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October.2001

 

 

10月21日 イモ掘り! “カントリーマン”Uおじさま(...と子供たちは呼ぶ。僕と同級生なんだけど...笑)からイモ掘りのお誘い。いつもながら本当にお世話になります...などと言いながらも遠慮のそぶりも見せずに(いつもスミマセン!)お邪魔することに(笑)。今回は七五三のお宮参りがキャンセルになったアキヒロ家と途中で待ち合わせて一緒にUおじさまの実家を目指す。10:30実家到着。Uおじさまや臨月で大きなお腹の奥さん・ヨーコちゃん、そしていつも暖かく出迎えて下さるお母さんに挨拶もそこそこに畑へ向かう。

↓この笑顔を見よ!↑

『あのな、鎌を使ってて危ないからな、おじさんがOKって言うまで畑に入ったらアカンで!』Uおじさまは真剣な顔で子供達に言い含める。今年は黒いビニールシートで畝を覆う「マルチ栽培」ということで、鎌を手にしたUおじさまが蔓をはらう後ろから僕とアキヒロさんがマルチシートを剥がしていく。マルチシートが剥がされると畝に覗くピンク色のサツマイモ。「うぁ〜あるある!」子供達がどっと畑に入ってイモに群がる。「コラッ!入るなって言うのに!」おじさまの声にスゴスゴと戻る子供達。再びシートを剥ぐと、丸々としたイモの上半身があらわに(笑)「うぁ〜でっか〜い!」イモに群がる子供達。「コラッ!入るな!」「すまんなあ、親の躾がなってないんで...。」さらにシートを捲るとシートにイモがひっかかって持ち上がる。

「うぁ〜、イモイモぉ〜!」「コラッ!えっ?」...そこにはイモの蔓を引っぱる子供達に混じってともちゃん&いずみちゃんのママコンビの姿が...。「すっご〜い!キャー!」「・・・」「ごめんなぁ、嫁の教育がなってないんで」(涙)

小一時間でたくさんのイモを掘しだして、再びUおじさまの実家に戻るとヨーコちゃんやお母さんが昼食の準備をして下さってて一同恐縮。雨が降り出したのでガレージを借りて七輪に火を熾し12inchのダッチオーヴンでヤキイモ開始。美味しい炊き込みご飯をはじめ、手作りこんにゃく、取りたて落花生などを戴きながら掘り立てサツマイモを食する。う〜ん、シ・ア・ワ・セ。

オトナが話に夢中になってると小3お兄ちゃんコンビはちょっとヒマそう。「おい、Maakun&Koukun、おじさんと一緒に落花生取りに行こうか?」ふたりはUおじさまに連れられて軽トラックで落花生畑に。小1妹コンビは実家前の渓流の岸辺で椎の実や草を使って延々3時間以上おママゴト(笑)。イモ掘り、落花生取り、おママゴト、裏山探検etc...Uおじさまと家族の皆さんのおかげで楽しい一日を過ごすことができた。
帰り際には、山で取ってきて大事に鉢植えしてくれてた、今年のクリスマス用樅の木まで戴いてもう感激!去年の樅の木は伐採したものだったけど、今年のはちゃ〜んと生きてるので大事に育てたいと思います。それにしてもカワイイ樅の木!

Uおじさま、ヨーコちゃん、お母さん、お父さん、アリガトウ!


「熊野川は薪がいっぱいでさぁ。」「ふ〜ん」

 

 


 

 

 10月12-14日 北山川〜熊野川「お父さんだけの」ダウンリバー&キャンプ

  

