が吹きませんように。」「もうコレ以上モノをなくしませんように。」(笑)みんなそれぞれに願い事をつぶやきながら手を合わせる。

バスが三和大橋に着いて、レースの最終準備が終わると河原で開会式。歓迎レセプションの時と同様に、今年からカテゴリーが簡略化された理由の説明が繰り返される(相当、選手から不満の声が出たようだ。)『昨年、一部計測ミスがありまして、選手の皆さんにキモチ良く参加していただくために、クラス別けを廃止致しました。』というアナウンスに隣のMaakunが「ウソだぁ〜、役場の人が電話で『新宮市のスタッフから計測が大変だと苦情が入りまして...』って言ってたんだよね。」と囁く。「いいんだよ、こうやって熊野川を下れるだけで。」


朝から川で遊ぶ子供達...と大人約1名

よりちゃん艇のスナフキン型浮力体と子供達

10:00に一番速い「一人艇クラス」がスタート。さすが「本気」のレースだけあって、ルマン式スタートが切られると全員が猛ダッシュでカヤックに乗り込む。10:10、次に「2人艇クラス」スタート。そして10:20いよいよ僕らのスタート時刻が近づく。みんな準備OKかな?周りを見回すと...やまきたさん夫妻が食事してた(笑)。「akiさん、いなり寿司どう?」「あ、戴きます!」そんな大人を尻目にMaakunはオープンクラスなりの作戦を立ててる。「ねえ、パパ、2番目の瀬は狭いから集団で入ると沈の可能性あるし、スタートダッシュして先に抜けようよ。」と耳打ち。「沈イヤだから、ワタシも頑張って漕ぐぅ!」Azuも「沈」というフレーズに敏感に反応(笑)子供達の作戦に従うことに決める。

「パ〜ンッ!」
号砲とともにスタート!去年より一層狭い最初の瀬に入ると左右からガンガンとカヤックが激突してきてアウトサイドのテトラ方面に押し出される。「いっけぇぇぇ!」Maakunの絶叫。「いってるわよぉぉぉ!」返事してどうすんだよ、Azu〜(笑)
早くも前方に2艇の裏返ったカヤック。流されるパドラ−をパドルで小突かないよう注意しながら、2つ目の瀬(アキヒロの瀬...笑)に入る。
左右をカヤックに挟まれて押し出されるように流芯に突き出た竹薮に向かう僕ら。「ヤバい!左にドロー!」「はいよっ!」間抜けな合いの手でMaakunがクロスドローを入れるとカヌーはバウを急激に左に向ける。MaakunとAzuが体を左に倒して突き出た竹を避けるが、僕はモロに顔へ竹薮のラリアット(涙)。


スタートダッシュ!!

Maakun「あの隠れ岩の波は楽しそうだよ!」
Azu「ホントに大丈夫ぅ?」

バサバサッ!
思わずパドルで顔を守って目を開けると、目前に「アキヒロ岩」。岩の周囲には沈した七色のカヤックがボトムを見せてエディに漂っているのが見える。そしてその左に川底から突き出た丸太にはオールドタウングリーンのカナディアンカヌーがボトムを上流に向けてトラップされてる。「ああっ、パパ、あれオールドタウンだよ!NESSYさんじゃ...」Maakunが立ち上がって目を凝らす。「人は挟まってないみたいだ。C・A・M・P・E・R...キャンパ−だっ!」水圧を受けてキールラインが凹んでいるCAMPER。「Maakun、ひとまず座れ!!レスキューがたくさんいるから大丈夫!それより前を良く見てろっ!」(*ちなみに、ここでやまきたさんのプロスペクタ−が進路を妨げられた上に竹薮に突っ込み「もらい沈」されました...笑)

目前で妙に幅の細い飴色のカヤックが沈。積み荷を固定してないのか、バラバラッと細かなモノが水面にぶちまけられる。「よいしょっ!」Azuが手を伸ばしてサンダルや350ccのペットボトルを拾い上げる。「あはは、コーヒー牛乳ゲットぉ!」「バカ、モノ拾って喜んでる場合かっ!」「だって〜、面白いんだもん..・」褒めてもらえると思ってたAzuはシュンとなって悲しそう。「オジサ〜ン、コーヒー牛乳預かるからね〜!」波間に浮いたり沈んだりしてる男性が軽く手を上げる。「バカッ!返事出来るわけないだろっ。それにオジサンじゃないぞ、若いぞ!」ド−ン!黄色いカヤックが真横からOldTownのロゴあたりに激突、そしてそのまま沈。スターンにも何やらぶつかってゴボボボってな音が。


この頃はまだ笑顔

その拍子に僕らも真横になったまま隠れ岩に乗上げる。「あっはっは、回ってるよっ!」岩が支点になって180度ターン。血眼になってラインを探してるみんなの真ん中でコマのように回ってる自分達があまりにマヌケで可笑しくて3人で大笑いだ。(笑)
こりゃ、ゆっくりスタートした方が安全だったな。「スタートダッシュ作戦しっぱ〜い!」Maakunも苦笑い。

