3月26日 野宴会カヌーオフ2000その1 今日は野宴会カヌー班のツーリングオフ。...といっても参加者は僕とNESSYさんのふたりきり。いつものサービスエリアでNESSYさんと待ち合わせ、カヌーを載せた2台のクルマは宮川・宮リバー度会パーク駐車場を目指す。例年ならこの時期になると陽射しはポカポカと暖かいのだが、今日は真冬のような季節風が吹き荒れてる。実際、宮川に向かう高速道路の吹き流しは真横にはためいて、前を走る大形トラックもフラフラとハンドルを取られている。
宮リバーパークに到着すると、早速カヌーを降ろしクルマをゴール地点へ回送、再び宮リバーパークに戻ってスタート。「フオローだね。」NESSYさんの言うようにスタート地点からしばらくは追い風で姿勢を保つことに専念するだけでぐんぐん進んでいく。ところが南伊勢大橋手前の屈曲を越えるといきなり風向が変わってアゲインスト。橋を越えたあたりで風待ちのため小休止を取ることにして、だだっ広い河原で二人のおっさんが語り合う。ところが風は止むどころかますます強く吹き始め、どちらからともなく「昼飯にしよっか?」ってことに。
風を避けられそうな河原の窪みを探し簡単な昼食。食後のビール(笑)を一本飲み終わったところで午後の部のスタート。しかしまたまた伊勢自動車道手前で風に阻まれることに。「カナディアン乗り殺すにゃ刃物はいらぬ。風がビュンビュン吹けば良い」の言葉通り(そんなのないか?...笑)風が起こした波がバウを越え浮力体を洗うほどになるとパドリングを楽しむというより我慢大会の様相を呈してくるのだ。右岸の岩場の入り江を縫うように風を避けながら進みながら、ふと左を見るとNESSYさんが左岸に上陸して手を振ってる!「休もっか?」またまた休憩(笑)平均風速10〜15m、瞬間最大20m近くの風は一向に止む気配はなく、荷物を載せたまま河原に上げたカヌーが河原を走ってゆく(!)しょうがないからコーヒーを沸かしていると、上流に2艇のカヤックが見えてきた。ところがそのカヤックは全然近付いてこない...そう、風で前進できないのだ!右へ左へフラフラとバウを振ったあと、カヤッカ−たちもフネを降りて水辺を歩いてこちらへ向かってくる。NESSYさんを見ると「カヤックがあれじゃ、カナディアンは無理だね。」と目が語っている(笑)再びカヌーが「ズザザザザッ!」という轟音をたてて河原を滑っていくのを見て「じゃ、行きますか!」ふたりは川とは反対方向のバス停に向かって歩き始めた(笑)。
14:15にバス停に到着し、時刻表を見ると14時は空欄。つまり14時台はバスが来ない(涙)という緊急事態だが、カヌーで川下りなんて「逆境を楽しむ」遊びを楽しむ二人(マゾって意味じゃないよ)。どちらからともなく「歩こうっか?」下半身がずぶ濡れの変なおじさん二人組はテクテクと(いや、靴に水が入ってるから“ジュポジュポ”と)スタート地点に向けて歩き出したのだった...。
「カヌーやってると『どうしてそんなしんどいことするの?』ってよく聞かれるよねえ。」
「自分でもバカなことやってるなあって思うこともあるけど...。」
「あえて言うと日常にはない『苦労することを楽しむ』部分が大きいのかも。」
「日常があまりに便利すぎて、バスが一時間以上来ないなんて絶体絶命のピンチ(笑)ないもんね。」
「まあ、普段は『しょうがない、歩こうっか?』じゃ済まないからね。」
全ての行動に目的がある日常。目的を達成するために時間を細かく区切ってあくせくと動かざるを得ない日常...そんな日常にはないイイカゲンな時間の使い方。そんなところにカヌーやアウトドアの良さがあるんじゃないのかな。なんて話をしながら歩いてたら雨も降り出した。
「普段スーツとか着てる時に雨が降ってきたら一大事だよね。」
「だけど今日はフードをかぶろうとも思わない。『あっ雨か。』って感じ」
無事スタート地点に辿り着いた二人は再び文明の利器「クルマ」に乗ってカヌーを回収に向かう。カヌーを積み終わってウェットス−ツを脱ぎ、テールゲートに座ると思わずホッとして笑顔がこぼれる。「やっぱり僕らはひ弱な現代人だな。」って感じるひととき。
「それじゃね、また。」宮川のほとりでNESSYさんと別れた僕は「う〜ん、満足満足」と呟きながら家に向けてクルマを走らせる。有料ツアーなら返金しなきゃならないような川下りだったけど、僕らには楽しい川下りであった。
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