 
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10月12日 「ヨメさんの瀬(6級)」を越えて(1日目) 9月半ば以降、運動会やフリーマーケットなど行事の連続でカヌーを楽しむ暇がない(涙)。今月末はAzuの七五三が予定されてるし、今週末はMamaのフラメンコフェスティバル...もしかして今シーズンのカヌーはもう終わり?という緊急事態。ん、ちょっと待てよ!確かに家族全員で行動するのは無理だけど、Mamaが踊るわけじゃなしフラメンコの日に僕だけなら行けるんじゃ...ってわけで、Mama懐柔大作戦開始!紆余曲折の末、「行ってもいいわよ。」発言を取りつける。今回の行き先は、子連れではかなりシンドイ北山川・田戸〜熊野川・河口の45kmロングダウンリバー。
僕ら妻子あるパパパドラーがひとりでダウンリバーしようとする場合、独身の時にないいくつもの障害が立ちはだかる。(僕らはそんな障害を川の流れになぞらえて「瀬」と呼ぶ)ひとつめの瀬は「仕事の瀬(5級)」...これは入念なスカウティング(偵察)と準備で何とかなるのだが、それ以上に凶悪で僕らパパパドラーにとって最も波が高く、しかも日々刻々コンディションが変化するという難易度が高い2番目の瀬...それは通称「ヨメさんの瀬(6級)」だ(笑)。
『夫婦喧嘩は犬も喰わない』という言葉もあるように、当然レスキューしてくれる人はいないし、ひとたびパドリングを誤ると川に出ることさえ不可能になるという大変な事態に陥るコワ〜イ瀬(笑)。今回は、そんな2つの瀬を無事越えた3人の精鋭パパパドラー(マジコさん、アキヒロさん、僕)が北山川に集結することになった。


ダムの連続放水で約1m増水中の北山川

仕事を終え夕食を食べたあと、ひと風呂浴びてからクルマにカヌーを積んで19:00家を出る。珍しく子供達が手を振りながらクルマを追いかけてくるのがちょっと泣かせるが、カーステレオの音楽を「犬夜叉」や「名探偵コナン」のテーマソングからお気に入りのクラプトンに変えると、「お父さん」は「男」に戻る。
ガラガラに空いたR42を南下、一路集合場所の紀和町・瀞大橋下の河原を目指すと、3時間ほどで漆黒の闇に包まれた河原に到着。ジプカ(ヘッドランプ)を頼りにまずは薪拾い。遠くからやってくるマジコさんやギリギリまで仕事だったアキヒロさんを暖かな焚き火で出迎えようという考えだ。
ところが全く流木がない!一時間ほど河原を歩き回って集まった薪は一束ほど(涙)しょうがないので水辺で寝転がって星を見ていると「ど〜も〜!」マジコさん到着。

ギンギンリバティー号が見えマジコさんが姿を現すと、暗く冷たい河原がいっぺんに暖かな空気に包まれるから不思議だ。ふたりでスズメの涙ほどの薪に火を点し、Mamaが魔法瓶に入れてくれたコーヒーを飲みながら語り合う...でも焚き火は15分ほどで鎮火(涙)ちょうどそこへアキヒロさんランカスターの青白いヘッドランプが見えてくる。全員揃ったところで「仕事の瀬」と「ヨメさんの瀬」を越えた同志を讃えつつ、楽しい会話もほどほどに明日に備えてそれぞれのクルマで眠ることにする。オヤスミなさい!



下瀞を下る。川面は暗いが両岸の山の中腹はすでに日の出を迎えてる。

10月13日 長いけど短い一日(2日目) 流れるようなスムーズなパドリングで長瀞の小滝に似た瀬に突っ込む僕。(オレってこんなに上手かったっけ?)両岸の岩の上にはキレイなお嬢さん方が笑顔で手を振ってる。前方には赤いアパラチアンとALLY。
『akiさ〜ん!』お嬢さんのひとりが僕を呼ぶ。せわしく動くパドルの手を止めお嬢さんに手を振る。『akiさ〜ん!』もしかしてオレ、モテてる?『akiさ〜ん!』ん?あのお嬢さん、妙に声が野太いな。『akiさん、そろそろ行きましょうか。』...え、あれ、はぁ?夢?目を開けると窓の外には笑顔のマジコさんとアキヒロさんが...声の主はマジコさん。やっぱり夢でした(涙)

6:00a.m. カヌーを積んだ3台のクルマは瀞大橋を出発し中間点の三和大橋・熊野川町役場前に向かう。(今回下る北山川〜熊野川45kmコースにはこの2つしか橋がない!)こんなに早起きしたのは、スタート地点と20kmポイントの志古間を大波を上げて疾走する観光ジェット船の運行前に静かな瀞峡を楽しみたいからだ。国道とは名ばかりの細い山道から時折見える北山川はこれまで見たなかで最も水位が高く、流れが速い。