秋の「お父さんだけのダウンリバー」で薪拾いした河原を過ぎるとさすがに集団がバラけて、まともに漕げるスペースが出来始める。間もなく道の駅「熊野川」下のS字カーブだ。ここの下流の崩落岩は結構怖いけど、ここは波は高いものの返し波があって絶対に岩に激突することはない比較的安全な瀬。返し波と本流がぶつかって三角波が立ち上がってて、ここでも数艇が沈。「あっはっは、ここで沈すると返し波で岸に近づけないから1kmは流されるぞ!」(*ちなみにここでNESSYさんのハンターが沈されました。やっぱり1km以上流されたらしい...笑)
ここまで来ると、もう安心。S字のエディに入って後続を待つ。ツッチ−艇を筆頭によりちゃん艇、Yuka艇、マジコ艇が次々と現れ、ここからはもう会話を楽しみながらの、のんびりツーリングだ。「NESSY艇ややまきた艇が来ないなぁ〜」今回のTeam みのばしの世話人(笑)マジコさんはちょっと心配気。

 


高い波を狙って遊びながら進む

強い向い風に苦しめられながらも、適度なタイミングで現れる瀬を楽しみつつオープンクラスのカナディアン軍団は進む。
「あの波が高い所狙おうよ!隠れ岩だけど水深はありそうだっ!」瀬の途中で急な方向転換をしつつ「楽しいルート」を狙う僕ら。「沈したら『Azuチョップ』100回よぉ〜!」とAzuが牽制。
(*Azuチョップとは空手チョップのこと。細い腕が鞭のようにしなって、かなりの威力)
「パパぁ〜おしっこ!」「ちょっとウンチ!」レースの時は一度もない子供達のnature calls me休憩を頻繁にとりつつ、ゆらゆら流れると昼島が見えて来る。「ねえ、パパ、登っていい?」Maakunが遠慮がちに尋ねる。「いいけど、すぐに下りてこいよ。」Maakunが昼島に登り始めると、マジコ艇のオジョウサマたちから一斉にブ−イング!「いいなぁ、私も登りた〜い!」(マジコさん、ゴメンなさい。悪い見本を見せてしまって。レースを忘れて遊んでしまいましたぁ。)


もうすでにノンビリモ−ド(笑)

この頃からもうレースをやってるってな自覚が全くなくなって、気付いたらレスキュー隊のジェットスキ−が僕らの周囲を取り囲んでる。「こんなにジェットがいるってことは、も、もしかして僕らがビリ?」「でも、パパ、後ろから数えたらだけど一位だね!」Maakunも大人になったなあ(笑)


OC-5優勝のマジコ艇

桧杖の屈曲が見える頃には、向かい風も一段と強まり、1時を大幅にまわって空腹なことも手伝って、非常に辛い状況になってくる。「もしかして去年よりしんどくない?」Maakunもパドルを水から上げてお客さん状態なので、パドラ−は僕ひとり。「腹ヘッタ!、腹ヘッタ!、腹ヘッタ!」「腹」でパドルを水面に差し、「ヘッ」で腰に引寄せ、「タ」でJを描く...そんなピッチ漕法でゴールを目指す。去年まであったゴールの目印の赤いブイを探すが、どこにも見当たらない。閉会式会場の河原からは「フジTV・F-1中継のテーマソング」(笑)が風に乗って聞こえて来る。「あ〜表彰式始まっちゃってるよ(涙)」...こうしてなんだかよく分からないままにカヌーマラソンは終了。
「akiちゃん、お疲れ〜!」後方でビール呑んで流れてるはずのNESSYさんが、もうすっかり着替えを済ませてお出迎え。


Yuka艇

Wanちゃんたちは、すっかりカヌー犬だ。

スタート直後の撃沈で長時間流されたTeam Drunkerは2歳のTomoki君の疲れを考慮して大事をとってリタイアしたのだ。「今回はTeam Drunkerがオープンクラス優勝だね〜。」「クソッ、その手があったか!」Maakunはマジで悔しそう。
表彰式真っ最中の本部テントでゼッケン211と交換に幕の内弁当&お茶を受け取り、河原で遅いランチ。表彰式に引き続いて恒例のお楽しみ抽選会が始まると、Maakunの興味はお弁当からステージの司会のオネエサンに移る。『熊野川地ビールは...●★◆番で〜す!』「当たった〜!」マジコさんが地ビール一箱ゲット!『熊野川地ビール最後の当選者は...●★▲番で〜す!』「うぉ〜また当たったぁ!」マジコさんふた箱目ゲット!当選者のナンバーが発表されるたびに「クソッ!」「なんで当たらんのぉ〜!」「ど〜せ当たらないよな、もうエエわ!」Maakunは半泣きで悔しがる。そんなに本気にならなくても...(笑)
無事表彰式も終わり、カヌーをクルマに積込むと、二日間を一緒に過ごしたみんなとお別れの時だ。「またね〜!」「今度はどこにする?」ひとりひとりと挨拶を交わし、速玉大社で今度はともちゃんの健康祈願を済ませた後、僕らのDiscoはこR42を北に向かう。
「さすがに今日は疲れただろ?」僕の問いかけに子供達は「ぜ〜んぜん!」Maakunはカーナビを操作して何やら検索中。「ねえ、パパ、この登録ポイントはなんだろう?」「ん?」紀宝町ウミガメ公園の北に見慣れないピンマークが立ってる。「なんだろう?こんな場所登録した覚えがないんだけど...。」R42を辿ってピンポイントが近づくと謎は解ける。「あっ、リス村だぁ!寄って行こうよ。」MaakunとAzuが声を揃えておねだり。『わざとらしいことしなくてもオレは判ってるよ、昨日ここを通った時におまえたちが勝手に登録したんだろ?』...そんな言葉を飲み込んで、僕はクルマをリス村のパーキングに滑り込ませる。「リスの餌はたしか¥100だったな。」「えっ?あげてもいいの?」...100円玉を握りしめてリス村のエントランスに向けて飛び跳ねるように駆け出して行く2人の後ろ姿を見送りながら、僕は自動販売機の下に転がった5/13の100円コインが表だったことを感謝した。
ふと振り返ると白いDiscoのルーフにはオリーブのCAMPER。その隣にあるはずの真っ赤なHUNTERは今日はない。また来年も来よう。でも今度は2艇のカヌーをルーフに積んで...僕はそう呟いてリス村の門をくぐった。