瀞ホテル上から北山川を望む

これまで気付かなかったけど、国道の脇には500mおきぐらいで『ダム放流中!注意!』の電光掲示板の赤い文字が点滅している。携帯で国土交通省のHPにアクセスすると水位は+1.08m。でも渦巻いて流れる濁った水を見てると、もっと増水してるような気がするのだが...。役場前のパーキングにクルマを入れ、アキヒロさんのLettmanを僕のディスコに積み替え、アキヒロさんのランカスターをここに置いて2台でスタートポイント田戸・瀞ホテルへ。


スタート準備をする3人

相変わらずすごい山道(前回家族でココを通った時は鹿が道を横切ったり、沿道の木立にニホンザルの群れがキーキー威嚇してきたり...)を50分ほど走って田戸に到着。スタート準備に取りかかる。カヌーをクルマから降ろし、肩に担いで瀞ホテル脇の階段を下りる。
ここは幅が狭く急峻でしかも2箇所のクランクがあり、僕が「瀞ホテル階段の瀬(4級)」(笑)と呼んでる地獄の階段だ。『ピアノ引っ越しセンターのおにいさんでも苦労するだろうなあ...』なんて思いつつ全ての荷物を運び終えると8:00ちょうど。

いよいよ僕らは田戸・ジェット船発着所をスタート。両岸のほぼ垂直の岸壁にはさまれた北山川は、まだなお朝靄に煙っている。ジェット船の始発前の瀞峡はパドルの水音のみが響くまさに幽玄の世界。そこを静かに進む3艇のカヌー...。

この深山の水面にいるのは僕らだけ。何故か特別な人になったような優越感?いや、妙な満足感が僕を包む。「いやぁ、いいッスねぇ!」初めてここを下るマジコさん&アキヒロさんは、周りの岩を眺めながらゆったりパドルを動かすけど表情にスタート直後のドキドキ感がありあり(笑)。

水位が高くて崩落岩くぐりは出来なかったけど、両岸の奇岩群を眺めながらフネを進める。この静けさを味わうだけでも地獄の荷下ろしを頑張った甲斐があるというものだ。

両岸の切り立った岸壁を抜け、ジェット船第2休憩場のソフトクリームの看板(!)を過ぎると、いよいよ川はかなりの流速で流れ始める。川に出て初めて聞く瀬音。水量があって流れは速いものの川幅が広く波はいつもよりマイルドな感じだ。カヌーマラソン42kmコースのスタート地点・瀞の郷キャンプ場や民宿「はるや」を横目に見ながら、いつも「気をつけてなぁ〜」と声を掛けてくれる「はるや」のおじさんの和船を探すが、朝が早くてまだ川に出ていないようだ。


ジェット船休憩所のテントを背にスタート 

間もなく木津呂キャンプ場前の「大瀬」にさしかかる。以前に乗ったジェット船の船内放送によると田戸〜志古間で最大の瀬で昔、材木運搬のための筏下りの筏師がよく命を落としたらしいのだが、今日の水量では瀬と呼べないほど穏やかな流れになっている。ただここは左岸の河原が高く、見通しが非常に悪いので、家族で下ると必ず瀬の途中でジェット船に出くわして「プワ〜〜ン!」と警笛を鳴らされる場所でもある。ジェット船は独特の低周波のエンジン音が聞こえるし、船首に3mほどの竿に黄色または赤色の旗をを立てているので大抵は事前に気付くのだが、急カーブで河原が高い瀬だとその旗さえも見えず瀬音でエンジン音も聞こえない。至近距離の岩陰からニュウ〜と二十数メートルの巨体が現れ、肝を冷やすこともしばしばだ。


ジェット船にバウを向けて待機するふたり

40分ほどで、昨夜泊まった瀞大橋下を通過。その後は痛快な瀬と穏やかだけどかなりの流速がある瀞場が交互に現れる。一時間ほど漕いだところでそろそろ休憩することに決め、マジコさん&アキヒロさんに声をかける。
「そうですね〜、でも...」何やら歯切れが悪い答え。はたと気付いた僕がもう一度声をかける。「ジェット船の一番船とすれ違ったら休みましょうか?」「そうですね〜!一度はジェット船の波を経験しておかないと何やら不安で...」やっぱり!(笑)
しばらく行くとかすかな低周波が耳に入る。「ブウウウウ...」そんな音が「ブ〜〜〜ン」に変わる...ジェット船だ!正面の河原の上端ギリギリを移動する黄色い旗。「待望のジェット船で〜す!」僕の冗談にも反応せず真剣な表情のマジコさん&アキヒロさん。

船体が見えると僕らは素早く岸辺近くに移動しバウをジェット船に向ける。「ブ〜ンブロロロロ...」エンジン音が変わる。一番船の運転士さんは僕らの直前で、スピードを落としてくれる。ジェット船の立てる波は直線では50cmほど。しかも規則正しい波形で、正面で受ければビギナーでも滅多に沈することのないごく簡単なもの。でも瀬直前のカーブのアウト側では時には1mにも達する場合があり、横から受けると、ちょっとヤバい。しかも背後が絶壁の岩場では返し波がぶつかりあって複雑な三角波が発生したり、岩場に近づきすぎて岩に激突したり、と危険なこともたまにある。でも、なかでも一番間抜けなのは一発目の波で岸辺に打ち上げられてしまうことかな(笑)

「結構大きな波ですねぇ〜!」ジェット船初体験のマジコさんはホッと一息。
間もなく2番目のジェット船が現れる。「ポォァン!」注意を促す短い汽笛が鳴り、僕らは再びジェット船のコースから外れ待機。僕らの前を超低速で通過する2番船。「プァン!」また短い汽笛。ふと操舵室を見ると運転士さんがニコニコしながら片手を上げ「サンキュー!」の合図。最近「カヤッカーの格好をした人は乗船禁止」なんていうスゴイルールが出来た(...らしい)熊野交通だけど、結局は人によって対応は様々なんだなぁってしばし感動。運転士さんの後ろの窓からは観光客のオバチャンが何か言いながら手を振りまくってる。
(僕がジェット船に乗った時はグラデーションの派手なサングラスしたおババ軍団が『あ〜カヌウやぁ〜!ニィちゃん、カッコええでぇ〜〜!』って叫んでたけど...笑)


おばちゃんが手を振ってるのがわかる?

うちのMaakunなら「ケッ!」と目を逸らして照れるところだけど、そこは愛想が良いのが取り柄の(笑)パパパドラー軍団。ジェット船の波にダッチロール状態のなかでもパドルから手を離してニコヤカに手を振るのでした(笑)。ただ、以前僕がジェット船に乗った際にカヤックを発見したジェット船が速度を緩めたその時、ひとりのオジサンが『あ、なんで止まるん?なんや!遊びの舟かいな。あんな小さい舟に乗って...危ないのォ。ジェット船が走るんやから、あんな舟は通行禁止にしたらエエんや!いっそ事故でも起こしよったら禁止できるのんになあ。コラッ!どけっ!』とまるで自分が運転してるかのように叫んでたのを聞いた経験があるので、この川でカヌーが決して歓迎されてるわけではないことを肝に命じておきましょう。えっ、その時オバチャンたちはどうしたかって?オジサンの声を無視するように手をブンブン振り回しながら『ニィちゃん、カッコええでぇ〜〜!』(笑)

ジェット船初体験を済ませたところで初めてのコーヒーブレイク。河原に上陸してアキヒロさん持参のチョコパイを戴く。最近のチョコパイの包みには「今日の運勢」が書かれている。乙女座(僕、恥ずかしながら乙女座です...涙)は、え〜と...ん?今日の乙女座『恋愛運◎』やった〜!恋愛運だってよ〜!...喜びもつかの間、「鹿と猿しかいないココで誰と恋愛するんですか?」あたりを見回すとマジコさんとアキヒロさん。ゲッ!『金運○』まあまあ嬉しい、かな?「今日は財布使うところないッスよ。」...確かに(笑)