リス村でリスと戯れる

 


 

 


Team みのばし、Team TSUGE、Team Drunker、Team Maakiの面々

 

 

 


 

5月4-6日 魅惑の熊野川(笑)ダウンリバー&キャンプ

 

 
飛雪ノ滝下流の大岩「昼島」頂上からの眺め

 

GWは仕事? 世間は全国的にGW(ゴールデンウィーク)。晴天の5/3、僕は仕事場のパソコンで某・Kevipaさん(笑)の気田川オフのお知らせを漫然と眺めていた。今日からあの楽しい仲間たちは気田を下っているんだなあ...仕事場の窓から見える青空、流れ行く白い雲、眩しいほどの新緑...こんなグッドコンディションの気田川をダウンリバーだなんて、あぁ、羨ましい!このまま悶々としたGWを過ごすのか...いいや、このままではイカン!きっと後悔するに違いない!無理をすれば明日から三日間は休めなくもないなぁ...Mamaの入院も来週に伸びたことだし...その瞬間、僕はいきなり決断する。「明日から休むゾ!」そうと決まったら自宅へ電話。「明日からカヌーに行こうよ。どこにする?」「気田川は今日すでに下っちゃってるもんね...今年はカヌーマラソンに参加出来そうもないし、熊野川にしましょうよ。」
去年の秋、カヌーツーリングベストシーズンを痛恨の入院で棒に振ったMama。入院中、病室にあるTVで熊野川流域を舞台にしたNHK朝の連続テレビ小説「ほんまもん」のテーマソングと映像を見ながら、感極まって思わず涙を流していた彼女の夢を叶えるチャンスでもある。しかも先週、強風の古座川を海まで漕ぎ切った彼女に何かご褒美をあげたい...様々な想いが、僕らの熊野川行きを後押しするのだった。

行き先が決まれば、あとは話が早いのが我が家の良い所。先週の古座川の装備がそのままカシータに積みっぱなしになっているので今回はオートキャンプにすれば準備が楽ってことで即座にネットでスタートポイント近隣のキャンプ場探しを開始。「熊野川 キャンプ場」で検索してヒットした熊野川支流随一の清流・赤木川上流にある町営「小口家族キャンプ村」に決める。GWで満員かと思いきや、かなり空いているとのことで即予約完了。三日間休むと決めてから予約完了まで15分の早業だ(笑)
翌5/4、8:00ちょっと前、Chichoの餌を大盛り2杯準備して僕らはカシータを牽いて家を出る。お天気はあいにくの大雨...だけどオートキャンプ場&カシータなら全然心配は要らない。「今日、熊野に着いて天気が良ければ午後から下ってもいいし、雨なら明日にしましょうよ。風が吹いたら明後日でもいいし。」と、Mama。


町営「小口家族キャンプ村」

命にかかわるカヌーの装備だけは入念にチェックしたけど、キャンプについては事前の準備もなければ「忘れ物チェック」もしてない全くイイカゲンな見切り発車...でも、無計画な家族は我が家だけにあらず。こんな急な計画は迷惑だよなぁって思いつつ、もしやってことでアキヒロさんちに連絡してみたら「是非とも一緒に下りましょう!」って答えが返ってきたりするのだ(笑)。


熊野川温泉「さつき」

雨の伊勢道〜R42はGWにもかかわらず比較的スムーズに流れている(カーナビのVICS情報も沈黙が続く)。たださすがに遊びに出る人が多いのか、何度もト−イングしたクルマとすれ違う。全国に3000台、キャンプ場などに固定された定置式のものを除くと、実際に公道を走るものは、たぶん1000台に満たないキャンピングトレーラー同士、ついついパッシングやクラクションで挨拶してしまうのが可笑しい。
雨に煙る熊野灘・七里御浜に何百mにもわたって吊るされた鯉のぼりも雨に濡れて重く垂れ下がっている。「まるでサンマの一夜干しみたいだね。」Maakunの一言に大笑い。
ウミガメ公園を過ぎ、日本一小さな村鵜殿村に入ると、目前に熊野川の雄大な流れが見えてくる。平水時で宮川の実に6倍、長良川の倍近い水量を誇る熊野川。河口から42kmの区間に橋が瀞大橋、三和大橋、そしてこの熊野大橋の3つしか橋がないために、この橋は休日になると常に渋滞が起きる。案の定、今日も500mの渋滞。何とか橋を渡って和歌山県に入り、熊野川右岸を通って上流を目指す。