通過するジェット船を見送る

ジェット船を上り下り5隻ほどやり過ごすと、再び北山川に静けさが戻ってくる。これまで何度かここを下ったけど、こんなにジェット船が少ないのは初めての経験だ。「ジェット船って、まるで瀬が向こうから猛スピードで近づいてくるようなもんですねぇ。」とマジコさん。「『動く2級の瀬』ってか?(笑)」一同爆笑。

川幅はさらに広がり正面に川を遮るように山が見えて来ると北山川は十津川と合流して熊野川と名を変える。以前、四万十川がそうであったように熊野川は建設省によって公式には「新宮川(しんぐうがわ)」と名称変更を余儀無くされた。ところが地元の人達がいつまでも愛情を込めて「熊野川」と呼び続けたため、数年前に公式に「熊野川」に戻されたという経緯がある。

合流ポイントは水位に関わらず(大増水の時は別)それほど複雑な流れではなく、比較的簡単に進入出来る。それは合流の角度が浅い上にジェット船の航路を確保するために川底を重機で掘り下げていて、2つの川の水はかなり下流まで混じりあうことがないためだ。

どうしてそんなことが分かるって?→の川の色を見て!ダムから蛇行を繰り返しながら20km以上も流れてきた北山川と数キロ上流にダムがある十津川はこんなに透明度が違うのです。

合流ポイントから瀬のほとんどない、でも流速の速い流れを下ると右岸に志古のジェット船ターミナルが見えてくる。運行時間を過ぎると運が良ければジェット船の脇に上陸を許可され、水辺までのスロープにクルマで進入できるのだが、今日はそのまま通過する。
この先、もうジェット船に出会うこともなくなった熊野川は、僕らパドラーの独壇場だ。ただ、ジェット船の航行に合わせて川底に手が入り、隠れ岩が排除された安全な本流がここで終わることも意味するので、少し気を引き締めなければならないのも確かなんだけど。


北山川と十津川の合流点(右にいるのはアキヒロさん)

志古から10分ほど下ると、前方に三和大橋が見えてくる。1級の瀬を越えて橋をくぐると、そこは懐かしいカヌーマラソンのスタートポイント。「ウゥゥ〜〜」12:00のサイレンが谷間に響き渡るなか、今回のコースのほぼ中間点、ここ熊野川町役場前河原に上陸。クルマの回送と昼食のためダウンリバーは小休止となる。それにしてもジェット船を避けたり、途中で休憩をとりつつ25kmを4時間ジャストはいつになくハイペース(カナディアン船団にしては)。今日の北山川がかなり流速がある証拠だ。


中間点・三和大橋をくぐるマジコ

カヌーを河原に置いて、デポしたアキヒロさんのランカスターで田戸へ。田戸でそれぞれのクルマに乗り込み再び三和大橋に戻り、河原でお待ちかねのランチタイム。...といっても、そこはお父さん3人のパーティらしくフランスパンをかじったり、即席麺を茹でたりと行動食っぽいごくシンプルなものだ。ランチを終えると再び3台のクルマを連ねてゴールポイント・熊野速玉大社前へ。ここでマジコさんのリバティと僕のディスコを残し、ランカスターで再びカヌーに戻る。先月の犀川でKevipaさんが言われた言葉「カヌー遊びって車の回送がなければもっとオシャレな遊びなんですけどネェ。」全く同感である。(今回は45kmコースということで車の回送だけで細い山道を往復100km以上走ることになる。カヌーで45km、クルマで100km...よほど好きじゃないとやれないよね...笑)

でも、今日は水量も多く普段より多少危険なのでR169から下見が出来ていいなあ、なんて思ってたら、「見ました?流木がいっぱいの河原が多数!でしたね。」とマジコさん。ダメだこりゃ、みんな川より河原を見てるんだもん(笑)
前回の台風直撃でR169は崖崩れが3箇所、道路の陥没が1箇所起きていて、いたる所で片側交互通行。おかげでカヌーに戻ったのは15:00すぎ。再びカヌーに乗り込んで川を下り始める。この時期ともなると15:00を過ぎると太陽が大きく西に傾き川に映る自分の影も長くなる。最初のカーブを越えると、そこからはもう川面は完全に日陰になって暗く冷たい雰囲気になってくる。「そろそろ薪集めしましょうか?」誰からともなくそんな声が上がり、両岸の河原に寄り道してノコギリを手に手際良く適当な長さに切りそろえカヌーに積みこむ。

途中の河原に立ち寄って薪を集める(たくさん集まって最高にシアワセ!)

道の駅「熊野川」を越えるとここからが後半のハイライト。谷がせばまり、集落もなくなって手付かずの自然がワイルドな景観を見せる。ここからの熊野川は両岸から崩落した巨岩が川をふさぎS字カーブの連続となる。今日は特に水位が高いので、複雑な流れが渦巻き、崩落岩のストレーナー、隠れ岩、ボイルetc...パドルの手をひとときでも緩めると簡単にカヌーは横を向いてしまう。「薪積んじゃうと重い重い!これじゃ子連れとおんなじだよね(笑)」そんな冗談を飛ばしながら、薪満載の喫水の下がった3艇のカヌーが波を潰しながら進む。
夕暮れが確実に迫り、あたりが徐々に暗くなりはじめる。両岸にワイルドな小さな河原が次々現れるけれど、今にも岩が崩落しそうだったり、高さが足りなくて急激に水位が上がった際に避難路がなかったりとキャンプに適さない場所ばかり。


絶対に!ゼッタイに沈できない!

崩落岩群のS字カーブに入る

今夜のキャンプサイトが決まらない!ちょっとだけ不安を感じ始めたその時、少し川幅が広がった左カーブ内側にかなり高さのある河原が現れた!岸辺から15〜20cmほどの石の並んだなだらかなスロープが続き、てっぺんは一段高くなって寝心地の良さそうなフラットな玉砂利。下流側に回りこむと、そこには一面の流木!「ココに決める?」僕がそんな言葉を発したその時、「チィー!」暗闇が迫り淡い紺色に染まった川面をコバルトブルーのカワセミが一直線に飛び去る。「ココにき〜めた!」3人は迷うことなくストリームアウトしてカヌーを小さな入り江に向ける。「だって、カワセミが「いらっしゃいまっせ〜〜!」って言ってるんだもんね。」とマジコさん。


夕暮れのキャンプサイト(30kmポイント)


極楽モードのふたり

今日のキャンプサイトに上陸するやいなや、カヌーから防水バッグを降ろし、各自テントの設営に取りかかる。一秒ごとに迫り来る暗闇と競争のような設営だが、3人とも「勝手知ったる河原の我が家」使い慣れたテントの設営は10分ほどで完了する。ほどなく今日の夕食当番・マジコさんが大鍋に材料を放り込んで料理を始める。今日の夕食はキムチ鍋。川を吹き抜ける強い風で冷えた体を芯から暖めてくれる今夜にぴったりのメニューだ。その横でアキヒロさんと僕が焚き火を育てる。焚き火が3人の顔を赤々と照らし始める頃にはキャンプサイトを完全な暗闇が覆う。
稜線近くの低い空にはオリオン座の三ツ星。「オリオンって冬の星座だよね。もうそんな季節なんだなぁ。」誰ともなくつぶやく。フライシートをばたつかせる風は何となく冬の匂いがする。
「もうOKっすよ〜!」マジコ料理長の一声で男の静かな宴会の始まりだ。

焚き火を囲んで河原に腰を下ろし、まずはビールで乾杯!「うぅぅ、うまい!今年一番ウマいビールだ!」焚き火に架かったまさに「五臓六腑にしみ渡るウマさ」のピリリとしたマジコ特製キムチ鍋を突つきながら慈しむように一本のビールを味わう。ビールが終わるとバーボンが登場。
「うぁあ、スゴイ星空!」見上げるとさっきまで数えるほどだったのに、黒一色の山の稜線と無数の星に埋め尽された夜空のコントラストが素晴らしい。僕らの真上を斜めに走る天の川...風が強いせいか全ての星がチカチカと明滅を繰り返している。「これが見たかったんだよねぇ。」あいつらにもこれを見せたいナ...そんな言葉を飲み込みつつ僕らは男3人ならではの楽しく深い会話を楽しみながら宴は続く。