トンネルを抜けて右手の木々の隙間から見える熊野川...「な、なにぃ?この色!!」Azuが叫ぶ。その声に驚いて家族が一斉に右の窓を見る。そこにあるのは曇天なのに異様なほどエメラルドグリーンに輝く川面だった。去年の濁った熊野川ではなく、まさに「大きな銚子川」。先週の古座川を遥かに上回る透明度だ。


キャンプ場に架かる吊り橋にて

焚き火を囲んで家族水入らず

「雨だけど、今スグ下りたくなっちゃうね。」
そんな熊野川とも町役場直前で別れ、支流・赤木川沿いに10分ほど行くと今回のキャンプサイト「小口家族キャンプ村」が見えてくる。12:00到着。チェックイン時刻前だったけど、サイトが空いてるのでそのままクルマを乗り入れても良いとのことで、早速雨の中設営開始。30分ほどで設営を完了しキャンプ場周辺を散策した後は、「お風呂セット」を持参してクルマで10分ほど下流にある「熊野川温泉さつき」で温泉タイム(最近、ナマクラキャンパーになってしまって必ず温泉に行ってしまう...笑)。
温泉から戻る頃にはキャンプ場の山の麓までを覆っていた厚い雲が徐々に薄くなって雨があがりそうだ。早速アキヒロ家に明日川下りする予定であることを電話で告げる。
夕暮れ頃からサイトの美しい芝生の上に焚き火台を据えて、家族でゆったりとBBQの夕食を楽しむ僕ら。子供が寝た後は炭火に変えて持参した「高級クヌギの2年モノ」の薪にして、2年ぶりに夫婦だけの焚き火を楽しんだ。これまでの16年間、入院生活、子供達のこと、そしてこれからの人生...以前なら考えられなかったことだが、今の僕らにとって夫婦で語り合うには夜はあまりにも短い。あっという間に日付は変わり、明日に備えて眠らなければならないのだけれど...結局カシータの中でも遅くまで語り合う僕らだった。


キャンプサイト

 


 

 

 

 

 

いよいよダウンリバースタート 三和大橋下流、熊野川町役場前の河原へのスロープに進入すると、ちょうどすぐ前にアキヒロ家のランカスターが坂道を下って行くのが見える。午前8:50、いつも申し合わせたようにタイミングぴったりで到着するのが不思議だ。「おはよ〜!」挨拶もそこそこにカヌーと装備一式を岸辺まで運び、パパ達はすぐにクルマの回送のためゴール地点に向かう。川の危険箇所を偵察しながら国道を走り、速玉大社前の河原にDiscoを停め、ランカスターで再び三和大橋へ。


三和大橋をバックにダウンリバーのスタート

往復40kmの回送ドライブを終え、スタート準備が整ったのは、ちょうど10:00。
早くスタートしたくてウズウズしてる僕らは、早々にこれまで見たこともないほどに澄み切った熊野川に漕ぎ出す。レットマン・ミックマックにアキヒロ家が4人、HUNTERにMaakunとMama、CAMPERにAzuと僕というメンバー、3艇8人でのスタートだ。
ダムの放水がない熊野川は去年の秋よりも1m以上、カヌーマラソンの時よりも50cm近く水位が低く、これまでならただ一直線に流れるだけの川筋が気持ちの良い蛇行を繰り返している。

不思議なことに水位が低いのに水深はほどほどにあって、しかもスタート直後から流速はかなりのもの。透明な水を透して見える川底の石がビュンビュン後方に飛び去って行く。「あ〜キッモチイイ〜!パパったらいつもこんな素敵な川を楽しんでるのね〜、ずっる〜い!」漕ぎ出して5分もしないうちにMamaがケインシートの上で背中を反らせて背伸びをしながら叫ぶ。いや、いつもこんなに透明なわけじゃないんだけど...

間もなく流れは大きく左に蛇行し川幅が狭まり、一級の瀬が現れる。瀬のグレードは低いけれど、流速が目測で秒速6m/s(22km/h)以上あるし、そのアウト側にテトラポットの護岸と川底から突き出した流木が2本。ちょっとイヤな感じの状態になっている。今日のツアーリーダーは不肖ワタクシメが務めさせて頂くということで、瀬の前にコース取りの説明を行う。「本流に乗って、サイドスリップでひとつめの張り出し岩ぎりぎりを通過、流木の左を通れば、大丈夫!テトラは返し波がないから近づき過ぎないように!」まずは僕が下ってテトラのエディで待機。次にHUNTERがわざと波の高い場所を選ぶようにクネクネとターンしながら通過。「ほら、ママ、瀬を上から見ると流れが三角になってるだろ?その中心が本流だから、そこを行けば安全で楽しいよっ!」Maakunがそんなことを言ってたらしい(笑)そしてアキヒロ家のミックマック。


この直後にアキヒロ家に突然の不幸が!!

あれっ、ちょっと左に寄り過ぎかな?って思ってたら、張り出し岩にバウが乗り上げそのままスクリューコースターのようにスムーズに回転して左側に沈!人と荷物がバラバラっと落水してカヌーから離れテトラに向かって流れてくる。「ムフフフ...」笑いを堪えながらも、アキヒロ家の表情が読み切れないので、決定的瞬間をカメラに収めたい欲望をなんとか押さえレスキューに向かう。積み荷を拾って取りあえず岸にカヌーを寄せ安全を確保。どうやら子供達も落着いた状態でホッと一安心だ。


透明度はピカイチ

この場所のテトラは増水時に水流がぶつかる場所に置かれているので、今回は水量が少なく瀬の流れが手前の岸にぶつかっているため大きな危険はない(「大きな危険はない」けど、あくまで川にある人工構築物は危険なことには変わりないので、念のため)が、それでも軽いストレーナー状態でカヌーや荷物、そしてアキヒロ家ご一行様がテトラに吸い寄せらる。一旦上陸してカヌーの水を抜いた後、アキヒロ夫婦だけが乗って瀬にストリームイン!...するはずが、またまた沈!カヌーから投げ出された積み終えたばかりの荷物と夫婦だけがストリームインして下流に流されていく。カヌーは、というと川の底から突き出た丸太に引っかかって一瞬水圧がかかって小さくバキバキッて音がしてヒヤッとしたけど、無事左右の均衡がくずれて丸太からはがれて下流へ。ホッ。結局100mぐらい流されて再上陸。怪我も流失物もなかったのは、今春3月(!)、宮川で家族全員で沈の練習を繰り返したアキヒロ家だからこそ...かな?(笑)

2回の沈の後も1〜1.5級の痛快な瀬が次々と現れて、僕らを飽きさせない。瀬のたびに直前でバックストロークで一旦停止して、コース取りを確認する。まずは予想される危険を伝え、次に楽しいルートを、そして最後に安全なルートと三段論法でガイド。一番目に僕が「楽しいルート」を下ってデモンストレーションして瀬の出口のエディ(反転流)に入って後続を待つというパターンで川下りは続く。


笑顔のMaakunと顔がひきつってるMama

いつもならベタベタのインを漕いで安全ルートを行くはずのMamaのHUNTERだが、今回は本流ど真ん中をバウで波をバンバン潰しながら下ってくる。カヌーの動きを見ていると、どうやらMaakunが小さなパドルを精一杯動かしてバウドローでフネを本流に導いているようだ。


偵察を兼ねて立ち漕ぎするMaakun

ウホホ〜ィ!奇妙な歓声を上げるMaakun

瀬を終えて顔を見合わせる母と息子

こぼれんばかりの笑顔のMaakunとマジな表情のMamaの対比が笑える。「瀬ではね、波が高い本流を漕ぐのが一番楽しくて、一番速くて、実は一番安全なんだよ。」「よーく見てごらん、返し波がある岩と、吸い込まれてる岩とじゃ水面の光り方が違うだろ?返し波がある場所ならぎりぎりに突っ込んでもぶつからないから本流を行くといいよ!」MaakunがMamaにレクチャー。ストレーナー化してる崩落岩のS字カーブでは真剣な顔でイン側にカヌーのバウを向け、大岩では笑顔で本流に乗って岩に突っ込んでいく...130cm28kgの小さな身体では流水でフネを操るだけのパワーがないし、パドリングのスキルはまだまだこれからだけど、段々と彼も川の流れの読み方がわかってきたなぁ〜と感慨ひとしおだ。「川下りはパドリングのスキル半分、川を読む能力半分」ってなところがあって、彼の実力に合った川を選んで徐々に慣らしていけば、きっと彼もイイ「シングルブレードパドラ−」になるんだろうなぁ。


まさに秘境。崩落岩のS字カーブをゆく

 

熊野川名物・崩落した巨岩群に流れを変えられたS字カーブの連続を越えると、川の左右に真っ白な美しい河原が広がり始める。子供達の「腹ヘッタコール」が谷間に響き渡り「そろそろランチにしましょうか?」ってことで広くフラットな河原に上陸。積み荷を解いて、ふた家族それぞれが昼食を楽しむ。
ところが片時もじっとしていない河童キッズたちは、おむすび片手に時間を惜しむように川に飛び込んで行く。「うぁ〜、流されるぅ〜!」いつも遊んでる宮川に比べて流速のある熊野川は腰まで入ると、身体を下流に持って行かれる。


Azu&Moe

Kou&Maa

自分達の泳力ではかなわないと判ると、Maa&Kouコンビは河原の後ろに控える茂みに姿を消す。ガサガサガサ...茂みをかき分ける姿といい、大きさといい、まさにウェットスーツを着たニホンザルそのもの(笑)。しばらく見ないなあって思ってたらまた、とんでもない茂みから得意満面で現れて「パパ、滝、滝を見つけたよ!」。おなかがいっぱいになってPFDを枕に昼寝体勢に入っていた僕も、彼らの誘いを無碍に断る訳にもいかず、茂みへ...。2匹のニホンザルに連れて行かれたのは、まさにシャワークライミング!な渓流。多雨地帯の熊野川の岩場は非常に不安定で、背丈ほどもある大きな岩でさえ足を掛けるとグラグラ揺れて、おっかない。でもさすがはpapaclimberの息子・Koukunは身軽に岩を登ってどんどん先に行ってしまう。「ほら、コレが滝!」正直ショボいって感じたけど、彼らには言わず(笑)「ま、気をつけてな。」と言い残し水辺に戻る。