焚き火が少しでも力を失なう兆しを見せると、誰ともなくすぐそばの無尽蔵に散らばる薪を加える。一週間は焚き続けられる川の恵み=薪に感謝しつつ、ふと空を見上げるとオリオン座がいつの間にか頭上で煌めいている。あれ?まだ午前0時になってないだろ?やけに星の動きが早い?左手のプロトレックを傾けるとブルーのバックライトに浮かび上がる“2:39”の文字「おいおい2時半過ぎてるよ!」「えっ!」絶句する2人。「じゃ、7時間かけて夕飯喰ったわけ?そりゃ、うどんが8玉もなくなるはずだわ(笑)」「お疲れさんでした〜!おやすみなさい。」
テントに戻ってシュラフに身体を横たえると、風がフライシートをばたつかせる音に混じって、牡鹿の鳴き声が聞こえた。「ああ、近いな。」そう思った瞬間、僕は深い眠りに落ちた。


大鍋とアキヒロさんのロッキーカップ。欲しい....
 


東の空から昇るオリオン座
(これは絵ですが、こんな感じだった...笑)


キャンプサイトの航空写真



朝日に輝くキャンプサイト

 

10月13日 ロングツーリング、いよいよゴールへ(3日目)またまた牡鹿の鳴き声で目が醒める。う〜ん...大きな欠伸をしながら窮屈さが心地よいマミーシュラフから左腕を出してプロトレックを覗き込む。...7時かぁ。ジィィップ!シュラフに足を突っ込んだまま、テントのジッパーを開けるとひんやりとした冷気が僕の顔を洗う。いきなり目前に広がる熊野川の大パノラマ!右岸の急斜面の稜線から今、まさに太陽が顔を覗かせる瞬間だ。実際に光のスピードなんて体感できるはずもないんだけど、陽光がゆっくりと僕に近づいてきて僕の身体を暖め始めるのが見えるような気がする。


上流から川霧が流れ下ってくる
エスパースの右には白見の滝が見える

朝靄のカヌー
(ホントは朝になってもこんなに豊富な薪自慢!)

フリースを羽織ってテントから出ると、対岸の山に川霧の渦がわき上がっているのがまず目につく。上流側に振り返ると、豊かな水量の白見の滝。その方向から川の流れとほぼ同じ速度で川霧の塊が流れ下っているのが見える。河原の背後の茂みで「朝のおつとめ」を決行し(笑)上半身裸になって川に入ってクイックドライタオルで身体と顔を洗う。ビル・メイスンのビデオを見て以来、真冬以外は必ずする習慣だ。これをやると何となくakiではなくBillになれる気がする(笑)。
間もなく、アキヒロさんとマジコさんもテントから這い出してきて、みんなでこの壮大な光景を言葉もなく眺める。マジコさんはアキヒロさんのLettmanを借りて朝の水上散歩。


薪が豊富なサイト

朝靄のなか水上散歩を楽しむマジコ

パパパドラーたちとそのねぐら

朝食を済ませ手早く撤収を終えたつもりだったが 、ゴールまであと少し(15km)という安堵感からか、それとも夜更かしの影響か(笑)、結局キャンプサイトを後にしたのは11:00。相変わらずダム放水中で透明感はないものの清潔感あふれる熊野川。両岸の道路をクルマが通るたび「あっ、ジェット船!」などと冗談を飛ばしつつ、北山川よりワングレード高い痛快な瀬(...と言っても2級以下)を楽しむ。

瀬をゆくマジコ(こんな時も笑顔)
瀬をゆくアキヒロ(沈ではありません)

今日はもう最終日。沈して荷物を濡らしたってどうってことない僕らは、わざと波の高いコースを選んで水飛沫を浴びたり、隠れ岩のジャンプ台でバウを浮かせたり、ダウンリバーならではの愉しみを味わいつつ満面の笑顔(だっただろうな...笑)で思い思いに漕ぎ下る。
今回の熊野川最後(...と思われる)の瀬で、みんなの勇姿の撮影大会。(↑↓の写真がそれ)「う〜ん、バッチリ撮れたよ!」「うぁ〜シャッターチャンス逃しちゃった!」などと大騒ぎしながら無邪気に瀬遊びするオジサン達(笑)。


瀬をゆくaki(ニヤニヤするなよ!)