渓流を遡ってシャワークライミングを楽しむ 

9歳の男の子にとって、こういう遊びは心から楽しいんだよな。「もっと上を探検しようぜ!」すぐに茂みに消えるふたりを見て、僕は自分の子供の頃を思い出して苦笑した。


ランチの河原から上流を見る

長いランチタイムを終え、僕らは再び川の上の人になる。川は下流に行くにしたがって流れが緩やかになるものだけど、今日の熊野川はどこまでも滔々と流れ続ける。鏡のように凪いだ水面に浮かんでいると流れが止まったかのように感じるのだが、数メートル上空を飛んでいると錯覚するほど透明な水を透して見える川底はぐんぐんと後方へ流れて行く。


新緑の眩しい谷間をゆく

左右に圧倒的な迫力で迫る山並。緑、と一口に言っても、こんなに種類があるのか!そんな当たり前のことを気付かせてくれるパッチワークのような新緑。屈曲を越えるたびに現れる雄大な滝...。手を伸ばせば届くほどの距離を飛び去るカワセミ、まるで僕を狙っているかのようにカヌーの真上をかすめる大きなトビ...熊野川はやはりすごい!ガンネルに渡したパドルに身体を預け、自然の息吹を感じながら、僕らのカヌーはゆるゆると進んで行く。
ランチタイム以降、そんな僕のフネのバウにはボトムにカヌー用ザ・チェアを敷いてAzuとMoeちゃんが仲良く並んでいる。ふたりは瀞場では何やらペチャクチャおしゃべりを楽しみ、瀬に入るとシートの枠に両手で掴まり身体を伏せて(まるで飛行機の不時着時の姿勢そっくり)キャーだのウギャ−だのにぎやかだ。
決して本気で怖がってるわけではなくて...そう、ジェットコースターで笑顔で悲鳴を上げてしまう「ぶりっ子な」女性のようでとてもカワイイ。


20kmずっとこんな透明度が続く

こんな瀞場でもかなりの速さで流れている熊野川

そんな彼女たち、時折岸辺に咲く野花を見つけては『ねぇ、パパァ〜あのお花採って〜』と甘い声でおねだり。「はいはい」(苦笑)といちいち寄り道しては岩場に接岸して彼女達の希望を叶えるのだが...飛雪ノ滝下流にそう簡単にはいかない場所が現れた。「うぁ〜大っきい〜、あんなところにオレンジ色のお花が咲いてるわぁ!ねぇ、パパァ〜あのお花採って〜。」川の真ん中にそびえる岩山。正式な名前は知らなかったけれど、ヤマシタさんによれば「昼島」という島だそうだ。その昔、熊野川で筏下りが盛んだった頃、ちょうどこの島がお昼の時間であったところからそう名付けられたらしい。(えっ、昔の筏師はここまで午前中に下って来たの!)とにかく僕の知る限り熊野川を下る者にとって最も印象深い魅力的な一枚岩の島である。

「えっ、あ、あれに登れってかっ!?」「ほらぁ、てっぺんにお花がい〜っぱい!」「良い子は見るだけにしようね。」高所恐怖症の僕はそ知らぬ顔で通り過ぎようとする...のだが、今日の相棒はpapaclimber・アキヒロさん(笑)「あっちから登れるかも知れんなぁ。」あ〜この人もう登る気でいる(涙)渋々下流側に伸びた砂州にカヌーを寄せて上陸。フネを繋ぎ終わる頃には、PFDを身に着けたままの子供達が中腹まで登ってしまってる。「これは景色いいなぁ!信仰の対象になってもおかしくないぐらいのイイ岩山だね。」アキヒロさんも子供達に続いて登って行く。しょうがなく僕も登ってみる...こいつはスゲェ!これまで何度も通り過ぎたけど、実際に登ってみたのは今回が初めて。360度雄大な熊野川の大パノラマが堪能できる!!岩の割れ目にはツツジが自生し、いくつもの水たまりには青い空が映って素晴らしい光景だ。


ねぇ、パパァ〜あの岩に登りたいのっ!

 

昼島に接岸〜上陸

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昼島全景

昼島を下りるPapaclimber

飛び込み!(Maakun)
自称・カエル飛び

頂上からの眺めに感動していると、下の方で「ドボン!」という水音。岩の縁から恐る恐る覗き込むと、Maakun&Koukunが、早くも岩の飛び込み台を発見して、飛び込み大会を楽しんでいる。「わっはっは、怖ぇ〜!、ドボン!」飽きることを知らないふたりはヤケクソのように何度も何度も岩によじ登っては飛び込み、泳いではまた飛び込み、を繰り返す。そのうち段々エスカレートしてきて、とんでもない高さからの飛び込みを始めたところでMaakunが怖くなってリタイア。


飛び込み!(koukun)
おいおい高過ぎるって!