この瀬をカヌーから見ると...
(これって結構決死の撮影です。)

津呂地の大岩を越えたあたりから、熊野川はさらに川幅が広がって、向い風が強くなる。水量が少ないと苦労しそうな風だが、今日の流れは問題なくかなりの速度で僕らを下流に運んでくれる。このあたりまで来ると、両岸と川の高低差がなくなり河原に入りやすいためか、これまでになく釣り師の姿が目立ち、時折釣り舟や和船、そしてジェットスキー(ヤメテヨ!)の往来が頻繁になってくる。でも川幅が広くノープロブレム!(熊野川は釣り師も釣り舟もジェットスキーもみんな笑顔で僕らとすれ違うのだ!)
去年のキャンプサイトを過ぎると全く流れがなくなっていよいよゴールが近づいて来たことを僕らに教えてくれる。「カヌーマラソンの時はここからの2kmが辛かったよねぇ。」5月のカヌーマラソンを懐かしく思い出しながら最後の右カーブを曲がると...はるか前方にR42の熊野大橋、そしてその先の海が見える!13:00ゴール!「お父さんだけの」北山川〜熊野川ダウンリバー&キャンプはこうして終りを告げた。


ダウンリバー、その後 ゴールしたあと岸辺で装備の片付けをしていると河原に続々と軽トラのオジサン達が集結してくる。「なんだろな?」と思っていたら軽トラに竹の枝を満載してこちらに向かってくるではないか!そこで紀州に詳しいアキヒロさんがつぶやく「あっ!明日から御船祭だぁ!」思い起こせば去年の熊野川ダウンリバー...NESSYさんとマジコさんとともにここにゴールした時、岸辺に御船祭の幟が林立してたっけ!ってことは今回も去年と同じ日(10/14)だってことかな?なんたる偶然!
祭の準備の邪魔をしてはいけないと、河原にクルマを入れずに徒歩でカヌーを運んでいると、そのオジサンたちのひとりがやってきて「なんでクルマを入れへんの?入れたら楽やよぉ〜」と優しいアドバイス。「いえいえ邪魔したらイカンから...」そこからふたりに増え、3人に増えたオジサンたちとカヌーのこと熊野川のこと、家族のこと(どうしてウェット着てると独身だと見られるのだろう...笑)etc.ついつい半時間以上話しこんでしまった。(荷物を僕のぶんまで運んでくれたアキヒロさん&マジコさん、ありがと〜!)最後にオジサン達に「またきてよぉー!」と紀州弁で見送って頂いて、いつものことながら熊野川に惚れ直しつつ河原を後にする。

クルマに乗った瞬間、クラプトンは名探偵コナンに変わり、男はお父さんに変わる(笑)「あ〜紅梅堂の鈴焼買って帰らないと怒られるぅ!」3人のパパは新宮名物のお菓子「紅梅堂・鈴焼」を買うためパーキングにクルマを入れる。「すんませ〜ん、5袋下さ〜い!」そこで自分達がウェットスーツのままであることに気付く。「すんませ〜ん、こんなカッコで...」「イイですよ(笑)」お店の方も苦笑。

その後、熊野川町役場前でアキヒロさんのクルマにLettmanを積み替え、着替えを済ませて帰路に...あっ、いや、もう一ケ所立ち寄る場所が。「金山パイロット農園の紀州みかんSS10kg箱を買って帰らないと家にいれてもらえましぇ〜ん!」みかん農園でみかんの試食をしながらクルマのカーゴルームに10kg入りみかん箱を積込んで...これでホントに「お父さんだけの」北山川〜熊野川ダウンリバー&キャンプは終りを告げたのだった。

(本当におわり)

北山川〜熊野川カヌーツーリングマップ 

位置関係が分かりにくいので突貫工事で仕上げました(笑)

 

 

 

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