ここで父親がPapapaddlerかPapaclimberかの差が出た模様(笑)(泳ぎに関しても、飛び込みに関してもMaakunはKoukunに勝てない。それが彼にとってKoukunの魅力になっているらしい...。)
一時間をここで過ごした後、少し風が出てきたので先を急ぐことにする。

昼島でゲットしたツツジを瓶に入れ水を注いで色水を作って遊ぶオジョウサマたち(笑)を乗せて、僕らのカヌーは下流を目指す。さきほどまで太陽を隠していた雲が流れ谷間が眩しい光に満たされると、心配した風もすぐに止んで、再びグッドコンディションの熊野川に戻る。前をゆく2艇を写真に収めようとカヌーの上に立ちあがると、水深数メートルはあろうかという川底に細長いカヌーとカメラを構えた自分の影がくっきりと映っているのが見える。思わず手を振ってみると影も手を振って応えてくれる(当たり前だけど)今日は今春初めての夏日。暑さに耐えかねたMaakunとKoukunがカヌーから川に飛び込んでカヌーと一緒に流れていく。夕方を迎え、徐々に低くなる太陽。太陽を背にしたある角度から彼らを見ると、あまりの透明度に水面の反射が一瞬消えて、彼らが空中に浮遊しているように見える瞬間がある。


暑さに耐えかねて川に飛び込むMaakun

「えっ!?」そんなことはありえないって判ってるのに、我が目を疑う。
前方に新宮市の西にそびえる千穂ケ峰が見え始め、川が最後の屈曲を迎えると、いよいよゴールは間もなくだ。


河口近くまでこんな澄んだ流れ(正面は千穂ケ峰)

「これってホントに20kmあるの?この前の古座川の半分ぐらいに感じるんだけど。」マラソンレースなら2時間で下る距離を5時間以上もかけて下ってるというのに、Mamaは全く疲れを見せず逆に名残惜しそうにわざとゆっくりと漕いでいる。

「古座川は15km。今回は20kmだよ。でもパドルを動かした回数は半分以下かもしれないね(笑)」「これなら田戸から河口まで1日で下れそうね。」「真剣に漕げば5時間もあれば田戸〜新宮42kmを漕げるかも。でもさ、川で泳いだり、ゆったりランチを楽しんだり、岩に登ったりしながら半日かけて下る20kmの方が楽しいよね。」

速玉大社前の河原が近づくと、最近なぜか増えたように感じるジェットスキーの爆音に閉口させられたけれど(いつもは河原で座ってるくせに、僕らが近づくとてくると急にエンジンに火を入れて僕らのそばを行ったり来たり。まるで「見て!見て!」ってオモチャを見せにやってくる幼児のようで失笑してしまう。僕らはギャラリーじゃないって〜の!そんなオジサンたちの姿を見てAzuがひとこと「おさるのジョージ、自転車に乗る」みた〜い!バ、バカ、あんまり大きな声で言うなよ!)、なんとかゴールに到着。
「今回のダウンリバーはどうだった?」そう尋ねる僕に、珍しく多弁なMamaが答える。

「もうっ、熊野川最高〜!自然も良かったけど、古座川で風が吹いた時の漕ぎ方が何となく解ったじゃない?今回は川の流れの読み方っていうのかなぁ、どこをどう下れば安全なのかが解った気がするのよね。


オールドタウンは、ヤッパ赤だな...

要はMaakunが言う通りなのよ、これが。カヌーでの川下りってさぁ、外国語修得に似てるわよね。日本で何年も習ったことよりも現地で何日か生活したことの方がタメになるでしょ?あれと同じよ、川も。」


3艇積みはちょっと無理かも...

カヌーを岸に上げ、堤防下に回送しておいたDiscoveryをカヌーのそばに寄せ、3艇のカヌー、2家族の荷物、そして大人4人子供4人を積みこむ...というか詰め込むって感じ(笑)一応Discoは7人乗り。道交法では、子供3人=大人2人という換算なので定員オーバーではないんだけれど、まあ、「クルマにどれだけ乗れるか!?ギネスに挑戦!!」的な感じであるのは否めない(笑)でも、クルマを取りに行ってる間、夕暮れ時の河原で待つツマラなさよりも、みんなでワイワイ今日のツアーを語り合いながら帰る方が楽しいので、これでいいのだ!
たぶん総重量2.5t近くになったDiscoはヨロヨロと国道を走り、スタートポイントの三和大橋に到着。美しい夕暮れの光に映える三和大橋を背景にみんなで記念撮影を終えると、いよいよ今日帰宅する予定のアキヒロ家とお別れだ。「じゃ、またね!今度は熊野古道トレッキング、かな?(笑)」

 

 

 

ダウンリバーその後 アキヒロ家と別れたあとは、キジ料理を食べ、新設された北山川を眺められる露天風呂でゆっくり疲れを癒そうということになり、熊野川〜北山川沿いの細い山道を通って紀和町・瀞大橋たもとの民宿大和屋へ。民宿に到着して名物・キジ重を注文した直後、とんでもない事実が発覚する。「こんな高い料理注文して、お金は大丈夫?」Mamaの一言で、ふと防水ウェストバッグを見ると...な、ない!財布がない!!キジ重そっちのけでクルマの中を捜索する僕(キジ重の味、全く覚えてないよ...涙)。残念ながらクルマにはない。アキヒロさんに電話してランカスターの車内を探してもらうけど、やっぱりない。記憶を辿ると、そういえば今朝「おむすび一郎」でおにぎり買ってから、まるまる1日財布見てない(カヌーツアーの時は全くお金を使わないもんね。)。やっちゃった〜!たぶん財布は川だな、これは。(涙)暗がりの中捜しても見つかるわけがないので、とりあえず温泉は断念して、駐在所に飛び込んでパジャマ姿の駐在さんに慰められつつ紛失届を提出。ドキドキしながらMamaの財布の残高を確認して、熊野川温泉さつきで心を落ち着かせる。「パパぁ〜、コーヒー牛乳飲みたい。」「ちょ、ちょっと待てよ。お金ないから二人で一本な!」

去年のカヌーマラソンは防水カメラCanon D-5、秋の「お父さんだけのダウンリバー」ではコンタクトレンズ、そして今回は財布(免許証、キャッシュカード、クレジットカードなどもれなく含む)と、熊野川では毎回やたらと高額な年貢を納めさせてもらってる。(バカとしか言いようがないな...涙)「せっかく楽しい旅だったのにスマン!」落ち込んで小さくなってる僕にMamaが一言。「現金は...もったいないけど、お天気回復手数料、風止め料、熊野川安全通行税...合計でそれだけならワタシ喜んで払うわ。免許やカードなんてただのプラスティックのカケラじゃないの!盗まれたわけじゃないから、明日朝一番に止めれば大丈夫なんだしね。でも熊野川にゴミを残しちゃったことは少し反省しなさいよ、ねっ!」ボク、アナタトケッコンシテヨカッタ!

温泉に入って少し落ち着きを取り戻した僕らは、再びキャンプ場に戻る。ああ、今夜は眠れないな、きっと。...そう思ってたけど、朝までぐっすり寝てしまう僕らだった。(でも夫婦揃って河原で財布を見つけて「やった〜!」って抱き合う夢をみたけど...笑)
翌朝6:00、僕はひとりゴソゴソと起きだして、Discoに乗って財布捜索に向かう。『ワシも三和大橋の前探しといちゃるから、アンタも心当たりを探しときよぉ〜!』親切なパジャマ姿の駐在さんに和歌山弁で言われたので、一応三和大橋のスタート地点を皮切りに熊野川左岸のクルマ一台ギリギリの山道を通り、立ち寄った河原の上でクルマを停めて、ほとんど「ロッククライミングな」崖を下って河原を捜索する。山道は限りなく細く、直前をニホンザルやテンがヒョイヒョイ当たり前のように横切る。いつも見慣れた右岸の立派な国道からの眺めとは全然違った素晴らしくワイルドな熊野川...見とれている場合じゃないけど、ついついクルマを停めて見入ってしまう。(↑の昼島全景もこの時に撮影しました...笑)結局、2時間以上かけて新宮のゴール地点までをくまなく探したけど財布は見つからず、でも、何となく満足感に包まれてキャンプ場に戻ることになった。

キャンプ場に帰るとMamaがフレンチトーストを焼きながら笑顔でお出迎え。「早く撤収して、携帯の通じる場所まで下りて銀行やカード会社に連絡しなくっちゃね。」撤収を終えて「道の駅・熊野川」で必要な届け出を全て完了して(幸い、不正使用はされていなかった!)、ホッとしながら帰途につく僕ら。
今年のGW一番の好天の中、カシータを牽いた僕らのDiscoはGWだというのに相変わらず普段よりも空いた国道を北を目指して走る。「今日は無駄遣い出来ないわよ!」Mamaに釘を刺されて、道の駅で立ち食いうどんをすすりつつも、何故か幸せな僕だった。熊野川さん、今度は何も奪わないでね...(笑)

 

 

飛雪ノ滝下流の大岩・「昼島」に咲くツツジ

 

 

ダウンリバーその後2 
Papa「今日さぁ、財布探して熊野川の左岸の山道走ってたら、いっぱいニホンザルに会ったよ!」
Mama「いいなぁ〜、私達も見たかったのに!!」Maakun「一緒に行けば良かったなあ、昼ご飯食べた河原へ下りる道を教えてあげられたのに!」
Papa「サルも見たかっただろ?」
Maakun「えっ?サル?サルはいいよ。学校でいくらでも見られるからさ。」
一同爆笑

学校新聞によれば...『夏休みの暑い日、30匹ほどのサルの群れが学校に遊びにやって来ました。学級園のトウモロコシや落花生で食事をすませた後、プールでひと泳ぎ。とってもじょうずに泳げるようになりました。』とのこと。これを読んでMaakunが一言。「えっ!30匹も!!僕の学年より人数多いよ。」
またまた一同爆笑


Maakun&Azuの小学校の学校新聞ニュースNo.0008より

ま、カワセミやコゲラ(啄木鳥)が教室の窓ガラスにぶつかって死んじゃったり、サルの群れが危険なので集団下校になったりする学校に通ってれば、サルなんて見たくもないよなあ... 

 

 

 

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